2016-10-02 18:30 |
カテゴリ:instagram × 文芸パンク
「渦と渦」
雨傘みたいな帽子を被った若い男がアイメイクを鏡で入念、
細い首を捻り切られた羽虫がなぜだか腹を表に見せた、
その様子を間近に眺める子供が笑えば虫歯だらけの乱杭歯、
暗殺者はタップ踏むようおどけて夕暮れ駆けてゆく、地表をかすめて滑る渡り鳥を真似てるつもりでまるで似てない、
おなかが空いたら冷凍庫に解体した牛が一頭入ってるって、
そいつはお前と同じくらい、赤黒いからスープに溶かせばお前の腹と同じだろう、
蛇がとぐろを巻いている、乳母車を押し老婆は市場へ卵を買いに、
君は子供のふりしてシャボン玉を窓から浮かす、弾け飛ぶのを待っている、
真上には森へと帰る鳥たちが群れ、金色夕陽に鐘が鳴る、
誰も彼もの頭を転がり背筋へと、それから脚をつたって爪先までも包まれる、
借り物の空は澄みに渡りし青を終え、闇を始める冷たい色を浮かべてた、
僕は渦のひとつに過ぎず、シャボンに飽きて口笛吹いてる彼女の横顔じっと見ていた、
浮かんだ三日月、くちづけしているシルエット、
ただ僕は、呼吸も忘れてその姿に見惚れてた、
Copyright (C) 2016 copyrights.billy tanaka All Rights Reserved.
応援クリックをどうぞよろしくお願いします。
スポンサーサイト