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2014-12-15 18:30 | カテゴリ:砂時計のクロニクル

「砂時計のクロニクル #1」


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 おはよう、朝だよ。

 あの日のこと、僕はずっと憶えてる。君は僕をのぞき込むようにそばに立ってた、驚いた僕はベッドから転げ落ちてしまって、それを見た君はいつまでも笑ってたんだ。

「なんでここにいるの?」
「なんでって……朝だから起こしに来たんだよ」
「……まだ早いよ」
「見てよ、ほら。太陽は起きてる」
 そう言ってカーテンを開ける、するとまだ白い朝の光が部屋のなかに満ち溢れた。
 生まれたての光はまるで金色のシャワーみたいで、見慣れたはずの何もかもが輝いてるみたいだった。

「ねえ? 朝っていいよね」
「そうかな」
 まだ眠かったんだ。それに寝起きの僕はまだぼんやりしてて、彼女が言っていることが半分くらいしか頭に入ってこなかった。
 きっと髪はくしゃくしゃで、パジャマだってしわくちゃで、おまけに僕はまだぬいぐるみを抱っこして眠ってた。それがばれて恥ずかしかった。
 同じ年なのに彼女はずっと大人みたいだったし、いつだって僕は子供みたいに扱われて、驚かされて笑われて、悔しくって、でも、そんなふうに過ごす時間はほんとうに大切だった。
……それを話したことはなかったけれど。

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「おはようとかおやすみとか……他にもたくさんあるけど、そんなふうに呼びかけるって幸せだって思わない?」
「そうなのかな……?」
「そうだよ、絶対そうだよ」 
「うーん。よく分からないや」
「また明日ね、とか。ひとりで言うと淋しい、でも伝える誰かがいると約束になるもの」
「……約束?」
「そう、約束。明日だってまた逢える。明日がまた来る。私と君と、それから……」
 君は窓を開けて、吹き込んでくる風を浴びてた。短くしたばかりの髪が生まれたての草原みたいにさらさら流れてた。
「ここに生きてる、たくさんの人たちや木や花、動物たちや……そんな全部がね、繋がれて続いてくって思える。そんな約束」

 あのとき、彼女がなにを言おうとしていたのか、そのときの僕にはよく分からなかった。
 明日があるなんて、当たり前のことみたいで、ほんとは当たり前なんかじゃなかったんだ。



【つづく】







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