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2014-10-03 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・旅
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「異邦人」


遠慮もなく突き抜けてゆく、集まる視線は好奇と違和が中和しない、
異邦の私は異物で或れと、居直ろうにも独りに過ぎる、

断ち切り鋏で落とした黒い、
流れる長い髪を掬うつもりで空振りする指、
合わない肩幅、ウールに見せたつもりすらない安衣装、
無断で拝借した昨夜、視界の隅のガス灯を、
錯覚したんだお天道様に、

あの刻、赤土、軒下眠るヘビ使い、
流るる時間がもたらす暁待っていた、
老婆はプラスチックの水晶玉を、孫娘のように抱いてる、
片眼鏡の白い口髭、詐欺師に売りつけられたことは知らない、
知らないままのほうがいい、

踏みつけられた紙幣を拾う薄着たち、遊戯のための偽とも知らず、
何を食べるか迷ってはしゃぐ、きっと彼らは明日も空腹、

異端で或る私には、見慣れはしない風景を、
昨日も予定を持って歩いた、そんな素振りで視線を据える、
爪先には迷い持たせず、読めない言葉で綴られた、
木板の古い街の地図を眺めているふりだけはする、

時計台は止まったままで、午前か午後の8時あたりを差していた、
そして此処で鳩は鳴かない、路上には降りてもこない、
骨組みだけが残る荒屋、
煙突から揺れる国旗はデッキブラシの果てにも見える、

解体された鉄の螺旋階段は、野良猫たちが寄り添う円環、
誰かの死体はひたすら腐乱を続けてた、
街の南にビーチがあって、雨を探したツバメは走る、
眼下の景にはなるべく近づかないように、

私は昨日を喪失してゆく定めの下に生まれたらしい、
捨てたつもりと忘れようとしていることが、
いつからだろう、私を組成する一部であると知っている、

骨と肉と血を以って、
唯々、人であろうとするだけは、
行き場のない、根を張るにも土に慣れない、
異邦の私は此処では異端、視線の先は不明瞭、
刺さり続けど棘は抜けずに流れもしない血が痛む、
其れ其のものが、私を人たらしめるもの、

生憎にも皮肉にも、滑稽にも雑然も、
私は人に組成される生き物でしか、其れこそ私を人とするもの、









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