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2014-05-06 12:00 |
カテゴリ:文芸パンク・憧

「波に揺らぐ月の夜」
波間たゆたう海月は微かに青く透く、
鐘の音が鳴っていた、海鳴りなのか吹鳴か、
どちらにも思えては、やがてどちらでもないと、
路傍の花束、其れを聞いているのかいないのか、
聞きようにも聞こえぬだろう、
何故なら彼らは耳を持たない、
支柱から万国旗、四隅に伸びる色其々、
採石場の鉱夫たち、手にした僅かな金の粒、
油と泥が滲む手のなか、光ってるようにはとても見えない、
かしげる首の歪なる骨、灼けた其処が消えてゆく、
壁に落書き、愛や平和はそこいらじゅうで配ってるから、
それより自由をくれないかって、
飛び立つ鳥を真似た舞踏家、肩甲骨を除去する手術をふと思う、
汝が故の孤独に満つる魂よ、
掬い上ぐにも届かぬ手、指は十しかないのだと、
足りなさばかりは数えもきれぬ、
汝が故の百年ばかりの孤独を以ってなお、
どうにも救えぬことばかり、
せめては終わりが静謐なれと、
溶けて消ゆる海月の姿を其処に見据える、
滔々たる流れに沿って、幾ばくかの無言に落ちた孤独たちの最期を川に、
やがては其れが海へとたどり着きますように、
春に想い、夏に想い、
秋に想い、冬にも想う、
私たちの生の脆弱、波に浮くのは海の月、
其処には唯のひとつも意志はない、
汝が故の孤独に満つる魂よ、
救いを求むも其れに届くこともない、
せめては波に酔い痴る海月のように、意志を失くして漂うがいい、


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