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2014-11-17 12:30 | カテゴリ:ショートショート・フィクション


「スウィート・タウン」


ガットギターを叩いて打音、あちらこちらでサイレンが鳴る、
空へ吐き上ぐ煙のなかを羽根がいた、
〝カラスの群れは涎垂らして逃げてゆく〟って、
生きていたと誰も知らない、老婆は寝言みたいに言った、
バルコニーのロッキンチェアは、彼女の座を残して黄色に鮮やか塗られてた、

 水色と言う。
 その言葉が喚起するのは薄いながら鮮やかな青だ、水があるべき場所と正対する頭上の、晩冬から初春にかけての真新しい朝に一瞬だけ浮かぶ空の色だ、なのに、水の色がそんな眩しいくらいの青をたたえることはまずない、少なくとも目にすることはほとんどない。
 現実の水色は黒ずんで半透明の薄い泥を溶かした湯の色で、廃油が爛れた虹のあぶくを点々と浮かばせている。
 それが私たちにとっての水色である。

〝ジミってほんとはまだ生きてるの?〟
ギタリストは聞こえないふり、もうすぐ雨が降るらしいってラジオは得意げ、
誰も聞いちゃいねぇのに、
〝どっちだっていいだろう〟って苦く笑う、

 雨は水なのに水色ではない、雪は溶けても水色にはならない。
……いったい水色ってどんな色を意味するのって、ほんとは興味なんてないだろうに恋人はカシミアのブランケットを肩から羽織っていた、その下は昨日の夜の肌色のままで、僕はその肌を指して「この色と同じ」って思いつきで返してみる。

「どうゆうこと?」
「見てみなよ」

 通りを行き交う人々はそれぞれがそれぞれに少しずつ違う肌の色をしている、白があって褐色があって黄色があって……それもまた濃淡がある、同じ色なんてない。

「ああ、そうか。そうかもね。肌色って別に肌の色じゃないんだよなぁ」
「肌の色だよ。肌の色がバラバラなだけで。トカゲなら緑色だし、単にそれだけ」
「それと水色の話にはなにかカンケーあるの?」
「好きな色にさせてやれってこと。イヌからすれば白から黒と、その中間の灰色しかないんだから」
「……イヌ? なんでイヌ?」
「いちばんの友達だからね。いまはいないけれど」

 くだらないって思いながらもおしゃべりが尽きなかった、大切な話なんてそうはない、だからこそ空白を埋めるように言葉で無音を埋め尽くす。
 肌色の連中は面倒だなって肌色の僕は思う。
 
 普段、気にもしない空の色は水色ではなくてムラサキからアカに繋がるいい加減な色をしていた、「今日もつまんない一日だったね」って彼女は言って、僕はそれにすぐに返す。
「明日はもっとそうなるらしいって、ラジオのニュースが言ってた。どうせ思いつきのウソなんだろうけど」










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