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2014-07-13 12:00 | カテゴリ:【小説】国境線上の蟻
オアシス ノエル・ギャラガー イラスト 画像

工業地帯 コンビナート 臨海 画像

国境線上の蟻 #2


 男はタバコをくわえた、そしてマッチで火を点ける。木の焦げる香、それから葉の香が漂う。
「火は使わない約束だ」
 君は告げる。そして左手を向け、マッチを寄越すように顎をしゃくる。
「タバコくらい構わないだろう?」
「タバコじゃない。火だ。マッチは俺が預かる」
 ふふん。
 男は鼻で嗤う。そして握り潰したマッチ箱を君の掌に乗せた。

「いくつだ?」
「何がだ?」
「トシだ。年齢だよ」
「24か25か、それくらいだよ。戸籍だとか出生を証明できるものはない」

 隣の男が自身の父親くらいの年齢であろうと君は思う。だが、彼にも彼自身も正確な年齢は分からないはずだ。
 そして互いに互いが年齢を必要としない世界に生きていることを知っている。

「仕事が終われば……その故郷に帰るのか」
「帰ることはない。故郷はもう、何処にもない」
 君が応えた直後、一秒にも満たない一瞬に呼吸の流れに変化がある。
 動揺ではない。
 男は君の言葉に感応した、或いは君自身の乱れに何かを思った。
 運転席と助手席の間に、静謐で透徹した緊張が交錯する。

「仕事のない日はどうしている? 趣味はあるのか?」
「趣味はつくらないことにしてる」
「どうしてだ?」
「生きることに楽しみを持ちたくない」
 迷いが生まれるからだ、君は言葉を途中で飲み込む。
「良い心がけだ」
 そして会話は終わる。夜を徹し南へと走り続けた、空は白み始め、前方をつがいの海鳥が横切る。
 螺旋を描くように、そして数字の8を象るように。

 鳥は自由だ。
 いつのころか、君は空を統べるように自由に舞う、鳥の姿を追い求めた。だが違った。
 鳥は自由なのではない。そこにしか居場所がないだけのことだった。
 それでも、鳥が風に乗り、虚空を踊る瞬間はこの世界で最も美しい光景だと知っていた。


…………続劇

TRICKSTER TOURS.

閃 ロックンロール ワールズエンド
天 草原 蟻
ゾンビ 祈り 砂時計


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