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2014-07-12 00:00 | カテゴリ:【小説】国境線上の蟻
モデル 鳥谷敬 阪神タイガース 画像

夕焼け 高速道路 ハイウェイ 画像

国境線上の蟻 #1


 君はフロントウインドウの先、手が届くほどに近い未来、およそ2秒後の未来を睨みハンドルを片手に掴んでいた。
 空いた左手は色の煤けたコートのポケットのなかで何かを弄んでいる。
 音は鳴らない。いや、鳴ってはいるが聞こえてはこない。タイヤのノイズ、それから途切れがちに流れるラジオで音が拾われないように気を払っている。

「くだらない放送だ……なんだこの歌は」
 助手席の男がそのラジオを小馬鹿にする。だが、その男にしても聞いているわけではない。
「他にないのか? ディスクでもいい」
「ない。俺は音楽を聴かない」
 短く君は応える。そして横目に助手席の男の表情を伺う、対向車のヘッドライトが瞬間、隣の男の顔を夜闇に浮かび上がらせる。
 
「そうか。お前は音楽を聴かないのか」
 その問いは君を古い記憶に連れてゆきそうになる。
 瞼によぎるのは生まれた街……恐らくは生まれた土地でもある……裏寂れた港町の風景だった。
「ああ。生まれた街の音楽なら聴いたことがある」
 だからと言って好きだったわけじゃない、君はそう思う。
 鼓膜にこびりついているだけだ、記憶としてとどめておきたいわけじゃない。
 視点が再び僅かな未来を睨む。

「私は音楽が好きだ……子供のころは音楽を業にしたいと考えたこともある」
 君はそれに応えはしない。不思議に思うだけだ、なぜこの男はそんな下らない世間話をしているのか、と。
 俺とあんたは友達ではない、もちろん今後もそうはならない。
 この関係性は持続しない。数日における契約でしかない。

 希望をたどる旅ではない。君は希望を欲してはいない、男も恐らくはそのはずだ。

 浅薄な希望は絶望に駆逐される。圧倒的な絶望は安易な希望を殺す毒となり、その先に命は明滅する。
 彼らはそれをよく知っていた。



…………続劇


TRICKSTER TOURS.

閃 ロックンロール ワールズエンド
天 草原 蟻
ゾンビ 祈り 砂時計


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