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2013-05-15 23:17 | カテゴリ:ショートショート・フィクション
〝JACKPOT DAYS〟-image


「過去になる終の光景」


 氷河の季節を越えたあと、訪れたのは水の季節だった。水が地表のほとんどすべてを覆い、生き物はもう残っていない。
 かつての市街地を抜けて太陽が水面に溶けてゆく景色を見にゆく。空は灰の色を纏い、白い太陽はわずかな光沢を持つ。発光しているのだろう、だが、その輝きは褪せ、かつて夜に反射光を放った衛星、月を真昼に見る程度の輝度しかない。

 無。
 無の終景。誰の空想、夢想をも超えることのない、ありふれた光景。終焉に見るのは荒野でなく水だった、融けた氷が海を拡大させ、生命はそこへ還元してゆく。
 沈んだ海底には新たな生命が誕生しているのかもしれない。
 有り合わせで組んだ小船で彼は、言語がまだ生きていたころで言う「南」へ向かう。
 もはや誰に送ることができるでもない、最期の手紙を書くために。

 かつてここにヒトがいた、おそらく彼は最期のヒト科だろう。彼が終焉を選んだのではなく、終焉が彼を導いたのだ。記録者として水の世界を記させるために。
 そして、彼が残す言葉はやがて未知の言語、古代の記録として、新たな生命が知を持ったそのとき、研究と好奇心の対象に変わるのだ。

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 彼は最期に書き記す。
「君ならこの風景をなんて言葉で説明する?」と。


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砂漠に雪が降る
メメントモリ
小さな背中




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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



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あの人への想いに綴るうた

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