-------- --:-- | カテゴリ:スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2013-07-03 08:16 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?
JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--イケメン・ジョニー 最新画像.jpg

「それゆけジョニー!」


 帰り道は酷く長く感じた、緊張とストレス、そこからくる徒労感。足取りも当然のこと軽快とは言えない。
 ふたりはたっぷりとしぼられてきたばかりだ、捩りあげられ、そのまま渇いた雑巾のような気分で暗くなった街をゆく。
 衝動に任せて叫んだ昼間の狂騒はそこにはなく、憔悴したふたりの男がとぼとぼと歩いてゆく。
 重い踵をアスファルトに擦りながら、冷たさを取り戻した夜の風が正面から突き刺さるように流れてくる。
 紫のニットを目深にかぶった青年と、オールバックになでつけた黒髪からぎらり鈍い光沢を放つ青年。

 それぞれはその名を天野ジャック、ヒラサワくんと言う。
 とあるインディー・パンクバンドのドラマーでありベーシストである。

「なぁ、天野くん……なぜ肝心のカレがいないんだろうね……?」
「天野くんじゃなくジャックだけど……や、それはまあいいか、ジョニーのやつ途中でさ、トイレに行くって……そのまま戻ってこなかったんだ……」
 ジャックこと天野くんはため息を混じらせ、ヒラサワくんはデニムのポケットでくしゃくしゃになったマルボロを一本抜き出してくわえた。

 つい数時間前のことである、ふたりは新たなメンバー、ギター兼ヴォーカルのジョニーという男を迎え、初のセッションを敢行したばかりであった。セッションとはその名ばかりに過ぎず、まるで未経験のジョニーは暴走した怪物のように奇声をあげ、ギターを振り回して天野くんの自宅兼スタジオに破壊の限りを尽くしたのである。
 それでも、天野くんとヒラサワくんはそのあまりのエネルギーに触れ、歓喜さえ憶えたのだった。
「ようやくパンクロックをやれる」と。
 だが、その狂騒の初セッションは警察の介入によって突然に強制終了となった、騒動を聞き付けた近隣の住民が通報したのである。
バンドの三人はその風貌によらず、あっさりと権力に屈して連行され、結果、事件性のなさが理解されるも散々な思いをしてきたのだった。
 だが、騒動の張本人であるジョニーの姿はない。

「天野くん……ほんとに彼をバンドに……?」
「うーん……や、あんなにパンクなヤツっていないと思うんだよね、あ、天野くんじゃなくジャックで」
「それは確かに……そうだと思うけど。いや、それより本人はどこにいるんだよ、まったく……」

 ぶつぶつとふたりの恐面が、いつになく小声で愚痴る。騒音は法律に触れると言い聞かされたばかりなのだ。
 角を曲がり、細い路地に入る、見慣れたアジトが街灯に照らされていた。

「あ、おかえり、遅かったね」
 そこにいたのは誰あろうジョニー本人であった、涼しい顔さえ浮かべてタバコを吹かしている。
「ただいま……ってジョニー!! な、なにやってんだよ君は?!」 
 天野くんとヒラサワくん、ふたりの声が重なって響く。
「なにって……ほら、天野くん、カギがかかってるからさ、アジトに入れなかったんだ」
「じゃなくて!! 逃げちゃダメだよ!! 俺たちずっと怒らてたんだよ? ジョニー、どこへ行ってたんだよ?!」
 当の本人は不思議そうに首を傾げ、手に下げていたコンビニ袋をふたりの前に突き出した。
「どこって別に……なんだか話が長かったからトイレに行って……そうそう、天気が良かったからさ、散歩してたんだ。気持ち良かったよ、もう春だね」
「……」
「……」
 返す言葉がなかった、語彙に自信のないふたりだが、それ以上に何を言うべきかさえ分からず、混乱のみがふたりのなかを駆け巡る。

 そんなことよりさ、ジョニーは袋のなかをふたりに示す。
「とりあえずビール持ってきたんだ、適当なつまみもあるよ。バンドは今日は休みにして、みんなで飲もうかなって」
「……そう……だね……」
「うん……」

 とりあえず今日は飲むことにした。ふたりはちょっとだけ泣きたくなっていた。



※不敵に不定期に続く。

<CLICK>
失笑必至の前回まではこちら♪




JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--海賊ビリー ロゴマーク.png
関連記事
スポンサーサイト

管理者のみに表示する

トラックバックURL
→http://stardustjohnny.blog.fc2.com/tb.php/2672-f86a6b03
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。