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2013-08-30 11:03 | カテゴリ:文芸パンク
JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--111020_143535.jpg

「サーカスガール・アンジェリカ」


支柱から放射状に舞う原色、綻び目立つ万国旗、
破れていたり、いまはもうない国だったり、
褪せたベージュの三角テント、開幕を待つサーカスが昨日設営したばかり、

陽を浴びているのに、
まるで楽しげなんかじゃなくて、
まるで野戦病院みたいに見えた、

ピエロが出たり入ったり、だけど、
メイクのない彼は使いまわしの小さなサルと変わらない、
焼けた輪だとか、木馬だとか、年を重ねた着ぐるみだとか、
世界を茶化したあらゆるがテントのまわり、静かに寝てる、

少女の名前はアンジェリカ、ナイフ投げ師の夫婦の子供、毛皮のソファで欠伸をしてる、
サイズの合わないデニムのパンツ、サスペンダーで吊り下げて、
青い石つきペンダント、手の平、光にかざしてる、

彼女の夢は絵本に見た天蓋のある大きなベッドで眠ること、
キャンピン・バンの狭い荷台、両親に挟まれて寝て、いつも朝を迎えてる、
だけど、そのことを誰かに話したことはない、
落ち目のサーカス、次の時代のスターに皆が期待してるって分かってる、
ターコイズを握りしめて目を閉じる、

街から街へ、村から村へ、旅立つばかりのアンジェリカ、
小さな村で言葉もなく手渡されたペンダント、
“ありがとう”を言う前に、走り去った男の子、
彼がいまも元気なら、ベッドのことは忘れてもいい、

リハーサルが始まって、父が母の輪郭描くようにナイフを投げる、
突き立つ音が聞こえるたびに、アンジェリカはターコイズを手の中握る、

JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--111021_162857.jpg

落ち目のサーカス、ナイフ投げ師の夫婦の子供、
アンジェリカは次の世代を期待され、
彼女の意思はいつも抱えるリアルに飲まれ、

スクールバスに乗ってみたい、みんなと学校へ行ってみたい、
ふざけて笑ってケンカして、一度そんなのしてみたい、
ネオンカラーのジェリービーンズ、皆と騒いで食べてみたい、
ラスタカラーの帽子を被って、「こんなのどう?」って聞いてみたい、

狭い世界を飛び出して、違う生き方するって決めたアンジェリカ、
握りしめたターコイズ、あの子がいる街へゆく、
逢えるかどうかは分からない、だけど、他に行きたい場所もない、

とりあえずの行き先決めたら、ひたすら進むとサーカステントを飛び出して、
オレンジ色のバスを待つ、出てゆく彼女に気づいたピエロ、
“元気でね”って手を振った、溶けたメイクが垂れていること気にすらせずに、

はるか遠く知らない街へ、荷物はひとつのアンジェリカ、
目を閉じ握るターコイズ、ベージュのテントは小さくなって、
彼女は未来へ旅立った、



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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた

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