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2013-07-02 21:01 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?

「イケメン・ジョニーはスーパースター⁈」


 ひとりの男がいる。
 小さなアパート、その通路を兼ねたキッチンで引き締まった腕を組み、眉根を寄せ、端正な顔を少し歪めてまで思いを巡らせている。
部屋着だろう、ラフな服装だ、いや、あまりにラフ過ぎるとも言える。首周りが伸びて弛み、下半身はあろうことかトランクス一枚である。

 腰の高さまでしかない小柄な冷蔵庫を開け、そのなかを睨みつける。
大袈裟に首を振り、ひとりぼっちの部屋で男はつぶやく。
「食うもんは……ない」
 男は空腹を抱え、絶望に近い感情を抱えていた。彼の胃袋はすでに干からびた湖のように虚無だけがある。この空腹を満たすためなら置き去りにされて錆びた自転車でさえ食えるかもしれない。

 男は目を閉じ、またも大層なため息をつく。そのため息にはこの世界にある全ての嘆きが込められてさえいるようだ。

 しかし。
 しかしである。
 たかが空腹なのだ。
 まず、彼は餓死をするような状況にはない。昨日夜、玉子を落としたカップラーメンを食べ、燻製のイカをビールのつまみに貪った、栄養価の観点ではいまひとつだが、カロリーだけは足りている。

 彼は利き手でケータイを手にし、慣れた手捌きでどこかに連絡をする、だが、どこにも繋がる様子はない。

 ふっ。

 ニヒルさえも気取り、彼は笑う。そしてその両手を広げ、またも大袈裟に首を振る。
彼は肝心なことに気づいたばかりだ。
使用料金を滞納しており、すでに電話としての機能を持たない自らのケータイ電話を散らかり放題の布団……らしきがある周辺に放り投げる。

 ジョニーはなんども冷蔵庫を開閉してはその中身に変化がないかを確かめてみる。むろん、変化はない。だが、彼はあきらめはしない。冷蔵庫をなかば魔法の箱のように考えてさえいる。
神に祈ろうかとさえ思うが、彼は祈る神を持たない。

 彼はその名を「助 新(たすけ・あらた)」と言う。
 通称ジョニー。
誰が呼んだかその愛称、彼はこの世界において自らをジョニーで通してゆくつもりだ。

 美しきバラにはトゲがある。
古来から言われる言葉だ。彼は、ジョニーは美しい外見を持つ青年だが、残念ながらトゲになるものは持ち合わせていない、それどころではない、トゲどころではない、ほとんど何ひとつも持ち合わせてはいない。

 そんなジョニーの物語が、いま、始まる。
いや、始まらないのかもしれない。
ちなみに、この日、ジョニーが口にした言葉は自らに対して訴えた空腹のみであった。

「お腹すいたんだけど」

JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--110902_184637.jpg




illustration and text by Billy.


(不定期に続く)
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