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2014-09-04 12:00 | カテゴリ:文芸パンク



「月の旅人」


生まれた土地を離れる季節、
もうすぐここは雨に流され、
僕らはそれを避けるよう、
新たな場所へと地図を広げる、

童話で見かけた盗賊たちが持っていた、
蛮刀みたいな月が白く光るころ、
月の涙が世界をおおい、
満月には洗い流され、
月に生まれた僕らはここを、
遠く離れて生きる場所、
それを探して放浪、流浪の日々になる、

水色の羽根を持つ鳥が、
終わらない雨期を告げ、
彼らもまた別の緑が咲く地を求め、
湿り気ある風を抱き、
夜には月が浮かぶ湾をゆく、

月の民と生まれた僕は、
季節ごとに住家を替えて、
雨の降らない寒地へと、移動しながら陸を渡って、
月の涙を振り向きながら、遥か先を見続ける、

恋人はもういない、どこか知らない国へ渡った、
月の地に生き続けるのを嫌ってたんだ、
私はヒトで鳥ではないの、どこかで静かに暮らしていたい、

誰もが一度は思うこと、
小さな僕がそうだった、
いまの僕はこの生き方に慣れすぎて、
歳をとるのも忘れてる、
せめて彼女が元気にいますよう、

夏の世界を探して次へ、
ピックアップを連ねて走る、
その地でまた誰かに出会う、
恋さえまたするのかも、
それも束の間、僕は永久の放浪者、
ただひたすらに泳ぎ続ける魚と同じ、

明日見る土地は新たな世界だ、
夢に見るは見知らぬ誰かで、
それを何度も繰り返す、
それを何度も繰り返す、

寂しさまぎれに見知らぬ誰かを抱く夜が、
その季だけの恋人を、旅立つたびに忘れてゆくよう、
孤独に慣れゆく自分の輪郭、いつもどこかにうつろわせ、




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