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2012-12-18 07:57 | カテゴリ:時計じかけのジュヴナイル
〝JACKPOT DAYS〟-111221_085132.jpg

「ルッカ……」
頬に少し赤みがさした彼女はいつものようにクールな佇まいではなかったし、どこか焦点が合っていないようで僕を見ているのか、それとも僕の背後の風景を見つめているのか分からなかったけれど、それでも僕は安心して深呼吸ができたんだ。

「ルッカ……目を覚ましてくれたんだ……」
「ロッソ……」
「街は……バースデイ・タウンは停止しちゃってる、ネジが巻かれないと朝が訪れないっていうのは、例え話なんかじゃなかったんだね……君のネジを巻いたのは僕なんだ、少ししか巻けなかったんだけど」
ルッカは目をこすり、周囲を見渡してから小さく溜め息をついて話しはじめた。

「そう……ロッソがネジを巻いてくれたんだね……ありがとう……でも……」
「でも?」
「ロッソ一人ではバースデイ・タウンすべてのネジは巻けない……ねぇ、今朝、鐘は鳴ったの?」
鐘。朝と昼と夜に響く祝福の鐘。鳴ったんだろうか? 聞かなかったような気がする。今朝のバースデイ・タウンは何も音がなかったような気がする。
「分からない、でも鳴ってないような気がする……。でも、どうして?」
「……私たちバースデイ・タウンに住む人や動物や……そう、命があるものたちは時計じかけなの。いつもと同じように朝を迎えて陽が沈むまでの間、ずっと時計が動いていてくれるから、私たちは生きて動いていられるんだよ」
時計……僕らの住むこの街の遥か頭上にあるという、巨大な時計。
かすんで見ることはできない、あまりにそれは高く遠くて、話に聞いたことしかない。
そんなのは単なる噂だと思っていたけれど。
「ロッソ」
ルッカは真っすぐに僕を見つめて言った。
「きっと時計が止まってしまっているのよ。理由は分からないけど、鐘が鳴らないのも私が起きられなかったのも、街が寝たままなのも、時計が止まっているからなの……」
ルッカは一気にまくし立てたけれど、僕にはその意味がよく分からなかった。
時計? それが止まると僕らは生きてさえいられない? よく分からない。
「ロッソ、君は盗賊になるんでしょう、君や私たちのために止まった時間を奪い返してきて、お願い……」


〝JACKPOT DAYS〟-111221_085341.jpg


時計じかけのジュヴナイル <1>
時計じかけのジュヴナイル <2>
時計じかけのジュヴナイル <3>
時計じかけのジュヴナイル <4>
時計じかけのジュヴナイル <5>
時計じかけのジュヴナイル <6>
時計じかけのジュヴナイル <7>

illustration and story by Billy.


<つづく>
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