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2012-11-02 19:55 | カテゴリ:時計じかけのジュヴナイル
〝JACKPOT DAYS〟-111215_171750.jpg

夕方ごろになるとネジがゆるんで、僕たちは一日が終わってゆくことを知る、僕らは夜、眠っているうちに知らず知らずネジを巻いてる。
また明日、今日や昨日と同じようにバースディ・タウンで生きるために。

僕らはどこかでそれが当たり前だと思っているけど、本当にそうなんだろうかってよく思う。
僕は僕が生まれた瞬間のことを覚えていないし、小さかったころのことだってろくに覚えちゃいない。
ルッカはいつか「忘れながら生きてくんだよ」って僕に言ったことがある。
普段の彼女はそんな意味深な言い方はしないんだ、「子供みたい」とか「またバカみたいなこと言ってる」とか、そんなふうに僕をからかうだけで、あまり多くを話すほうじゃない。
盗賊になるって僕は半分本気で、けど、それは漠然とした願望かもって思ってる、ルッカは自分が何になろうとしているかなんて言わない。
彼女は何になるんだろう。どうやって生きてくんだろう。
聞きたいのに、僕はいつもそれが聞けないまんまなんだ。

「じゃあ、また明日ね」
オレンジの空にぽつんとルッカが手を振ってた。
表情までは読み取れなかったけど、その声色はいつもの静かで優しい彼女のまんまだった。
「うん、また明日」
僕は見慣れた街を、歩き飽きるほど歩いた道を戻ってゆく。
背の低い草の影は長く伸びて、その先は街の端にまで届いているような気がした。

夕方の鐘が鳴ると、高い壁の向こうから風が吹いて、冬がすぐそこにまできてるんだって分かる。
空高くにあるこの街は酷く寒いんだ、動物たちのなかには一冬の間、眠り続けてネジを巻き続けるやつもいる。
僕らはそうはいかないから、凍りつくような寒い冬がきても、バースディ・タウンでまた生きてくんだ、ネジが巻き続けられる限りはね。


〝JACKPOT DAYS〟-111215_172431.jpg


時計じかけのジュヴナイル <1>


時計じかけのジュヴナイル <2>



illustration and story by Billy.


<つづく>
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