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〝JACKPOT DAYS〟-image


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 CDのリリースが決定したところで、彼らはその発売記念ライヴを開催することが決まっていた、いわゆる『レコ発ライヴ』である。
 その先にはオリジナル・アルバムを携えた、まどかさん命名によるところの『借金完済一発当ててこいツアー』なる、夏に続いての地方周りがスケジュールされているのだが、まずは彼らのバンド名を冠するライヴの決行と成功が課題であった。

「まず、どうやってお客を呼ぶのか。そこが肝心よ」
 まどかさんは鼻息も荒くそう口にした。片眉をひそめ、口角を吊り上げている、挑戦的な口調だった。
「それは……マネージャーの仕事なんじゃ……?」
 おずおずと反論したのは天野くんだったが、その声はあまりに小さくか細い。彼の意見は間違いではなかったが、正論が通用する相手でもなく、どう考えても劣勢だ。
「……文句あるの?」
 顔は向けず目だけで制する、天野くんは俯いて首を振る、ジョニーはなぜか右手と左手の両方にタバコを持っていた。
「フライヤーを配ろうか。みんなで手分けすれば……枚数はなんとかなるし」
「ヒラサワくん。それは当たり前過ぎよ、やらせるに決まってるでしょう? もっとインパクトのある方法を考えてよ。今日もバカヅラのジョニー、あんた何かないの?」
 うーん。人差し指で鼻の下をこする、仕草はサマになっているが何も考えていないだろうことはその場の誰もが気づいている。
「あ、じゃあ、シークレット・ライヴなんてどうかな……」
「無名のあんたらがシークレットやってどうするのよ……誰も観に来ないわよ……」
 やれやれとまどかさんは首を振る。
「……え、俺たちCD出すのに? まだ無名なの? そっかぁ……ロックンロール・スターになるのは……まだ少し先なんだねぇ……」
 まだ少しじゃねえよ、遥か彼方よ。そう思ったが説明が面倒なので言わなかった。
「マーケティングよ、マーケティング。音楽業界は縮小してんのよ? バンドマンも基礎知識くらいは必要よ」
 まどかさんも別に詳しいわけではなかった、ついさっき社長が言っていたことを真似てみただけだった。
「……そこらじゅうに……おしっこして回るの……? あんまり……やりたくないかな………」
「ジョニー、それはマーキングだよ……」
 咳払いをしてヒラサワくんが居住まいをただす、適当なところで制止しておかないと、またも暴力による執行で会議が終了させられてしまう。
「じゃ、じゃあ? 分かった、まどかさん、俺わかるよマーケティング?」
 天野くんだった。
「マーケティング……つまり……夜に……スーパーのなかを練り歩くという……あのマーケティング……」
「違う。昼も夜もスーパーマーケットを歩かなくていいの、そんなマーケティングは……マーケティングはもういいわ……」
 はぁ、とまどかさんはこれ見よがしなため息をつく、そう、どちらにせよ口にした彼女も知識範囲外の事柄である。単語を覚えたばかりに過ぎない。
「あんたらと話してるとアタマ痛くなる」
 吐き捨ててまどかさんは会議室を去った。

『あんたら』には俺も含まれているのかな……。含まれてるんだろうな……。マーケティング……うん、確かに知らないな……。
 ヒラサワくんも知らなかった。



<ロックンロールはマヌケなくらいで続いてゆく……>


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前回まではこちら♪


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