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2012-10-11 22:10 | カテゴリ:3minute rockin novel
〝JACKPOT DAYS〟-image


球体の心臓

 夏の髪型のまんまだったけど、とは言ってもいきなり伸びてはくれないから、とりあえずは帽子をかぶっておくことにした、いつ買ったのか拾ったのか分からない、ポリエステル100パーセントの安っぽいやつ、そう、こいつを初めて被ったのは初めて雪が降ったと子供たちが騒いでる小さな島にいたときだった。

 岬のほうでぶらぶらしてた、突堤の先には絵を描いてる老人がいて、「もうすぐサカナも降ってくる」と何度も聞かされた。じいさんは剃ったことがないらしい白いヒゲを触ってた、人差し指は第二関節までしかなかった、その理由は聞いてないから知らないまんまだけど、知らなくて良かったといまも思う。

 真鍮でできた直径2メートルくらいの球体があちらこちらに据えつけられている、コスモスの丘、モーテルと給水タンクの間にも、それから教会と共同墓地にもひとつずつ。
 転がってくることはないけれど、何度かそれに押し潰される夢は見た。
 その球体の上からなら地球が円を描いていることが目にすることができるって、この街の人々は信じてる、だから誰も昇ってみようとはしない。

「こんにちは」って誰彼かまわず声をかけてる、彼女は外れの小さなパン屋で毎朝バゲットを一本だけ買う、日にきっちり四度コーヒーを飲む。グラニュー糖を小匙に一杯。

 雪もサカナもまだ降らない、だからもうしばらくはここにいようかと彼は思う。どちらかが空から舞うとき、貨物列車が泊まる駅まで歩いて、そこからまた別の土地にゆくつもりでいる。
 耳を澄ませば、どこかからバイオリンの泣いている声が聞こえた。


<了>

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百年孤独、アコーディオン
地上の星と深海の夢
名もなく彷徨う

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