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2012-08-30 17:22 | カテゴリ:3minute rockin novel
photo:01




 潰れた月がひしゃげて曲がった猫の尾を照らしてた、片目をつむっているのはウインクしている訳じゃなくって、ネズミにかじられた傷を隠したいから。
 いい加減な遠近感、右の端に寄りながら、雑然混ざる夜をゆく。

 陽光射さない地下の街、咲き誇るのは紛いのガーベラ、有り合わせた塗装済み、返り血みたいな赤には命がなかった。
 かび臭い道端、その側溝、体を埋める汚れた男。
 あきらめた顔をしていた。まだ生きているのに、彼の眼には何も映っていなかった。

 時計を持たないコールガールは昼夜を知らず、かすれた声で男たちを誘ってる、一夜限りなら愛もカネで買えるらしい、光を失くした地下の街には体を売買させる手配師たちが跋扈している、それはすでに世界中のどの国にも、どんな街にも存在している。
 ヒト紛いのイキモノたちは暗黒時代の到来をずっと待ってた、連中は地上の光を浴びると脳みそが溶けてしまうと教えられた、だから、昼間は外には出ない。
本物の光は知らない。
そんなの知りたいとも思っていない。
 そして退屈しのぎに乱闘騒ぎが始まって、血が流されるたびに囃子声が路地を走り抜けてゆく。

 陽のまばゆさを知っている、少女は倒れた男をずっと見続けていた、彼がその命を終えるとき、連れてゆかないといけないからだった。次々にヒトはヒトを傷つけ合って、灰色の風が吹く。
 ふわり歩く彼女の周囲だけは光が射していた。


<了>

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photo:02



遠い太鼓
ピアノと森と空
〝sign〟

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performed by billy.
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