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2012-06-13 08:47 | カテゴリ:3minute rockin novel
JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--楽園.jpg



 彼が描いた一枚は夕景だった、沈んでゆく黄金はその輝度をあげながら大地を燃え尽くそうとしているようにも見える。
雲の切れ間から深みゆく群青が、そして海にその色が乗り移る。
 見慣れたはずで、そうは観ない風景だ、毎日のように終わってゆく世界を私たちは見逃しながら生きている。
 私が想像した終焉と彼が想像した終焉、それぞれが交差した地点はあっけなく途切れた。

「帰って……きた?」
 隣には誰もいない、私が乗っていたはずの列車はその風景を変え、かつて毎日のように乗っていた通学の電車内だった。
 過ぎてしまったんだ、私はそれを感じとる。もう会うこともできないかもしれない、一瞬だけ交差したキセキはもう互いの方向へ向けて走りはじめたんだろう。
 車内のアナウンスが告げる、次の停車駅は私が籍を置いている学校がある駅だ、いま、私はそこに居場所を持たない。
きっと私はクラスメートに存在さえ忘れているだろう、そう思うとなぜか安堵に近い感情が去来した、浮遊しているような足場の悪さはどこか気楽で自由な気もする。
 
 いま思う。
 単なる現実逃避でしかないと分かっていても、それが必要なときがある。私は現実に立ち向かい続けるエネルギーは簡単に枯渇すると一度経験したんだ、立ち止まり続けられはしないけれど、ときにそれは私を別の世界に導いてもくれた。

 そう、導かれていた。
 私は名も知らない少年に導かれていたんだ、世界の終わりだという地点に。
 その一瞬のようで長い時間と次元すら超えた小さな旅……きっと、あの時はいびつであっても楽園だったのだ。
 いま、隣に彼はいない。きっと初めからここにいるべき人ではなかった、もう逢うことはないかもしれないし、それは私には選ぶことができない。

 列車を降りて駅を離れてゆく、覚束ない足取りで私は後ろを振り返る。駅の上の空を見上げる。
 変わらない日常のように思えて、それでもきっと、ヒトは毎日毎日生まれ変わり続けてる。
 美しくも優しくもない、一瞬の楽園を経験して私はまた歩く。
 夢とも現実ともつかない、誰に説明さえできない不確かなものだとしても、それはちゃんと『遇った』ものなのだ。
 ふいに流れた滴をぬぐい、私の視線は爪先を捉えていた。



<あと一回か二回で終わるので……>


<前回まで>
楽園はイレギュラー
楽園はイレギュラー #2
楽園はイレギュラー #3
楽園はイレギュラー #4
楽園はイレギュラー #5
楽園はイレギュラー #6
楽園はイレギュラー #7

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“girly boogie”
たしかなもの

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JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--海賊ビリー ロゴマーク.png


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