-------- --:-- | カテゴリ:スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2012-08-11 16:59 | カテゴリ:the sunshine undergr
JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--110116_151518.jpg


 サンシャイン・アンダーグラウンドには小さな教会があって、そこには頬に切り傷の痕が影をつくるほどの深いしわになった神父がいた。
僕らは真冬の朝にその教会に捨てられているのを見つけられ、12歳まで、つまり一年ほど前までそこで保護されていた。
 神父は僕に本を与え、読み書きを教えてくれて、神様の存在を説いた。
“君達はやがて、この腐敗の地から光の地へと旅立つだろう”
 そう教えてくれた。

 ここには義務教育も少年法も存在しない、
略奪行為を働き、その結果として殺害される、そんな少年たちが後を絶たない。
少女たちは体を売り、日々を生き抜く糧にすることもある。
 純粋な意味での労働なんてものはない。
大量に廃棄された物資のなかに混ざる金や銀、その他、鉄片や再利用できるものを回収し、資源に乏しい国家に密売することでわずかな収入を得る。
僕らはまだどちらにも手を出してはいない。
街の小さなマーケットから食糧をこっそりとくすねては食べ、どうにか日々をやり過ごしている。

「いつかのことはいつかのことか」
 痩せた体をバネのように捩らせてガゼルは立ち上がる、細い顎のラインが鉄塔から伸びて届いた光にさらされて、伸びた髪が風に吹かれた。
土の混ざる埃が舞う。
いくか、ガゼルは言って僕も立ち上がる。

☆☆☆

 神父が死んだあと、教会は閉鎖されて僕たちは居場所をなくしてしまった、それは仕方がない、ただ僕はなぜガゼルが神父を殺害するに至ったか、それを知らない。
 この無秩序な街にあっても、やはり殺人は容易ではないし、法の有無とは関係なく、ガゼルもやはり神父の教えを聞いて育ったはずだ、影響がないとは思えない。
 神父の存在なくしては僕らふたりはここまで育たなかったろうと思う、だけど、僕らは僕ら以外の誰をも信用なんてしなかった。
 ガゼルは殺害について何も話さない。話さないから僕は聞かない。

 あの朝……そう、神父が血を吐き床に俯せ、ガゼルはその側に立ち尽くしていた朝。
ステンドグラスを貫く原色の光をいくつも浴びて、ガゼルは呼吸さえも止めたように静かだった。
そこには誰もいなかったように思えた。
 沈黙と静謐。
絵を見ているようだった、それは何処かで見た宗教画の一部のように立体感がなく、どこか平面的だった。

 僕がその現実から逃避するためにそんなふうに眺めただけかもしれない、だけど、ガゼルの指先から垂れる赤い滴だけはリアルに生きて、静止していないことだけはよく分かった。
 ガゼル。
あのとき、君は放心でそれを眺めた僕に気づいて、微かに笑顔さえ浮かべてたんだ、きっと忘れてるんだろう。
 大丈夫だ、ガゼル。
君は彼を殺害しなくてはならない何かがあった、或いは何もなかった、どちらでもいい。
殺されたのが君でなくて良かった。
それだけだったんだ。

JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--110131_202007.jpg


……続劇
関連記事
スポンサーサイト

管理者のみに表示する

トラックバックURL
→http://stardustjohnny.blog.fc2.com/tb.php/1718-034d692a
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。