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2012-09-10 18:43 | カテゴリ:未分類




 光なくした灯台下の防波堤、杖をついたかつての船主が眺めてた。
 何を見てるか誰も知らない、そして彼も語ろうとはしない。
 半世紀近くも見続けている、視力の衰えは隠せない、老境にて彼は若かりしを慈しむかのように、おそらくはまぶたに映る記憶とともに生きているのだろう、そう、風化させじと美しく書き換えられた記憶と共に。
 波打つ光を眺めてる。突き刺さる光の矢に撃ち抜かれ、思わず痩せた手をかざす、海は光を弾き返している、だが、オイルや泥に汚れて波は鈍く寄せては返す、死にかけの象が背中で呼吸をしているようにも見える。

 散らばる波に乱反射、砕けて光る太陽は沈む時間を気にしてた。好きに落ちなよ、誰ともなく呟いては世界に夜がやって来る。
書き消すことのできない夜を、今日の夜も憶い出す。

 戦の海に沈んだ船を、引き揚げてくれるまでは見守っている。
 そのなかには彼の想いが眠っているから、見つめる目が開いていても、時間はずっと眠らせている。
 夏の日、太陽に挑まれて、雨の日、体を凍らせて、カミソリ風に傷つけられて、それでも船が浮かび上がるを待っている。

 魂を掬い上げてくれ、誰でもいい、彼の魂を掬い上げてくれ。
 今日も彼は言葉にはせずにそう呟く。
 そして灯火を捧げるように、火のついた一本を汚濁の海にぽつんと落とす。



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