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 バタバタと慌ただしく不安定なエンジン音を鳴らしながら男たちを乗せたバンがゆく。凹凸に合わせてぎくしゃくと縦に揺れる、いびつに歪んだ軋みが車内に響く。
 未舗装の道なのかどうかも分からない荒野を走り、人々に溢れた繁華街をすり抜け、ゆく先々で彼らは未知を知る。
 ゆく先は決まっている、だが、どの地においても彼らは歓迎されるほどではない。パンクロック・バンドとして演奏する夜があれば、夏祭りの催事として炎天の下、田舎のコーラスグループのバックバンドを務めることもある。

 ジョニー、ジャック(天野くん)、ヒラサワくんによるパンク・バンド、『ザ・シガレッツ』はツアーの名を関した地方巡業、つまりドサ回りの旅でこの夏を過ごす。

 海岸通りの名もなき街にてクルマを停める。風車が立ち並びそれを黄金の夕陽が染め上げる。
「おー、すげー……」
 巨大な空をあおぐ、機材車であり移動用でもあり、場合によっては宿にもなるバン、屋根やドア、ボンネットには彼らのバンドのマークが描かれている。




「久しぶりだよ、こんなふうに旅して回るのは……」
 感慨深げにヒラサワくんがタバコをふかす。若いころ、同じような経験をした、いまとはメンバーもバンドも自身を取り巻く環境も違う。だが、それはそれだ。
 トシを重ねてはいる、だが、やりたいことは変わらない。彼はそれぞれ同じ景色を眺める若いふたりを横目に見る。

「今日はここで寝るか。宿泊費も浮くしさ」
 運転席から身を乗り出し、天野くんが言う。
「さっき銭湯があったろ。風呂くらいは入るか。汗かいてるしさ」
「だね、ヒラサワくん、メシはどうする?」
「テキトーにコンビニメシだな」
 反論はない、オッケーなんて軽い了解が交わされる。
 まだまだだけど。まだまだこれからだけど、俺たちはなかなか悪くない、先のことは先のことだ、きっとどうにかなる。
 天野くんは地図を広げ、次の行き先を確認していた。
「運転、代わろうか?」
「いいよ、ジョニーの運転は荒いし。次、壊れたら修理費ないぜ」
 ヒラサワくんが笑う。
 天野くんも笑う。
 汗にもつれた髪、乾かないTシャツと穿いたままのデニム。
 美しくもない、誉れもない、その名さえまだ知られていない。それはそれで悪くない。

「夏のロック・フェスには出られなかったけど……楽しいよね」
「ああ」
「来年は出てやろうぜ、ロック・フェス」
「とりあえずは……明日のイベントだね」
「旅が終わるころにはCDだって出せるだろうし」
「うん」
「やってやろうじゃん、俺たちでさ、なぁジョニー」
「その前にゴハンね」

 男たちの旅は続く。





<ロックンロールはつづいてく>


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前回まではこちら♪

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流星ツアー



流星ツアー #7
流星ツアー #8


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ペンギンと過ごす夏 おまとめ編

ペンギン星人はまた来週から♪

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