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2012-04-06 18:24 | カテゴリ:3minute rockin novel
JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--テトラポッド.jpg


 月日は流れる。
何かに追われ、そこから逃げるようにして僕らは瞬間を重ねて時間を使い、気づかないうちに忘れたふりをいくつも置き去りにする。真後ろに張りつく影はもう子供のころのそれとは違う。

 廃線跡は四季をなんどもなんども通過して、色褪せ錆びてゆきながらも残っている。JR、旧国鉄時代からの土地だったそうだが、僕が物心ついたときにはすでに使用されてはいなかった、後にある会社が土地を買い取ったらしく、バリケードを張り巡らせて立入禁止になっていたときがあった、それを目の前にしたときは「廃線がなくなる」と酷く落胆した、確か10代の終わりごろだったはずだ。
 けれど、立ち入りこそ禁止されてはいたが、レールは撤去されず、やがてバリケードも取り払われた、その企業名を有した看板とともに。
 なぜかは知らない。費用の問題かもしれないし、それ以外かもしれない。どちらでもいい。肝心なのは「それが残った」ことなのだ。

 いまはまたかつてのように犬を連れて散歩する人、子供を連れて春を見に来る人、そんなふうに「スタンド・バイ・ミーする」人々の元に還ってきたらしい。たぶん、それが在るべき姿なんだろうと僕は思う。
 どのように利用されもしない、雑草と小さな森を育て、いくつもの川を持つ廃線跡は産業にならなくていい。きれいに整備される必要もない。
 ただの感傷だとしても僕はそう思う。

「いままで何度くらい、こんなふうに歩いた?」
「何度くらいかな……。なにか思うことがあるときはいつも歩いてきたような気がする」
「ひとりだったり、誰かと一緒だったり、ね」
「うん。そのとき、大切だった人と歩いてきた、これからもきっと」
 この日、何かに導かれてやってきたように、これからもそうだろう。

 先の先まで見届ける、そう意気込んだ中学生の夏。Tシャツもデニムも絞れば下に水溜まりができそうなくらい汗をかき続け、最後に見たのは海だった。
 すでにそこにはレールはなかった、途切れた先を自らの足で手繰りよせるように進んだ、西の先はやがて緩いカーブし南に寄って、たどり着いたのは海だった。

 感慨らしい感慨よりも、ついにそこへたどり着いてしまった、そんな想いのほうが遥かに強かった。
 熱に打たれ、ろくに休みもせずに歩き続けた果てに見たのは乱反射する波飛沫と潮のにおい。
 僕らは一瞬でなにかを手にし、やはり一瞬でなにかを失う。

 誰かが意味もなく叫び、駆け出してゆく。
後ろ姿を見ていた僕らはつられ、突堤から水のなかへ飛び込んだ。


JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--夏 海.jpg



スタンド・バイ・ミー
スタンド・バイ・ミー #2
スタンド・バイ・ミー #3



JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--海賊ビリー ロゴマーク.png
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