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JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--イケメン・ジョニー.jpg



 青年は窓のない小さな部屋にいた、パイプ椅子に浅く腰かけ、8ホール・ブーツの踵で板張りの床をたんたんと小気味良く鳴らしながら、表面が傷にまみれた木製テーブルに並べた弁当に向かっている。
 以前のような鬼気迫る雰囲気ではない、どこか余裕さえも漂わせ、目の前の食物を淡々と食べ進めている。
 開けられた封のシールには期限が記されている、すでにそれは過ぎた期日のものではある、だが、彼は気にするふうでもない。

 彼の名はジョニーという。
 本名は「助 新(たすけ あらた)」だが、すでにその名は自身でさえも忘却の彼方に追いやられつつある。日本人ではあるが、染めた金髪に痩身、鋭い眼差しに尖った鼻、どこか東洋人を超えた風貌であるうえに、彼は自ら名乗るときに「ジョニーです」と口走るのが癖になっている。擬似外国人のように生息しているのが、彼だ。

 食事を終えたジョニーは満足そうにタバコをふかす、銘柄にこだわりはないが、好んで吸うのはマルボロかラッキーストライク、あるいはJPSだった。ラベルがカッコいい、それが理由でもある。
「もう三ヶ月か……」
 頭を左右に振ると首の付け根が音を立てた。わずかながらも疲労を感じる、学生時代のアルバイトを別にすれば、彼にとっては長期間に渡る労働である。
 昨年の初冬、餓死の危機を感じたジョニーは空腹を堪えながらフラフラと「スタッフ募集」の貼り紙のある店舗をめぐり歩き、現在のコンビニエンスストアにたどり着いたのだ。見慣れない店名ではあった、だが、履歴書も持たず面接に押しかけた不審人物を採用してくれるのは、この店しかなかった。
 時給は平均以下だったが、店主のひと言がジョニーの本能を突き動かしたのだ。
「腹減ってるなら食べる?」
 それは廃棄の決まった期限切れの弁当だった、以来、彼はすべての食事を回収予定の弁当から気分で選び、こっそりとタバコをいただき、生存を続けていた。

 元は米屋だったらしい、やがて酒を置くようになり、いまはチェーンではない一匹狼のようなコンビニに変化している。
ジョニーはかつて面接を受けた休憩室、ロッカーを兼ねた小部屋で寝食し、すでに生活を始めている。
 滞納したままの家賃を払う気になれず、捻出できるほどの余裕もなかったので、必要品だけを抱えてアパートを後にしたのだった。

 ジョニー部屋と化した休憩室ではあるが、そこはやはり店舗の敷地内ではある。隅のほうには処分費がかさむ雑誌や書籍が積み重ねられている。
 そもそもに読書の習慣がない彼ではあるが、「何故これが商品として流通しているのだろう?」と首を傾げたくなる代物のオンパレードのようだと常日頃から思っていた。
「読むだけでみるみる人間関係が円滑になる!」
「デキるオトナの時間管理術」
「モテる人はここが違う!」

「……こんなものを本気で読むヤツいるのかな……」
 適当な一冊を手にとり、パラパラとめくってはみる。著者のプロフィール、その写真に目がとまる。
 うむ、ジョニーは思う。人間関係や時間管理はよくわからない。だが、あなたが「モテる人でないことは一目瞭然である」と。

 飽きたジョニーはそれをまた元に戻し、テーブルの上に寝転がった。
 そのときだった。
「おい、ジョニー!! いつまで休憩してんだ? 早く店に出ろっ!!」
 不意に飛んできた野太い怒号に驚いたジョニーだった、振り返るとそこには鬼神の形相の店主が立っていた。背から阿修羅像の如き青白い炎が立ち上っているようにさえ見える。

 時間管理と人間関係……ジョニーは放りなげたばかりの本を、ちらりと振り返ってみた。

 読んでみてもいいかもしれない、そう思ったのである。


JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--地下牢.jpg




check!!

失笑必至の前回まではこちら♪


(不敵に不定期に続く)


JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--120105_234145.jpg
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