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2015-08-22 18:30 | カテゴリ:ショートショート・フィクション

「永遠の深淵」


 ときに私たちは漆黒の深淵を覗き、伸ばした指の先でそれに触れてみたいとさえ思う。
 しかし、そのとき、深淵はやはり深淵で私たちを見ているのだ。伸びる影が離れてはくれないように、私たちは漆黒の深みを抱え、それと並走し続ける以外にない。
 伸ばした指の先がその淵にかかっているとき、君の目には漆黒だけが映っている。

 空に突き抜けんばかりの叫びを以って生まれた私はいま、その空そのものになっている、雲を運ぶ風に乗せられ天に届いたのだ。

 たどり着くに百年近くを要したが、振り返ればまばたきほどだった、泡が弾けるくらい束の間に過ぎた。

 春に咲いた花に目を細め、夏には波飛沫に添って走った、秋には手を取り合って、冬になれば「息が白い」と隣の人が笑ってくれた。
そしてまた春を待つ。何度もそれを繰り返す。
 細やかなことだ、しかし、私ちちにはそれがすべてでもあった。

 天上に還った星々は微かでも確かに光を放っていた、私たちがやがて其処へたどり着く舟に乗る日のことを知っているのだろう、見下ろしているだけだ、声を届けることもない。ただ、そこに在るだけだ。

 私たちは漆黒を知っている。
 深淵がそこに横たわることも知っている。逃れることはできない。
 思い悩むことはない。いま、この地を踏む踵が浮き上がるときがくる日まで、私たちは永遠の深みと共に生きるほかにないのだ。
 今日もまた、その一歩に過ぎない。




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