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2015-04-26 18:30 | カテゴリ:文芸パンク・旅

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「スターマン」


朝の光は燃え盛りを待ち、しかし常に戸惑いばかりを今朝も集める、
永遠の終焉の、扉をどうにかこじ開けようと最終原野を駆け抜けた、
独りの男は絶えたラクダの血肉を啜る、骨だけ残ったシトロエンには皮の青灰、
地中深くに眠る瀝青、熱だけ残る炉、銀の鎧の殺し屋たちの胸像と、

青には灰を混ぜ合わせ、しかしは溶けもきらないその二つ、
荒野に咲く花のよう、美しさやら健気さやらを手を汚さず求める身勝手極まる怪獣たちよ、
想像では作り得ない、死骸が十字に重ね合わさる地球儀を、
ブルーグレイの三白眼は喉にナイフを突き当てようとしているところ、
そいつはキャンディ舐めるかわりに切っ先染める朱色の鉄の味を探っていると嘯いた、

此処にはない何処かを数百以上羅列して、
利き手を失くした彫刻屋に刻ませている、
微か楕円の水晶玉には二対の黒い水晶体の呼吸が映る、
子供のころ見た空想上の惑星が、開いたままの瞳孔にはなぜか生きてた、

どれほど穢れていたとして、ものに罪などあるものか、
害虫などと分類してる、ヒト科こそが忌むべきだと知っているんだ、
数百年前、あぶくのように弾けて消えて、
ブルーとグレイの中間しかなくなった、私の故郷のことなど誰も憶えていないだろう、
彼の名前はスターマン、もちろん偽名、名乗る名なんぞ持たずに生きた、
煙草の先には火花が咲いて、もつれた灰のカーリーヘアを掻き毟る、
旅路のことを語るのなんてもうやめたんだ、

ブルーグレイは皇帝となり、ブルーグレイは民衆に堕ち、
青と灰のどちらも飲んで、
モンマルトルやゴルゴダや、路地裏にある貧民街や阿片窟、
聖母の御前で仔となって、賛美歌流ればオルガンに、
月に捧げた犬を眺めて革命広場で体を売って、
踏みつけられた色のない花、王妃の金のティアラになった翌朝に、
草原へと解放された骨組みだけの車体となった、
馬車馬みたいに酷使され、絶えれば皮まで剥がされる、
時代は移れど変わることは多くなかった、
やがて進化を拒むだろう、果てには無人の荒野と化すだろう、
それそのものが星の行方と、スターマンである彼が、
知らないはずなんてなかった、

ブルーグレイは手を振りながらその対象がいないことに気づいてた、
ブルーグレイはふたつに割れた舌を出す、
そこには原初の蛇が咀嚼した、ガラス細工の円環が、
青と灰が交互に映る、それは星を模していた、





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2015-04-22 18:30 | カテゴリ:instagram × 文芸パンク

「青い鳥」


歩き疲れて靴は磨り減り、踏みしめるには踵が足らぬ、
痺れるほどに爪先伸ばせば窶れたあばらに風軋む、
青く醒めたる天を仰ごう、然しは届くはずもなく、
ならばいっそは飲み込めるかと舌を出す、
吐き気に呻き、背を折り垂らした涎には、
期限の切れた感情共が拾い集めた言葉になって溢れ出た、
あまりに青には似合わぬ姿よ、

ありふれたる自己憐憫が地中で腐る、墓場に独り立ち尽くす、
両肩からは何もないがぶら下がる、握るものなく垂れ下がる、
富みながら健やかなる者、病みながら富持たぬ者、
病みながら富める者やら富めずに唯病める者、
頭上に烏は吐き笑い、更なる上にて空はいまも青ざめる、

青い鳥ならお前が空腹しのぎに眉をひそめて飲み干した、
スープに肉が浮かんでいたろう? 以前はそいつが飛んでいた、
知らないなんて言い訳なんざ、親子の野良さえ食わないだろう、
やがてその歯はナイフになって、お前の背骨に突き立つだろう、
スプレー缶をからから振って、十字に灯る蝋の火を、
膨らませて浮き上がらせた、飛び立つ鳥の姿を真似て、

青い鳥ならお前が退屈しのぎに撃った、散弾銃に落とされたんだ、
いまは誰かの胃のなかで、スープになって溺れてるんだ、
そいつの犬になって尾を振りながら、喉を噛み切る刻を待つ、
岬に眠る難破船の点鐘が、明日空を泣かせるのなら、
犬になって青い鳥の尾を追って、背骨を肉ごと噛み砕く、
砂に咽び泣くように、砂の時間に流されて、



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2015-04-13 18:30 | カテゴリ:文芸パンク・旅

「海岸にて舟を編む」


草木で舟を編んでゆく、
子供のころに誰かの髪を結い上げた、
その仕草を見上げる天に浮かべて舟を、
君と僕は草木で舟を編んでゆく、
凝らせば微か曲線の、流木拾って背骨に選び、
既に色褪せ絶えてしまった枝葉と根、
集めていたら其れはいつからだろう、砂辺に立って潮に揺られる塔になってた、

星を模した細い首飾りを下げ、彼女は舟を編み続けてる、
春の陽の瞬きのよう、淡い光は星を順に点滅させる、
風は僕らの輪郭を、景色に溶けて消えさせようと吹いていた、
か細い背と背を鏡のように合わせて僕ら、きれいな水に浮かべる舟を編んでいた、

器用さ、狡猾、逞しい肉体や、
自由、永遠、夢に見たる黄金原野、
どれひとつも仲良くなんてなれなかったよ、子供のままいられたらって思わないんだ、
幼さ、甘え、生意気さ、
ひとつずつを舟に載せ、黄昏れ時に水に揺れる直線へ、
旅立たせて微笑む白い、頰には消えないそばかすいくつか、
睫毛がつくる影が伸びゆく、今日がまた終わると言った、
水平線へと消えた舟の数など覚えてなんていられなかった、

水の底に眠るものもいるのだろうが、ここの水はきれいだからやがて何処かへたどり着くって君が、
お星様に語りかける真夜中のことを僕は知る、
明日には明日で、再び舟を編みながら、ぽつりぽつりと細い絹の雨のなか、
果てえぬ想いを縦と横に重ね合わせる日が待つ、
やがては永久に繋がるだろう、水辺に消ゆる舟を編む、
遥か彼方の星の子たちよ、





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2015-04-12 18:30 | カテゴリ:instagram × 文芸パンク

「花散らしの雨が鳴る」


花散らしの雨は打つ、その柔らかなる淡紅は、
集まる風に抱き寄せられて、ここから遥か北の地へ、
羽を纏いて流れゆく、

花酔い琥珀に浮かぶひとひら、艶やかなる季節は過ぎて、
なおも咲く日々を待つ、羽は雨濡れ、
落ちて踏まれど、

耳を澄ませて優しき日々を願えども、
かの地もやはり雨が撃つ、誰が見ようが見るまいが、
潰えるものは潰えてく、それはきっと僕と同じで、

花散らしの雨が泣く、
自由と孤独をその背に乗せた、遠くを眺める旅の者と同じよう、
闇に紛れて遥か彼方を瞼に抱いて、

さあ、もう四季をすすめよ、お前は花を羽に変え、
東へ東へ進むがいい、この地の酔いは醒ますころ、
お前は季節を連れてゆけ、










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2015-04-11 18:30 | カテゴリ:文芸パンク・旅

「鳥たちよ」


静謐満ちた無言の季は過ぎ、続く雨に鳥たちは、
海を越えた羽根を休めた、
合わせた手から十字を下げる、俯き加減の女性像の慈愛の下に、

眼下に臨む荒れた波の飛沫に酔って、
たどり着けずに落ちた数羽のことを忘れた、

想うのは艶やかなる花が舞う、禁猟区の森のこと、
氷点下の氷柱よりも冷たく尖る、断崖巡る有刺鉄線、
水晶よりもたどたどしい、微かな頭上の月灯り、

水没した楽園に、淫らな赤のアネモネ食べた赤い舌、
暴るる風に夥しく混ざる砂、蒼々たる風のなか、
半ばに尽きた者の葬送、

隠していたはず忘れたつもり、
いつかのキズがまた疼く、
鳥たち、航路を振り返りもせず、
今は唯、水たまりに映る光が太陽なのか月なのか、

嘴には白い蕾が、其れが消えた者の羽根一枚に、
どうにも其れにしか見えず、
たどり着いた禁猟区の緑の平原、目まぐるしくも季は移ろう、
今日も空を見上げるだけの地に這いつくばる僕たちは、
絹がごとく細い雨を縫って飛ぶ、儚い背骨を見送るだけだ、





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2015-04-10 18:30 | カテゴリ:文芸パンク・焦熱

「狗のバロウズ」


目覚めてしまうと視界を占めていたのは青い、
虚空が惑う青い夜が広がり続けているようだった、
昼間の鮮やか過ぎる色が生き延び、どうやら夜に溶けたみたいだ、そして鉛と混ざり合う、
気分も悪げに反転する金時計の塔の上には山羊の頭を持った黒い男が眼下を見据えて鳩を骨ごと噛んでいた、そして歯の隙間に指を差し込みこびりついたカスを弾いた、
明日には羽根が降るだろうと嗤ってやがる、

一歩ごとに踵を擦り、その地を削り取るよう歩く、
爪先が地上数センチの青を裂く、それから俺はタバコなんぞに火を点ける、
どうやら犬歯が伸びたみたいでフィルタに傷が残ってた、夢か現か、夜が終わればまた狗に、
地を這う狗に戻るんだろう、飢えた野犬のように獰猛ならいい、
飼われて飽きて捨てられた、そんな記憶があるからなんだ、
だから次は人を食おうと思ってた、人の思いなんぞは喰わぬ、人そのものを喰らい尽くしてやろうと眠る前にはいつも思った、
そのとき俺は四足にて立ち、視界は地を舐めるが如く低い、そんなものになっていた、
成り下がったか成り得たか、そんなことはどうでも良かった、
ともかく俺は狗になったのだ、

欲しいものは安寧か?
遥かになった頭上の月に塔の尖る先が貫通してた、
影になった黒い男が欠伸まじりに問いていた、

いや、要らない、とりあえず暇潰しにお前の命が欲しいと言う、

お前は俺を喰らいたいのか、その涎に光る牙は血肉を欲するか、
悪魔を喰うとは痛快ながら、薄汚い身なりの者など体に取り込みたくはない、
これ以上に血を汚すは青い夜をゆく俺には無粋に過ぎることであろう、

お前がいると月が見えない、其れも理由のひとつだけれど、
恨みなんぞは露ほども、しかしは疼き続けている奥歯が砕く肉を探しているのだ、だからお前を噛み殺すのだ、

俺は誰かと話し続ける、お前は狗に応え続ける、
あまりに青い、夜の空の下のことだった、鉄の扉をこじ開ければ其処にあるのは世界の底たる虚無を馴らした青い鉛に乾いた石を並べた路上、
それを見る、お星様たち嗤ってる、
数百億でも数えもきれぬ、
無限に近い、死神共に魅入られちまった儚き者が青に明滅、
そして生ある者を嘲り、憎しみ、慈しみ、多々ある情にて嗤ってる、

さらばだ、別れだ、俺は言う、
さらばだ夜よ、さらばだ朝よ、
お星様たちおやすみなさい、
止まっていようが反転だろうが其処に見張る時計たち、
鎖解かれた野犬は列なし言葉は発すこともなく、
目にするすべてを視界に捉え、射抜く視線で心臓だけを盗みにかかる、




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2015-04-06 18:30 | カテゴリ:ショートショート・フィクション

「レインメーカー」


……またふたりきりだね。
その呼びかけに彼は応えない。応えることができない。しかしそのレンズには寄り添う「彼」が映り込んでいる。砂にまみれて傷つき、風雨に晒され錆が浮いてはいるが、その奥は微かに点滅している。まだ消えてはいない。

 風が、鳴る。
 彼と彼の間を抜けてゆく、ふたりの目には捉えきれないほどの小さな砂塵を混じらせた風が鳴る。
 錆びた鉄と鉄が擦れる、無人の公園の忘れ去られたブランコのように軋んで鳴る。

 そして、そばにいるもうひとりの「彼」をも風は通過する。もつれて束になってしまった背中の毛がなびく。その様子は「彼」になにかを思わせる。
……いつだったのだろう。あれは……僕が飛び立ったある晴れた日のことだ、色のことは憶えていないけれど、たくさんの旗が揺られていた、あのとき、僕は「HOPE」と呼ばれて射出口から空に向けて飛んでったんだ。
みるみる人は小さくなって、地上の誰もが空を見上げていたんだ、いまもそうなのかもしれない。人はいつも天を見てばかりいる。
 晴れには雨を、雨には晴れを。

 ふたりきりだね。彼は尾を振る。赤い鼻先が乾いていた。舌もやはり乾いて白くひび割れてしまっている。

……雨を降らせる? あと一度だけなら……。
……ううん、もういいよ。君が動けなくなっちゃう。それに……
……うん。渇きを癒すだけだけど。
……ここにいてよ。もう飛ばなくて、いい。
……でも……。

 錆びた鉄の腕を伸ばす。そして友達を抱き寄せた。薄くなった皮膚に骨が浮いていた。飲むことも食うこともなく、かなりの日数が経過していることがわかる。酷く衰弱していた。

 行こう、ふたりで。
 鋼鉄の人は誘う、大空への最後の旅に誘う。友達は答えなかった。目を閉じ眠っているように見えた。
 そう思おうとしていたんだ。
 
 ふたりきりになった友達と友達は高く天へと風になる。
 砂の時間が終わる。永久に。

 鋼鉄でできた彼はレインメーカー。雨を降らせる機械だ。
 彼に運命を託したヒトはすでに絶えた。雨雲をつくるための銀は皮肉にもヒトには毒だった。水を得たがそれ以外を失ったのだ。
 生まれたときの彼は希望だったが後に災厄となり、明暗はやはり合わせ鏡であった。どちらの意味においても「神」になったのだ。

 その日の夜。
 地表はすべてを流すほどの雨になった、その後は何も残さないとばかりに降った、最期の雨だった。










【 了 】  




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