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2014-11-30 18:30 | カテゴリ:文芸パンク


「海峡上の鳥たちよ」


背中をたたく嘆きの風はどこを彷徨う臆病虫か、
未だ水晶、見るも叶わず、
唯々、途方にさえも暮れてみる、
眼前には東へと泡立つばかりの凪いだ海、深み続ける青を眺めた、

懐中時計は僕が汚した時間を指して止まった、
惑い続ける方位磁石は流れる星を追っていた、
旅路の果てに眺める先は、またも終わらぬ新たな風を、
水平からは伸びた髪をなびかせる、赤い風は砂混じり、

〝少し疲れた?〟
波は声でつぶやいた、華奢な光と優しさを抱き、
手を降りながら際立つ白を降らせてる、

〝強がるなんてやめにしたんだ、少し疲れた、
でもまだ見果てぬ海が待つのなら、
羽根を休めた鳥がまた、陽を求めてゆくように、
僕もやはりはそうするんだ〟

この航海が更なる孤独を際立たせる、
穏やかなる日々に生きるは早いらしい、
そう思う術を持つ、そう思う術を知る、
何を見渡す、すべてが青の世界はそこに、
赤は赤とて淫らなる日々日々、返り血すらも愛おしくなる日は来るか、

空には沈みゆくを待つ、黄昏れたる黄金が、
地には胸を裂いた傷から流す人の赤、
見上げる高みに澄み渡る、虚空は欠伸を咬み殺しもしない、
鳥たち何処か遠くへ駆ける、昨日のことなど記憶にさえ留めずに、

君は僕はその辺境たる景々に、
何を見つけようとその糸を手繰る?
寄せては返る、繰り返す、黄金さえ眠らせようと闇まで飼う、
不可視の対岸へと跳ねる、飛沫にまで映る光よ、






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2014-11-29 18:30 | カテゴリ:文芸パンク


「12月に君を想う」


水たまりにも冬の空、夕刻前の微かに青い、
クジラのいない小さな海は、落ちた黄色のひとひらが、
風に吹かれて凪いでいた、
行き先のない船が、音なく漂ってるようで、

手にいれた、微かなキセキは手のひらから零れ落ち、
なにもかもを失くしてしまった、
そんな気がする、思い過ごしならいいのになぁ、
指切りした約束は、いまもずっと胸に燻る、
「あきらめずに行かなくちゃ」って、
僕が僕を失くさないよう、見えもしない明日に手を、

あの娘がくれた宝石は、僕が握りしめていた、
いつの間にか石ころに変わってる、
悲しくなって空を睨んだ、答えなんて探せない、
汚して無価値にしてしまう、悪いクセだとうそぶく日々が、
ガラス混じりの砂を噛む、血が滲む唇で、
「明日なんていらねぇから」って叫び声をあげたくなった、






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2014-11-27 18:30 | カテゴリ:文芸パンク


「タバコ好きのヤコブセン」


資本家のガキに生まれてくれば良かったと、
27歳、悪びれもせず、薄ら笑いを浮かべてた、

祈りの言葉は聞きたくなかった、懺悔もやはり持ち合わせない、
悪趣味極まるスカーフで、胸のキズを隠してる、

奴隷船を沈ませて、宣教師に火を点けた、
ガラスのダイヤを売り捌き、ただのひとりも愛さなかった、

悪魔の手先のようであれ、
彼は誰にも従わず、偽る名をいくつも握り、
いつだか本名さえも消し去った、

青い空の処刑台にて、
陽を浴びずに生きた男は手枷のなかで光を知った、
〝人生なんて腑抜けた悪夢さ〟

ヤコブセンを名乗る最後は、
欠伸さえも噛み殺す、憐れむ者に唾を吐き、
処刑人のタバコを奪った、
〝最後に吸う、タバコの味を知りたいんだろ?〟






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2014-11-26 18:30 | カテゴリ:文芸パンク・焦熱


「夜更けの解放者」


傷に爛れた顔を厚い化粧で覆い隠して、男は呻きながら憂いてる、
右目はもう見えないらしい、

成し遂げられずに終わってしまった誓いの入墨、
荒ぶるごとに腫れて浮き上がってた、
すべて失くしたつもりで命だけは残してる、
契り交わしたかつての猛者を、瞼に描くも涙は出ない、

夜明けに黄金、満たしてみたくて、掲げた旗は燃え尽きた、
夜明けに栄光、叫んでみたくて、踏み鳴らした足、影すらもなく、
手にすることなく消された誓い、痩せた胸にくすぶらせ、
次の世代に委ねたつもりで、

夜明けの自由を届けられずに、掲げた理想は踏みにじられて、
夜明けの解放、宴にしたくて、

老いた男は狂わないまま石畳の街に散る、
老いた男は狂えないまま理想を胸に、
黄金一粒手にさえできず、無謀の果てに散ってゆく、
鳴らない口笛、風に誘われ遠く未来に続く東へ、いつか鳴る夜明けの未来へ、







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2014-11-25 18:30 | カテゴリ:文芸パンク


「ドロップ」


ただ一言に激しく揺れる、悠然とはあまりに離れ、
弱きばかりが棲む変わらずは、
変わりたいと変わらないの境界線を彷徨い続ける旅のさなかに、

ろくでもなさを生かせ続ける、
安直なる死に似た沈黙、そこかしこに漂いって、

安寧にはあまりに遠く、もはや焦がれようもない、
変われないと変わりたいの狭間、
漂うだけがその在り方か、

儚く生きて儚く絶える、泣いているのか、
もう忘れたはずだろう、軽薄さを続けられるか、

どちらでもいい、たいして変わることもなく、
じりじり焦がす焦燥に委ねる日々よ、
さあ、明日はどこへ行こう、

高鳴るは鼓動か、あるいは愚けさ、
ただ一言に激しく揺れる、

思いどおりにならずとも、ろくでもなく生きるだけ、
果ては見えない、やはり見えない、
果ては見えない、いつも見えない、







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2014-11-23 18:00 | カテゴリ:文芸パンク・憧


LIGHT


外は散る雪、暖炉のそばで飲むビール、
途切れ途切れのネオンが店の中を点滅させる、
ウサギ衣装のガールフレンド、ギター弾きはステージ下りて、
舞いウサギの揺れる腰を眺めてる、

食い散らかしたチキンとピッツア、灰皿がわりの空き瓶に乗り移る赤、
溶け雪が生む真っさらな水、窓の向こうの通りには、手を広げる子供たち、

汚れないまま溶けこまないまま、くちづけるココアの香り、
まだ優しさはそこらへんに残っているから、もう歎くは止めにしたいや、

夜に聖も邪もあるものか、好きなだけ欲しい色を探せばいい、
ウサギは踊る、光る胸元、エメラルドが揺れている、
外は舞う雪、白い頬と冷たい手、
ちぎれそうなネオンは雪を、緑や赤に好きなように着飾って、






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2014-11-22 18:00 | カテゴリ:文芸パンク・焦熱

「滞天よ」


群青の夜の世界の、雲はクジラみたいに見えた、
漂っているようで、確かな角度で星を飲み込む、
月の明かりに腹を裂かれて、それでも遊泳やめなかった、
苛立ちもなく、静寂を、無音と無限が支配する、

宙はひたすら無言貫く、地上では変わらぬ素振り、
水銀みたいに自在を持った、人の光が保たれる、

絵師はその一瞬を、捉えようと睨む上空、
ひとときさえも変わらぬようで、
一瞬でさえ制止らしきは見当たらない、
彼は今日も見聞きした、言葉を咀嚼し、
ありったけの慈愛と嘲りを、内臓溜めて吐き出した、

人はそれを詩人などとは呼ばないと、無駄口ばかり叩いてる、
誰も詩人を自称なんてしていない、誰かがその文脈で、
語りやすさに閉じ込めたいだけだろう、

どこか遠くにいまも泣く人がいる、
それを聞き取る心臓を持つ、弾ける波動がその叫び声を手繰ってた、
せめては泣き渡るくらいの異音であれば、それは誰かに必ず届く、
生憎、こちらは育ちが悪い、
下媚た上目遣いの笑み、照れ隠しにもならない、

混沌は次の混沌を、捩じ伏せるよう、深みを以って、
泥仕合に持ち込ませてく、その位置からの跳躍だけは、
無限にも似た果ての世界へ向かわせる、その地に鉛の釘を打つ、
シトロエンに乗り換えて、
荒ぶるサメの顎の下、すり抜けては飛び上がる、

僕はそれを飛躍といい、君はそれを飛躍という、
君はそれを叫びといい、僕はそれに首は振らない、







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2014-11-21 18:00 | カテゴリ:文芸パンク


「プライマル」


戦地を抜けた少年兵、余熱の残る荒れ地を駆けた、
流れるラジオの甘い歌、蹴飛ばしたいのにそれができない、

引き攣る傷痕、痛みは麻痺した、
そう思うことにする、もう血は見たくないのに、
赤みを知る手が心臓つかむ、

まだ続く旅の途中、経過を記す手紙を書こう、
誰に宛てるでもない、行き先ない告白を、

まだ続く逃避のさなか、希望を託した手紙を書こう、
言葉なんてひとつも知らない、鏡に映るキズの形を絵に描いた、

渇くばかりだ、それでも闇と光を交互に走る、
ここじゃない何処かなら、何も思わず眠れるようなそんな気がした、

覚えたての甘い歌、しかめっつらで口ずさむ、
どこか知らぬ世界の果てに、静か眠れる場所もあろうと、

「正義にどれくらいの価値がある、そんなものより僕らはいまをただ生きる、
それがすべてだ、正しくあるも、悪かろうとも僕らはその手にひとつずつ、
掴めるだけを掴んで走る」





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2014-11-20 18:00 | カテゴリ:文芸パンク・旅


「鉛の月の下」


月の裏には滅んでしまった巨人の骨で、組み上げられた教会が、
白い屋根には大人と子供の大腿骨を二本合わせた十字架が、
氷で膨らみ続けてる、そんな昔の古い映画に憧れた、

我が子のようにラジカセ抱いて、ピアソラ鳴らす風を聴いてる老夫はもう歩かない、
マイナス50の風すら凍る雪原で、タイヤ外れたピックアップの荷台に直立、
足元から凍り始めて次の春には静寂だけが私を包むと言って笑った、
欺くことなどまるで知らない無垢なる微笑、
蛇腹破れたアコーディオンの笑い声、

想像できない退屈な、子供は姿が幼いだけで、
ほんとはとっくに死んでいるんだ、
悲しくないし本当のところ、そんなことはどうでもいいと呟いた、
いずれは同じ末路をたどる、「ヒト」なんぞと大層に、
持ち上げても落つるを待つ葉と変わらない、

雪の下で静か眠る、落ち葉を数えて朝を迎える、
発光する水平が、鉛の雲を持ち上げようと躍起になっている空に、
眠る月の裏側で鳴る、アコーディオンを思い浮かべた、

毒殺された鹿は啼かない、それなら火薬を集めた君は云う、
いっそ地表を焼き払えって、害虫なのてヒトこそに値するもの、
雪の下の枯れた葉の色、折れた花、
風に捲かれて天への轍をつくるんだろう、

雨傘、風船、シグナルカラーのパラシュート、
軍靴と毛糸の帽子とジェリービーンズ、
鹿の剥製飾った山小屋、凍って落ちて割れないシャボン、
オルゴールから甘える声はイヌのピンクの若い鼻、

マイナス50の轍すらない雪原の、入り口には鉄の扉が時を忘れた、
待てど待てども死にもきれない旅の者々、
月を見上げる、星を数える、
凍りつくのを静かに待つだけ、
聴き覚えのない静寂想って祈るばかりの空には黒い、
羽根が地上を嗤ってただ舞って、嘴には赤が滴る花一輪、








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2014-11-19 18:00 | カテゴリ:文芸パンク・憧


「放課後」


放課後は真冬の庭で、透き通った白が吹く、
トラックラインを踏まないように、振り返ると窓が夕陽を跳ね返す、
鮮やかなオレンジ染まる、砂の上まで届いてた、
隅の木陰に住む花と、どこからか水の匂い、
時間はただの一瞬さえも、待たずに僕らを連れてゆく、

重なり合う僕らの影は、
離れず寄り添うみたいに見える、
君の影を踏まないように、爪先、次の一歩を探す、
触れてみたい、その手までは3センチ、
細い手首に淡色ミサンガ、どんな願いを託してるだろう?
聞きたいけれど言葉が出ない、

灰色フェンスに緑のツタが、背伸びをしてもあまりに高く、
夏の終わりに刈り取られるから、いつも触れられないまんま、
夢に描く景色に似てる、

永遠なんてあるのかどうか知らないけれど、
ふたりで歩く瞬間だけは、一瞬なのに忘れない、
そんなふうに歩く放課後、

僕らの歩くその先は、
眠りかけの銀杏が乾く金の坂道、
小高い丘の向こうには、陽の落つ海が見渡せる、

僕らの歩くその先は、夏の雲と空に繋がる、
世界でいちばん高鳴るこの時が、明日もまた来る、
僕は彼女の影を踏まないように、
青みに溶けるオレンジへゆく、

新たな季節はまた僕らを導いて、
新たな季節はまた僕らを連れてゆく、








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2014-11-18 18:30 | カテゴリ:文芸パンク


「怪童」


数百年を転生しながら漆黒に生きながらえる、
不釣り合いな朝を避け、眠る街に光らせる目、

ビルの間を乱舞しながら、伸びる手足で獲物を奪う、
灰の尾、廻して自在に駆ける、
夜の宇宙のその暗がりは彼の支配のなかにある、

いつもどこか淋しげで、
誰に寄り添うこともない、群れようにも同種はいない、
世界にたった一人の獣、慣れない孤独の加速する毒、

ヒトの言葉は忘れちまった、そもそも話せたのかどうか、
奇声だけを月に撃つ、満つる月には激しく放つ、

〝悪魔に見えるこの姿、禍禍しさも穢らわしさすら、
君らもそうは変わらない、せめて群れのなかで騒げばいいさ〟






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2014-11-17 12:30 | カテゴリ:ショートショート・フィクション


「スウィート・タウン」


ガットギターを叩いて打音、あちらこちらでサイレンが鳴る、
空へ吐き上ぐ煙のなかを羽根がいた、
〝カラスの群れは涎垂らして逃げてゆく〟って、
生きていたと誰も知らない、老婆は寝言みたいに言った、
バルコニーのロッキンチェアは、彼女の座を残して黄色に鮮やか塗られてた、

 水色と言う。
 その言葉が喚起するのは薄いながら鮮やかな青だ、水があるべき場所と正対する頭上の、晩冬から初春にかけての真新しい朝に一瞬だけ浮かぶ空の色だ、なのに、水の色がそんな眩しいくらいの青をたたえることはまずない、少なくとも目にすることはほとんどない。
 現実の水色は黒ずんで半透明の薄い泥を溶かした湯の色で、廃油が爛れた虹のあぶくを点々と浮かばせている。
 それが私たちにとっての水色である。

〝ジミってほんとはまだ生きてるの?〟
ギタリストは聞こえないふり、もうすぐ雨が降るらしいってラジオは得意げ、
誰も聞いちゃいねぇのに、
〝どっちだっていいだろう〟って苦く笑う、

 雨は水なのに水色ではない、雪は溶けても水色にはならない。
……いったい水色ってどんな色を意味するのって、ほんとは興味なんてないだろうに恋人はカシミアのブランケットを肩から羽織っていた、その下は昨日の夜の肌色のままで、僕はその肌を指して「この色と同じ」って思いつきで返してみる。

「どうゆうこと?」
「見てみなよ」

 通りを行き交う人々はそれぞれがそれぞれに少しずつ違う肌の色をしている、白があって褐色があって黄色があって……それもまた濃淡がある、同じ色なんてない。

「ああ、そうか。そうかもね。肌色って別に肌の色じゃないんだよなぁ」
「肌の色だよ。肌の色がバラバラなだけで。トカゲなら緑色だし、単にそれだけ」
「それと水色の話にはなにかカンケーあるの?」
「好きな色にさせてやれってこと。イヌからすれば白から黒と、その中間の灰色しかないんだから」
「……イヌ? なんでイヌ?」
「いちばんの友達だからね。いまはいないけれど」

 くだらないって思いながらもおしゃべりが尽きなかった、大切な話なんてそうはない、だからこそ空白を埋めるように言葉で無音を埋め尽くす。
 肌色の連中は面倒だなって肌色の僕は思う。
 
 普段、気にもしない空の色は水色ではなくてムラサキからアカに繋がるいい加減な色をしていた、「今日もつまんない一日だったね」って彼女は言って、僕はそれにすぐに返す。
「明日はもっとそうなるらしいって、ラジオのニュースが言ってた。どうせ思いつきのウソなんだろうけど」










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2014-11-16 12:00 | カテゴリ:ショートショート・フィクション


「告白」


 淋しいと思うことがないわけではない、それがない人はたぶんいない。けれど、それは誰かによって埋めてもらうべき感情ではない。自身によって消化されるべきものであり、空白は自らに依って埋めなくてはならないものだ、だが、それを理解しているものはあまりに少ない。

「昨日ね」
 彼女は秘密を告白したがっている。秘密なら口を閉ざしていればいいのに、私は思う。だが、彼女はそれができない。後ろめたさを共有してもらうことで罪は軽減されると勘違いしているのだろう。

「この間、私、ある人と寝たの」
 彼女は誰とでも寝る。発情期のサルみたいなものだ、だが彼女はその無軌道さを自由と履き違え、アイデンティティだと思っているふしがある。
 私はそれをなんども聞かされる、訊いたことは一度もない。彼女は自分の打ち明け話に価値があるものと思っている。
 けれど、聞く価値のある打ち明け話なんてない。少なくとも私は聞いたことがない。

 あなたが誰と寝ようが私には関係ないわ、そう言おうとしてやめる。身勝手な告白は私の時間や予定を選んではくれない。スピーカーに切り替えたケータイをサイドテーブルに置く。
 私は飲み残していた紅茶をひとくちだけ飲む。口のなかに苦味だけが広がる。

「なんども私は求められたわ、彼も淋しかったのね、きっと」
「相手も発情期だったのね」私は言う。
 人は動物だ、とくに男はそうだ、発情期がないかわりに四六時中、その行為で頭をいっぱいにしている。
 淋しさからそれを求めるわけではない、単純にそれが気持ちいいからだ。彼らは行為が終われば、あっさりと着替えてベッドから離れたがるではないか。

「愛しているってなんども言ったわ」
 スピーカーの向こうの彼女は話し続ける。具体的で扇情的だ、サイズから姿勢から声から、かけた時間、その一部始終を克明に記録したレポートがあるかのように語り続ける、そして、そこに相手の男の標本があるかのように細部にまで告白は及ぶ。

「まだ続く? いま、そんなに時間がないんだけど」
 いい加減うんざりして私はその話を切り上げようと試みる。
「聞きたくない?」
 彼女は薄ら笑いを浮かべているのだろう、卑しく歪めた口元を思い出す。厚い唇に塗った似合いもしないグロスと顎のほくろまで思い出す。

「聞きたい話じゃないわ……あなた、それを知ってて話したがっているでしょう?」
「あなたに話しておきたかったの……」
「どうして?」
「寝た相手はあなたの恋人だから」
「そう……そういうことか」
 私が冷静さを保てたのは、それを容易に想像できたからだろう、彼女に跨って息を荒くする彼の背中、肩甲骨を流れる汗までを私は幻視する。
いつかそうなると思っていた、いままでもそうだったのだろうと思っていた。

「赦して……」
 彼女は言う。
 なぜ赦せると思うのだろう。素直に告白すれば、謝罪があれば、過ちは赦されるべきだと思うのだろうか。
「死ね」試しに私は言う。震えを殺して言う。
「死んで償って」
 彼女は泣いている、しゃくりあげ、赦しを乞う。
「ごめんなさい」
「だから死ねって。そうすれば赦してあげる」
「彼が誘ってきたのよ。私だけが悪いんじゃない」
 それがどうしたと言うのだろう。だからなんだと言うのだろう。発端がどちらにあるかなんて確かめようもない。
「じゃあ、生きて償って」
「赦してくれるの?」
 それには答えず、私は私が待たせている男を呼び寄せる。男というのはなんて単純で幼稚なのだろう、彼女が私の男に抱いたであろう感情が私の体に芽生える。

「いい? 聞きなさい。生きて、聞くのよ」
 好奇心と欲情にだけは素直で純粋な、仰向けの私に覆いかぶさって息を荒げる、淋しげな獣の呻き声と低い嬌声、そして、肌と肌が弾け合わさる音を響かせる。
 思わず漏れる私の声も、きっと彼女に届いているだろう。

 いま、私としているのは、彼女の男だ。
 淋しいかもしれないが、それを誰かに甘えることでしか解消できない、惨めで幼稚で、しかも欲求にだけは従順な、救いのない生き物だ。
「聞こえる?」
 私は彼女に問いかける。忍び笑いが思わず漏れる。
「いま、私は誰としているでしょう?」



【了】  










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2014-11-14 18:00 | カテゴリ:文芸パンク


「白鳥」


緑色は背が低く、僕の膝をかすめるくらい、
見上げる空の送電線、嫌味なほど真っ直ぐに、
湖の向こう岸、白い羽根が口笛を、
黄昏れ刻まで吹いてみようって、取り残されたオレンジの、
裸に近い樹の下で、冷える霧の灰色の雨、
か細い肩を寄せ合って、

明日がくるって邪気なく信じた、そんな日々はもう過ぎて、
疑うばかりでそれにも慣れた、道しるべなんて何処にもなくて、
切り落とされた断崖の、冬の近づく海を見渡す、
あの岬の端の端、そこまで歩くくらいなら、
無邪気装い笑う恋人、立ち上がって地を蹴って、

たぶん、そこは世界の果てで、きっとそこが世界の終わり、
だってほら見て、白鳥たちが湖から離れてく、
だってほら見て、白鳥たちがずっと遠くへ飛んでゆく、







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2014-11-13 12:30 | カテゴリ:文芸パンク・憧


「キッズ」


息せききらして漕ぐペダル、寒さに淋しく鳴るチェーン、
逃げやしないと言い合いながら、勇み足とはやる胸、
夏の風を憶えてる、スタジアムはすぐそこだって、
高鳴りながら競い合うよう自転車がゆく、閉じたまぶたに浮かぶあの日が、

芝のミドリと水飛沫、白いボールを追いかける、
憧れたのは韋駄天ばかり、爪の先を軸にして、
舞うよう跳ねる本能の、誰より自由に解放されて、
沸き立つ声を突き抜けた、

燃える夕陽が染めるころ、細く長い影と影、
重なり合った大人と子供、あの日のようには走らない、
夢のなかにいるような、激しい熱をいまだ持つ、
少年たちは胸のなか、長い髪のあのコはどこへ、

強くも弱くも儚くもなく、時間ばかり積み重ね、
孤独を闇と思うなら、あの日の僕はもういない、
浅い眠りのなかに見た、まばゆい光に目覚めたはずの、
夏の子供は写真のなかに、
土にまみれて走った子供、彼はすでに記憶のなかに、

振り返るすらなくなって、それでも歌えるウタがある、
追憶ばかりに足をとられて、なにが欲しいかさえ忘れ、
ボールパークはフィルムのなかで、行き先さえもなく眠るスパイク、
フェンス向こうにいたあのコ、柔らか笑みは輪郭だけに、

あのころの少年は、いまもここに生きている、
目を閉じればよみがえる、
最高なぶん最低だった、
夏の日の子供たち、風の隙間を縫って走った、
白いボールに名前を書いた、いまでもすべて憶えてる、
彼らはいまも土に汚れた笑顔のままで、







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2014-11-12 12:00 | カテゴリ:instagram

【instagram】晩秋から初冬の景
















 遠出したときよりも日常の生活範囲の写真ばかりです。
 慣れた風景に刺激はないけれど、時間や季節の変化を強く感じられる。旅の写真は高揚が映り込むのか、どこか浮き足立ち、落ち着きのなさが目立つ。
 夏の喧騒の良いけれど、冬の静寂が色濃く鳴る景色もいい。
 
 来週末はまた日本海へ。
 激しく打ちつける波を見ようと思っています。







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2014-11-11 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「黒い青々」


アパートメントの屋上は、
夜の青い宇宙に溶けた、眺める下は暗い旗が風に揺られて、

月が上に、それから湖、その影は、口数なんて少ないみたい、
言いたいことがないんだろ、匂いは白く昼間の焼けたレンガに残る、

夏の星の熱に果て、砂にこぼれた命はいくつ、瞬く間に孤独が浮かぶ、
地平と宇宙を分け離つ、溶ける青に漂うのを見た、

水草は透明にしか生えないだろうか、流れる水はきれいだろうか、
そんな青はまだ残されてるか、
星ひとつに孤独を重ね、塵のひとつに終わりを想う、
そしてまた冷たい指で空を刺す、

眠れないなら眠れないまま、映る闇に燈されるまで、もう意味など問わずに生きてみよう、
すべては戯れ事、意味の有無を問う無意味、自覚のない寝言よりも、
すべては戯れ言、どうでもいいと言い放ちなよ、傷がまた疼き始めた、

夜の星の熱に果て、
砂にこぼれた命は幾億、瞬く光に孤独は浮かぶ、
地平と宇宙を分け離つ、溶ける青に漂うのを見た、

それだけなんだ、生きるに意味を問うのはよせよ、
それだけなんだ、生きるに意味を問う無意味、
そんな好都合はありゃしねぇって、ロックスターは血反吐を吐いて、
真昼の月など観ないふりして泥を食う、







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2014-11-10 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・焦熱


「慟哭」


波飛沫に跳ね廻る、空が溢した揺れる黄金、
星々ならもう眠りについて、いまはたぶん、
生きとし生けるすべてのものから目を逸らそうと離れゆく、

群れ群れから去れ、狗はもう此処に居ぬ、
爪先から伸びる影の長さがいまも、遠ざかる日々を思わせ、
リヴィンストンの冒険譚と、作者不明の航海記を交互に読んで、
高鳴らせた胸なら今はもう、静かに凪いで揺れることを忘れてしまった、

雷鳴るのを待っている、それはほんとに素敵な合図、
何もかもの終わり始まる、想像だけで心は跳ねる、
炎上したパイプラインと夜に弾けたタンカーの、
火力を見比べるのが好きな、
問題抱えた子供だったと聞かされた、
いまでもそれは変わらないけどわざわざ誰かに話すほどのこともない、

欲しいものは金属製の魂だけだと想う今、
心は不要と気づいてしまった、

ランチプレートに載っているのはナイフが2本、
右眼に現金輸送車の、ナンバー幾つか印字した、
ゴール焦がしたボードゲームのルーレットには昨日の薬莢震えてた、
サンドバッグにナイフを投げて、洗いざらいを吐き出させたら、

欲しいものは金属製の魂だけだと想う今、
心は不要と気づいてしまった、







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2014-11-09 12:00 | カテゴリ:文芸パンク
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「ピース・オブ・ケイク」


通りにはキャスケット、目深に被った少年が、
脂の染みた黒い爪、白い息を吐きながら、
スーツの初老のサイフくすねた、

細く長いミドリ色、先端、ふたつに割れた舌、
眠け覚ましにハーブティー、グラニュー糖を匙二杯、
ステンドグラスに似せた窓、
痩せた頬にはラッパの天使の影が、
バスタブには氷が張って、その下には掠れた古い記念写真、
カラスの黒いオルゴール、
音はもう死んでしまったらしいって、
片耳欠けた老夫が路傍でスケッチしてた、

海の近く、水門あたり、
古びたボートが散らばりながら枯れていた、

首から下を擦り潰された、
ネコは顔色変えずに果てていた、
恐怖に気づかず、一瞬にて終わっちまったんだろ、
そんなもんだ、悲しむほどのことはない、
この世界はきっと、なにもかもが終わった地点、






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2014-11-07 12:00 | カテゴリ:ショートショート・フィクション


「鏡」


 目の前に女がいる、艶めいた長い髪が腰まで届いている、執拗なまでに櫛を通したのだろう、毛先のゆるいカーブまでは磨いた刃物のように鈍く光を跳ね返している。
 細く高い鼻梁、春に舞う蝶を思わせる睫毛、視線がぶつかるとその水晶体には私が映し出される。生命として完全に敗北していることを私は思い知らされる。

 私は目の前の女を眺め続ける。見ていたいとは思わないが、なぜか目を離すことができない。
 いつから眺めているのか、時間の感覚が曖昧になっていた。女は時折、目をふせ、そして私に視線を送る。表情は変わらない。だが、一秒にも満たない僅かな瞬間、女の口角が持ち上がる、頑なに合わされていた上下の唇が隙間ができる。
 重い扉をこじ開けた向こうにあるのは虫食い穴のようで、そこから羽を背負い始めた小虫が溢れ出てきそうな幻覚にとらわれた。

 女は私を見てはいない。私と私の背後にある変色した壁、その中間にある空白を見ている。そしてまた目を閉じる。何度繰り返したところ変わるわけでもないが、それでも私がそれを続けるように、女もそれを続けている。
傍から見ればロールシャッハ・テストのように思うかもしれない、私と女は対になっている。

 私は目の前の女を知らない。何も知らない。だが、私にはわかる。
 美しい女だ、だがその美しさは度重なる改良の末に手に入れた後天的で人工的なものだ、バグを見つけるたびにアップデートを繰り返すゲームやパソコンのソフトのようなものだ。大脳は単なるシステムだ、人間が機械であることはそれを要としたものが人間であることからも自明に過ぎる。
 性能に差はあれ、私も目の前の女も、人間であり機械なのだ。
 だからだろう、私たちは自分以外に興味を持たない。どれほど言葉と智恵を重ねてもそれは変えることができない。

 女は退屈そうにさえ見えない。手にしたものと手放したものを見比べることも感傷的になることもない。だが盲目的に未来を見ているわけでもない。そんな好都合がないことを既に知ってしまった大人なのだ、無邪気な子供ではないからだ。


 女は過去を眺めている。切り刻んだフィルムを不器用にテープで繋ぎ合わせたように既に終わった物事を反芻し、再び切り刻み、火を点け、無きものにしようと試みる。
 冷笑を浮かべ、冷徹な視線でもって、冷酷なまでに冷静に。
 記憶ある限りのすべてを書き換えようと決めている。そこにあるのは虫食い穴を見つけ、それを塞ぎ、虫そのものを駆逐する機械となる。その所業は害虫と大差なく、益虫とも言い難い。

 よく見れば、女の貌には無数の穴が見てとれた。穴はみるみる大きくなり、目を、鼻を、口を、頬を、漆黒へと塗り替えてゆく。
 私は思わず悲鳴をあげた。女もやはり私と同時に悲鳴をあげた。

 もう戻ることはない。一時間ばかりの嗚咽の後、顔をあげると女はやはりそこにいた。開いていたはずの穴は塞がっている、跡形もなく塞がっている。微かに浮かべた笑みにどうにか優雅さを保とうと試みる。

 私は気づく。
 眼前には誰もいない。あるのは鏡だけだった。




【了】








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2014-11-06 18:00 | カテゴリ:instagram × 文芸パンク


「遠き落日」


いままで目にした、
ありとあらゆる全てが悪い冗談だったとしたら、
背伸びして思い切り、深呼吸して笑えるだろうか、

夢想に生きることは叶わず、
連なるのは錆びた花、朽ち果てた船の骨、
「良い旅を」と言ってくれた誰かはいない、
旅路の果てに並んでいたのは火を待つ棺の群れ群れと、
燻り続ける灰に赤、

もうこれで終わりだと、
風がそう告げるなら、眼を閉じ呼吸を整えて、
海のなかへ溶けてゆく、
落日に手を合わせ、記憶を彼方に置き去るだろう、









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2014-11-05 12:00 | カテゴリ:instagram × 文芸パンク


「冬の口笛」


冬が聞こえる、静謐ながら確かな足音、
すぐそこにはほら、冬眠前のリスたちや、
澄み渡る風、眠り始める湖と、
樹々を揺らす初雪や、シベリアからきた氷の風が、
月の光を手繰り寄せ、夜には肌を合わせる温もりや、
溶け合う時と目覚めた朝と、樹氷に跳ね飛ぶ乱反射、
森のあくびも聞こえてきそう、

冬の足音、軽やかに、
風の新たな通り道、響き渡る口笛は、
聞き覚えのあるメロディ、出会いと別れを繰り返す、
確かにそんな歌だった、
まどろみながら過ぎる日の、窓から届く焚き火のにおい、
眠りにつく太陽と、それを吸い込むブランケット、
過ぎた夏の出来事なんて、きっとずっと遥かに遠く、
忘れたようで、いまだに忘れられない歌を、
夢のなかに聞いていた、






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2014-11-04 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「雨曝しの手のひらよ」


波打つ草原、夜闇の色はブルーベリー、
かすかな光が散らばるなかを、紛れ込むよう走るキャンピン・バン、
撃ち殺されてた風見鶏、それを啄む鳥は群れ群れ、

根を張らずに生きると決めた、他の誰よりも孤独で自由だ、
手にするものはひとつもない、欲しいものも思いつかない、
ゆく先々の誰かに温もりだけを分けてもらって、

星を数えるなんてもうやめたんだって、
何ひとつもつかまないから、何ひとつも失わない、
鹿の角でできたライター、
それくらいなら、それくらいなら、

ブルーベリーをつまんで煙をふかす、
自由を手にしたんだって悲しそうに喜ぶふりで、スタントマンは月夜に眠る、
風向きなんて知りたくなかった、向かい風さえ振りも変えれば追い風だって、
渇ききっているのであれば、泥水でさえ飲み干すだろう、

連れてたネコから甘い匂い、
天使みたいなふりをして、冷たい頬を舐めている、
悪魔みたいな牙を剥く、風見鶏を喰いちぎる、

風は汚い雨まじり、それがなぜかいまの気分、
汚れるだけ汚れちまって、いくら拭えど白くはならぬ、
欺きたいならそうすれば、手にした誓いを忘れるまではあと少し、
ここから先に花を見る、ここから先も孤独は続く、

橋の向こうに繋ぎとめる花が咲く、エンジン途切れた月夜の草原、
狂うくらい静かできれいだ、狂うくらいに何もなかった、
そんな景色は嫌いじゃなかった、いまもたぶん嫌いになれない、
雨曝しの手のひらよ、君はその手になに想う





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2014-11-03 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「痛みは知恵によく似ている」


砂漠の絵柄の切手を照らす、
ランプのオレンジ、揺れる夜明けの白い波、
懐中時計が指す午前、

目覚めた鳥が泣き声の、色づき落ちて踏まれた葉、
裸の森は眠ったふりを続けてた、
褪せた印字のテグジュペリ、

肌を切る風、昨日よりも深い蒼、
錆びたブリキのおもちゃの兵が、
夢のなかで吹いていた、鼓笛にも似た一縷の想い、

水面に弾ける光はまるで、コルクを抜いたばかりのボトル、
シャンパーニュの金のブドウ酒、
凍りついた湖は、やがてひび割れ分かれるだろう、
逆さにした世界地図のパズルみたいに、

雲のなかに紛れてく、セスナの腹が金色に、
惑う星をかすめてく、鳥のように飛べなくなる日、
そこまでをも真似た鉄、

焚き火にくべる痩せた薪、頬張る焦げたウインナー、
過ぎゆく時と忘れたはずの、日々がかすめる午前か午後か、
38時の音もない雨、棄てられた銃火器は、
それに打たれていても泣かない、

吸い殻、ボトル、そのなかには船の模型、
瓶詰め、オリーヴ、狙う嘴、
ノートの切れ端、走り書くのは、
「痛みは知恵によく似てた」
「痛みをせめて知恵としよう」




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