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2014-10-31 12:00 | カテゴリ:文芸パンク

photo:01

「アン・ジュールの旅の歌」


脱線したまま放置されてる、貨物列車のコンテナ住んでるアン・ジュール、
真冬の間はいるけれど、夏の前にはまだ見ぬ景色を歩いていたい、

つぶやきながらギターを奏でるアン・ジュール、
寒い空の雲の切れ間にボサノヴァ歌う、
スキャット乗っけてケセラセラって歌ってる、

ギター片手にどこへでも、マフラー風になびいてる、
夜が来るなら街灯下をステージに、リクエストは受けないけれど、
手拍子、指笛、鳴らされる、

誰もいなくなったなら、アン・ジュールは星か夜空に歌うだけ、
少し飲んだら、いつまでだって歌ってられる、

愛とか恋とかそんなこと、アンにはあんまり関係ないけど、
欲しがる気持ちは分かってる、それでも歌うと忘れてしまう、

迷い犬の背中を撫でて、コンテナ我が家に連れ帰る、
夏が来るときっとここには住めないからって、
名無しの犬と話してた、

観覧車を探そうか、誰も乗らない棄てられちゃったゴンドラを、
できたら時々、回って欲しい、
そんなゴンドラ探そうか、

真夏を越えて、冬を迎えるアン・ジュール、
ひとつ大人になった彼女は、きっとゴンドラ、
ギターつまびき愛の歌を歌ってる、













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2014-10-30 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・焦熱


「秋の月夜の虐殺」


あまりに月が美しい、微か光がハープを鳴らす、
地上は等しく平らな影が、溢れる薄濁りの黒い液体、
彼方に臨む、あばたの表面、
赤みを増す黄、輪郭には濃い濃い碧、
溶け落ちるほどに美しい、言葉の放棄を決意するほど、

コオロギだった、泣いているのは草葉の茂みで影すらない、
彼か彼女か、その歌声、
涼やかにて求愛の、醜さなんぞは理解もしない、

一羽一羽を踵に捻る、擦れる舗装と木の踵、
一編たりとも声が聞こえなくなるように、
私はそれを何度も何度、
ついぞ膝の高さの枝木まで、

肺で呼吸を、震える指を前歯にしがむ、
名月なんぞ誰の優雅な迷言か、
四方から乾ききらない不甲斐ない、
微粒の風が濡れてゆく、
ふと気づく、虐殺者として月の時間を支配した、
その横からコオロギが、感傷すらなく泣いている、
それが恐らく世で在ると、冷酷なる笑みにて無言、
月は夜の空に君臨せし魔物であった、








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2014-10-29 12:00 | カテゴリ:instagram × 文芸パンク


「雨のあとに骨の花」


思い出して降り出した、
軒下には雨宿りの砂時計、
鐵工所には解体されてるシトロエン、
記憶はもうない、景色の代わりに距離を刻んだメーターの、
二度とは振れない其の長針、

溶かした鉄が銃器になって生まれ変わると初めて知った幼子は、
悪に向けて火を吹く砲を思い浮かべて踵を鳴らす、
炎上した後、血を吐くのもやはりは同じ生き物と、
彼が知ってしまうころ、清濁なんぞに大差はないと教える誰かはいるのだろうか、

天にて星は墜ちてゆく、惑うばかりで願い事など訊き取る様子は微塵もない、
天にて陽は甘い戯言凍らせようと、雨を凍らすことを思う、

空はいよいよ高く冷たく、降らせるつもりの氷を溶かすために在る太陽、
皮が破れて骨だけの、傘は眠っているふりをした、
風を背にする雨の花、柄に微かな温度が残る、
飛び立てないのは自身が鳥とは違うこと、
見上げ呟く、氷水落つ頭上には、
白いあばたのあぶくのような、昼の月が無言でただただ夜を待つ、











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2014-10-27 12:00 | カテゴリ:instagram × 文芸パンク


「鉄とレモン」


微かに気配を揺らし続ける、名前知らない歌を口笛、
耳を澄ませば悲しくなるほどくだらない、
秋の流行りのおしゃべりだから殺す音量、
黒い猫は舌出し逃げた、「感傷なんてすぐに死ぬ」って、
ガラスの破片を蹴り散らかした、

鉄とレモンを舌に載せ、眠り足りずに降下してゆくカラスを見てた、
アスファルトに寝そべって、雨がくるのを待つだけだった、
動かない、やがてそれがやむだろうと知りつつも、

生きゆくだけで僕らは酷く疲弊する、
誰の背を追うにして、やがて墜ちるばかりを見てる、

鉄とレモンを口にした、
幻想ばかりのベッドに倒れ、女王が歌うテレビに魅入る、

不埒な日々でそれが愉快か不愉快か、ときに思うはいつか見た夢、
懐かしむなら前を向け、例え、明日また噛むが鉄とレモンに過ぎずとも、

手にしたものが無価値だと、君はどこかあきらめる、
僕もそう、それでも鉄とレモンをかじる、

風景はただ後ろに流れるだけで、
景色はただ昨日を刻むだけだった、
気高き青は夜に乾かず、見たばかりの夢はどうにも憂鬱な、
口笛の上、空を支える、
搾りかすにも似た太陽、手のなかには垂れ落とされたばかりの飛沫、








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2014-10-23 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・旅


「サーカスガール・アンジェリカ」


支柱から放射状に舞う原色、綻び目立つ万国旗、
破れていたり、いまはもうない国だったり、
褪せたベージュの三角テント、
開幕を待つサーカスが、昨日設営したばかり、

陽を浴び風になびいているのに、
まるで楽しげなんかじゃなくて、
まるで野戦病院みたいに見えた、
それは野戦病院みたいに何故か、

ピエロが出たり入ったり、だけど、
メイクのない彼は使いまわしの小さなサルと変わらない、
焼けた輪だとか、木馬とか、
年を重ねた着ぐるみだとか、
世界を茶化したあらゆるが、テントのまわりで静かに寝てる、

少女の名前はアンジェリカ、ナイフ投げ師の夫婦の子供、
毛皮のソファで欠伸をしてる、
サイズの合わないデニムのパンツ、サスペンダーで吊り下げて、
青い石つきペンダント、手の平、光にかざしてる、

彼女の夢は絵本に見た天蓋のある大きなベッドで眠ること、
キャンピン・バンの狭い荷台、
両親に挟まれて寝て、いつも朝を迎えてる、
だけど、そんなの話したことはない、

落ち目のサーカス、次の時代のスターに皆が期待してると知ってる、
ターコイズを握りしめて目を閉じる、
明日になればまた見慣れぬ、景色のなかで風に揺られる、

街から街へ、村から村へ、
旅立つばかりのアンジェリカ、
小さな村で言葉もなく手渡されたペンダント、
〝ありがとう〟を言う前に、走り去った男の子、
彼がいまも元気なら、ベッドのことは忘れてもいい、

リハーサルが始まって、父が母の輪郭描くようにナイフを投げる、
突き立つ音が聞こえるたびに、アンジェリカはターコイズを手の中握る、

落ち目のサーカス、ナイフ投げ師の夫婦の子供、
アンジェリカは次の世代を期待され、
彼女の意思はいつも抱えるリアルに飲まれ、

スクールバスに乗ってみたい、みんなと学校へ行ってみたい、
ふざけて笑ってケンカして、一度そんなのしてみたい、
ネオンカラーのジェリービーンズ、皆と騒いで食べてみたい、
ラスタカラーの帽子を被って、〝これ似合う?〟って訊いてみたい、

狭い世界を飛び出して、違う生き方するって決めたアンジェリカ、
握りしめたターコイズ、あの子がいる街へゆく、
逢えるかどうかは分からない、
だけど、他に行きたい場所もない、

とりあえずの行き先決めたら、ひたすら進むとサーカステントを飛び出して、
オレンジ色のバスを待つ、出てゆく彼女に気づいたピエロ、
〝元気でね〟って手を振った、
溶けたメイクが垂れていること気にすらせずに、

はるか遠く知らない街へ、荷物はひとつのアンジェリカ、
目を閉じ握るターコイズ、ベージュのテントは小さくなって、
彼女は未来へ旅立った、







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2014-10-22 12:30 | カテゴリ:文芸パンク・旅


「風の葬送」


風の鳴る朝、何度も読んだ最後の手紙、
丘の向こうは放物線を描いた鳥が、
羽ばたきもせず落ちてゆく、
遅れて響くライフル数発、
走者のいない長距離走が始まるようで、
焼くに焼けない、握り潰すこともできない、
手紙を紙飛行機に変えて、
眺めた放物線の痕に向かって飛ばす、
風に乗って好きなどこかへ行けばいい、

落雷を、告げるラジオは耳障り、
蹴り飛ばせばもう啼かない、
黙ってろって呟きながら、
坂の途中で転げて止まる、潰れたラジオを見届けたかった、
蹴り上げた左足、その下には花のない草、
風の強い日はなぜか、
生きているのが好きになれない、

汚れに汚れ、渇きに渇く、
諦め悪く無様に過ぎる、
いっそ雨がすべてを流す、その刻を待つだけなのだとしたら、
飼い慣らされた羊が旅を夢見るように、
強い風なら地の想いを解放してくれないか、
坂向く風が連れてきたのは手紙に見えた、
だけどそれは薄汚れても羽根だった、







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2014-10-20 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・憧


「果ての谷のココ」


夜が明ける、ココは朝を呼ぶ鳥より先、
眠気を誤魔化すミントガム、あくびを数回、
誰が見てるわけじゃなし、隠しもせずに、
メットの替わり、羽根のついたカンカン帽、
手紙を届けるために今日もまた、
ガラクタ同然、単車またがり、
この地の果ての渓谷をゆく、

辛味の強いトマトとチーズのハンバーガー、
ヤギのミルクで流し込む、
半分くらい配り終えれば、ライムを絞った炭酸水、
向かい風に負けないハミング、

〝きょうもあしたもみんなのおもいをとどけにゆくよ〟

気まぐれなスコールや、
夜の寒さに備えたメキシコ生まれの絹編みパーカ、
引っつかんで家を出る、打ち捨てられた山上ロッジ、
星の観測所だったらしい、
帰るとすぐに望遠鏡で星を眺める、

幼いころに見ていた背中、パパもずっと手紙を配って生きていた、
開けた戸の向こうはいつも、目の眩むまばゆい光、
そのあと見渡す夜明けごろのインディゴブルー、
雨の日のこと忘れたいから、

ココは小鳥を呼び寄せて、夜になれば帰ってくるから、
いつものようにそう告げた、
腹を空かせた蛇に似た、数百ものカーブを抜けて、
道に慣れてしまわないよう、ココはのんびり手紙を配る、

夜になる少し前、誰より早く星を見つける、
いちばん先に輝く星を、







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2014-10-19 12:00 | カテゴリ:instagram

【画像】instagramの日曜日。



 コンクリートにしがみつく、羽虫の気分で空を視る。



 友人宅の近くの秋桜畑。



 地上15センチの景。



 人間なんてくだらないと思った日の夕。



 涼しくなれ、もっと言えば寒くなれ。氷河期でもかまわない。








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2014-10-17 12:00 | カテゴリ:instagram × 文芸パンク


「白鳥」


思い描く草原は、果てなく遠く向こうまで、
緑色は背が低く、僕の膝をかすめるくらい、見上げる空の送電線、
嫌味なほど真っ直ぐに、湖の向こう岸、白い羽根が口笛を、
黄昏れ刻まで吹いてみようって、取り残されたオレンジの、
裸に近い樹の下で、冷える霧の灰色の雨、か細い肩を寄せ合って、

明日がくるって邪気なく信じた、そんな日々はもう過ぎて、
疑うばかりでそれにも慣れた、道しるべなんて何処にもなくて、
切り落とされた断崖の、冬の近づく海を見渡す、
あの岬の端の端、そこまで歩くくらいなら、無邪気装い笑う恋人、立ち上がって地を蹴って、

たぶん、そこは世界の果てで、
きっとそこが世界の終わり、
だってほら見て、白鳥たちが湖から離れてく、
だってほら見て、白鳥たちがずっと遠くへ飛んでゆく、







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2014-10-16 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「空にカナリヤ」


列車は進む、
窮地につけ込むあざとき者を乗せている、
風が吹いたら思いのほか冬は近くて、
進路は見果てぬ未来だけ、汚れたものくらいなら、
そいつを飲み干すくらいの度量でもって、
生きる時代に抗えばいい、
泣くのはやめだ、そう言ったのは昨日、
今朝も頬は濡れている、
もう聞く耳もないだろう、

運命だとか宿命だとか、どうでもいいや、
無駄吠えさえ届かぬにして、それでも吠えずにいられない、
血ばかり見たんだ、
そこには死に際する言葉も落ちた、
震えあがる人々は、逃げ場の進路も分からない、
気分ひとつで優しさばかりを装うは、
きっとこの世に生きてなんてないんだろう、

痛みに慣れたふりくらい、ずっと続けてきたつもり、
裏切ることも手にしたつもり、
ぼろきれならいくらでも、
比喩や暗喩や逃げ口上、
なけなし叩いて誰もが生きる、
永遠たる逃亡者、彼らの背を誰が見る?
いつか全てを分かり合う、
そんな戯れ事言う気もない、
それならせめて、この地に生きる誰かを祝え、








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2014-10-15 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「疾走」


走り抜けて朝に倒れた、ようやくの陽が照らす、
その背中に羽根は生えない、もつれた四肢は鈍い痛みで光と闇を分け放つ、

例えば欲しがるものなど、どこにもありはしないとして、
呼吸だけが生きるとするなら、もう走る理由もないだろうに、

変わりゆく、そうするしか進むことは出来ないと、
どこか誰かが言い残してた、
事実にしてもときにそれは煩いハエに似た定説、

先に待つ答えがあるならそれを聞かせろ、
先に待つ、そんなものがあるなら教えろ、

走り抜けて朝に倒れた、ようやくの陽が照らす、
その背中に羽根は生えない、もつれた四肢は鈍い痛みで光と闇を分け放つ、








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2014-10-13 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「砂のよう」


水溜りに溺れる砂は、消えゆく月の光に沿って、
一粒ずつが眠らされてく、真夜中3時に地表を濡らす、
滴はボトルに何本くらい? 充てがわれた時間によって、
僕らは日々に削り取られて、

400字詰の原稿用紙、ゆくあてなど失くした言葉、
誰に届くでもない手紙、散らかるばかりの感情と、
冷えるほどに憂鬱な、誰も笑わぬ冗談と、
眠らず迎えた朝に毒、ラジオからは砂の舞う音、
黄金すら吐き気を伴い映る月、手のひらから逃げる砂、

咲かない花の種を巻く、灰だらけの砂のうえ、
木々に寄り添い漂うように、儚い時間と流れる水と、
溺れるだけの砂のよう、喉に絡まる声も砂、








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2014-10-12 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「冬の草原」


浴びたままの返り血で、鉄のニオイが生臭い、
ブルーデニムのウエスタンシャツ、片袖ないのにまだ着てる、
好きな言葉は「どうでもいい」

酔い果て夜明け、ピアスだらけの女の子、
〝おへそにあるのよ、見てみたい?〟
眉毛はミドリが朝になる、そのあたりの色に染めてた、

映したばかりのポラロイド、そいつをカードにトランプ遊び、
ジョーカーは誰にしよう、女優気取りのあの娘にするか、
どうでもいいこと笑っていたい、

有刺鉄線、そんな気分で繋がって、
宝石吹く間欠泉を探してた、宝になんて興味はないのに、
有刺鉄線、尖る指を絡ませた、
氷みたいな冷たさで、チョコレートのアルコール、
朗読するアルチュール、それから口笛、

明け果てた夜の果て、
ブルーベリーのニオイがしてる、
グレープフルーツかじりつく、
ちぎれた手の平探しに行こう、
猫たちだって探してる、
盗られた光を探しに行こう、
ありとあらゆる奪いとる、キザなギャングのふりをした、

ちぎれたまるごと取り返そう、
犬たちだって吠えている、
この拘束を撃ち破ろう、
這わせた土の味を知るんだろう、
口笛は冬の草原、そこはマイナス54、
履いたブーツが砕けちまって、裸足でゆくほかないらしい、

広がる果ての冬の草原、扉にはアネモネが、
風に煽られ見紛う雪は、赤くて誰より艶やかに、
どうでもいいと落ちてゆく、
どうでもいいと雪になる、








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2014-10-11 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・憧


「冬の口笛」


眠れない夜を手繰れば、胸にも吹く薄ら寒い喧騒を、
繰り返した日々ばかりを思い出す、
赤とオレンジ、その間くらいの色に咲く街、
北から鋭い風が鳴る、原色溢れるポストカードをコート忍ばせ、

冬を呼ぶ口笛は、音階なんてなんていらないと、
冬が呼ぶ口笛は、いつかもらった手紙の花、
そぞろ歩く薄化粧、明ける空ゆく白い息、
踊り子たちが家路を急ぎ、群れから離れたカラスが一羽、
赤みの残る街を横切る、嘴には誰かが捨てたダイヤモンド、

冬を呼ぶ口笛は、音階なんてなんていらないと、
冬が呼ぶ口笛は、いつかもらった手紙の花、
眠らないと決めたのに、散り行く葉たちの地を擦る旋律、
横切る気ままな野良猫は、鈴に踊って軒の下へと、







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2014-10-10 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・焦熱


「氷原のパズル」


直線上か曲線か、日によってどちらにも見え、
きっとは螺旋のように日々が過ぎゆく、
憧憬や焦燥を、喧騒や放熱を、
操れないで出口ばかりを探してる、

生を想うのは死の縁にまで近づいたとき、
死を想うのはまだ絶えない命に気づいたときか、
悦びは地に落ちた種のよう、拾い集めていつか花が咲くように、
だけど枯れ葉は冬の訪れ、過ぎるものに想い巡らせ、

うつろいやすくて欠けるばかりで、変わりゆくばかりが目立つ、
未完のパズルはピースを波にさらわれた、
感傷に苛まれ、無力さばかりをいくつも数え、深呼吸する時間もない、

彷徨うように浅い呼吸を繰り返し、叫んだはずの言葉を忘れ、
忍び寄る影に包まれ、惰眠のなかで見るも影、

“ほんとの自分”なんてありふれた迷い事、幻ならいっそ虚無だと、
なぜ誰も口にしない? 尽くしても手にできないなら、枷を手放し解き放ちたい、

氷の地上は優しいくらい残酷で、砂漠にまた雪が降る、
砂の果てには真夜中くらい暗がりたがる、
星は僕らの速度を知らず、いまも孤独に廻ってるだけ、
導かれるよう歩いてるけど、行き先なんて知らないままの、
僕はずっと迷い子のまま、
僕らはずっと放熱だけを続けてる、
不愉快さだけ叫んでる、

氷のパズルは溶けてしまうと砂になる、
砂の地表はやがて凍って粉になってしまうんだろう、









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2014-10-09 12:30 | カテゴリ:instagram × 文芸パンク


「星の手配師」


利き手の逆に星の形のタトゥーを刻んだ、
星の手配師、ジョーは空を睨んでる、
昼間に光るは高く売れると知っているから、
まばたき忘れてビルの屋上、空を睨み続けてた、彼は星を売る男、

ドライフラワー、赤いバラ、テーブル上のくるくる廻るガラスの地球儀、
占い師のいる店立ち寄って、流れる星の行方を探す、
ヒトにはまだまだ見つけられない、望遠鏡では捉えられない、
光る惑星、合図を待って、ジョーは屋上、大の字寝そべる、

タバコくわえて星を数える、売れない星に煙を吐き出す、今日はツイてないってこぼす、
冷たいピザを広げて空腹ごまかし、
物欲しげに覗くカラスに半分あげて恋人みたいに語りかけてる、
星の形のタトゥーさすって、汚れたジャケット脱ぎ捨てて、
吸い殻だらけの屋上、口笛、

昼間に光るは高く売れると知っているから、
まばたき忘れてビルの8階、空を見つめてる、
彼は星を探してる、ジョーは星を探してる、









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2014-10-08 12:30 | カテゴリ:文芸パンク・憧

「月のブランコ」

月に近づくブランコで、静かな夜を滑ってく、
薄くなりゆく光をずっと、ずっとずっと見つめてる、
小さなころからそんなふうに眺めた光、

優しさなんて、ありふれた言葉では表せない、
見守るような青白さ、セシルは欲しいものもなく、
ブランコ揺られていたいだけ、

話すことなく柔らかく、
何ひとつの見返りすらも求めない、
あぶり出す傷のありかを、撫でるように照らしてる、

朝が来るから家に帰ろう、
そう、もう、生きる場所は限られてるの、
欲しがるよりも手にした僅かを星に見立てて、
いくつくらい数えたの?

夜を奏でたブランコで、静かな闇を流してく、
薄くなりゆく光をずっと、
ずっとずっと見つめてる、
子供のころからそんなふうに手にした光、

無口だけれど愛に導く、何ひとつの代償さえも要求しない、
点す光は未知の暗がり、差し延べる指先へ、
伝わるように溢れてる、

ほらね、そこらじゅうに光はあって、
気づかないふりしてるんだ、

ほらね、広げた手の平、
掬う全てに、
星の砂は水みたいにいくらでも、




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2014-10-07 18:30 | カテゴリ:文芸パンク・憧


「煙吐き出す冬の口笛」


嵐は過ぎて秋の空は遠く澄む、鈴の声の虫が鳴いてた、
風は乾いた砂を誘って、低空飛行で眠りかけの葉を散らそうと、
無言に静寂、冷たくなるアスファルト、
街路を貫く冬の口笛、混ざり込むジタン・カポラル、
煙のにおいと霞む青、

黄昏る赤い夕刻、倒れる真似で地上に利き手、
凍りかける鉄か鉛か愛でてみる、舐めれば幼きころに知る、
膝の擦り傷、錆びない血の味、憶えてた、

夜には葉枯らし、雨が冷たく仄暗く、
目覚めに見たはず草原を、あぶれた金へと染めるんだろう、
帰り路には道標にした坂道の、赤いポスト泣いてるようなそんな気が、
空き地に横転、腹を出して死を待つような、
バスのなかで少し眠ろう、

嵐は過ぎて秋の空は遠く澄む、鈴の声の虫が鳴いてた、
風は乾いた砂を誘って、低空飛行で眠りかけの葉を散らそうと、
無言に静寂、冷たくなるアスファルト、
街路を貫く冬の口笛、混ざり込むジタン・カポラル、
煙のにおいと霞む青、







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2014-10-06 12:30 | カテゴリ:文芸パンク・旅

「灰色の猫」
朝焼けには嘆きが似合う、嗚呼また今日が始まるんだと、
下らねえって吐き出したのは、紡ぐ日々の戯れ事か、
何処かで聞いた汚れた悲哀、

仮の問いなど答えたくない、相変わらずの呟きなのか雑言か、
そいつを吐きこぼすだけくらい、トラブルだらけ、埃にまみれて、

勝利にこだわる、結果は敗北ばかりを身に纏う、
そんなもんだと笑えばいい、わめき立てるも口をつくのは弱々しい本音だけ、
悲しむふりだけ得意になって、はるか上から神が涎を垂らしてる、

霧が視界を包んでく、その先には未来が待って、
印字のない片道切符、爛れて使い物になるやならんや、
汗か泥かでふやけた日記、

過ぎたことなど消えてしまえば、腹わたごと吐き散らかせば、
影は金属振り回す、荒むだけの夜がまた来る、今日もまた来る、

2、3秒後は次なる世界、
2、3秒後は次なる世界、
いっそ水に流れてしまえ、
いっそ水に流してしまえ、
灰になる朝、
灰が降る夜、








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2014-10-05 12:00 | カテゴリ:文芸パンク

「ガールズ・ブギー」


禁じられた遊びを聞いた、いつの間にか眠ってた、
目を覚ませばリアルが待って、
弦の錆びたギターに触れる、
酔い明けにはあまりに重く、
叩きつけたい気分になった、

窓の向こうは雨が打つ音、
テレビのなかは砂嵐、借りたままの映画のディスク、
見終わる前に眠ったらしい、つまらないものばかりが溢れてる、
無邪気に笑えた季節を過ぎた、

誰も彼にも優しくするに、
人はあまりに限られていて、
選び抜けないまんまで迷う、

誰も彼もが優しくなるに、
世界はまるで枷だらけ、
振り切らないならつまずくの、少しは学んだ、

子供でいられた季節をときどき思う、
雨降りさえも楽しかった、
余計なものを手にしたのだろう?

禁じられた遊びの夜は、
いまも手招きながら私を誘う、
憂鬱なんて切り裂きたいから、
ギターだって振りかざす、

ねえ、分かりもしない明日に怯える、
くだらないって思わない?
いま、この鳴り待ちギター、
今日は昨日より少しマシ、
汚れたものを洗いざらい放り捨て、着飾る宴に向けてさぁ、
楽しいほうを選びましょうか、








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2014-10-04 12:30 | カテゴリ:文芸パンク・焦熱
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「狗は旗を見ていなかった」


見上げるだけのスターズ・アンド・ストライプス、そこには自由があるんだと、
無邪気の季節に焦がれていたこと忘れてた、思い馳せれば知らぬことにも気づいてなかった単なる子供、
幻だとわかっていてなお追い続けたら、果てに見るはいったいなにか、
嘘だとしても導き委ねてしまいたい、そんなここにはない何か、
それはここにはない何か、

墜落した残骸を、珍し気でもなく通りすがった、
「ここらじゃよくあることなのよ」って、穴だらけの耳からチェーン生やしたアフロヘア、
ベビーカーには羊のぬいぐるみが二体、口と口を縫い合わされてた、
キスをしているんだと彼女は言った、

炎上している金属片から溶け出す合成皮革のリクライニング、
キャリーバッグに詰められていたスティックシュガーに似た白い、
粒子に群がる子供の頬は煤に汚れて国籍なんてなくなっている、

傍には100年、太り続けて家畜と呼ばれる一昨年までのチェリストが、
木樽みたいな腹を揺すってハーモニカを齧ってる、

星条旗は飛び火され、その下から世界各地が放水管を構えてた、
星は瞬く間もなく発熱させられ飛び散った、キャンプファイアの火の粉みたいに、
自由、幻、道標、
正義、優しさ、昨日の希望、
跡片なく灰と舞う、そんな景色は語られるより、
その場にいるには滑稽だった、

退屈しのぎにならないにせよ、チェスやゴシップ、ボードゲームや、
感傷ばかりの無名の日記、垂れ流される自意識よりは、
手のひらふわりの雪に似た、灰の一輪くらいの軽さ、
それくらいの滑稽さなら持っているって知ったんだ、







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2014-10-03 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・旅
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「異邦人」


遠慮もなく突き抜けてゆく、集まる視線は好奇と違和が中和しない、
異邦の私は異物で或れと、居直ろうにも独りに過ぎる、

断ち切り鋏で落とした黒い、
流れる長い髪を掬うつもりで空振りする指、
合わない肩幅、ウールに見せたつもりすらない安衣装、
無断で拝借した昨夜、視界の隅のガス灯を、
錯覚したんだお天道様に、

あの刻、赤土、軒下眠るヘビ使い、
流るる時間がもたらす暁待っていた、
老婆はプラスチックの水晶玉を、孫娘のように抱いてる、
片眼鏡の白い口髭、詐欺師に売りつけられたことは知らない、
知らないままのほうがいい、

踏みつけられた紙幣を拾う薄着たち、遊戯のための偽とも知らず、
何を食べるか迷ってはしゃぐ、きっと彼らは明日も空腹、

異端で或る私には、見慣れはしない風景を、
昨日も予定を持って歩いた、そんな素振りで視線を据える、
爪先には迷い持たせず、読めない言葉で綴られた、
木板の古い街の地図を眺めているふりだけはする、

時計台は止まったままで、午前か午後の8時あたりを差していた、
そして此処で鳩は鳴かない、路上には降りてもこない、
骨組みだけが残る荒屋、
煙突から揺れる国旗はデッキブラシの果てにも見える、

解体された鉄の螺旋階段は、野良猫たちが寄り添う円環、
誰かの死体はひたすら腐乱を続けてた、
街の南にビーチがあって、雨を探したツバメは走る、
眼下の景にはなるべく近づかないように、

私は昨日を喪失してゆく定めの下に生まれたらしい、
捨てたつもりと忘れようとしていることが、
いつからだろう、私を組成する一部であると知っている、

骨と肉と血を以って、
唯々、人であろうとするだけは、
行き場のない、根を張るにも土に慣れない、
異邦の私は此処では異端、視線の先は不明瞭、
刺さり続けど棘は抜けずに流れもしない血が痛む、
其れ其のものが、私を人たらしめるもの、

生憎にも皮肉にも、滑稽にも雑然も、
私は人に組成される生き物でしか、其れこそ私を人とするもの、









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2014-10-02 18:30 | カテゴリ:ショートショート・フィクション


「蟻よさらば」


 ラヴとピースは違うことだとしゃがれた声の男が歌っていた、取っ手の取れたラジオプレイヤーはスピーカーが割れ、くの字に折れたアンテナには小さな旗がくくりつけてある。お子様ランチのチキンライスに刺さっている万国旗くらいの旗だ、けれどそれは原色に塗られているだけで特定の国を表したものではない。

「これは俺と同い年のプレイヤーなんだ」

 そばには誰もいないが男はどこか自慢げに話している。
カセットの港の近くはコンビナートから出港する船を眺めにくる人々で溢れ返っていた、その光景は吐き捨てられたキャンディに群がる蟻によく似ていた。
 実のところ、大差はない。

「でも、買ったのは俺じゃなくて、俺を買った年寄りの家の庭に捨ててあったんだ。夢の国のネズミのステッカーが貼ってあったから、そいつを蹴り飛ばすとスピーカーが壊れて右からしか音が出なくなった」

 歩道ではなく海に向けて絨毯が敷かれている。幾何学模様が編み込まれたその上で彼は話し続けていた。

 通りがかりが哀れんだのか、傷まみれでもまだ割れてはいないサラダボウルには小銭が数枚、鈍い光を放っていた。いちばん眩しく光っているのはボードゲームに使うプラスティックのコインで、その次はチョコレートの包み紙を丸めたものだった。

 絨毯の幾何学模様は彼の視線の遥か先、ある砂の国の神の姿を模したものだ、背と背が繋がりそれぞれに匙と器を掲げている。

 サンドイッチ・スタンドは流行っているとは言えない。港湾労働者の味覚には合わなかったらしい、濃紺に身を包んだ彼らは昼食にも訪れないし、せいぜい朝にコーヒーを飲みの訪れるだけだ。

 店主はサラダボウルたっぷりのカフェオレを店の看板商品に据えてはみたが、いまのところ飲み干した客はいない。

 木材を積み込んだトラックが空き缶を蹴り飛ばす。その空き缶の飲み口は黒に見紛うほど多数の蟻が張り付いていた。
 すり潰された蟻と思いがけず空間移動した蟻がいる。

 そして。
 無音だった国道に転げてゆくのはねずみの轢死体ではなく、レモンだった。乾ききって黒く変色した、元はレモンだったもの。
 ラジオからは変わらず日本語のロック・ミュージックががなり立てているが、その持ち主は音楽を聴いているわけではなかった。

「どうでもいいって誰も歌わないんだよ、なんでだろうなぁ……。どいつもこいつも意味だの答えだの、青くさいことばかり真剣になってやがる」
 答えなんかどこにもない、彼はそれを知っている。コップ一杯の水を砂漠に吸わせても一瞬で乾いて砂に戻る。何度繰り返せど泉になるわけではない。

 男はアンテナを引き抜き、8を描くように旗を振った。ほつれか染みに見える黒い一点は蟻だった、振り落とされることなく蟻はしがみついていた。

 暇を持て余していたサンドイッチ・スタンドの店主は余り物のカフェオレを啜っている。
「甘いな……ほんものの蟻くらいしか飲めないだろう……」
 店主の前を、そしてラジオの男の前を、けたたましいサイレンが数台駆けてゆく。港についたばかりのタンカーが入港時に炎上したのだという。

 逃げ惑う人々、騒ぎを見物に訪れた人々、その背中はどう見ても蟻そのものだとふたりは思った。彼らもまた、そうだったからだ。





【了】 








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2014-10-01 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・焦熱


「水深の坂道」


青い真夏に見た夢が、いまもこの背を追ってくる、
吸血鬼が吸う血を探す、黒い森の坂道で、

胸にしていた水晶ならもう砕けてしまって体のなかから突き破ろうと暴れてる、

太陽不在の坂の途中に弾けていたのは叫び声をあげる前の孤独たち、
重なり合わずに其々が、四方に銃身、細やかなる塔を屹立する荒野、
遠くに見えたつもりの幻、白い昼に瞬く草原、

ここから離れて過ぎたことを忘れるくらい、
手放すことなら握ることよりいつか楽になれると思う、
迷い子追ううち迷ってしまった狼が、教えてくれた雨の日のこと、

太陽死んだ坂道走る、
つまづいたのは子守唄鳴るオルゴール、
倒れたままのバス停近くにトカゲの眼をしたタバコ売り、
彼は靴のヒモを傷だらけの手首に巻いてた、それから照れもせずに空に泣いていること告げた、

太陽不在の坂道だった、
引きずり続ける遠い草原、確かにあった最期の地表、
十字の縁を駆けたつもりで、いまは既に絵にも描けないその背中、
気づいていたはずだった、
それはこの胸、水深15、
昨日までの僕だった、








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