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2014-07-31 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・旅


「流星今夜」


水の打ち際、最南端、
ジャコウアゲハが舞う砂浜、
少年少女がやがての夜を待っている、
透き通る水の色、跳ねて流れる金の砂、

麦わら帽子にビーチサンダル、華奢な手首に羽のついたブレスレットが音なく揺れた、
浅瀬で小さく丸まった、
彼女は裸足で砂金を探す、
瓶に詰めた金色たちが想い想いに白く発光、

か細く白い、指の隙間をすり抜けてゆく水と砂、
夜待つ間のアミュレット、
眠り始める陽は橙、月は闇を引き連れて、
目を覚ました星たちと、

彼女は言う、「夜は宇宙に繋がってるの」、
まるで宇宙を漂う石の孤独を思う時間、

砂に描いた優しい言葉は波に消されて、
かわりに青い星を置いてゆく、
闇のその濃さ、星は永遠みたいに輝いて、
ふたりはじっと宙を眺める、

今夜、はるかかなたを流星がゆく、
そんな気がして、少年少女は眠れないまま、
導き合わせる星と砂の連なりを、

星がまたたく、そのいくつかは落ちてゆく
重なり合う奇跡を思う、手のひらのボトルから、
溢れる水と砂の金、
幾億にもなる流星たちの軌跡を追った話を聞いた、
再びそれを紡ぐ日を想う、やはりは手のひら眺めるだろう、




flash back entrys

閃 ロックンロール ワールズエンド
天 草原 蟻
ゾンビ 祈り 砂時計


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2014-07-30 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・憧


「アリアドネの糸」


水が光の反射の軌跡を歌ってた、
覗き込んだ僕らの顔が、映し出されて揺れる鏡面、
熱持つ砂の粒ひとつ、何処かに紛れたアリアドネの糸を探した、
見つからないと知っていてなお、どこかで変われぬ僕たちは、

笑顔がいつも揺れているのは横顔ばかりを見続けたせい、
初めて見下ろす正面は、眠りについているだけみたい、
組み合わされた細い手に、水辺に咲いた花一輪を差し込んだ、
微笑んでいた、苦しむことも悲しむことももうないと、
静寂すぎる君に告げる、解放されて手繰る糸はどこに続いた?

想い出せても戻れはしない、並んで走った季節を忘れてしまうことができれば、
少しくらい、少しくらい、
一足早く永遠なんてものを手にしてしまった君へと思う、

砂になって消えてゆく、水辺の光に揺れた日のこと、
あの瞬間にアリアドネの糸があるって、
告げようにも君は無言、始めてしまった永久の静寂、





STAR ENTRYS

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2014-07-29 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・憧

「シトロエンとオルゴール」


65歳のシトロエン、
計器はすべて狂ってる、時計はずっと五時半だった、
棄てられた地にただひとり、走り方も忘れてるよう、

雨に撃たれた、風に揺らいだ、
泥と灰が体を覆う、錆び続けて綻び続け、
軋ませようにも動かぬ駆体、
泣き出そうにもエンジンオイルは零れてしまった、

投げ込まれたオルゴールは18歳、
屋根に跳ねてボンネットで横になる、
巻かれたまんま棄てられた、一小節を歌って黙る、
鼓笛隊のマーチのメロディ、それだけしか歌えなかった、

鉄の墓場は今日も無音で突き抜けゆく蒼い空、
雲の模様は溶けるアイスクリームにも似てた、
木々には白い鳥たちと、溜まり水にはホタルが眠る、
午前6時に決められた、目覚ましだけが騒々しい、
立入禁止のチェーンを越えて、やんちゃたちが乗り込む墓場、

65歳のシトロエン、18歳のオルゴール、
折れ曲がったトースター、オーブンには扉がない、
力ずくに斬られた鎖、
スイッチ足りないラジオはいつも砂嵐、

子供達の高鳴る鼓動、膝の上まで伸びた雑草、
夜にはカエルの子守唄、燻り続けているエンジン、
夏には秘密の基地になる、
鉄の墓場も腕白たちには楽園のよう、
65歳の老いたシトロエンが笑う、
18歳のオルゴールはネジを巻かれるのを待っている、
秘密と約束、少年達は夏をはじめる、






DO YOU LOVE GANGSTER?

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2014-07-28 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「犬も歩けば」


犬も歩けば、
歩道に揺れる色とりどりの傘の花、
軒下には砂時計、水たまりには反転した時の経過が映ってた、
雨粒にさえ揺れて惑う天の青、

雨が上がれば舗道に夏が匂うだろう、
孤独を苦にもせぬ犬は、
群れに群れゆく塗り潰された顔色よそに、
白と黒とその間、視界の色は冬と変わらず、

荷馬車の幌は煤けたベージュ、
農道にはタバコを吹かす、老父は飛んでく白鳥の、
湖越えた森の向こうに消ゆる夕刻、
静寂の待つ柔らかな、永遠さえも思わせる、
空の彼方で点になるまで立ち尽くす、
その隣を犬がゆく、
くわえたままの砂時計は非情なほどに刻を重ねた、

犬は吠えるが星に願うこともなく、
近づく嵐に時折、思いを馳せながら、
流れてゆく足の跡、やはりは振りも返らずに、

雨音一粒、その音色、
それから揺れる傘の花、歓声たちの黄色を横目、
無目的にただ歩く、天が激しく鳴るなかを、
素知らぬ顔で犬がゆく、





鯵の干物を食べてたら堅すぎて唇が切れてしまった……あれって少し叩いて骨を砕いておかないとダメらしいですね。

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2014-07-27 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・旅


「砂時計の街のデューイ」


その街、どこを見上げても時計があった、
どれもが狂ったまんま動いてる、
誰もそれを気にしないのか、或いは慣れてしまっているか、
それぞれがそれぞれに、好きな時間を刻んでる、

バスは日に2度、街を出てゆく者だけを乗せ、
そしてひたすら南へ向かう、
向かうは太陽、充つる場所、
其処に何があると云うんだろう、
乾ききったエンジンは、泳ぎ疲れた魚みたいだ、

デューイを名乗る男は盗賊、
何もかもを盗んだあとだ、欲しいものなど何処にもないと、
宝のありかばかりを記した地図を焼く、

盗んたものは片っ端から売り飛ばす、
奪えないなど世界にはない、

〝誰も彼も大事なものなど持っちゃいない〟
欲しいものなどひとつもない、手にした途端に売り捌く、
嘘も真も価値など知らぬ、手にするコインの金と銀、

ある日、デューイは酔いの醒めない朝に気づいた、
傷つけただけ傷ついていた、何もかもを手にしたはずで、

〝どうしてこんなに乾いてるんだ〟

メモをめくって、話し相手を探す、
そうか、もうこの街には誰もいない、
痛みが走る体で窓の外を眺め見る、
痩せさらばえた、その胸に手をあてて、

渇きの果てには涙も出ない、
渇きの果てに砂になって散る魂、
水を忘れていた天は、砂となった紛いの悪に泥を飲ませる雨を、
果てる最期に渇きからも放たれて、
濡れて剥がれた金と銀が濡れていた、







自分で描いたのに苦手な絵やなぁ……。

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2014-07-26 12:00 | カテゴリ:ショートショート・フィクション


「海沿いの椅子」


 その一脚は南を向いて遥か彼方を眺め続けている。
 雨季は終わりを告げ、凪いでいた波は夏の太陽の激しさを映し出して弾けるように砕け、そして、はしゃぐ歓声たちが水を求めて集まる。

 彼は静かで揺れることもない。雨風にさらされ続け、磨り減った脚は僅かに軋むことがある、そう、その椅子は既に老境に達している。
かつて彼の左右に並んでいた彼の友人たちは役目を終えてここにはいない。
 夏が訪れるたびに彼は生まれたばかりであったころのことを思い出すことがある。

 彼らは静寂にして事象の傍観者として、引いては満つる、繰り返しの万象を、数百年間、眺め続けた。

 打ち寄せる波に恐る恐る手を差し出した幼子と彼を見守る穏やかな笑顔を。

 幼子が育ち少年期を迎え、遠くかすむ島まで泳ごうとした或る夏を、そして、逞しくなった少年が、かつて彼を見ていた背中と似たシルエットを描いた黄金の夕陽の時を。

 青年はひとりの娘を連れて歩いた、波音はふたりの声を運んできたが、椅子は聞き耳を立てはしなかった。そのとき、椅子には白髪を混じらせ、永遠の眠りを近くに迎えたある男女を抱いていた。
 痩せて皺の増えた左手と右手が重ね合わされている。背もたれには杖がかけられていた。

 ふたりは若き日の自分に似たふたりの男女を眩しげに眺めているだけだった、そしてまたそのふたりの間には頼りなげでか細い、かつての誰かに似た幼子が波と戯れている。

 椅子として生まれた彼は、その幼子が泳ぎ疲れて濡れた体を拭いもせずに体を預けにくる時を待っている。

 連綿たる繰り返しが続いてゆくことを声にはせず祈る。例え、私の脚が誰かを支えることをできず、あるいは風にさらわれ波の彼方へ連れ去られてしまうとしても、ここで見続けた軌跡のすべてが奇跡であることを椅子は知っている。

 海が騒ぐ季節はすぐそこだ。椅子は今日もすべてを眺めている。太陽や風や光とともに。







I LOVE BEACH

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2014-07-25 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「連なる孤独の点景よ」


兵隊たちが集うキャバレー、真夜中過ぎた宵の刻、
グラス傾け粘つく視線のピンナップ、
陽灼けて褪せた笑顔へ好奇の眼差し浮かべた少年期を思い出す、

トラック荷台で踊り狂う、ポニーテールの娘たち、
欲しがってるのは喉焼く火薬、
針の折れたターンテーブル、賞味期限の切れた音楽、

くだらねぇって舌打ちされて蹴り飛ばされた、
テレビが嘆く星の行く先、「いま以外の何がいる」って、
赤銅色の肌をした、半裸のマウロがマーガレットを抱き寄せる、

潰したイチゴにグラニュー糖を混ぜていた、
サラダボウルは二回転半、乳白色に混ざる赤を吐き出して、
半球体がわずかに浮いてた、流れゆかない泥にまみれた赤い白濁、
狂騒レースに明け暮れた、いまになれば不毛と苦く思いを馳せる、
赤い季節に何処かが似てた、

生き先知らぬ子供の孤独、変わりようにも術のない、
空腹たちが集うキャバレー、敗戦後には体たらく、
夏の夜が匂い始めて、花火の煙に立ちくらむ、

酔い潰れて夢を見ている敗残兵、彼らが見る視界には、
かつての彼に重なる子供が眠り失い漂っている、
溢れ返った甘いはずの乳白色には蟻の群れが集まりつつある、
見ないふりを決めこんだ、兵の足元、
幾数千の黒い点々、





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2014-07-24 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・憧


「夏に流るる想いこそ」


其れは果てまで届くだろうか、
眺める先は南から、髪にもつれる熱持つ風が吹きつける、
背丈の低い緑と薄黄、撫でては曲線描いて去った、
横に長い、楕円を四つに分けた、
右の下のカーブをなぞる、

橙にて変わらぬ光を投げつける、
頭上に暴れる太陽が、
もつれにもつれた糸で或る、曝け出される藻屑のような私たち、
悲哀に卑下と、卑屈に悲嘆、
其処に並べた思いつきこそ生の在り処か、

土の下に生まれたはずが、舗装に依って陽の目見れずな飛び虫を、
儚げなると自身重ねる憐れなる、どのようであれ私たち、
花の如く凛とはなれずにもがくばかりの赤い糸、
其れは確かに静脈と、重なり合う動脈が、
迷路のように繋がる呼吸は逃れられぬ熱を吐く、

荒天、炎天、雨天に月下、
陽炎、泡沫、土砂降る時を待ちかねて、
不自由極まる躯に囚わる私たちこそヒトで或る、
大手を振っては咲けぬ次第、だからか藻屑の私たち、
盲目的に空を見る、花に焦がれて雨を待つ、









暑くて全然眠れんかったから今夜はエアコンつけるわ!

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2014-07-23 12:00 | カテゴリ:instagram × 文芸パンク


「聴こえてくるアコーディオン」


今日もまた陽が墜ちてゆく、夜を始める用意をしなきゃ、
鳥たちは森へ帰る道を見つけた、代わるように蝙蝠たちが目を覚ます、
聴こえてくるのはアコーディオン、

さらに深まる夜の青みに光る白たち、
弾けて散らばるソーダの泡みたいな星と、地上の煌々たるネオン、
淋しがり屋は一晩限りの愛を求めて、腹を空かせた小猫みたいに、
蒸れたアスファルトにひしめき合う、真夏の夜には似合わない、
黒光りするドレス、アクセサリーをじゃらじゃらさせる、

運び屋たちは深夜を探し、冷ました熱で無闇を走る、
地図に載らないオペラハウスの天井桟敷、解体されたことを知らずに、
寝言よりも甘い歌、口笛吹いて聴こえないふり、

そんな夜はとうに忘れた、変わらないものはなく、
速度だけが昨日を置き去るような気がした、
森に消えた白鳥追って、溶けて黒い青へと鳴らす孤独の奏者、

聴こえてくるのは途方に暮れて黄昏れる、
昔話の流れ星を歌にした、
宝地図のなかにだけある、架空の国の子守唄、
街娼たちの望郷や、鉱夫たちの憧憬よ、
聴こえてくるのは風を揺らせるアコーディオン、







NO MUSIC,NO LIFE?

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2014-07-22 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「賭博場の女王」


背中くらいでいいのなら、いくらだって魅せてやる、
ここは賭博場、酔い醒めごろのアンタは裸、
それでいいなら一花咲かせに勝負してみな、
嘘をまるごと飲み込んで、
真っ赤な一夜で別世界を教えてあげる、

どうせこの世は散りゆくものが揃いし宴、
どちらさまも恨みつらみの無粋はナシで、
紛いの黄色に染めし長髪、禍々しきは映せし世界、

千切れるくらい身銭を切って、衣を脱いで見せてみな、
空々しくも虚がうつろう、まるで虚空のその腹を、
せめては黒く塗るくらい、それくらいなら出来るでしょうよ、

あたしが手渡す懐刀が、そなたの威光を暴き出すよう、
どちらさまも陰にこぼす汚れ言葉は、いっそ絶え堕ちるまで飲み込むくらいの気概で以て、

どなたさまも一夜限りの夢を観たくば、
せいぜい背丈に見合う程度で遊べ、
あなたさまの無礼講など、こちら取り扱うわけもなく、

そちらさまと首を掴んで、風鳴る夜空で安酒で、
野犬に追われる無様がお似合い、

この肌くらいでいいのなら、いくらだって魅せてやる、
ここは賭博場、酔い醒めごろのアンタは裸、

それでいいなら一花咲かせに勝負してきな、
嘘をまるごと飲み込んで、
真っ赤な一夜で別世界を教えてあげる、
どうせこの世は散りゆくものが揃いし宴、
どちらさまも恨みつらみの無粋はナシで、




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2014-07-21 12:00 | カテゴリ:【小説】国境線上の蟻
埠頭 防波堤 伊保港 画像

モデル 鳥谷敬 イラスト 画像

国境線上の蟻 #10


 君が放った銃弾によって、ワン・イーゼンは絶命した。小口径のピストルだった、至近距離からの頭部への狙撃以外に方法はなかった。
 額から後頭部へと貫通した弾はアスファルトに跳ね、弧を描いて水面へと消えた。

 戦争の仕掛け人として、武器商人として暗躍した男はその生涯の凄絶さに比べ、呆気なく感じるほどに無抵抗だった。
 表情こそ変えなかったが、その最期は微かに安堵を見せたような、そんな気がした。
 ジャポーネの子供として生まれ、チャイネの侵略者に故郷と家族を殺され、タイ・ペイにて暗躍者として育った。
 名前は数知れず多く、だが、誰にも必要とされず、誰も必要としなかった。

 君は思う。
「どこかの誰かとまるで同じだ」と。
 ジェンを名乗った君は真下に横たわる父の亡骸を眺めるでもなく眺めていた。血の匂いに気づいたか、蟻たちが列を作りつつある、そして、上空にはカラス数羽が旋回していた。死の瞬間、生命は生命に還元される。
 それは野生のルールであり、本来は世界の理だったはずだ。

 君はジェンとして生きた短い時間をここで終えることにする。おそらく、彼が此処で終わることは決まっていたことだ。
 ジェンはそう決めていた。孤独な命は誰かの傍らで果てはしない。
 場所を探していただけだ、最終地点はずっと前から決まっていたのだ。

「誰もいない……誰も知らない……独りでどこかへゆき、そこで終える」
 そう話した夜のことがふとよぎる。
 目覚めた瞬間、始まる悪夢はこの最果てにて完了する。もう何も見ない、何も聞かない。
 自由だ、君は思う。

 水平から銃声が届いた。ワン・イーゼンを迎えにきたクルーザーだろう、確かに約束どおりの時間だった、彼は渡航するつもりだったのだろうか。分からない、だが、彼の跡はやはり血が流れる抗争によって束の間の秩序がもたらされるのだろう。

 君は一発だけを残したピストルをこめかみに構える。タバコに火をつける。深く呼吸し、弾き鉄に指をかけた。
 透明になってゆく。そんなふうに思えた。眼を閉じ、耳を閉じ、感覚を遮断する。

 遠くから鳥の泣き声が聞こえた気がした。幻聴かもしれない、確かに歌っていたのかもしれない。その歌はどこかで聴いたことのある旋律だった。

 君は口笛を吹く。
 クルーザーを追う警笛と制止を促す破れた音声に歌と口笛は掻き消される。
 それでも鳴らす口笛は、懐かしい故郷の子守唄だった。
 歌い終えるのを待たず、君は弾き鉄を引く。
 静謐を嫌う国境で、君は独り永遠の静寂を手に入れた。
 青みのなか、黒く汚れた羽根が散った。その光景を見ているのも蟻だった。

埠頭 防波堤 伊保港 画像



…………終

TRICKSTER TOURS.

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2014-07-20 12:00 | カテゴリ:【小説】国境線上の蟻
網干渚公園 工事中 干拓地 画像

高砂臨海公園 波打ち際 海 画像

国境線上の蟻 #9


 足下には蟻が歩いていた。連なる粒の群れの先には息絶えた死骸が見てとれた。鳥か犬か猫か、或いはそれ以外か。
 なんだっていい。
 君はそう思う。何であっても、果ては同じだ。

「生まれ育ちを思えば、私はずいぶん長く生きた。何処かの誰かの血を吸い続けてきたからだろう。善も悪も、割り振ってしまえば差はない」
 小さな黒い粒はそのひとつひとつが足を持ち、動き、群れとして連動している。役割があるだけだ、感情はない。

「昔……そう、ずいぶん昔だ。お前が生まれる前のことだ。この国は資源のない小さな島国だったが、美しく、人々が心を持つ国だった」
 既に絶えた生き物に覆い被さる蟻たちは黒く変色した血にまみれている。その行進は止むことがない。噛み千切り、砕き、破片となった肉が運ばれてゆく。

「子が親を、或いはその逆も……売買の道具にし、食い散らかすにまで成った。人は単なる動物だ、その原理に戻りゆく過程に過ぎないのが今だ」
「昔話はいい」
 何もかも過ぎるだけだ、君はそれを知っている。
 もちろん、彼も知っている。
「悪くはなかったはずだった、だが、振り返ると悪い夢を見せられ、運び続けられた死骸のように思える」

 個体を遥かに越える巨大な肉塊も、やがては残らず消えてゆくだろう。蟻たちはそれに費やす時間や労力など考えたりはしない。
 それは理である。

 君は弾き鉄に指をかける。震えもなく揺らぎもなかった。
 完全な空白として君はいる。
 蟻たちが命を漁り終えることを見届けることはない。

 夜は明けた。
 君とかつての君に似たもう一人の間には静謐だけがある。終わりを待ち、探し続けた果ての景色はわずか先に国境がある。
 そして君たちは境界の線上に存在する儚い魂に過ぎない。もう思い出すことはない。思うこともない。

「終わりだ。望みどおり、お前を完全に消滅させてやる」
 一歩。二歩。
 君は歩み寄り、かつての君の額に銃口を向けた。

 どこからか吹鳴が届いた。サイレンも聞こえる。停止していた時間は再び刻み始め、太陽が再生する。
 横たわる君はアスファルトの感触を背中に感じていた。
 眼を閉じる。口笛を鳴らそうとして肺が爆ぜる。痙攣が止まらなかった。
 君は歌おうとする。だが、誰にも歌には聞こえないだろう。赤い泡が弾け、胸が上下する。
 傍らには年老いた君が眠っている。完全にして永遠の眠りだ。

 ふと眼を開けた。
 君の真上、青みのなかに飛んでゆく鳥の姿が映った。
 それはいつか見たときのように美しい光景だった。



……続劇



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2014-07-19 12:00 | カテゴリ:【小説】国境線上の蟻
海岸 大西洋 海 画像

鳥谷敬 阪神タイガース イラスト 画像

国境線上の蟻 #8


 君は見ている。
 視線の先に広がるのは海だ、かすかに島影を捉えたような気がした、それが唯の幻影だとしても、遥か先には此処ではない地が存在している。
 美しくはない、同時に醜いわけでもない。内実はどちらをも内包して、富める者と貧しきものが同じ空の下に呼吸を続ける。

「お前は私を殺したいんだろう」
 何を見ているのか、それは分からない。背中はどちらも同じ北を向いている。
 君と君の父はまるで非なるようで、その佇まいには経年差こそあれ同じ人間としての孤独が色濃く匂う。
 君が孤独であるように、彼もやはり孤独だ。視点を変えれば、彼の影は君の影に重なる。

「そうだ。あの日からずっと……俺はお前を追いかけていた」
 泣いているように聞こえた。海鳥たちが声をあげる。シルエットは影になり、風に掻き消される煙のように黒く儚い。

「ずっと昔……そう、ずっと昔の話だ。私にも若かったころがある。いまのお前よりも若いときが」
 ワン・イーゼンはタバコをくわえた。君はその先端に火を与える。煙が流れ、徐々に空へ溶け込んでゆく。
 高く、広大だった。君が思うよりもずっと高く広大だった。
「それがどうした?」
「それだけだ。お前は私を薄汚い老人だと思うだろう。だが、その瞬間、君はその薄汚い者に歩み寄ってゆくことになる」
 君は何も言わない。
 ふたりの距離は数メートルに過ぎない。岬の突堤に渇いた風が流れ、君と君が憎み、探した者の隙間を走り去ってゆく。
 分け隔てているものは障壁ではない。一歩を踏み、摑む意思があれば一秒すら不要だ。彼の呼吸さえもが届く。老いを混じらせてはいる、だが、恥らしきはそこにはない。

「ポケットにはナイフ。懐にはピストル。お前はそれを持っている。私が買い与えたと言えるのかもしれない」
 この国に流通する武器のほとんどは、男を『ワン・イーゼン』として財と地位を築かせる道具だった。
 そして君にとって、彼は既に忌むべき者ではなくなっていた。

「選ばせてやる。ナイフでもピストルでも、お前が選べばいい。最期だ、一瞬で終わらせてやる」
 君は思い出す。
 季節を越えるために飛び立った鳥が銃弾に弾け、羽根を撒き散らせながら落下してゆく瞬間を。
「親切だな」
 ワン・イーゼンを捨ててゆく、在るひとりの日本人が振り返る。歪んではいたが笑顔だった。
 かつての謀略者も、ときにこんな笑顔を見せたのだろう。

「俺はお前を殺すんだ。親切さなんて、ないよ」
「君は私をここまで連れてきたじゃないか」
「それは仕事だ。ここからは契約にはない。俺の個人的な意思だけだ」
「人は……」
 君の目の前の痩せた初老は語り始める。
「人は……人の生きる時間はときに長すぎる。そして感情的に過ぎる。時間が半分になり感情が半分になれば、静かに穏やかに生きる手段を見つけ出せたのかもしれない」
「仮定の話なんて俺は興味がない」
 だが君は生まれ育ち、歩んできた時間のことを想う。
 そして、君はピストルをかまえた。



……続劇

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2014-07-18 12:00 | カテゴリ:【小説】国境線上の蟻
明石海峡大橋 海峡 画像

明石海峡大橋 海峡 画像

国境線上の蟻 #7


 海峡を越えてゆく、君が走らせるピックアップ・ヴァンは本土とシシュウを繋ぐビッグ・ブリッジを走行していた。

 かつてのように整備されたアスファルトではない、剥がれて凹凸をつくり、路肩の切れ目から痩せた雑草が伸びているのが確認できた。
 君はいま、運び屋としての職務を全うするスペシャリストとしての手腕で以て、速度を緩めず、同時に超過することもなく、安定速度を保つようにアクセルを踏み続けている。

「長いのか?」
 ワン・イーゼンが君に問う。それだけでは真意を図ることはできない。
 意図的に主語を省略している、君はそのことに気づいていた。

「何がだ?」
「この仕事だ。正業とは言えないだろう……もちろん、私が言えることでもないがね」
「十年になる。選んだわけじゃない。選択肢がなかった。それだけだ」
「素直だな……。私がお前のことを探っているとすれば、どうする?」
「……ハンドルを握っているのは俺だよ」
「私に主導権はないと?」
「俺はあんたを運ぶだけだ。それが契約だろう」
 それを最後にワン・イーゼンは口をつぐんだ。
 だが、君は助手席の彼が忍び笑いを浮かべていたことに気づいていた。
 
 不愉快なはずだった。
 苛立つはずだった。
 しかし君はそのような感情を殺していたわけではなかった。
 君は君のなかにあるべきはずの感情が消えつつあることをまだ知らない。
 ポケットのなかのナイフの感触を確かめる。
 初めてそれを手にしたときのように硬く冷たい。真冬の海に棄てられていたように凍りついたままだ。
 刃を開き、その尖端に親指をあてがう。体温ほどの液体が微かに流れる。
 その温度の差は君を連れ戻してゆく、もう戻れないと確信した日の朝に。

 あの日の、朝。
 君は兵かテロリストか、暴虐を尽くした獣が置き忘れたナイフを手にした。
 農機具小屋で震えているだけだった君が、溢れ返る鮮血の地で、ワン・イーゼンの名を、そしてその嗤う声を知った日の朝のことだ。

『これで良かったので? ミスター・ワン』
『なにを言いたい?』
『……あなたは……そもそも……』
『私に祖国はない。故郷もだ。これでいい』
 君は小窓から殺戮者の背中を見ていた。街の誰よりも大きかった。彼らは楽しんでさえいた。
 二足歩行の獣だった。その中心で泣いているようにも見えた、最も惨めな獣こそがワン・イーゼンだった。



…………続劇

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2014-07-17 12:00 | カテゴリ:【小説】国境線上の蟻
市街地 香港 ブレードランナー 画像

市街地 香港 ブレードランナー 画像

国境線上の蟻 #6


「……ジェン」
 誰かが君を呼んでいる。君はまだそれに気づいていない、俯いている、目深にかぶったハンチングで目元は影になっていた、片手はコートのポケットに入れ、壁に背を預けて所在なさげに立っている。
 君はいつもそんなふうに立ってきた。

 物語は少し時間を遡る。
 君が彼に出会ったときのことだ。
 君はその名を「ジェン」
と云う。偽名だ。だが本当の名前など既にないものとしている。

「君がジェンか?」
 顔はあげない、視線だけで君を呼ぶ声に反応する。
「私だ。君だな、ジェンという若者は」
 ああ、あんたか。
 声は落ちてゆく。通りはクラクションと嬌声に満ちている、そこで使われる言語は様々だ、どれもがノイズに聞こえた、君は雑踏に紛れこんでいる。気配を殺し、空気のように漂う。
 君はそれを術として各地を転々と生き延びてきた。

「ルートは任せる。三日後の午前四時半、アンゲイの港湾再開発地帯にある港へ運んで欲しい」
 店内は薄暗く、照明と言えるほどの照明はなかった。君と男が正対するボックス席にはテーブル端にキャンドルが灯されている。
「アンゲイ……? アキのことか」
 カウンターには長い髪をカチューシャで抑えた浅黒い中年が染めた金髪と編み込んだ髪の女と何かを話している。
 何を話しているかまでは分からない。
「……君はジャポーネか。チャイネかタイ・ペイかと思ったがな」
 男の手の甲には地球を象ったタトゥーがある。円に沿ってヘビが一周し、その中央の国の上でヘビは牙を剥いていた。

「名前はない。今回の依頼のコードだ」
 君はいま名前を持たない。棄ててしまった。だが、忘れてはいない。
「まあ、どちらでもいい。私は人種にはそう興味がない。案件に問題は?」
 男は流暢な公用言語を操った。この島の国が長いのだろう。
「とくにない。三日後、シシュウのアキ、再開発地域の港だな。だいたいの位置は分かる」
 君は手渡された地図を眺める。地名、湾、外海、それぞれに三種の言語が割り当てられている。
 本土から伸びるカイキョウ・ブリッジを渡れば男が目指す島があった。

「私はワン・イーゼン。パプリック・ドメインだが、君はその名前を知っているはずだ」
 ああ。君は口にはせずに相対する男の顔を見つめた。

 ワン・イーゼン。
 知っている。それが偽名であること、そして何者であるかも。

「出発は明日、この店の前だ。夕刻に迎えにくる。2019年型フォードのピックアップ、色はディープグリーンだ、俺はクルマで待ってる」
 君はそう言って席を立った。
 翻したコートの風がキャンドルから炎を奪う。瞬間、君は振り返る。
 持っている写真とは違う、だが、紛れもなく探していた男だった。

 十年。
 君が最初にその顔を刻みつけたのはまだ十代のころだった。
 十年か。君は思う。
 少年は大人になり、最速でたどり着いたはずだ。そのぶん、写真の男は年月ぶんの歳を重ねている。

……あの日ほどの威圧は、背から立ち昇るような殺意は薄れつつある。
 最初で最後だ。
 君はポケットのなかの拳を硬く握る。いつかのシベリアのように、上下の奥歯が震えて断続的に鳴っていた。

 

……続劇

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2014-07-16 12:00 | カテゴリ:【小説】国境線上の蟻
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国境線上の蟻 #5


 孤独は生きる限り続くものと君は知っている。掬い上げられる僅かは瞬時に砂として零れ落ちてゆく。瞬く間に掌が零れ落ちてゆく。

 その繰り返しを生きてきた、眠るときに見る夢は束の間、君を孤独から解放する、だが、目覚めた現実は途方もない独りが呼吸だけを続けている。
 口のなかに血が匂う。噛み締めた歯の根元から彼そのものが吐き出されている。

 君は錆びた鉛の銃弾を舐め続けている、乾いて色を失くした頬を一滴が濡らしている。
 まだ僕は生きているのか、君は何度もその問いを朝に訴える。

「お前は私を戦争の仕掛け人だと言う。それは多くの人にとっての現実かもしれないが、真実とは異なる」

 君は小さな窓から殺し合いを見届けていた。手足をもがれ、口から血を吐き、それを見つめる子供の眼は空洞だった。それでも生存を訴えるためか、彼は彼女はあらんばかりの力で声をあげた。

 悲鳴と号泣。しかし、それは殺戮に悦楽を感じる獣には嬌声になったのだろう。
 度を超えた残虐を行うとき、人は笑うことを選択する。精神を瓦解させないための防衛本能だと言われている。

「私は君と同じだ、君は私と同じだ。生存のために選択の権利を持つのは限られた子供だけだ、それを持たず生まれたのなら手段は多くない。君はそれをよく知っているはずだ」

 頭部、四肢、胴。
 頭蓋骨、関節、筋肉。
 骨格、神経、血液。
 食肉のように解体された人は破片でしかなかった。意思も希望も孤独も、ない。赤く生臭く、わずかな時間で土の塊に変質する。
 君は売られるために街から出てゆく、捌かれた牛や馬や豚や犬との差違を探した、だがなかった、人は不遜に過ぎる動物の一種類だった。

「お前は私をハイエナかそれ以下か、屍をつくりそれにたかって財を成したと思っている。事実だ、だが、お前と私の間に違いはあるか?」

 君はそれに応えることができない。感情があるのは、君も君に似た男も変わらないのだと知っている。

 だからこそ、尚更、自らの意思を破棄し続ける男を許したくない、殺害に至るより他ないと、かつての彼と同じ思考に囚われてゆくのを気づいている。

「お前が私を仇に思うのは、同じ種類の生き物だからだ。お前が生きるために手段を選ばなかったように、私も手段を選ばなかった。すでに人類はその歴史で以て争いを否定できない近代をつくってきた」

 男は武器を密造し、売買し、それを必要とさせるためのシナリオを描いてきた。
 君は生まれ育った街を奪われ、そして国籍すらも失くしてしまった。

「それは有り触れたことだ。私は私の行為を肯定しない。だが、私の意思だけで行われたことなど一度もない」
「ヒトは最も愚かな生き物かもしれない。それは俺にも分かる。分かる気がする」

 君は最初の記憶を屍に集う蟻の姿になぞらえる。
「ヒトの英知は……唯の一度も争いを回避する術を得なかった。今後もそれはない」
 君は経験として学んだわけではない、だが、それが真実だと刻みこまれていることを疑わない。

 忌み嫌ったはずの生き方、ヒトの在り方。
 君はそれによって生き永らえてきたからだ。


…………続劇

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2014-07-15 12:00 | カテゴリ:【小説】国境線上の蟻
灯火 キャンドル 炎 画像

鳥谷敬 阪神タイガース イラスト 画像

国境線上の蟻 #4


 君は手持ち無沙汰にジャックナイフを弄ぶ。燭台の炎が揺らめくなかを刃が怪しく反射光を閃かす。オイルの切れたライターのように見えなくもなかった。

「ナイフか……物騒だな」
「そうかな」
 君は言う。
「これがあればリンゴの皮を剥ける。フォークにもナイフにもなる。俺は運び屋だ、積荷のロープもこれで切る」
 なぜ刃物を物騒に思う? そう問う代わりに君は男に視線を向ける。切っ先よりも鋭利な冷徹さで以て。そこにヒトとしての感情は欠落していた。

「戦争屋には武器にしか見えないんだろう?」
「戦争屋……か。言っておくが戦争は売り買いできない。私は単なる商売人で、シナリオライターだ、戦争をするかどうかは私に依る事柄ではない」
「でも、あんたは命と引き換えに富と権利を手にした、言い方を変えても事実は事実だろう」
「お前が思うほどには儲からないさ……それは前世紀の話だ、大国が勝利するシナリオをひいてこそ大義なり正義が発生する。局地紛争はデータ採取のサンプルに過ぎない」

 モルモット扱いか。
 君はそのナイフが男の喉を裂くイメージを描く。いまの君にそれは容易いことだろう。

「で、この国もそのサンプルとやらに使おうと?」
「冗談だろう? ここは私の祖国でもある……」
「以前は、な。だからこそお前は渡航のために準備をしている。違うか?」
「私は売国奴ではない……まず、この国にそこまでの価値があるとは思えない」
 君は初めてお前と形容する、契約関係の破棄が生じることを知っていてなお、その言葉を使う理由がある。

「私を殺したいのか」
「ああ。殺したい、じゃない。殺すつもりで請けた依頼だ。いくら権力があろうと、お前を殺すくらいは簡単だ」
「……なるほどな。だが、私を殺したところで何が変わるわけでもない。君が命を落とすだけだ。分かるな?」
 それがどうした。
 君は思う。地の果てまで逃走する、そしてそこで孤独に息絶える。そう決めていた、それは既に話したはずだ。

「お前は、俺が殺す。そう決まっている」
「決まっている、か……面白い。まさか運命とでも言うのか」
「血だ」
「……チ?」
「血液だ。俺にもお前にも流れる血だ。流れる以上は絶やさなければならない血だ」
「そうか……血か」
「俺はお前の子供だ、数百はいるだろうが、そのなかの独りだ。そして、俺の故郷とたったひとりの母を殺したのがお前だ。憶えているだろう」
「憶えてはいない。だが、それは間違いなく私だろう」

 サイレンが鳴る。夜明けを告げるわけではない。この日たった一度だけ停泊するクルーザーの到着を知らせるサイレンだった。



…………続劇

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2014-07-14 12:00 | カテゴリ:【小説】国境線上の蟻
市街地 ヨーロッパ 欧州 画像

国境線上の蟻 イラスト 画像

国境線上の蟻 #3


「死ぬときのことを考えたことはあるかい?」
 君はその問いに少し迷う。慎重に言葉を探す。
 無言はときに多弁よりも雄弁に感情を物語る。

 一秒ですらそれを忘れることなんてない。人を殺す瞬間、その一瞬以外は死を思っている。
「そのときは……」
 君は語り始める。
「そのときは独りで何処か遠く……誰もいないところにゆく。そう決めてる」
「それはいいな。私も同じ意見だよ」

〝あんたはムリだ〟

 棘が、苛立ちがあらわになる。押し殺し続けた感情が発火しそうになるのを抑える。
 君は思い出す。子供のころを思い出す。貧しくも懸命に生きることに幸福を見た、少年時代が胸に生き続けていることを知る。

「あんたは……」
 君は狼狽を悟られまいとタバコに火を点ける。目の前のグラスのウイスキーを飲み下す。
「飲まないんじゃなかったのか」
 男の眼は笑ってはいない。だが声色には嘲笑が混ざりこんでいる。眉根を寄せ口角を吊り上げてみせる。
 屈服、征服の際になんども浮かべた表情なのだろう。君はそれを感じる。同時に蘇る記憶がある。
「あんたは……あんたは有名人だからムリだよ」
「そうかな? 名前などいくらでも変えられる。無名になることは名を馳せるより遥かに容易い。そう……いま、私が君を殺したとしても、君の名前など誰も知らない。そういうことだ」
「その逆も同じだけどな……こんな薄汚いモーテルであんたが殺されるとは誰も思わない。そして俺が誰なのかなんて誰も知らない。身を消せば何処にでもいける」
「それは契約違反、契約破棄どころじゃないな……。君の稼ぎでは違約金は払えない」
 そしてふたりは笑う。男が笑いはじめ、君もわずかに解放されて笑った。
「もう少し飲まないか? それくらいは私が奢ろう」
「ああ。ナッツかチップスでも買ってくるよ」
 これで充分だろう、男が札入れから抜き出したのは数十枚に及ぶ枚数だった。

 君は思う。
 俺には手も届かない、ありとあらゆる全てを手にしているんだろう。
 最底辺と最高部の人間だけがカネの価値を知っている。この世の全てとまでは言わない、だが、「カネはほとんどこの世の全てだ」と。
 それは理想論では踏み込めない現実だ、そしてそれはヒトが創造した最大のシステムだ。金の価値は人の価値を超越する。

 君はそのことを知りながら、禁忌を冒そうともする。
 運命とそれを与えた神を欺く、それほどの理由はないだろう。

 

……続劇

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2014-07-13 12:00 | カテゴリ:【小説】国境線上の蟻
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工業地帯 コンビナート 臨海 画像

国境線上の蟻 #2


 男はタバコをくわえた、そしてマッチで火を点ける。木の焦げる香、それから葉の香が漂う。
「火は使わない約束だ」
 君は告げる。そして左手を向け、マッチを寄越すように顎をしゃくる。
「タバコくらい構わないだろう?」
「タバコじゃない。火だ。マッチは俺が預かる」
 ふふん。
 男は鼻で嗤う。そして握り潰したマッチ箱を君の掌に乗せた。

「いくつだ?」
「何がだ?」
「トシだ。年齢だよ」
「24か25か、それくらいだよ。戸籍だとか出生を証明できるものはない」

 隣の男が自身の父親くらいの年齢であろうと君は思う。だが、彼にも彼自身も正確な年齢は分からないはずだ。
 そして互いに互いが年齢を必要としない世界に生きていることを知っている。

「仕事が終われば……その故郷に帰るのか」
「帰ることはない。故郷はもう、何処にもない」
 君が応えた直後、一秒にも満たない一瞬に呼吸の流れに変化がある。
 動揺ではない。
 男は君の言葉に感応した、或いは君自身の乱れに何かを思った。
 運転席と助手席の間に、静謐で透徹した緊張が交錯する。

「仕事のない日はどうしている? 趣味はあるのか?」
「趣味はつくらないことにしてる」
「どうしてだ?」
「生きることに楽しみを持ちたくない」
 迷いが生まれるからだ、君は言葉を途中で飲み込む。
「良い心がけだ」
 そして会話は終わる。夜を徹し南へと走り続けた、空は白み始め、前方をつがいの海鳥が横切る。
 螺旋を描くように、そして数字の8を象るように。

 鳥は自由だ。
 いつのころか、君は空を統べるように自由に舞う、鳥の姿を追い求めた。だが違った。
 鳥は自由なのではない。そこにしか居場所がないだけのことだった。
 それでも、鳥が風に乗り、虚空を踊る瞬間はこの世界で最も美しい光景だと知っていた。


…………続劇

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2014-07-12 00:00 | カテゴリ:【小説】国境線上の蟻
モデル 鳥谷敬 阪神タイガース 画像

夕焼け 高速道路 ハイウェイ 画像

国境線上の蟻 #1


 君はフロントウインドウの先、手が届くほどに近い未来、およそ2秒後の未来を睨みハンドルを片手に掴んでいた。
 空いた左手は色の煤けたコートのポケットのなかで何かを弄んでいる。
 音は鳴らない。いや、鳴ってはいるが聞こえてはこない。タイヤのノイズ、それから途切れがちに流れるラジオで音が拾われないように気を払っている。

「くだらない放送だ……なんだこの歌は」
 助手席の男がそのラジオを小馬鹿にする。だが、その男にしても聞いているわけではない。
「他にないのか? ディスクでもいい」
「ない。俺は音楽を聴かない」
 短く君は応える。そして横目に助手席の男の表情を伺う、対向車のヘッドライトが瞬間、隣の男の顔を夜闇に浮かび上がらせる。
 
「そうか。お前は音楽を聴かないのか」
 その問いは君を古い記憶に連れてゆきそうになる。
 瞼によぎるのは生まれた街……恐らくは生まれた土地でもある……裏寂れた港町の風景だった。
「ああ。生まれた街の音楽なら聴いたことがある」
 だからと言って好きだったわけじゃない、君はそう思う。
 鼓膜にこびりついているだけだ、記憶としてとどめておきたいわけじゃない。
 視点が再び僅かな未来を睨む。

「私は音楽が好きだ……子供のころは音楽を業にしたいと考えたこともある」
 君はそれに応えはしない。不思議に思うだけだ、なぜこの男はそんな下らない世間話をしているのか、と。
 俺とあんたは友達ではない、もちろん今後もそうはならない。
 この関係性は持続しない。数日における契約でしかない。

 希望をたどる旅ではない。君は希望を欲してはいない、男も恐らくはそのはずだ。

 浅薄な希望は絶望に駆逐される。圧倒的な絶望は安易な希望を殺す毒となり、その先に命は明滅する。
 彼らはそれをよく知っていた。



…………続劇


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2014-07-11 12:00 | カテゴリ:Twitter ✖ 文芸パンク

「祭囃子が聞こえる」











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2014-07-10 12:00 | カテゴリ:instagram × 文芸パンク


「敗残兵と子供の孤独」


兵隊たちが集うキャバレー、真夜中過ぎた宵の刻、
グラス傾け粘つく視線のピンナップ、
陽灼けて褪せた笑顔へ好奇の眼差し浮かべた少年期を思い出す、

トラック荷台で踊り狂う、ポニーテールの娘たち、
欲しがってるのは喉焼く火薬、
針の折れたターンテーブル、賞味期限の切れた音楽、

くだらねぇって舌打ちされて蹴り飛ばされた、
テレビが嘆く星の行く先、「いま以外の何がいる」って、
赤銅色の肌をした、半裸のマウロがマーガレットを抱き寄せる、

潰したイチゴにグラニュー糖を混ぜていた、
サラダボウルは二回転半、乳白色に混ざる赤を吐き出して、
半球体がわずかに浮いてた、流れゆかない泥にまみれた赤い白濁、
狂騒レースに明け暮れた、いまになれば不毛と苦く思いを馳せる、
赤い季節に何処かが似てた、

生き先知らぬ子供の孤独、変わりようにも術のない、
空腹たちが集うキャバレー、敗戦後には体たらく、
夏の夜が匂い始めて、花火の煙に立ちくらむ、

酔い潰れて夢を見ている敗残兵、マウロが見る視界には、
かつての彼に重なる子供が眠り失い漂っている、
溢れ返った甘いはずの乳白色には蟻の群れが集まりつつある、
見ないふりを決めこんだ、兵の足元、
幾数千の黒い点々、



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2014-07-09 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・焦熱



「牛追いの走馬灯」


毒の針で罠をつくった、
心の臓の源である、獣の肉を摂るが為、
森林にて鹿を獲る、赤毛で角はまだ生えない、
滑らかなる血が流るる其れを、
朝には嬉々と緑を走る、担いでいる散弾銃さえ羽毛に感ずくらいに走る、

呻いていたのは四肢を持たない、伸ばせば一筋なる軟体、
見開く眼に縦の光線、仰け反りつつ睨みを返す、
殺陣遊びの如く綺麗な、傷で滲む赤に映る弱者である僕は、

神と崇める蛇を殺めた、許しを乞うすら許されぬ、
彼に過るは礼拝堂の壁一面、受難に絶える聖人たちの貌の諦観、

右から左の目蓋へと、受難の図が横切ってゆく、
神を捕らえたその罪は、
意思の有無など問えないことを彼は既に知っている、

やがて僕は蛇の眼を、神を殺した罪を経て、
新たな神を呼ぶための、生贄として捧がれる、
台座の十字、体に杭を打ち抜かれ、
滴り落ちる其の血液、漂い始める獣の匂い、

微かに手繰る最期の想いは牛を追った夏のこと、
丘陵流れる星と陽を、呼吸乱して走る犬、
たったのひとつだけ願う、あの友だけは逃がしてやってくれないか、
歌って駆けたたったひとりの友達の、牛追い犬の背中を描く、

受難の牧聖、彼の軌跡は影絵となって、
数百年経た現在は、
街の中央、礼拝堂の、壁に刻まれ史実となった、
犬と生きた夏のこと、静かに微笑みさえ浮かべ、
永久に走る少年がいた、






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2014-07-08 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・憧


「そばかす」


黄昏れ過ぎた、透き通りもせぬ頭上の群青、
流れゆく星ひとつ、一瞬灯って無言の藍、
月を中央、散りばめられた、
輝きたちは旅立った、幾億もの祈りの結晶、

過ぎた者は忘れてしまおう、其れも赦しの思いのかたちのひとつ、
ここには生憎、永遠がない、
忘れゆくから此処にいない者はいない、
それでいいんだ、それがいいんだ、

私は君を赦すから、君は私を赦し続ける、
これからずっと、これからきっと、
繰り返しのなかに生きてく、これからずっと、
それでいいんだ、それがいいんだ、

話す彼女の横顔の、頬を染める裸の炎、
気にしているそばかすが、夜の空の星よりずっと、
見ていたいだけだった、
流れる星屑より隣、隣の君のそばかすを、
いまも見ている小さく儚い生きた跡、

炎に揺らめく白い頬、耳たぶ揺らすくらいの囁き、
これからいくつ、これほど尊く、
どれくらい重ねゆけるかまだ知らない、
やがては小皺が増え嘆く、それでいいって笑顔で僕は、
思えるように生きていたい、
捧げる言葉はただひとつ、



写真はこちらで撮影させていただきました。
 Aさん、いつもお世話になってます。


world's end chronicle

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2014-07-07 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「陽炎」


夜の雨は悲痛に響く、地表すべてを濡らして誘う眠りの底に、
慈しみ、嘆きを溶かし合う、
泥の海へ誘い込む、

朝に歌う鳥たちは、陽炎にゆらめいた、
まだまだどこか飛んでくだろう、
疲れながらも空にしか居場所はない、

朝の雨が昨日を流す、過去は過去としながらで、
前に向かう力にもなり、風に吹かれた真横の雫、
そしてまた汚れてく、

犬は吠えた、太陽に向かって吠えた、光と影が対にないこと、
どちらも線の上にあると気づいた、

充分生きた、そんな気がする、
消えてなくなりたいと深海想う、
その底潜って光の漂い、見てみたい、

明日また生きる、命が続いているって分かる、
誰も彼もが悲しみながら生きてるらしい、

明ける日を、照らす陽を、
雨のなかさえ、泥にまみれる、

悲しみながら生きてゆくしかないみたい、
遠く揺らめく陽炎が、ゆくべき視界を惑わせる、



CLICK STAR SWITCH

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2014-07-06 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「冷血」


冷血漢と蔑まれ、
然し彼は手にする総て、ヒトより紙幣を愛すが故に、
清貧などは受けも容れずな、
その生、曖昧なる感情なんぞは出入りを封ず、
愛など一切、富の前には要ともしない、
走狗であると自らを、

刻には問いた、此の世に於いて、
理想がどれほど価値を持つのか、
詭弁でヒトは生きられぬ、ありとあらゆる絶望も、
未成熟なる者共が、空虚極まる希望を謳う、
お喋りなんぞは幾ら産んでも喰えもせぬ、

渡世に生きし博打者なら、
絆などとは冗談でさえ言わぬであろう、
何故なら其れは、家畜で或るを自ら認める不幸に過ぎぬ、
人の造りし神なる偶像、其れすら富のための道具と成った、
挙句に月さえ手配師が舞う、

未成熟なる年増の幼稚、
吠えるはいいが飼われていることくらいは気づけ、
其方がどれほど言葉尽くすも
渇きに渇き、飢えに飢えたる孤独なる、
浮世の市井の民々は、神に頼ることすらならず、
絶望なんぞはいまや退屈しのぎの塩胡椒、

永久に理想で埋めたくば、いっそ血肉でも売って、
其れから物を申せばいい、ヒトを以ってヒトは救えぬ、

冷血貫き続ける男、彼は原初の蛇に倣って、
あらゆる受難の刑罰を、聖人謳う紛い物へ送る手筈を調える、
冷え切る月の裏側で、凍るナイフを舌に乗せ、
罪の手配を鱗に記す、林檎の皮剥き齧りつき、
影の奥には蛇の眼が、其処には最早温度もない、




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2014-07-05 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・旅


「砂のよう」


水溜りに溺れる砂は、消えゆく月の光に沿って、
一粒ずつが眠らされてく、真夜中3時に地表を濡らす、
滴はボトルに何本くらい? 充てがわれた時間によって、
僕らは日々に削り取られて、

400字詰の原稿用紙、ゆくあてなど失くした言葉、
誰に届くでもない手紙、散らかるばかりの感情と、
冷えるほどに憂鬱な、誰も笑わぬ冗談と、
眠らず迎えた朝に毒、ラジオからは砂の舞う音、
黄金すら吐き気を伴い映る月、手のひらから逃げる砂、

咲かない花の種を巻く、灰だらけの砂のうえ、
木々に寄り添い漂うように、儚い時間と流れる水と、
溺れるだけの砂のよう、喉に絡まる声も砂、




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2014-07-04 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・焦熱


「地上ゼロのパッセージ」


向かい風をぶつけられ、僕らはときに転倒すらも笑えるのかな、
鼻先くすぐる土の匂いは、まだ咲く前の草いきれ、

寒さに耐える、そんな想いすらなく生きる緑のように、
爪先どうにか這いつくばって、蹴りあげる土、埃のなかを立ち上がる、

“どこまで歩ける?”
意気がるやら呟くやらの途方の合間、揺られる葉はからから乾いた笑い声、
春を待たず枯れゆく赤を、見ないふりは出来ずに立つな、
そこに生きるは汚れさえなく、美しさも誇らずに、

冬に生きる健気さを、笑う者を笑えばいい、
またどこかで逢うだろう、祝祭など手繰りもせずに、
土の匂い、そこに立ち、
背中に浴びる罵声を睨む、転ばなぬ者には分かるものかと、
大地の手触り、それをつかんだ、



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2014-07-03 12:00 | カテゴリ:instagram × 文芸パンク


「月夜のプール、オーロラに」


満ちる月は真円で、窓から差し込む微かさな光、
眠っているわけじゃなかった、近くにいるのにいつも遠く想う、あの娘のことが光に浮かぶ、
ふたりはまだ15歳、誰かを想うくらいの大人になった、幼く儚い取るに足らないものだとしても、
少しだけ悪いことをしてみたい、そのささやかさに神様は、
くすり笑って見逃すくらいの悪いこと、

どこにゆくも力がなくて、それをいつも思い知らされ、
いつも空ばかりを見上げ、ときに星を数えることも、
禁じられた夜のプールへ、ほら、その立ちはだかる壁くらいなら、
背伸びすれば手は届く、何もできない子供じゃない、

真夏の夜の一瞬に、咲くプールの月明かり、
星々も温い風に吹かれて波打つ水面に、オーロラを色づかせてる、
明日は何も分からないから、その光のつかめない輪郭だけを焼き付ける、
この光は明日にはないから、閉じた瞼に描き出す、それを忘れないように、

満ちる月が真円で、水に浮かぶ鮮やかな七色オーロラ、
眠っているわけじゃなかった、すぐそばにいる、
あの娘の温もり、その手の平を、汗ばみながら握りしめてた、
ふたりはもう15歳、誰かを想うくらいの大人になった、
幼く儚い取るに足らないものだとしても、
光のありかを知るくらい、そしてそれが僕らを導くもので、
プールに滲むオーロラを、いつまでも刻んでる、




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2014-07-02 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・旅


「カウガール・オン・サマーライト」


散らかり放題、サンダルを蹴る、扉のあたりはつむじ風の過ぎた後、
騒々しいだけクイズショー、答なんて知りたくもない、
最小限に絞る音量、なにが正しく騒いでるのか、
タバコの煙の向こうの原色、ほらまたあくせくしてる、

捨てる書なんて最初からない、だから飛び立つように街に出る、
麗しき夏の陽の、ざわめきたつ緑の木々と、シャーベットに似た白い雲、
なにが楽しいのかまだ知らない、黄色い自転車、
二人乗りの幼いふたり、いまはまだ運命だって信じてるかな、

おもちゃのピストル振り回す、怪訝そうに睨まれる、
退屈そうに生きるのを、選んだのはあなたでしょうよ、
鳴らないピストル、狙い定めて引き金を引く、

おもちゃのピストルばかりの世界、本物なんていらないけれど、
あまりにスリルが足りなくて、入道雲に欠伸する、
今日もどうやら運命の人は見つからない、それは知ってる、
どうせ日々は繰り返すだけ、

日々はいつも追いかけるのに、答はどこにもないらしい、
当たりのないロシア生まれのルーレット、
分かっていても引き金くらい、今日もこめかみあたりに引いてみる、




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