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2014-06-30 12:00 | カテゴリ:ショートショート・フィクション




「ボールゲーム20XX」


「なにして遊ぶ?」
 八月を直前にした炎天、貨物列車は西から東へ叫びながら駆け抜けてゆく。
「ボールある? 大きいのでも小さいのでも?」
 カーリーヘアを刈り込んだ褐色の少年が問う。
「今日は両方あるよ」
 片袖がないTシャツを着た少年はその腕に一周のタトゥーが覗く、肌の色は灼けた黄色で伸ばした髪は編み込まれている。
「じゃあ行こうか。誰かいるだろ」

 生温い風が汗をかいた肌を滑る、ふたりの横をトラックが追い抜いてゆく。舗装が剥がれて割れた悪路、荷台が何度もバウンドする。
 だが何が落ちるでもない。

 ふたりはマーケットの前を過ぎた、割れたガラスはテープで補修されているがそのうえをさらに割られたらしい。もちろん店内は暗く人もいない。

「昨日は何か食べた?」
「トマトひとつ。君は?」
「鳥……たぶん。ハトかカラスか知らないけど。父ちゃんが獲ったんだ」
「……いいなあ……。肉なんていつ食べたかな」
「今度、父ちゃんに頼んでみるよ。ジェンにも食べさせたいって」
「ほんとに⁈ ありがとうトラウト」
 彼らにはファミリー・ネームがない。かつては誰もが持っていた、だが、いまはそれを持つのは旧世代のみになる。

「結構集まってるね」
 倒された鉄柵を軽々と飛び越えて、ふたりは空き地の中央へと歩いてゆく。真上からの太陽だった、影は足元で縮んでいる。
 陽炎。視界に小さな背中たちが揺れていた。

「フットとベース、どっちやる?」
 子供たちの遊びは限定されていた、何をやるにも足りることはなく、そしていつも誰かがいない。その誰かは明日また会えるかもしれないが、もう二度と会わないかもしれない。

「ゴールは?」
 ひとりが尋ねる。
「じゃあ、あの窓。まだガラスが残ってる」
 人差し指の先には半壊した倉庫がある。
「バットは?」
 別の誰かが聞く。
「これでいいだろ」
 先端が鍵状に曲がったアルミニウムのパイプ。
「じゃ、どっちやるか決めるか」
 帽子を被った少年が手を開く、握っていたのは「100」と刻印された古いコインだった。
 弾かれたそれは回転しながら鈍い光をキラキラ跳ねる、そして砂の上に落下した。
「プレイボール!」
 誰かが叫んで痩せた背中の少年たちが散り散りに走り去る、それを陽が照らしていた。
 どこにでも見られた風景だ。ごくわずかな人々にとって遠い世界でしかなかった。
 そしてわずか先の未来において、その光景は世界のどこにでも見られることになる。
 過去と未来は現代を繋ぐ線なのだと、誰もがどこかで知っていた。


<GAME OVER>

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2014-06-29 12:00 | カテゴリ:instagram × 文芸パンク


「地図の向こう側」


きれいごとを並べてみても、
他の誰かと較べるくらい、
自分を知る術もたなくて、汚れを分かっていながらも、
飲み込んでは吐き出して、
澄み渡る向こう側、眺めては焦がれるばかり、
濁り色に立ち尽くす、

天使にだって、悪魔にだって、
なれないまんまやり過ごす、
脆く弱いケモノと知って、それでも強さは手にできない、
何にもなれない、何にもならない、
自問自答が揺れ動く、

“どうやって生きればいい?”

誰にでもなく呟いて、答なんてないようで、
儚い光を探してる、群れからはぐれた惨めなケモノ、
弾き出されて転がる愛想のない小石、

咲くを待たずに枯れる花、
実をつけずに折れる枝、
道端重なる枯れ落ち葉、
なにげなくて何故か悲しい、

身ぐるみ全部売り払う、なにもなくなる、
それでも呼吸は止まらずに、噛みつく寒さに震えてた、
身軽さだけじゃダメみたい、いつもそうこれからも、

雲ひとつない青い西に月を見つける、
今日も堕ちてくんだろう

繰り返してはひとかけらの感情さえもなくしてる、
そんな気がした、気がしただけで、
空々しい、想いが胸に滞る、

背骨が折れたツバメの一羽、
もがきながらも群れを追い、
点になるまで飛んでいた、

あの空、雲の向こう側、
あの国、地平がかすんでた、
向こう側には何がある?
聞いたりしない、誰も答えは持っていない、
地図ならもう置き忘れたよ、
焼き捨ててしまえば良かったと、
いまになればそれもひとつの答えだった、


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2014-06-28 12:00 | カテゴリ:ショートショート・フィクション


「ひどく雨の強い日に」


 その日は台風の接近でひどく強い雨が降っていて、眠りから覚めて見上げた空は黒くて、とぐろを巻く煙みたいだった。
 横からなぐる雨が窓を叩いて、風に振り回されている蔦がムチのようにしなって雨と一緒に窓を打っていた、テレビをつけるとレインコートのリポートがどこかの港で必死に声をあげていた、音量は絞ったままだったから、彼女が何を叫んでいたのか知らない。

 台風の進路はパネルにされていて、その円はすっぽりと私の住む街を覆っていた、注意報や警報が出ているらしくて、恋人からのメールには「無理だったら来週でいいから」って、そっけなかった。

 行くよ、行きますよ。
 身支度をととのえた私はひと気のない街を滑るように走って、水滴の向こうには滲む光が尾を引いていた、飛ばされた傘や雑誌が車道でバタバタと暴れていて、立ち寄ったコンビニはいつもより薄暗かった。
 台風の雨風に打たれてずぶ濡れの子供は普段と変わらない様子で、濡れたままの手でマンガ雑誌を立ち読んでいた。

 ビールとナッツとプリンとシュークリームを買い、レシートをデニムに突っ込んで、私はまたクルマに戻る。
 たったの数秒で髪もメイクも崩されて、ミラーのなかの戻りかけの私はあまり笑っていないみたいに見えた。

 もう少しで彼の住む街に入る。風はますます強くなって、木々を倒したいがためにやけくそになってるようだった。
 右カーブに差し掛かる、左の薬指のリングがちかっと光を跳ねる。
 たぶんきっと幸せなんだ、そんな気がする。

 だけど。
 それなのに、いま、この瞬間、私はこの台風で世界中が消えてなくなってしまえばいいのに、そんなふうにふと思う自分もいるって知ってる。
 そうならないことも知ってる。
 もう子供じゃないから、そんな無邪気にばかりはいられない、らしい。

 彼の住むアパートに着く、雨も気にせずベランダから手を振る、見慣れた笑顔。「バーカ」と喉の奥につぶやいて、私は彼の待つ部屋へゆく。
 まだ世界は滅ばなくっても、それはそれでかまわない。
 とりあえず、しばらくは。




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2014-06-27 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・旅


「サマー・ジプシー」


雨季を逃した、ずいぶん長く水に触れてない、
焼けた埃が鼓膜で踊る、
サマー・ジプシー、きれいなオアシス探してる、

ラクダさえも息絶えた、渇きに慣れるも程度ってやつがある、
潰したコブには血もなかった、
昼は375度の熱源、夜はマイナス、月がにらむ砂漠をゆけば、
変われずにいる自分ばかりが影になる、

青白い月の国、砂の上を漂った、
それから水だけ探してる、光るオアシス、あの乱れ飛ぶ光の水の幻を、

サマー・ジプシー、雨季のない砂漠を歩く、
じりじりなのか、とぼとぼなのか、どちらでもいい、そうは変わらず伸びる影は青白く、

サマー・ジプシー、爛れた月あかりの下を、
踊り娘はやたら無邪気を装った、
サマー・ジプシー、描く水は神の光で、それはいつ見つかるのか分からないまま、



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2014-06-26 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「モータープール、午前5時」


いつの間にか始まった、それはずいぶん経つらしい、
新たな季節を匂わせながら、
僕は過ぎ行く季節を思う、

何があった、何もなかった、
大きく変わった、
引きずるのは長く伸びてく赤い影、

またひとつ歳だけ重ね、変わらないを吐き捨てた、
回転なんて止めてくれ、
何がどうあろうと興味はないんだ、
そんなふりを決めこむだけだ、

なかなか火がつかないタバコ、
汗のなかで湿ったらしい、ひどい気分だ、
星が円形、ダイナマイトだとしたら、
意地でも火を点けてやる、

消えた光は探さない、
もう帰る気なんてなく、銀幕だけを追いかけて、
ムービースターを夢に見た、リンスカムに逢いゆく、
それくらいしか理由がない

変わらないもの、それは例えばガスステーション、
旅人たちは生まれ土地のナンバー抱え、
生きたい場所を探してる、

ここにとどまる、それは別に嫌いじゃない、
奪い合うカネ、もうそれくらいじゃ何も生まない、

太陽が生きる場所、向かうはそこだ、
解放されて、自らなんて解放してる、
そんな捨て身も悪くはないなら、

明日は明日で新たな光を求めるだけで、
消えたものはひとつひとつ忘れてく、
明日は明日で今日とは違う風になるだけ、
やがては砂へ、そしてそこには誰もいない、
探しているのはそんな風景、

夜が来たならくすねたビールで名前知らずと語り合おう、
何もないから生きてるだけで笑う憂鬱、
口ずさむはアコーディオンの赤い色、



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2014-06-25 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「雨のサーファー」


波を待つだけ、曇天続く放蕩者が集う水際、
視界の太陽、上下にふたつ、
波打つ鏡面、自由を謳歌する面々、
冷たくなる肌、諦め顔の波乗りたちがタオルを羽織る、

ひと気のまるでない渚、砂を巻き上げ南から走り去る風、
寄り添い合う老夫と老婆、赤銅色に灼けた若きを遠い目に、
倒れるパラソル色とりどり、等間隔に揺れるブイ、

あきらめ顔でナッツ食べたり、赤い舌出し、
物欲しげな親子のイタチを追い払う、
浮上してきた潜水艇は深みに迷ったクジラみたいに見えなくなかった、

咬み殺した欠伸はいくつ?
恋人の肩を抱く、囁く言葉がピアスを揺らす、
通りすがりが恨めしげに睨めつく視線、

貝殻集めて首飾りを作ろうか、
フルーツゼリー食べてもいい?
凪いでく波はもう立たない、帰ってベッドに潜り込もう、
もうすぐ雨になるらしい、ポットのコーヒー苦すぎて、
彼女が舐めてるキャンディ溶かして飲んだんだ、

インディゴ混ざる温い雨、
天が舌出し彼らを嗤う、
波乗りたちの楽園は、終わりを始めている様子、
やけっぱちな気になって、やけくそたちが雨の海に走っていった、

雨の季節の波乗りたちは溺れるふりではしゃいでた、
終わる楽園知ってなお、浮かれ続ける以外になかった、
街の歩道に揺れる雨傘、軒下眠るイヌが見る夢、
鉛の空と同じくらいに色がなかった、
それはおそらく放蕩者が夢の痕、



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JAM

2014-06-24 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「JAM」


見上げる高みに交差する、火傷の痕は飛行機雲、
雨が冷やせば其の傷は、なかったように消えるだろう、
晴れには雨の日を想い、雨には晴れるときのこと、

視界は霞まず澄んでいるのに映すべきが見つからない、
羅針盤なら捨てちまったよ今はたぶん、
深海にて北を射して静かに眠ってるんだろう、

雨が終われば空が始まる、
その先には広がる夜が、
隙を見つけて窓の外、なりたかった足軽に、
眩すぎる月光よ、足下だけを照らすわけにはいかないか、

何処でもいいと嘯いたのは白い風が流れてた、
向こう岸が見えない海は、苺ジャムが滞留しているようだった、
それは昨日の夜に見た、くだらなすぎる夢の出来事、

雨が終われば空が始まる、
その先には霞がかった朝が白く持ち上がる、
眩すぎる朝焼けよ、おまえはあまりに鮮やか過ぎる、
澄み渡らぬ日が欲しい、
そのときだけはおまえに手を振るくらいはできるだろう、




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2014-06-23 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・焦熱


「海の棺は水槽か」


目を閉じれば其処にある、深い底を模した海の棺か、
空想上の水槽に、水に溶けない欠片たちが漂いながら泳いでいる、
もう少し歩いてみようと言ったくれた日のことを、
呼吸までもが音なくたゆたう、いつでも思い出せるよう、

自由に夢を見、描くには、
知りたくなかった現実が、
靄のかかる視界に茫漠、横たわる、
其処彼処が乾き始めて泉を知らない駱駝は啼いた、
君は僕は俯きながら其の目を閉じて、
打ち上げられたシャチの肌を撫でるだけ、

なにもないならそれでもいいと、
強がることに慣れはする、なのに再び渇く喉、
飲み込む唾に味はなかった、

あまりにあり触れたる悲しみよ、
いまになれば分かること、自由や孤独や寂しがり屋に楽観主義や、
どれとも仲良くやれやしないって、
破綻者なのかもしれないけれど、仕方がないってときに思う、

さらばだ、常夜灯を探し続ける烏合の衆よ、
明日、僕はここにはいない、
だけど何処へ行くでもない、

滑稽だと嗤ってやれよ、欠片の想像力すらない、
真夜中、海月が漂い揺れる、
海の棺を持つに持てない、不遇を憂いる僕たちよ、




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2014-06-22 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「枷遊びのメランコリニスタ」


手枷だけでは飽き足らず、足枷までしてもがいてる、
絶望遊戯に興じる自称のメランコリニスタ、
其の痴態を斜めから、顎の下に眺める悪趣味なる不幸好き共、
浮世は標本沙汰にしかあらず、渡世の者が其れを売り買う、

朧月夜が灯火の街を、淫らに染まる密林へと変貌させる、

夜明けを説く虚言者よ、
浅薄すぎる希望なんぞはいっそのこと吐いてくれるな、
届きゃしねぇし耳垢すら溜まりそうだとほざいて嗤う狗がいた、

浮世はまるで走狗の巣窟、
聞き飽きちまった希望を歌う歌姫もどきが真夜中は、娼婦へとなり赤い舌を滑らかに、
理想郷をシーツのなかへかき集めてる、

枷から逃れた足は何故か震えた、
あまりに不慣れな四肢の軽さは地上から解き放たれた、
飛び立つことを強要された、渡り鳥の雛のよう、

鳥たちよ、おまえはその蒼みの海をゆく、
震えたことなど忘れたか、天を枷に思うことはなかったか、
もしそうであったなら、地上にもがく自称の悲観主義者が情けを持ってしまうだろう、
腹に其の、細い骨を浮かばせでもして、
軽々しくも虚空を切り裂き、軌跡さえも残してくれるな、





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2014-06-21 12:00 | カテゴリ:ショートショート・フィクション


「見上げる先の糸」


 階段を探していたわけではないけれど、ふと見渡せばいつもそれは目の前にある。歩き続け、歩き疲れて、立ち止まりたくなったとき、必ず段差は私たちの爪先の前に現れる。
「上らなきゃダメ?」
 君が問う。
「ここで止まってられないから」
 私は言う。
「上ってしまえば、いまより景色は広がるよ。見てみたくない?」

 沈みゆく太陽が緩いカーブの輪郭をあぶり出す。震える膝をどうにか持ち上げて一段を踏む。ほんの少しだけ視界が高くなって、振り向くと俯いたままの君の頭が見える。

「さあ。ね?」
 私は手を伸ばす。君が手を出してくれるのなら、いまならまだ手と手を繋ぎ合わせることができる。

 もつれて丸くなって部屋の隅に落ちている糸屑のことを思い出す。それはどこか私たちとよく似ている。なぜかと言われても答えられない。どのように手を動かしているのかを聞かれても答えられないのと同じ。
 似ているから、似ている。それだけのこと。

「階段の先にはなにがある?」
 いつだって君は不安げに私を見上げる。一歩を踏み出せないから、私より背の高いはずの君を見下ろすことになる。
 見下ろしているだけ。
 見下してなんてない。
 ほとんど同じ言葉なのに、そこにある差は人を分け隔ててしまう。見下すことなんてないように、視線を真っ直ぐ君に向ける。

「あとひと息だから。深呼吸して、それから一段ずつでいいから」
 言葉はなく君はうなずき、私の手を握る。子供の手じゃない。節が張っていて、滑らかでもなくて、でも、子供のときと同じくらい温かい。

「子供のままじゃいられないから。いたくても無理なの。私たちは生きているからトシをとる、子供のままじゃいられないの。分かるよね?」
「うん」
「いこう? 一番上に着いたら、そこから歩いてきた道を振り返ってみようよ」
「……どうして?」
 誰が見ていなくたって、誰かに認めてもらえなくたって、歩いてきたんだから足跡を感じることはできる。砂場じゃないから靴の底の模様なんて残ってはくれない、何万人が何万歩を重ねてもアスファルトは顔色を変えない。
 それでも、私たちが歩き続けたことを体が覚えてくれている。
 足跡はそこかしこに誰かの道のりを残している。

 燃え尽きて沈む夕陽は明日のために眠る用意を始めている、どんなふうに過ごしても明日は生きるものに平等に訪れる。
 見上げる先には山へ帰るカラスたちが群れていた、地上を嘲るようにアクロバット飛行で空を踊っていた。

 世界の終わりのように思う。
 明日、繰り返しにも思える日が待っていると分かっていて、それでも、今日、また世界は終わるのだ。
 誰かれなく平等に。

 君が恐る恐る一歩を踏み出す。もつれていた糸がわずかに解けて、それから私たちは声をあげずに笑顔を浮かべた。





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2014-06-20 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・旅


「夜明け前は群青色に彷徨って」


小さなころから高くそびえる壁の向こうを想ってた、
背伸びしても見えない景色、干からびた土を重ねた壁の向こう、
荒れ地よりも緑が続く、地平線が見えるだろうと、
空想だけで空はいつも蒼かった、
曇るときには雨が降る、虹は向こうにまで届く、
気づけば背丈とささやかな、知恵が壁を越えさせた、

立ち塞がる壁の向こう、見えるはずの景色に梯子、
その高みから見た焦燥、
嗚呼、代わり映えのない風景、枯れた声のハイエナ笑う、
時計回りに進んだはずが、どうやら弱みを手にしたようだ、
せめて武器でも手にしてみるかと、煙る影をさらけ出す、

空々しい鳥の歌、やがて手にする絵筆とナイフ、
利き腕、どちらを選ぶだろう、
描かれたキャンバスを、引き裂くのか描き重ねるか、
境界線にてヒトは迷った、どちらを選ぶも何もならぬと、
傍で見ていたハイエナ笑った、笑ったまんま息絶えていた、
地続きにて壁がある、どちらも差のない現実だった、

最期に決めた地点にて、ヒトはその旅、終えるだろうか、
2秒ごとに過去になる、指の間にそれがこぼれる、
1秒ごとに殺されてゆく、牙を磨いで待つ獣、
伝わるのは呼吸だけ、深く吸い込む風は灰、

目に映る、景色だけが軌跡だと、
僕は僕に問い掛ける、
目に映る、景色だけが軌跡だと、
僕は僕を振り返る、
彷徨は、いまだ青みに満ちていて、
彷徨は、いつも青みに導かれ、
夜明け前は群青色に彷徨って、
夜明け前は群青色に彷徨って、




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2014-06-19 12:00 | カテゴリ:文芸パンク

「犬がくれたウェリントン」


使い古しのウェリントン、歪に反射する光、
それをくわえていたイヌは、あばらが浮いて絶えかけていた、
眩暈のさなか、倒れ込んで野垂れ寝た、
目覚めた視界に彼はすでに眠りついてた、

夏の日に、泡沫なる夢を見た、
淡いシャボンの跳ねる色彩、手を繋いだ親子が笑う、
枯れ果てたはずの街、金と銀に潤う世界、
泣き声なんて聞こえない、あまりに理想でしかない夢想、

歩き疲れた、もう何処にも行かないと、
放り投げたトランクからは軌跡を繋いだ世界地図、
至福に満ちた場所はなかった、
ゴーストタウンか墓場か葬列、「いずれ」を思えば無理もない、

レンズの割れたウェリントン、
ひびだらけの視界はまるで、彼が見て来たヒトの居る場所、
殺し合いさえ大義を持って、
悲哀をこめて呟く言葉はモルモット、
僕らは彼らと大差ない、

目を閉じる、そして夢の続きとその足跡、
ウェリントンはもう要らない、
しばらくここで眠っているから、眩暈のさなかに見た景色、
軽薄すらも装って、いまだ青い空に口笛、






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2014-06-17 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・焦熱


“Baby, please kill me”


「愛してる」って、そこらじゅうから拾い集めて、
口移しに言ってあげるよ、だから早く私を殺して、
永遠なんて何処にもないって、証明して欲しいだけ、

昼間は皿を洗っているの、擦り切れるのは指の先、
赤くて甘い鉄の味、シンクのなかは私だらけで、
月が騒ぐ夜みたい、獣が導く底まで深く、

「愛してる」って、吐き気するほど言ってやるから、
早く私にナイフをあてて、永遠なんていつでもあるの、
それを証明したいだけ、

内股の、白く柔らか青い筋が浮かんでる、
そのあたりはキズだらけ、なんど書いてもきれいに痕が残らない、

残したいのはキル・ミー・ベイビー、アイ・ラヴ・ユーじゃないのが「らしさ」、
夜には月の明かりの下で、乱れたままのシーツの上で横になる、

「愛してる」って、痺れる唇、言ってあげるよ、
そんなの単なる寝言でしょうよ、欲しいものは見つかった?
探しもせずに見つかるはずがないでしょう?
願いのひとつも叶えてくれない、それならそれで、
早くこの部屋から消えてって、次の誰かが扉の向こうで待ちわびてるの、





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2014-06-16 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・憧


“girl and eye-scream”


空の下の夏曜日、弾けるソーダの川沿いキャンプ、
上流には釣り人たちが、海の近づく下流の岩場、
シエスタごろには木漏れ陽のなかハンモック、
サーフパンツとビキニたちが集まって、
思い思いに水辺に寄って、黄色い声をあげている、

跳ねるサカナの尾がひく飛沫、赤青黄のシグナルカラー、
咲くパラソルの鮮やかさを反射する、
水のあたりで束の間の笑み、安い見栄で肌焼く人々、
下流が似合うリバーリゾート、

バニラビーンズ、ミントチョコ、クローバーを真似た傘、
アイスクリームを売ってる娘、白いTシャツ脱ぎ捨てて、
この夏、初めてビキニになって、足元溶けてかたちをなくした、
クリームなめる黒いアリたち眺めてた、
退屈しのぎに丁度いい、

買う気もないのに周囲にたかる、
薄っぺらい赤銅色たち、
陰で舌出す、近寄るだけで暑苦しいよ、

夕陽になったらパラソルたたむ、
誰もいなくなってから、
岬へ波を見に行こう、風が東を混じらせてたら、
明日はもう少し高いところへ、
アイスクリームを売りに行こう、
気取る上流、高値でアイスを買わせてあげる、
高みで偉ぶる皆さんを、冷ややかなる目で見てやるの、

好きな場所にゆくくらい、彼女は自由を持っていて、
今日から夏曜日なんだと決めた、
もっともっと暑くなれ、
いまより自分を解き放つ、そんな気分の夏曜日、




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2014-06-15 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「砂のよう」


水溜りに溺れる砂は、消えゆく月の光に沿って、
一粒ずつが眠らされてく、真夜中3時に地表を濡らす、
滴はボトルに何本くらい? 充てがわれた時間によって、
僕らは日々に削り取られて、

400字詰の原稿用紙、ゆくあてなど失くした言葉、
誰に届くでもない手紙、散らかるばかりの感情と、
冷えるほどに憂鬱な、誰も笑わぬ冗談と、
眠らず迎えた朝に毒、ラジオからは砂の舞う音、
黄金すら吐き気を伴い映る月、手のひらから逃げる砂、

咲かない花の種を巻く、灰だらけの砂のうえ、
木々に寄り添い漂うように、儚い時間と流れる水と、
溺れるだけの砂のよう、喉に絡まる声も砂、




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2014-06-14 12:00 | カテゴリ:文芸パンク


「メビウス」


冷えた月の裏側で、青と白の想いぶつかる、
音よりずっと速い速度で、互いに螺旋を描くよう、
澱みきったコールタールの、空気の星に住まう人、
鉛の風がのしかかる、なおも歩かざるを得ないんだろう、
それはそれで、ずっとそれで、
月に生きられない者は、この地に這うよう生きるだけ、

ただでさえ荒れた地に、なおも煙を降らせる雨が、
眩しいくらい光るオレンジ、太陽浴びた、
もう終わりを見せているのに、まだ先を急がせる、
僕らは無目的なイヌ、食べ残すほど弱くはない、
生まれた場所に眠る孤独を、引き裂いても呼吸を保て、
いくらでも汚れてやるよ、ここに生きるものとして、

好きも嫌いも容赦はなくて、抗うことも出来ぬまま、
何がどうだと迫るように問い掛ける、優しさをひと握りだけ、
ポケットに突っ込むふりで、争うものと囃すもの、
その中間あたりを突っ切るイヌは、舌を虚空に滑らせながら、
そのちぎれた尾を廻す、回転式のピストルみたいだ、

冷えた月の裏側は、砂漠と湖しかなくて、
そこには墓標が立っていた、もう幼少過ぎたはず、
かつての子供もいまは大人で、
水辺で花を咲かせる種を、歓び合う日を幻視する、
占い師はいつかここに暖かなる雨が降るって、
細い指で手招きしてる、生きるだけの獣の僕は、
ただそこへとたどりつく、





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2014-06-13 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・旅

「遠い太鼓」


夜の沈黙、朝の喧騒、その逆もまた然り、
幾重にも積み重なりしは、たゆたうように揺れる中空、想起させじの我が生よ、

今日もどうやら駄文綴りし、そうまたも、代わり映えなく生く体、
意思を持てと言い聞かせた昨夜のことや、
空いたままの煙草の箱を、握り潰すはこの両手、

耐えゆく者として征くも、またも意識が疎ましき、
今朝は今朝とてやはり目覚めし、まばゆき陽がやりきれぬ、
美しき言の葉は、閉じた本のなかにだけ、

どこかに鳴る旋律は、誰が為に鳴らされるのか、
遠くに聴こえる太鼓の打律、いま打つ胸の音色にまだ似てる、



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2014-06-12 12:00 | カテゴリ:文芸パンク

「放課後のビーチサンダル」


ひとけのない校庭は、すみに咲く緑がずっと、
どこまでだって続いてゆくよう、
まるで小さな草原みたいで、
南から吹く湿った風は、
ハーブと透き通った水の匂い、
もうすぐそこに夏は待ってる、
雨が降るたび、むせ返る草いきれとアスファルト、

海を探す旅人たちと、
彼らを待つ原色ばかりのビーチパラソル、
名前だけしかまだ知らない、
いつか行こうと約束だけした、
ヤシの樹の島、今日も遠くかすまずに、

放課後、僕らはビーチサンダル、
置き去りにしたローファー、
今年初めて麦わら帽をつかんで走る、
雨の気配に包まれて、風のなかを縫うよう走る、

あの子と初めて重ねた指は、
心臓みたいに高鳴って、熱く熱く溶けてゆきそう、
何もなくて何もかもある、
ここにいるのはふたりだけ、
それがただのまぼろしだとして、長くて黒い髪が風にふくらんで、
目を閉じても光が見える、

色違いのビーチサンダル、足跡は砂のうえ、
黄色い声と変わり始めた僕の声、
あの緑の坂道を、越えた向こうに広がる水平、
毎日生まれ変わるのは、
この世界の誰もが同じ、

単純だからかそんな気になる放課後は、
色づく海と空と樹々、白く華奢に伸びた足、
膝小僧の擦り傷痕と、
何かがまた始まるような陽気な予感、
いまこのときだけ生きている、
光に満ちた放課後ビーチ、



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2014-06-11 12:00 | カテゴリ:文芸パンク

「“stay foolish”」


斬られながらその地を這う、道はなくも広がる風景、
ああ、まだこの旅路の果てにあるはずは、導こうともせずに待つ、
愚弄なる日々、死んだ鋼鉄、
そいつの背を押しながら、無限にも埋没しうる、連なる扉の前に立つ、

乗り続けた列車はもう、途切れて終わる岬に朽ちた、
あきらめ顔の旅人たちは、足跡ばかりを睨んでる、
日焼けた脚の痺れる痛み、くすぶり続ける焦燥と、
造船ドッグで沈んだタンカー、見上げた空はまだ先がある、

相変わらずか、それもいい、今日はマシだ、それもきっと悪くない、
僕らが生きるこの荒れ地、せめて慈愛に委ねられたら、いくらか呼吸も楽になるんだ、
ぶつかり合うんだ、いつの日だって、そして泣いては消耗ばかりを繰り返す、

愚かなる者、その旅路、未来はどうだ、そんな余裕はここにはなくて、
赤みの強い心臓を、その結んだ拳で打ちつける、

まだ見ぬ果てで何想う?
たどり着く場所はどこ?
理由も自由も忘れてる?
まだ少しずつなら歩けるだろう、一直線に睨む空、
その下には何ひとつないだろう、同時に何が待つだろう、

闇をゆくなら、傍らには誰がいる?
光のなかに消されぬ人の笑顔はあるか?
倒れたときに差し延べられた温もりは、
消えることなく輝くだろう、

やがてまた巡り会おう、
いつかまた巡り会おう、




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2014-06-10 12:00 | カテゴリ:文芸パンク

「太陽のかけら」


刻々と変わり続ける光の種は、影をつくり陰の在りかを酷なまでに照らし出す、
そのなか駆けゆく子供達、まるで健気で無邪気な小さき花みたいだ、
よろこびばかりをその身にまとい、ずっと先まで進めばいい、

幼子抱いた美しくも逞しい、枯れえぬ花は今日もまた、
その手と胸に手繰り寄せた光を抱いて、
まばたくごとに光を放つ、陽の子の背中だけ見てた、
じゃれ合う孤独なんてまだ知らない、傷つく前の白いつぼみを、

汚されてゆく世界の片隅、胸を離れた僕たちは、
ときに背のほう振り返る、花が散るなら人も同じだ、
たかがしれた小さな生き物、無情に過ぎし時を思えば、やはり愛おしむは今だけだろう、

太陽のかけらたち、雨も風も頬に受け、明日に惑わず光に向けて走ってく、
太陽のかけらたち、擦り傷だらけの膝忘れ、痛みを忘れて走るんだろう、





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2014-06-09 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・旅

「軌跡のゆきさき」


雨天炎天、横から殴る汚れ風、
這う地に見る花、頭は垂れて、
永久なる眠りにつこうかとさえ、
軌跡の果てに波飛沫が光を放つ、

崖の淵を歩みながらも、
眺め見るは生まれ出ずる青き波間に、
鳴らない風車が並んでた、
遥か遠く過ぎ去りし、景は足跡、砂のにおい、

意味問うほどの無意味はあらず、
ならばまだ眠ったほうがいい、
不埒な夢を見るならば、
それはそれで生にあれ、

架空の日々を描き見るなら、
眠らぬ魂持つ者として、あるいは魂持つ物として、
不確かなる虐殺にさえ興じてみれば、
果てに君は何思う?

律する、それを厭う間すら与えられずに、
演じる、そればかりに削られているようで、
不確かなる未知をゆく、
今日がそうなら、明日もまた変わらずで、
不揃いなる両の足で、

意味を問う無意味さを、
意味を問う無意味さを、

雨天に想い、炎天にさえ、
泳ぎ疲れた魚のようで、
折れた翼の蛾のようで、
汚れ風に流される、

生まれたての僕は、
生まれたての君を思った、
まだ未知はさらなる道をともなって、
道はまたもやさらなる道に軌跡を描く、




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2014-06-08 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・憧

「眠りの木々」


森の木々さえ色づく赤は、
眠りからは目覚めなくも褪せずに散り舞い、日々をまた切り裁く、

求めたのは優しさなのか甘みに過ぎぬか、
どちらにせよ束の間をゆく孤独は今日を深くも透徹、
冬支度のリスとウサギはキスをしながら、渇いた葉を弄ぶ、
小さな坂の我が家に急ぐ、“いつかまた”を目配せしてる、

寡黙な日々を生きしヒトには遠かれど、
やがては永久の眠りに着く日まで、支度だけを重ねる日々か、

眠りにつく木々を眺めて、火蓋を切る狂騒に、
疲れ果てもするだろう、それでなおも我々ヒトは、
濁る流れに飲まれながらも生き抜く他に術はなく、

狂騒やら競争やらを、
誰かを思う狂想歌にし、
ただのひとつであるにせよ、
せめては慈愛だけを歌にして、



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2014-06-07 12:00 | カテゴリ:文芸パンク・旅

「羊飼いの歌」


弧を描く、視線の先はゆるいカーブで淡い緑の、
どこまでも続いてく、そんな錯覚くり返す、
幼いころに幻視した、胸のなかに宿る光景、
ずいぶん長く歩いてた、もう足跡は手繰れない、

羊たちを連れてきた、四季と未知を塗り替えた、
祈りと願いはささやかに、今日を静かに過ごすこと、
健やかなる日が目覚めたころにもありますように、
街はどこも文明に充ち、享受してると人々は、
どこかそれは操りの、使い棄ての人形のよう、
先をゆく、羊の丸い尾、
導かれてるよう、それを追うのは羊飼い、

永遠の、緑が連なる野に立って、
その場を旅の終着に、彼女は一歩を羊に連られ、
群れなす彼らは老いた少女を、
急かすでもなく引くわけもなく、
音のない眼は青い光を、子が子へ引き継いでゆく、

もう少しなら征けるのかしら、
もう少しなら征けるのでしょう、
羊たちが待っているから、
緑の永久、私はいまだ見ていないから、





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2014-06-05 12:00 | カテゴリ:文芸パンク

「対岸にトランペット」


風に乗る、さらに言えば風になる、
音色はギリシャ猫の甘える声で、
なのに鋼鉄の口笛みたいに鋭く射抜く、
向かい合わさるその呼吸、
絡み合うよう溶け消える、ほんのわずかな瞬間だけど、
通じ合うのは希求の願い、

儚くも連なる日々を生きてゆく、やがては死が訪れる、
だからこその拙さが、僕らに光を降り明け渡す、
汚れようともひざまずこうも、歌うことは明日への何か、
きらびやかなるなどないだろう、
闇があるならそれがどうした、
生きてる限りは光も見える、

君が吹く、その音色を感じとる、
僕が吹く、その熱源は鉄になる、
吹きすさぶを突き抜けて、やがては星を廻りくる、
耳に届くものでなく、心臓をつく命、
ほんのわずかな瞬間だけど、通じ合うのは希求の願い、

対岸にトランペットがひとつずつ、向かい風を貫いて、
追い風求めて高みへと、
気流を見つけてそれぞれに、
鳴っては今日も響き合う、


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2014-06-04 12:00 | カテゴリ:文芸パンク

「花殺しのジルドレ」


冷たくとも花は咲く、
煤けた地に開く白は体温さえなく、
それでも吹きすさぶなかを生きていた、

健気な姿を見つけたジルドレ、
か細く弱いそんな色に見とれてた、
いくつも微か、色づきながら、
風に煽られ散る花びら、

悲しそうで泣きそうで、
ジルドレなぜか憂鬱げ、
背中で風を避けながら、
花の首絞め、根から千切った、
泣くことなんてもうないと、
ジルドレ、膝を震わせる、

華はなくとも花は咲く、
焼け野原に開く赤は感情さえなく、
それでも荒らされるなかを生きていた、

生きる悲しみ気づいたジルドレ、
か弱く泣くそんな花を踏みつけた、
いくつも微か、
色づきながら地に落ち絶えた花びら一枚、

悲しそうで泣きそうで、
ジルドレなぜか憂鬱げ、
踵に命を捩るだけ、
花の根を絶ち、そして思った、
泣くことなんてもうないと、
ジルドレ、膝を震わせる、




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2014-06-03 12:00 | カテゴリ:文芸パンク

「旅路の果てのラスネイル」


夜を飛び交うハチは群れ、
明滅する黄の街灯下に集う人々、
毒針刺しては墜ちてった、
毎夜繰り広げる光景、
痛みにさえ慣れ誰も彼もが夜を逃げてく、

ピザ乗るトマトやハムやアンチョビや、
生地からさらって具だけを食べるラスネール、
焼けるほどのチリソース、
口まわりの鮮やかな赤、
生き血を舐めた跡みたい、

数える数百ガールフレンド、
名前なんて覚えていない、
覚える気もないラスネール、だからハニーとしか呼ばない、
名前のすべてはハニーでいいと笑ってた、
覚えているのは肌触りだけ、
覚えているのはそのときの温度だけ、
それ以外はいらないらしい、
それ以外は忘れてしまいたいらしい、

孤独を感じたい夜、それは一日おきに訪れて、
家を持たないラスネール、荷のないコンテナ忍び込む、
ランプが燈す輪郭のない光、照らされたピリ・レイスの世界地図、
生きたい場所は見つからない

どうやら終わりが来たみたいだって彼は思った、
別にいいって淋しげさえなく、
けれど最期に触れた温もりだけを思い出す、

薄暗い鉄のコンテナ、冷たい檻みたいに見えた、
それから温もり残る手の平見つめたラスネール、
目を閉じ扉を引き開ける、
群れたハチのその塊、彼の体を覆い隠して、
ラスネールは悲鳴さえなく眠りについた、
もう孤独じゃなくなるってラスネール、

愛した名前をひとつひとつ思い出す、
ひとつひとつ思い出す、

 
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2014-06-02 12:00 | カテゴリ:文芸パンク

「海賊たちが愛した海を」


夏が近づく海辺を歩く、片手に夜を携える、
水の風は誰もが愛した、水平線から流れるそれは、
頬をつたって通り過ぎてく、

フィルムで見たいつかの憧れ、
くわえタバコにダービーハット、
趣味の悪いアロハシャツ、
二度と目指さない国の地図、

唇尖らせ、優しいはずの歌を吹いてる、
どうにも悲しい気分ばかりで、
忘れた名前が瞼に過ぎた、

夜がおおう海辺を歩く、片目に見るは美しき夏のヒカリで、
潮風、背中をなでてゆく、

海賊たちが愛した街を、砂の上に浮かべてる、
立つ絶壁にて灯る黄色を見つけた、それで、
唇尖らせ、導くヒカリに笛を吹く、
無限はなくとも終わりもないと、愛するものが待つ場所へ、

果たせていない約束を手に、
果たせていない約束を手に、





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2014-06-01 12:00 | カテゴリ:文芸パンク

「雨の街のフリオール」


その街の恋人たちは、雨に打たれたネコみたい、
傘は濁った雨に溶かされるから、
錆びたステンドグラスの鉄枠の下、身を縮めて寒さをしのぐ、

汚れた水は止まないまんま、
街路樹は健気にも、葉をつけては腐らせる、
壁の落書き、石ごと流され排水溝に倒れた男、
呼吸が終わる寸前だった、

葬列の汚れた白は錆びた白、
涙は誰も流さない、慣れているから、
慣れていなきゃならないから、
その魂は汚れているのに白かった、

フリオールは空を集める、
代わり映えない憂鬱を、切り取っては嘆き明かして、

〝いつかオーロラ、この街で見られたら〟

雨降る街の恋人たちは、
親のいないネコみたい、
傘は汚れ雨に溶かされるから、錆びたステンドグラスの鉄枠の下、
身を縮めて寒さをしのぐ、

開かない石の扉に閉ざされた街、
閉じこめられた人々を濡らし続ける、
壁のない空、それもまた憂鬱そうで、
フリオールはカメラ越し、光のない星を睨んだ、




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