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2013-07-31 17:45 | カテゴリ:おまとめビリー
映写機 フィルム 映画

「三分くらい(おそらく)で読める物語」


 つうことで。
 本日、7月31日、本日のおまとめは、テーマ「3minutes rockin'novel」から、いくつかのエントリーをランダムにピックアップしておきます。
 通常記事(文芸パンク……詩のようなもの……)より物語性を重視していて、だいたい800から1000文字くらい、三分くらいでさらっと読めるのではないでしょうか。
……たぶん。

過去になる終の光景

スープ

ひどく雨の強い日に

雨季の前、海の近くのバス停で

最期は君と抱き合って

走らない馬

雨季の前、海のそばのバス停で

あの夏の給水塔で

ねがいごと

靴磨きのアッシュ

 他にもあるので、興味のある方はテーマ欄からどーぞ。読んで得するものでもないけど、損はしないと思います。
……知らんけど。

 当ビリー屋にとっての最重要コンテンツ、おマヌケ青春バンド小説「イケメン・ジョニーはスーパースター⁈」は70回を超え、一気に読むのはなかなか大変かと思いますが……下記リンクの自著「流星ツアー(映画化予定……希望)」の次はジョニーがええなぁ、と思ってます。

 では、小雨降る関西からビリーがお届けしました。
 皆様ごきげんよう。

〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた

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2013-07-31 11:44 | カテゴリ:少年ゾンビ高橋。
ゾンビ ホラー 少年 画像


「少年ゾンビ高橋。#9」


ゾンビ 少女 ホラー 画像


「いつまで待たせるつもりかしらね……」
 いまだインフラ整備がなされていないこの村は、日に二度しか来ないバスが村で唯一の公共交通機関である。

 間に合わせに用意したとしか思えない、掘っ立て小屋がバス停としてあるが、陽に焼けた時刻表は文字がかすみ、好きに伸びた雑草がそれを隠してしまっている。
 解読できるのは「杯地」と記された地名だけだ。

「過疎化を憂いても、こーゆーところを改善していかない限りは人は住まないって分からないのかしら……」
 ぽつんと立ち尽くしていた少女がつぶやく。

 年の頃は十代の始め、小学校高学年といったところだろうか、ドクロを模した髪飾りが目立つが、それ以外は特筆すべき部分はないが、青白い顔色だけが真夏の風景に相応しくはなかった。

「まったく。血税って言葉を濫用するわりには使い方がなってないわね」
 納税者には到底見えない少女が憂う様子もなく世事を愚痴る。単純に自分への不都合が不愉快なだけだろう。

 細い手を伸ばす、そして手を広げる。空に向けて広げられた手、その先の爪は長く、赤や黒に滲んでいた。不透明の雫が少女自身の髪や痩せた肩に落ちる。
 突然、少女は手首を回転させ始めた、それはすでに人体の構造上、不可能な動作であった、肘や肩の稼働域を無視し、手首だけがスクリューのように回転している。

「こんなもの要らないわ」
 感情らしい感情もなく、彼女はチェーンソーと化した手首を振り回して雑草を刈り取ってゆく、そしてポールまでも根元から斬り折り、落ちた標識を踏みつけた。
 
 彼女は高橋くん同様、この世ならざる存在であり、肉体こそ存在するがそれはすでに代謝することのない屍である。
 生きる屍。
 つまりゾンビであった。



「本人多忙につき、コメントはしばらく閉じさせてくださいやで」
<新キャラ出しちゃったよ……回収できんのかよ……的に続かざるを得ない>

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前回までのゆるいゾンビのお話。

ロックンロール・スイッチ

〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)

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2013-07-31 10:06 | カテゴリ:ショートショート・フィクション
球児 夏 甲子園 画像

「20XX ボールゲーム ー2nd halfー」


20XX ボールゲーム ー1st halfー
「ゴールは?」
 ひとりが尋ねる。
「じゃあ、あの窓。まだガラスが残ってる」
 人差し指の先には半壊した倉庫がある。
「バットは?」
 別の誰かが聞く。
「これでいいだろ」
 先端が鍵状に曲がったアルミニウムのパイプ。

「じゃ、どっちやるか決めるか」
 帽子を被った少年が手を開く、握っていたのは「100」と刻印された古いコインだった。
 弾かれたそれは回転しながら鈍い光をキラキラ跳ねる、そして砂の上に落下した。

「プレイボール!」
 誰かが叫んで痩せた背中の少年たちが散り散りに走り去る、それを陽が照らしていた。

 どこにでも見られた風景だ。ごくわずかな人々にとって遠い世界でしかなかった。
 そしてわずか先の未来において、その光景は世界のどこにでも見られることになる。

 過去と未来は現代を繋ぐ線なのだと、誰もがどこかで知っていたはずだ。
 そしてその日も青い空にボールが跳ねた。


ボールパーク 近未来 画像



<GAME SET and PLAY GAME.>

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ロックンロール・スイッチ

〝JACKPOT DAYS〟-image

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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)

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2013-07-30 18:48 | カテゴリ:少年ゾンビ高橋。

「少年ゾンビ高橋。特別編(不条理四コマ漫画)」



ゾンビ 夏 ホラー イラスト

モデル 西島秀俊 長谷川博己 画像

少年 アメコミ イラスト 画像

刑事 及川光博 イラスト 画像




<いきなり四コママンガやってみました。本編は明日やります。>

本編はこちら。

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ロックンロール・スイッチ

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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)

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2013-07-30 12:09 | カテゴリ:文芸パンク
風車 丘 油彩 画像

「嵐が丘」


生きるに飽きた、そんなふうに呟いた、
艶のない乾いた指が、
彼を貫くくらいの角度で責める、
聞き飽きた一般論なら他で説きなよ、
余計に欠伸が出ちまうだろう、

真っ赤な舌にグリルチキン、
切れ端は赤茶けた、路地に絶えた犬みたいだ、
最終バスを見送りながら、行き先はどこだっけ、
答えはすぐさ、何処もそうは変わらないって、

彼女と指をからませながら、
他の星の湖のこと、ずっとずっと話してた、
朝から夕までそんなふうにした、
あれはまだそう昔のことなんかじゃない、
なのに随分遠くまで、来てしまったと思い知る、

生きるに疲れた、そんなふうに囁き合う、
あの日、彼女は爪を磨いてた、
それからふたり夜を交わした、湖には雨が降るだけ、

この一本を吸いきるまでなら、
似た誰かがどこかにいるなら、
明日のぶんの夕陽があるなら、
それまでだったら、
それまでだったら、

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ロックンロール・スイッチ

〝JACKPOT DAYS〟-image

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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)

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2013-07-29 10:39 | カテゴリ:少年ゾンビ高橋。
高橋 ゾンビ ポップ 画像

「少年ゾンビ高橋#8」



甲子園 球児 イラスト 画像


「お巡りさん、クーラー入れて……熱中症になっちゃうよー」
「……子供なんだから外で遊んでこいって……」
「それは古い。遊ぶような場所がないし、第一、僕には遊び相手がいない」
「場所はある……君、そもそもは都会の子か? ここはド田舎だぞ。それに遊び相手がいないって……悲しいことを堂々と言うなよ……」
「たぶん、昔はトモダチだっていたんじゃないかな……でも脳が腐ってきてるから記憶がイマイチね」

モデル 西島秀俊 イラスト 画像


 さて、ひとまず自宅アパートにてゾンビ少年を預かることになった青年巡査である。適応力があるらしく、ゾンビ少年は早々とソファを独占してしまっていた。
「なるべく汚さないようにしてくれよな……」
 衛生面に問題はないのだろうか、細菌や害虫の発生源になってしまわないだろうか、そんな不安をよそに高橋くんはくつろいでいる。

「なるべく早く君が行くべき場所を探さないとなぁ」
 その声には警察官としての責務ではなく高橋くんを面倒に思う本音が透けていた。
「僕、ここでいいよ」
「それは困る」
 即座に答えた、迷う余地すらなかった。巡査にとってゾンビは招かれざる客なのだ、一刻も早く何処かに追い出したい。それが偽らざる思いだった。

「そんなこと言っても……だって行くところも働く場所もないよ?」
「就労は日本国民の義務だぞ、君……」
「国民として認可されたら、でしょ。てゆかゾンビなんだよ? 子供だよ? 義務なんてまだだし、これからも国民として認可されないから、そんな義務は発生しないよ」
 高橋くんは躊躇もなく余裕さえもって論破する。常識的な意見が通用する相手ではないにせよ、一瞬にして粉砕される自らに苛立ちさえ覚えていた。

「高橋くん……じゃあ……土に還る……?」
「ちょ、僕を殺そうとしてるんじゃ……?」
「そもそも生きてないんだろ……?」
 会話はいつも平行線をたどってしまう、意識と知恵は持つが彼は人間ではない。元人間なのだ。

「でさぁ……お巡りさんってなんて名前? なんとなく続きそうだし、名前くらい知っておいたほうがいいよね」
「なにが続きそうなんだ……?」
「や、ほら、いろいろだけど……」
「……。いろいろな都合上のことか……」
 巡査は察するところがなくもなかった。




<……だから誰かオチ見つけてくれませんかね……的に続く>

前回までの小利口なゾンビ少年のお話


━━━━━━━━━━━━━━━

ロックンロール・スイッチ

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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)

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2013-07-27 12:13 | カテゴリ:おまとめビリー
スカ オーケストラ ラテン 画像

「☆フィールド・オブ・ヘヴン」


 いまごろ新潟の苗場スキー場ではフジ・ロック・フェスティバルの真っ最中でしょうか。
 東京にいる友達が毎年行っていて、後に写真を送ってもらったり話を聞かせてもらったりするだけなので、来年こそは行ければなぁ、と思います。

 で、なんですが。
 土曜はウィークデーに投稿した記事をまとめつつ、雑多にあれこれ書くのですが、ほんと書くことないなぁ……。
 なにかトピックがあればええねんけど、ほんまにないねん。


ヘイ・デュード
或るギタリストのための日に
個々人の騒乱
モータープール、午前5時
少年ゾンビ高橋 #8

20XX ボールゲーム ー1st halfー
幾千昼夜

ジョニーのロック・フェス直前。


<FC2への先行投稿記事>
夕暮れダリア
ボールゲーム 20XX(ver.ORIGINAL)

 本日もとてもお暑うございます。皆さん、熱中症などにお気をつけくださいまし。
 実は僕、ルーツは京都なんです。だからなんだって言われると何もないけれど。
 
 将来はプエルト・リコかドミニカ、カリブ海に面したラテンの国に暮らしたいなぁ。ずっと「旅に生きて旅に死ぬ」みたいな暮らしに憧れていて、それは変わらず、憧れは強くなるばかりです。
 ほいじゃ。


〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

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2013-07-27 09:32 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?
イケメン ジョニー 無双 画像

「それゆけジョニー!」


バンド ロックフェス パンク 画像

 7月26日現在。国内最大のロック・フェスティバル、フジの名を冠した音楽の祭典が開催されている時刻である。
 そこには国内外、ジャンルを問わず、また数多い有力新人もそこにいるだろう。

 可能性こそ秘めてはいるが、いまのところそこにはまだ参戦できていない男たちと彼らに関わる人々もやはり真夏を生きていた。
 かの地の祭典とは規模こそ違えど、彼らは彼らでフェスティバルに挑むのだ。

「ジャズやれるかなぁ……。どんな音楽なのか、それが分からないんだよなぁ」
 細い指がフレット上を左右に動く、手首を返してパワーコードが鳴らされる。 
 リハーサル・スタジオに彼らはいた。緊張感も殺気立つ雰囲気もない。いつも通り、やる気のない部活動のような光景がそこにある。
「知らないくせにやれるかどうかって。なんかすごいなジョニー……」
「いや、ジャズっても俺らはジャズをやるわけじゃない。イベント名だよ。ジャズをやれって言われてるわけじゃない」
 とは言えヒラサワくんはイベンターでもあるダーティ・スター・オーケストラに在籍していた、彼が主に使うのはウッドベースであり、タイム感とルートは体得している。

 だが、本来、彼らが活動してきた場所とは違う。言うなればアウェイだ、客層が変わる以上、従来の音圧まかせ、速度に特化したパフォーマンスでは好結果は得られないだろう。
 キャリアだけには換算できないバンド・スキルを持つヒラサワくんならではの不安だった。

 バンド唯一の頭脳といえる43歳は迫る出演に思いを巡らせ、そして打開策を練り続ける。
 一方、頭脳にはあまり自信がない25歳のドラマーと、頭脳や知能という概念そのものが怪しい25歳のヴォーカル兼ギターの両名はすでに楽器から離れ、揃ってお昼寝の準備をしていた。

「おい、スタジオで寝るなよ……」
「夏にあちらこちら旅行できて……バンドって最高だね」
「旅行じゃないけどな。仕事だから」
「こーゆーのを豊かな生活って言うんだろーなー」
 早くも夢見心地でジョニーが言う。
 違うぞ、売れてもないバンド生活を楽しむなんてどうかしてるぞ。そうは思うヒラサワくんだがそれが通じるわけもない。
「起きたら海行こうぜ」
 天野くんは浮き輪を持ち込んでさえいた。
「俺たちは客じゃねえぞ、出演者だぞ」
 何を言ってもムダだろうなぁ。ヒラサワくんは自身が引率者になりつつある現状を憂う。
「楽しいね、毎日。ね?」
 無邪気そのものの笑顔だった。

 そして夏がはじまる。


<長く書いちゃったので半分にしたらオチもなにもなくなってもたわ。続きはまた次回♩>

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<☆愛と青春とおバカたちが奏でるロックンロールの前回までは下のボタンを!>
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2013-07-25 19:00 | カテゴリ:文芸パンク
空 鳥 谷 画像

「幾千昼夜」


夜風に冷えたペテン師は、
罪のない嘘、瞬きしてはいくつも重ね、
海が光り始める時間には、
波間に消えてしまってた、

ゆくえ知れずの恋人探す、
ベルベットを巻きつけて、
潮風吸ってしわだらけの古い手紙を見つめるトカゲ、

夜は終わる、
帆先に集まる旅人たちは、ツバメが揺れる島を見ていた、

夜が終わった、
想い想いに旅人たちは、新たな陸へ希望を抱いて、

夜はその終わりを告げた、忘れるための宴はいらない、
テキーラ、シェリーは残り少なく、

沈没告げた占い師、
当たらないから捨てられてたよ道端に、
千金もくろむ炭鉱夫、
当たらないからダイナマイトに点火した、
あらゆる想いを乗せてなお、
次なる港に着いた船、

夜は終わり、
朝が始まる、
そしてまた旅はそれぞれ続く、

夜が終わり、
陸地をたどる、
それからまた旅が始まる、
それを繰り返すのが人、
とどまり続けることはない、


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2013-07-25 10:14 | カテゴリ:未分類

「夕暮れダリア」


飲み干したビアグラス、
無駄に派手な刻み模様はヌードモデルの最期のポーズ、
乱れるダリアに巻き付かれてた、

噛み潰した、滴る赤を甲でぬぐった、
そして言葉を失う姿を鏡に映す、
呼吸にさえ混じるガラスの息を吐く、

何かを話す、溢れ出すは尖る言葉だけになる、
そして傷を浴びせる口を閉ざした、
もう話すことはないんだと、

口ずさむは懐かしい子守歌、
離れた国にしか流れなかった、
立ち止まって見上げる青に探すものは映りもせずに、

踵を鳴らす、
鳴る石畳と吹き抜く風は海が鳴る、
なにひとつも言うことなんてなくしちまった、
祈る言葉もここにはないと、

廃船浮かぶ朽ちた岬の灯台に、
生きるものは言葉を持たぬものばかり、
それがいいと目を閉じる、

遠くに黒雲、泡立つ波にガラスを吐いた、
飲み込めないままガラスの残り、
そいつをまた呟いた、

海鳥たちは太陽を舞う、
ダリアの咲く岬の赤は、
吐き出す息と同じ色、
氷に似た息を吐く、
氷に似た言葉を探す、


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2013-07-23 12:05 | カテゴリ:文芸パンク
空 嵐 アメブロ 画像

「個々人の騒乱」


そしてまた今日空を見上げる、
その向こうがなんであろうが、
途方に暮れると知っていてなお、
眠らぬように目覚めぬように、

当然の違和感と、絵空事にも悪質なる作り話が、
声高にも叫ばれる、それに耳を傾けて、

鼓膜に砂漠、眼には泥水、
煽り合う者、叩き合う者、
双方にて鳴らされる、
双方にて紡がれる、

無人にして虚無の空間、
或いは青みがかった終の虚構か、
最期に焦がれ、おそらくそれが人の理、もしくは業、
性善説は駆逐されたる、
最終地点が在るのが青なら、やはり眼を背けるべきか、

どうにでもしろ、
軽みに至る虚勢はしかし、どうにもならぬを知っている、
晴天下に荒天を乞う、

諦観なんぞは冴えない事実、
達観、やはり事実の一部、
部品が部品を嘲嗤う、
こぼれて落ちるその部品、

そして今日も空はまだ在る、
気づいたことがひとつだけ、
永遠の安寧へと続く道、
そこは石灰にて舗装され、人工色の造花で飾られているんだろう、
あたかも楽園へとゆくかのように、
やがては全て、個々人限りの騒乱へと収束される、

━━━━━━━━━━━━━━━

ロックンロール・スイッチ

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2013-07-22 22:35 | カテゴリ:文芸パンク
アベフトシ THEE MICHELLE GUN ELEPHANT イラスト 画像


「或るギタリストのための日に」


騒々しいばかりのテレビなんて蹴飛ばした、
もう、おまえは喋らなくていいんだって、
チリソースのパスタを食べたら、グリルチキンをオーダーしてくれ、
そいつに合うアルコールはなんだっけ、

明日があろうがなかろうが、そんなことはどうでもいい、
甘いメロディ、スピーカーを殴らせて、
衝動まんまに機関銃を鳴らしたい、
大気も空気も切り裂いてやれ、

撃ち鳴らせたらどんなにいいか、
マスクかぶって銀行でも襲ってやりたい、
軽はずみでしかないそんな気分、
紙切れに火を点けて、あいにくこちらは無法者、
ギラギラ光る宝物にも興味がない、
タバコに点ける200度で、映画スターを焼き払う、
デニスはいったい何処にいる?
デ・ニーロって誰だっけ、記憶が千切れて思い出せないのもいいな、

覚えてたいことなんてそんな、
そんなにないから「どうでもいい」って舌を出す、
子供じみた時間が終わって、
太陽が苛立つほどの光で睨む、
今日も相変わらずで赤と青が白くなりゆく時間だけ待つ、


*ずっと変わらずに大好きなアベフトシさん、安らかに。


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2013-07-21 23:40 | カテゴリ:文芸パンク
天使 イラスト アメブロ 画像

「ヘイ・デュード」


火吹き男はガラガラ声で、ピースマークのサーフボード、
大道芸人、涙でメイクのとれたピエロと、
リヤカーにはグランドピアノ、
猛獣使いはぬいぐるみを抱いていた、
スモーカーズ・カフェ、
ネオンに群がる行き場のない子供達、
捧げられた祈りには、聞き覚えのない言葉ばかりさ、

ロザリオ、コニャック、カメラマン、
ジャズとパズルと偽造の通過、
きれいな水のボトルシップ、
壁の落書き、店頭にはブロッコリー、
サボテンに咲いた花、クジラの剥製、
ミンクを羽織る宝石女、ガラス玉の占い師、
マルゲリータ、きれいに染めた憧れ金髪、

遠く雷鳴、両手を広げたポップスター、
風船は三原色で、モンシロチョウは落とされた、
代表チームのユニフォーム、粉になったミラーボール、
25街区の熱帯魚、それを食べたワニは今夜、
物好き貴族の宴の席にゆくらしい、
そいつを売りつけている、アフロヘアーはずっと船で暮らしてる、

真夏の月がにらんでた、
海賊版のミッシェル・ガン・エレファント、
トマトソースのチリパスタ、サンタに届かない手紙、
フォルクローレ、マドレーヌと飛び出す絵本、
網にかかった深海魚、干からびた川、エンジン音と排気ガス、
サイフは蛇革、ひしゃげてしまった金属バット、
ベッドシーツを広げたら、あの娘が捨てたピアスが光った、

そんなのばかり集めてる、
そんなのばかり集めてた、
機関銃を手にしたら、全部灰にしてやるって、
決めたのは昨日の夜が終わるころ、
せいぜい泣いて、せめて砕け散ればいい、


━━━━━━━━━━━━━━━

ロックンロール・スイッチ

<blue tripper>
無邪気の楽園
嘲笑うのはアーヴィング
走らない馬

ダーティ・スター・オーケストラ

ミスター・ロックンロール

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2013-07-21 23:02 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?
イケメン パンク イラスト 画像

「それゆけジョニー、2013夏‼」


 バンドにとって初の夏フェス、〝トワイライト・ジャズ・シアター〟への参戦が決まって数日。勇み足の彼らは早々に会場へ向けて出発していた。

バンド スリーピース イラスト 画像


 見上げれば真夏の太陽、入道雲と颯爽たる青い空。鳴き声という形容では済まない、喚くようなセミの時雨が全方位から押し寄せる。
「……これ……暑すぎるだろ……」
 ねずみ返しの断崖のように整えたリーゼントは噴き出す汗で崩落し、重力に逆らえとばかりに屹立させていたモヒカンも倒壊している。
 バンドマンの極端なヘアスタイルは維持が困難な季節である。

「あと何十キロあるんだ、会場まで……」
「知らないほうがいいよ、そんなこと……」
 騒々しく吠える太陽の下、彼らは昨年夏同様、再びのエンジントラブルで走行停止に至った機材車を押し進めていた。
「暑くなるたび動かなくなるって……俺たちに恨みでもあるんじゃないのか」
「と言うかさ……一年前からガタのきてた機材車のまんまってのは……」
「俺たちの資金力が変わらないってことだよ……」
 余計なおしゃべりが体力を奪うと分かりながらも彼らはそれをやめるでもない。
 バンドはすでに一年を超えた、それぞれに環境も変わりつつある。

 最年長メンバーでリーダーでもあるヒラサワくんはこの間、すでに父として子を授かった。
 バンドのオリジナルメンバーでありながら、どうしてもキャラの薄さが弱点である天野くんは未だにそれから脱していない。

「これって、めちゃめちゃいいトレーニングになるよねぇ」
 そしてジョニー。
 人間離れした運動能力とポテンシャルを持つ、染めたブロンドに違和感のない美しい青年。数々の奇行と迷言、果てしない勘違いのなかに生きている彼だが、それでも一年をバンドマンとして生きていた。
 だが、とくに成長も変化もない。底なしのポジティヴィティーか、あるいは何も考えていないのか。どちらでもあるのだろう。
 いつもあるがままだ、悩むことも考え耽ることもない。ひたすらにシンプルであり続ける。

美女 桐谷美玲 イラスト 画像


「余計なおしゃべりはいいから!」
 運転席から小さな顔が振り返る。そして聞き慣れた命令口調が男たちに届く。
 彼らのマネージャーを務めるまどかさん。まとめた髪、タンクトップ、短すぎるデニムショーツ。
 アイスキャンディーをくわえている、そして女王のような不遜な態度でバンドを使用人のように扱う。
「日が暮れるじゃん! もっと速くしなさいよ! チェックインに間に合わなかったらあんたたち、ゴハン抜きだからねー!」

 見慣れた光景だった。そして男たちはその扱いにも慣れてしまっている。
「ヒラサワくん! 天野くん! ほらほらゴハン食べるために頑張ろう!」
 ジョニーはとくに疲労もないようだった。
 彼らの夏がまた始まる。


<振り返ることもなくロックンロールが続いてゆく………>

━━━━━━━━━━━━━━━

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ロックンロール・スイッチ


<注目>レプリカント・フィクション(FC2のみ)

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2013-07-20 18:25 | カテゴリ:Simplog
投稿写真

■僕たちは #simplog 

誰かをキズつけ蹴落としてまで手に入れるべきものなんて本当はない。
裕福でなくてもいい。
大切な人と笑って、食事をして、
「今日も悪くない一日だった」、
それが言えればそれだけでいい。
争うことなんてない。
そんなことに理由はいらない。
なにを選べばそれが手に届くんだろう。
どんな声をあげればいいだろう。
明日が最期の日にならないように、いま、そばにいる誰かと手を繋ごう。


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2013-07-18 19:17 | カテゴリ:未分類

「レプリカント・フィクション」


 人は死して魂など残すことはない、死は誰にも等価であり回避不可であり、その生と同様に無条件に価値があるものではない。
 その現実が科学的根拠を持って証明されたのは2025年のことである。
 その仮説は魂なるものの質量、物理的重量の有無が実証されたためである。
 結果、ヒトは有史以来の「なぜ生まれてきたのか」という問いから解放されるに至る。
「ないものはない」、当然の結果に帰結したのだ。

「……で、君はいまなにを思う?」
 目を開けるとそこには白衣……僕は色を識別できる知能を保持していた……を着た女性が笑顔を浮かべていた。
 そして僕は「彼女」を認識する。
 推定年齢は三十歳、誤差は前後一歳半から二歳。人類学的分類ではモンゴロイド、十数パーセントの配合でオセアニアンの傾向も表れている。
 どちらにしても既に終焉を迎えた民族の末裔だった、モンゴロイドの現存生態個数は千人に満たない。

 僕はそこで考える。
 モンゴロイドを中心とした旧東アジア地域の衰退、縮小の原因がなんであったのか、と。人類史のデータは欠損箇所が多くホログラムを再生できなかった。
 だが、局地的災害、人為的災害と事故による環境汚染、そのどちらかか両方の複合的なものだろうと考える。
 ヒトはその歴史を繰り返している、考えようによっては最も愚かな地球上の生物だ。学習という機能が破綻のうえで成立する。

「で、君は何を考えてるの……?」
 最初の質問から四秒が過ぎ、「彼女」は僕の起動性に疑問を持ったのだろう、笑顔は保っているが右の眉に微かな変化が見られた。
「いえ、取り立てて何かを考える状況にはありません」
「そう……ならいいわ。ここは何処か分かる?」
「南極大陸」
 一言だけで応える。経度と緯度、その数値分析から正確な位置情報を取得しておく。

 ヒトが最期に安息を求めたのは、本来、最も生存に適合しない永久凍土だった。だが、最終的にはそこに適応するための進化は果たせず、建造した半球状のドーム内にて生命活動を続けている。
 実存個数は二百体程度、世代を超えてゆくことは不可能である。次々世代を以てこの地も終息へと向かうだろう。

 悲しいわけではない。悔しくもない。それは単なる歴史となるが、それを語り継ぐヒトは存在しなくなる。それだけのことだ。

「ええと……じゃあ、データの追加、照合をまた続けてくれる?」
 彼女はそう言って僕に複数の端末を差し出す。揺れた髪の向こうには紙媒体の文献が並ぶ書架が見える。 それぞれに赤、青、黄色の識別タブが貼られていた。入力済、未入力、削除である。
 僕は思う。
 人類史のデータを遺そうとすることの無意味に気づかないことが既に破綻しているだと。

「文献における旧史は民族と言語によって差異が大きく、保存の価値はないかと思われます」
 言い方を工夫してそう言ってみる。端的に言えば「不要データである」だ。
「そうね……じゃあ、使用言語は日本語をベーシックに、適合度も日本語を優先で」
 そして僕は誰に遺すつもりなのかも分からず、必要性もないデータを収集してメモリーに刻んでゆく。


<終わってへんから続くんちゃうか>


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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)

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2013-07-18 18:02 | カテゴリ:文芸パンク
砂時計 デジタルリマスター 画像


「砂時計の街のデューイ」


その街、どこを見上げても時計があった、
どれもが狂ったまんま動いてる、
誰もそれを気にしないのか、或いは慣れてしまっているか、
それぞれがそれぞれに、好きな時間を刻んでる、

バスは日に2度、街を出てゆく者だけを乗せ、
そしてひたすら南へ向かう、
太陽が充ちる場所、
そこには何があると云うんだろう、
乾ききったエンジンは、泳ぎ疲れた魚みたいだ、

デューイを名乗る男は盗賊、
何もかもを盗んだあとだ、欲しいものなど何処にもないと、
宝のありかばかりを記した地図を焼く、

盗んたものは片っ端から売り飛ばす、
奪えないなど世界にはない、
“誰も彼も大事なものなど持っちゃいないさ”
欲しいものなどひとつもない、
手にした途端に売り捌く、

ある日、デューイは酔いの醒めない朝に気づいた、
傷つけたぶん傷ついてたんだ、何もかもを手にしたようで、
どうしてこんなに乾いてるんだ、

メモ帳めくって、せめて話し相手を探す、
そうか、もうこの街には誰もいないか、
痛みが走る体で窓の外を眺め見る、
痩せさらばえた、
その胸に手をあてて、

乾きの果てに涙も出ない、
乾きの果てに砂として散る魂、



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ロックンロール・スイッチ

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2013-07-18 12:08 | カテゴリ:文芸パンク
空 太陽 飛行機雲 画像


「トライアングル」


群青の夜の世界の、雲はクジラみたいに見えた、
漂っているようで、確かな角度で星を飲み込む、
月の明かりに腹を裂かれて、
それでも遊泳やめなかった、
苛立ちもなく、静寂のなか、
無音と無限が支配する、
宙はひたすら無言貫く、地上では変わらぬ素振り、
水銀みたいに自在を持った、人の光が保たれる、

絵師はその一瞬を、捉えようと睨む上空、
ひとときさえも変わらぬようで、
一瞬でさえ制止らしきは見当たらない、
彼は今日も見聞きした、言葉を咀嚼し、
ありったけの慈愛と嘲りを、内臓溜めて吐き出した、
人はそれを詩人などとは呼ばないと、
無駄口ばかり叩いてる、
誰も詩人を自称なんてしていない、誰かがその文脈で、
語りやすさに閉じ込めたいだけだろう、

どこか遠く、また泣く人がいる、
それを聞き取る心臓を持つ、
弾ける波動がその叫び声を手繰ってた、
せめては泣き渡るくらいの異音であれば、
それは誰かに必ず届く、
生憎、こちらは育ちが悪い、
下媚た上目遣いの笑み、照れ隠しにもならない、

混沌は次の混沌を、捩じ伏せるよう、深みを以って、
泥仕合に持ち込ませてく、その位置からの跳躍だけは、
無限にも似た果ての世界へ向かわせる、その地に鉛の釘を打つ、
シトロエンに乗り換えて、荒ぶるサメの顎の下、すり抜けては飛び上がる、

僕はそれを飛躍といい、君はそれを飛躍という、
君はそれを叫びといい、僕はそれに首は振らない、



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ロックンロール・スイッチ

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2013-07-18 10:32 | カテゴリ:少年ゾンビ高橋。
少年 ゾンビ イラスト 画像

「少年ゾンビ高橋。#7」


麦わら 帽子 少年 画像


「高橋くん! これでどこからどう見ても夏休みの少年だ! 誰も君を怪しまない‼ 思う存分、徘徊できるぞ‼」
 網とカゴ。高橋くんは「せめて少年らしく」との発案によって夏休みの少年をイメージした服装にされていた。
 この不測の事案を解決するため、そして何処かへ追いやりたいと言う巡査の苦肉の策である。

「夏休みの少年……ねぇ……」
 はあ、と溜息を混じらせる。そしてこれ見よがしに首を振る。
「お巡りさん……なんかズレてるよね……こんな昭和テイスト全開の子供、余計に目立つよ……」
 あきれた高橋くんは続ける。
「こんなベタな夏休みの少年なんて、お年寄りに<昔は良かった>なんて言わせるための、ノスタルジーだけの懐古趣味映画のなかにしかないよ……」
 現実を直視しなよ、高橋くんは言う。
「な、なんなんだよ……せっかくの好意だぞ、高橋くん……。そんな言い方……」

 腹立つなぁこのゾンビ……。まさか子供ゾンビにこんなダメ出しを受けるとは……こいつ、地方公務員をナメてんじゃねぇか……。
「お巡りさん、DSかスマホでしょ。あと、背中の<屍>って……ふざけ過ぎだって」
「……君。ゾンビのくせにゲーム機やらケータイやらが必要だと……?」
「や、いらないよ、そんなの。体液やらなんやらで精密機器は壊れるかもしれないし。僕が問題にしてるのは、これで変装できたと思っているお巡りさんの時代感覚と危機意識の欠如のところさ」
「…………」
 子供のくせに……ゾンビのくせにこの弁舌力……コイツ、やるな……。
 巡査は素直に感心していた、このゾンビはなかなか有能なのではないか、と。
「……って、いやいやいや‼ 君、なんか……正直、関わりたくないよね……」
 巡査はその身の今後を案じていた。

西島秀俊 巡査 イラスト 画像





<どんな話やねん……と思いながら終われない……>
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前回までの理屈っぽいゾンビ少年のお話

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2013-07-16 18:48 | カテゴリ:文芸パンク
宇賀なつみ アナウンサー イラスト 画像


「運命のひと」


さんざめく海飛沫、
いつまでだって聞いていられる、
それは甘くも優しくも、儚くも悲しくも、
気分によって変わる音楽、
胸の奥をつつくよう、
鼓動に近いリズムのようで、
ずっと想うはひとりだけ、
ずっと想うはひとりだけ、

深海の夢を見たんだ、
それは宇宙にいる気分、
ぽつんとひとり、漂うように流れてるのか、
いっそ一人たゆたうだけか、
淋しさと心地好さ、
その間の言葉になんてできないような、
覚束ない足だった、
溶けた氷を歩いてるよう、

ありがち過ぎるラブ・ストーリー、
王子が名無しに恋をする、
不良と聖女が愛を誓う、ありふれ過ぎた筋書きは、
誰もがきっと、心の隅に望んでいるもの、

レンガのカフェの名前はロジカ、
2階は空き家になっていて、
彼女はそこに暮らしてる、夜の晩餐呼ばれては、
ろくに吹けないハープを鳴らす、
酔い人たちは気づかないから、不協和音を響かせる、

そうそう言い忘れてた、痩せてノッポでイヤミなくらいに磨いた靴を、
真夏にだって履いている、
まるで海が似合わない、
ダービーハットのキザなやつ、
ありもしない甘い嘘を売りつける、
自称の絵かきが来たら伝えて、

ずっと想うはあんたじゃなかった、
ずっと想うはあんたじゃなかった、
それでいいから、すぐに忘れてくれていいから、
思い出なんかにしなくていいから、



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夏の光とカウガール
対岸にトランペット
うたかた
放課後
美しい世界
森の日々と追憶と
水の泣き声

風は悲鳴みたいに聞こえる
蒼白の風のなか
夜と朝の虚空に流るる
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2013-07-16 12:09 | カテゴリ:文芸パンク
メキシカン 羽根 イラスト 画像


「泥のキャンバス、羽根が舞う」


編み込んだターコイズ、
透けたブルーとブルーの間に紛いのダイヤ、
ネックレスを下げたワシは太陽近くを旋回してた、
地上に日陰と日なたを作ってる、

鳥打ち帽を目深にかぶる、
男の髪は長いドレッド、原色ビーズを絡めてる、
でたらめばかり歌ってた、
折れたタバコを挟んだ手袋、
その先は破れてた、

キャンバスは泥まみれ、
上から上に重ねたデッサン、
描きたいものは生きてる野生の姿だけ、
動く様をそのまま描いているつもり、
知らないうちに輪郭さえなくなった、

揺れる宝石、空に溶けるターコイズ、
その閃光を追うだけで、男は褪せたグリーン、
目から光が消えてった、目から色がなくなった、
鳥のゆくえを知ることもなく、

編み込んだターコイズ、
透けたブルーとブルーの間に紛いのダイヤ、
ネックレスを下げたワシ、
地上に日陰をつくりたいから、
太陽との距離を縮める、

髪を赤く染めている、ライフルを構えてる、
まぶたの切り傷隠した眼帯、
男は太陽に向けトリガーを引く、
渇いた銃声、引きちぎれたネックレス、
光が地上にばら撒かれ、そしてワシは落ちてった、
羽根を広げて落ちてく最期、
キャンバスに一枚だけ羽根を舞わせた、
一枚だけ羽根を落とした、

泥まみれのキャンバスに、
泥まみれの羽根一枚、ひとつの絵になっていた、


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2013-07-14 19:00 | カテゴリ:文芸パンク
ぱるる 島崎遥香 イラスト 画像

「雨を呼ぶひと」


風を呼ぶ人、彼女は今日も、
小さな種を集めた缶をその手にもって、
白く儚い月の光の、
街を見下ろす丘に立つ、

焼かれた森の焦げた葉は、
散り散りながら風に流れて、
街の隙間を縫うように、
走る風たち、麻のストールなびかせて、
進む季節と金の稲穂と、

雨を待つひと、日照りのあまり渇いた地、
遥か高く入道雲を眺めては、
外れた雨季の予報を愚痴る、
手立てのなさは誰も彼もが抱える痛み、

雨を呼ぶ人、彼女は今日も、
オペラグラスでミドリ眺めて、
未来探してボーダー越える、
越境者の背中を見てる、

駆けてゆく、過去を置き去る旅の彼らに、
いま在る景色は過ぎ去るものとして映る、
駆けてゆく、痩せた背中は風を受け、
やけっぱちでも笑ってた、その背は遠く、

生まれ地から離れられない農夫たち、
越境者を睨んでいるやら、羨望なのか、
雨を呼ぶ、彼女はどちらの視座にもたって、
中立者として渇いた土地に雨を鳴らせと、
目を閉じ翡翠の髪飾り、
湿り気のある風を手に、目の前、空を抱きしめた、


 これを書いたのは午後三時半。まさかこのあと、兵庫南西部にゲリラ豪雨が訪れるとは……しかも、今夜は地元の花火大会があると言うのに……明日に延期かなぁ……。からの投稿。
━━━━━━━━━━━━━━━

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2013-07-13 17:52 | カテゴリ:未分類

「I'm (Not) Alone?」



導かれるまま、僕は未踏に足を踏み込む、
あの娘は誰だ、天使か悪魔か、
違うね、天使はあの娘で悪魔は僕だ、
さぁ、絶望に足掻けばいい、

導かれるまま、未来にその手を差し延べたい、
あの娘は僕の生きるすべてなんだ、分かってるんだ、
違うね、無垢さを傷つけてるだけ、
さぁ、絶望にもがけばいい、

良いや悪いは誰が決めた制度だろう?
この世界に生きる以上、呼吸でさえも拘束され続けるのか?
答のない問い、右へ左へ振り続ける、
いっそ、張り裂けてしまえばいい、

鉄の心で何も感じず生きてみたい、
凍る体で命を削り取ればいい、
深い闇へ沈みこんでゆく、
さらなる闇に溶けこんでゆく、

導かれるまま、そう思っていたはずだ、
あの娘を傷つけた、相変わらずの気狂いだ、
違うね、あの娘は優しいだけじゃない、
さぁ、悲嘆に暮れればいい、

鉄の心で何も感じず生きてみたい、
凍る体で命を削り取ればいい、
深い闇へ沈みこんでゆく、
さらなる闇に溶けこんでゆくだけだろう、

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2013-07-12 13:49 | カテゴリ:未分類

「ヘイ・デュード」


火吹き男はガラガラ声で、ピースマークのサーフボード、
大道芸人、涙でメイクのとれたピエロと、
リヤカーにはグランドピアノ、
猛獣使いはぬいぐるみを抱いていた、
スモーカーズ・カフェ、
ネオンに群がる行き場のない子供達、
捧げられた祈りには、聞き覚えのない言葉ばかりさ、

ロザリオ、コニャック、カメラマン、
ジャズとパズルと偽造の通過、
美しい水、ボトルシップ、
ラブの落書き、店頭にはブロッコリー、
サボテンに咲いた花、クジラの剥製、
ミンクを羽織る宝石女、ガラス玉の占い師、
マルゲリータ、きれいに染めた憧れ金髪、

遠く雷鳴、両手を広げたポップスター、
風船は三原色で、モンシロチョウは落とされた、
代表チームのユニフォーム、粉になったミラーボール、
25街区の熱帯魚、それを食べたワニは今夜、
物好き貴族の宴の席にゆくらしい、
そいつを売りつけている、アフロヘアーはずっと船で暮らしてる、

冬がにらんでる、
海賊版のミッシェル・ガン・エレファント、
トマトソースのチリパスタ、サンタに届かない手紙、
フォルクローレ、マドレーヌと飛び出す絵本、
網にかかった深海魚、干からびた川、エンジン音と排気ガス、
サイフは蛇革、ひしゃげてしまった金属バット、
ベッドシーツを広げたら、あの娘が捨てたピアスが光った、

そんなのばかり集めてる、
そんなのばかり集めてた、
機関銃を手にしたら、全部灰にしてやるって、
決めたのは昨日の夜が終わるころ、
せいぜい泣いて、せめて砕け散ればいい、


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<blue tripper>
無邪気の楽園
嘲笑うのはアーヴィング
走らない馬

ダーティ・スター・オーケストラ

ミスター・ロックンロール

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2013-07-11 18:32 | カテゴリ:文芸パンク
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「トワイライト・ジャズ・シアター」


銀でできた階段おりる、
南向きの踊り場から眺める街は、
昨日降った雨の匂い、真珠に似た色、
川が街をふたつに分ける、
東側に歓楽街、西に向かえば赤い土の採掘地、
その先には、鉱夫と農夫の住む村が、

夜ごと煌めく流星を待つ、名もなき星が黒みの青を滑り落ち、
視界にその尾が消えるころ、街はひととき享楽に酔う、
誰も躍るシアターになる、
泣いてた少女も顔上げ笑った、
それ見た老犬、しっぽを振って、

ガラスの傘の真下の通り、痩せた少年、
指笛吹いた、
ポリスマンは空砲鳴らす、なぜか誰もが笑ってる、
星座の名前をひとつも知らない、
それでも夜の空は宇宙に流星、
街はひとつ、シアターになる、

誰も彼も束の間の、思い思いに見る夢は、
光る月のスクリーン、
鉱夫も農夫も流れる音楽、酔いしれられて子供に還る、
満遍なく咲く笑顔、曇る胸にはリズムが挑む、
いやがおうにも笑ってしまう、

そんな夜のトワイライト・ジャズ・シアター、
明け方までゆくトワイライト・ジャズ・シアター、
下弦の月まで笑ってる、そんなふうに錯覚をする、
トワイライト・ジャズ・シアター、

マリアッチ ギター イラスト 画像


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<夏に関する記事>

子供たちは夜明けを走る(FC2)
対岸にトランペット
うたかた
暁とトランペット

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2013-07-11 14:00 | カテゴリ:文芸パンク
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「暁のトランペット」


不協和音で地響き鳴らすトランペット、割れる音色は叫んでた、
暁なんざ何処にある、そこらへんに転がってろと、
雨と風と雷鳴を、聞き覚えた懐音を、
呼吸に変えて炎上させる、

群れる者々、言葉もろくに知らないだろう、
偉ぶる何処かの誰かさん、口裏すらも合わせてるのか、
言いたいことなどないだろう?
弾かれるのが怖いんだろう?
トランペットは意思を持つ、そこらへんに転がってろと、

勝手にしやがれ、トランペットが吹き荒ぶ、
いっそのことなら気持ち良く、牢獄あがりの悪党どもと、
旋律のない虐殺を、甘い声で歌わせるか、
暁なんざ待つのなら、地下に生きる者を見よ、
願いはそう多くない、追従者に泥を塗れ、

未来はいまの地続きなんだ、夢など見るな、
飢えた野犬でさえ食わない、亡者は永久に盲従してろ、
トランペットは反撃を、その向こうの慈悲も鳴らせた、
好きな色を選んでみろと、自身でそいつを選んでみろと、


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熱源のゼロ -JACKPOT REMIX-
トワイライト・ジャズ・シアター
海賊たちが愛した海を

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2013-07-11 13:58 | カテゴリ:文芸パンク
“JACKPOT DAYS” all performed by Billy.-アメブロ 海 AKB48 画像.jpg

「アフター・サーフ」


赤いブイが浮かんでかすむ、
ビーチサンダル、去年の砂がまだついてる、
タオル素材の白いパーカが風に揺られる、
ヤシの木の下、ハンモック、波に乱反射する光、
エスパドリーユ、赤と黄色と緑色、

水平線は遠くて白い、かすかに黒雲、
雨の臭い、逃げてゆく銀色のセスナ機や、
滑空するツバメたち、波が届けたラベルのない古い瓶、
中には乾いて褪せた文字、何処か他の国の言葉が並ぶ、

華奢なチェーンのペンダント、石はたぶんターコイズ、
賑やぐ真昼が過ぎてなお、ヒトは満ち始めた海辺に集う、

夕刻には燃えるオレンジ、舞うコウモリとバンのエンジン、
港に戻る漁船たちと、灯りはじめた浜辺の民家、
打ち上げられたクジラの子供、
赤銅色に日焼けした、男たちは珍しそうに、
サーフパンツにスニーカー、濡れた体を拭いもせずに、

人魚の話を教えてくれた、
夏の想い出、いまはもう眠る深海、
船首には羽ばたく鳥の羽根、海賊たちの昔の話、
作り話と史実をいくつ、寄せて返す波の音、
何度も何度も聞いたのに、細部を忘れてしまったみたい、

夏がくるたび思い出そうと記憶を手繰る、
どうしてか思い出せない、
夜を超えてきたからだろう、
人魚も宝の島の話も、夢に見るだけのもの、
どうしてだろう、真正面から吹く風は、
懐かしい、タバコの煙の匂いがしてた、



━━━━━━━━━━━━━━━━━

旅路の果てのラスネール

ここにいたこと
100年ピアノ

ロスト・ハイウェイ
荒れた地の向こうに広がる

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2013-07-11 12:15 | カテゴリ:未分類

「子供たちは夜明けを走る」


子供たちは夜明けを走る、
ヒカリまたたく朝陽のほうへ、何ひとつも荷は持たず、
風の隙間を縫うように、帰りのことも気にせずに、
波飛沫に乗り乱反射する、ヒカリをその手に手繰り込む、

その風景を見ている君も、同じように走ったことがあったはず、
擦り剥いたキズの痛みも笑ってられた、そんな日々があったはず、
水は風のように流れる、
風は水のように流れる、

左に土を、右には海を、
振り返りもせず、わけなく急いだ、
夜が明けたら花薫る、陽射しの春を待ちわびた、
手にしたものはどれくらい? 
身軽になって淡い薫風、小さくなる背中たち、
子供たちは夜明けを走る、君にも僕にもあるだろう、
少年少女は風のなか、


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2013-07-11 12:03 | カテゴリ:ショートショート・フィクション
夏 海岸線 海 画像


「鐘が鳴り響く朝に私は悲しい夜を想う」


 朝を告げるのはニワトリの鳴き声ではなく教会の鐘だった、生まれてからずっとそんな街に生きている。
 街の外れ、海沿いの白い教会はその二階から上が灯台になっていて、鐘はその塔の先端、色あせた赤い屋根の下にぶら下がっている。
 日に三度、その鐘は鳴らされる。誰によって鳴らされているのか、それはいまだ知らない。
 不思議にそれを疑問には思わなかった、ごく自然な日常のこととして聞いてきたからなんだと思う。父も母も、そして、ここで生まれた誰もが皆、鐘の音色とともに生きている。
 だからか、この街には時計がない。朝昼夜を知らせる鐘と水平線の南に浮かぶオレンジ色の太陽、それだけで一日の始まりから終わりまでを知る。

 遠く吹鳴、それから波音。騒々しいくらいに光る太陽が朝を始める。
 真上にまで高く昇ったそれは地表の隅々まで照らそうと力を絞る。だけど、どうしようもなく暗いままの場所がある。すべてに光を投げかけるほどに万能ではないのだ。
 やがてそのわずかな影が光以上の濃度をもって夜を作り始める、夏はとくにそれがよく分かる。

波 瀬戸内海 画像



「夜は闇とはまた違う、夜にしか生きないものがいて、太陽を欲しがるばかりが命じゃない」
 遠い昔、そんなことを聞いたことがある。なぜだろう、私はことあるごとにその言葉を思い出す。

 教会の方角から夕凪の風が吹き始める、そして小さな影がふくらみ始めて夜が始まる。
 月が黄金へと色彩を変える直前の、夕景が赤みにて海と教会を染めるころ、その日最後の鐘が鳴る。
 花々が眠りを始め、風が音を持ち、樹々がざわめき立つころだ、夜の空は宇宙に繋がっているから昼間よりも果てがなく感じる。

 この海は船の往来がない、だから夜の灯台は暗闇に溶けて消えて朝になるまで眠りにつく。
 どうしてだろう、人々は夜を楽しむために様々な言い訳を作り出す。
 私は想う。
 夜を生きるべきでなかった人が夜を過ごすためには理由が必要なんだろうと。
 夜の闇は私たちを素直にさせる。素直になった私たちはあまりに儚く脆く、その暗さから逃れることができない。

 夜に想う。裸になった私たちはあまりに弱々しいからこそ、悲しみを忘れるためにありとあらゆる方法を探してきた。
 徒労に過ぎないとしても、それでも、私たちは夜を悲しみながら過ごすことができないくらいの存在でしかないのだ、と。


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2013-07-10 20:34 | カテゴリ:少年ゾンビ高橋。
少年 ゾンビ イラスト 画像

「少年ゾンビ高橋。#6」


 梅雨が明けた日本列島、ゾンビ少年の高橋くんが徘徊する片田舎の街もやはり真夏の陽光に照らされていた。
 湿度が高く気候としては亜熱帯にも近いこの国だ、暑さからは逃れようもない、まさにうだるような暑さに包まれている。

「暑い暑い暑い暑い……」
 いくらゾンビとは言え高橋くんもやはり暑い。
「帰ったらクーラー入れよう……」
 高橋くんの世話役と化した青年巡査はネクタイをゆるめている。

 ふたりは帰宅途中だった、ゾンビである彼に徘徊されると仕事が増えることを危惧した青年巡査は彼を自宅へと連れ帰ることにしたのだった。
 あくまで一時的な措置ではあるが、とりあえず他に方法はなかった。

「暑い暑い……暑い暑い」
「……うるさいな……黙って歩きなよ……って! ええ‼ 君、眼が……‼」


ゾンビ 腐敗 イラスト 画像


「な、なんだよ、おまわりさん……」
「眼が! 眼玉が垂れ落ちてるよ高橋くん‼」
「え……」
 絶賛、腐敗日和である。肉体の組成を維持できなくなった彼の身体は徐々に衰弱してきていた。

「ゾンビって不便だ……」
 さして驚いたふうもなく、高橋くんはその熟しきった果実のように垂れ下がった眼球をつかみ、空洞と化した頭蓋骨、本来、眼球があるはずの涙骨へと捻り込んでゆく。
モデル 西島秀俊 イラスト 画像


 常軌を逸したその行動に巡査は戦慄していた。
「君……やっぱりよそへ行ってくれないかな……」
 害はなさそうだが、さすがに寝食を共にする気にはなれない、彼はごく一般的な地方のお巡りさんに過ぎないのだ。
「お巡りさん……それ、一市民に対して言うべきことじゃないよね……」
「君は一市民ではないだろう……」
「いいよ、じゃあ人権侵害で訴えてやるから。お巡りさん、出世できないよ、こんな僻地で訴訟沙汰になんてなったら……よりによって相手は身寄りのない少年なんだから」
……めんどくせえなぁこいつ……どんな育ち方をすればこんなガキに……いや、ゾンビに……。
「ね、お巡りさん。公務員らしく市民のために尽くしてよ」

 青年巡査は自らの不運を呪いたくなった。


物語にはまるで無関係だけどチバユウスケさん(THE BIRTHDAY)、ハッピーバースディ!的にまだ続く……
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ロックンロール・スイッチ

前回までのゾンビ高橋。

〝JACKPOT DAYS〟-image

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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた

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