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2013-03-28 20:39 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-image


「灰とシエラレオネ」



冬が終わった、春待ち風は正面から吹き突ける、
日々はさらなる濃さをもって、
僕を君を吹き飛ばそうとしてる、
君が壊れてしまわないよう、その羽根を手繰りよす、

穴だらけの体を抜ける、
ガラスの欠片混じりのリアル、
塞がらないままモーテル近くを西へゆく、
天使を抱いていたアッシュ、背中から散弾浴びた、
シエラレオネは死んでしまって、
蒼いままの胸は冷たくなった、
天使の敵を討ちたいって、
ただ独りの銀髪は、中立の非武装地帯を離れてく、

どうやらまだ死ねそうにないって乾いた唇を嘗める、
アルファロメオを睨んでる、
武器さえ持たない丸腰アッシュ、
奴らを撃てる言葉を探す、

天使の羽根を一枚ぽっち、
タバコがわりにくわえてた、
愚かしさには愚かしさを持ち、
悪魔にさえもなるつもり、
吠える番犬、ピストルかまえるブラックスーツ、

勝つはなくも負けるわけでもない、
愚者がその幼稚さと陰惨さを競うだけ、
濁流にまた飲まれ、
濁流に肺を潰され、

また今日を過去にして、昨日なんか忘れたふりで、
目の前、風を睨んでる、
それから風を突き抜ける、

目の前 風を睨んでる、
また風を睨んでる、
また今日を過去にして、昨日なんか忘れたふりで、
目の前、風を睨んでる、
それから風を突き抜ける、

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作詞/作曲
THE CIGARETTES

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ダスト・ドキュメント
音の記憶者
レベリウス



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〝JACKPOT DAYS〟-image

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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



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あの人への想いに綴るうた

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2013-03-27 20:15 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-image


「流転」



流れ着く先、それは晒され風に乗る、
答らしきは用意もなくて、
ただそこにたどり着く、
あるいは今日も寒風か、

栄華はなくも生きる術を知らぬまま、
明日も続く漂泊は、
身を焦がす灰の泥、
見上げる青みに眉をしかめる、

どうにかなると強がるふりで、
背中にはただ虚しい飾り、
不愉快さを押し殺す、
流れるフリンジ、
嗚呼、今日も気分が悪い、

慣れたはずの孤独を握る、
そのあまりの冷ややかさに目を覚ます、
鮮やかなる水は青みがかって、
記憶を手繰りて夕陽を思う、

朝焼けには栄光もなく、変わらぬ日常さえも漂う、
その自身を使い回しの道具になぞらえ、
野生の風に委ねてる、

流れゆく先、それに晒され風に乗る、
答らしきは用意もなくて、
ただただそこにたどり着く、
今日もやはり寒風だろう、

そしてまたさすらう日々を、
愛せるようにと慈しむ、
明日はまた明日、
さすらう日々で、闇のなかに爪を立て、



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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



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あの人への想いに綴るうた

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2013-03-26 08:05 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?

「それゆけジョニー!」


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「これでいいよね、あんたら……?」
 一同の前には一枚のサンプル写真が配られていた、そこにはバンドの顔写真が縦に三列、下部にバンド名が記載されている。
 四月からツアー会場、告知ポスターなどに使われる宣材、いわゆる「アーティスト写真」である。

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「な、なんだか……老けたなぁ俺……」
 中央に映ったヒラサワくんは43歳、25歳の左右のふたりに比べ、悲しいほどに年齢を感じさせる。
 ヒラサワくんはひとりだけジイさんになってしまったような、浦島気分でそれを見ていた。
「……現実にトシ食ってんだから仕方ないじゃない……」
 遠慮のない物言いでまどかさんが発言する。

「ヒラサワくんって……時代劇みたいだよねぇ。名前も喜左エ門だし……」
「そーゆー天野くんは子供にしか見えないわよ……童顔過ぎでしょ、あんた」
 ヒラサワくんと天野くんって……、おにぎりを頬張りながらジョニーが話し始めた。
「……あれに似てるよね、ほら……『ちゃん!』のチャンバラ」
……ちゃんのちゃんばら?
「なんだっけあれ……あ、そうだ、『子連れ狼』!」
「拝一刀と大五郎?」 
 まどかさんはそれだ、とばかり指を鳴らした、そして中空を睨んで少し思案する。
「子連れ狼系パンク、なんてウケないかしら……ほら、この間のサムライ写真もあるし……」
 意味が分からない。分からないが誰も逆らえない。

「じゃあ、俺は何役になるのかな……拝一刀と大五郎がいるから……」
「うーん。そうねぇ……」
 なぜ盛り上がるんだろう、バンドのイメージは何処へ向かうのだろう。ヒラサワくん、天野くんは不安に思う。
「ジョニーは……じゃあ、乳母車かな……?」
「……乳母車……。刀とかじゃなくて乳母車かぁ……」
 うーん。ジョニーはあからさまに不満げな表情を浮かべるが、しかし、彼は乳母車としての新たなイメージを発案しようと試みた。

「……でも、乳母車って……悪くないかもしれない……なんだかあったかそうじゃん。お母さんが幼い子供と散歩とかお買い物にスーパーとか……ね? エンジンとかつけた乳母車ってないのかな……」
「いや……。もう何がなんだか分からない……」
「ジョニー……。パンクバンドのフロントマンが乳母車でいいのかよ……」
 そう問いた天野くんだが、彼自身、その問いが理解不能なことに気づいていなかった。

 なんだかよく分からないが、バンドの新しいイメージ写真は「子連れ狼系パンク」という、完全なる未知の世界にシフトチェンジしてゆきそうだった……。
 今日もジョニー一座は脳内が小春日和のままであった。



<書いてる本人もワケが分からないまま、ロックンロールが続いてゆく……>


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アラジンよりは完全無欠のはずのロックンロールの前回まで



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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



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あの人への想いに綴るうた

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2013-03-26 08:01 | カテゴリ:文芸パンク

「夜がまた明ける」


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夜明け前が一番暗い、
きっと悲しいくらいの真実だろう、
いまこの瞬間も凍えている子、
涙さえも疲弊の果てに流せずにいた、

憂鬱げなロマンティストが無力感に苛まれ、
凍りつく夜明け空、オレンジに向け唾を吐く、

軽薄ズラしてヘラヘラ笑った、胸のなかに濁流が、
どろり溢れて夜明けを待って、
水夫は無言で明ける朝の外海へ、

楕円を描く黄金は、一周してまた東の空にたどり着く、
待ちわびた鳥たちは、白の羽根を金色にして、

ピースサインの足広げ、仄暗さに飛び出した、
さあまた朝が始まるんだと、
寄る辺もなく寂しそう、
呼吸忘れた独りの子供、ブランケットにくるまれた、
すでに閉じた両の目を、
忘れないよう、水夫は静かに見守って、

夜明け前が一番暗い、
きっと悲しいくらいの真実だろう、
いまこの瞬間も震えている子、
泣き疲れてただただ眠った、

夜明け前が一番暗い、
だからなんだ、それでも朝はやってくる、
吹鳴にも似たトランペットが闇を撃つ、
どこからか届いてる、休み明けの労働者たち、

光を放ち、光を手にし、
光を抱いて、
そしてそいつをまぶた焼き付け、
さあ、また漕ぎ出すだけだ、
疲れ果てて眠る子供は、永久なる光に包まれて、



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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



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2013-03-21 21:38 | カテゴリ:文芸パンク

「星を数える」


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星を数える、そんな夢を見る、
等級も名前さえ、無関係に繋いでく、
白く細い指でなぞって、

壊れてしまわないものを、
消えてしまわないものを、
零れる花々、未練なんてまるでないから、
壊れてしまうの気にしない、
消えてゆくに嘆いてしまう、人を憐れんで泣く、

薄紅一枚、ひらりひらりと、
眠りから醒めるとそこに、
淡い紅色、言葉もいらないひとしずく、
眠りを欲しがるその胸に、



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2013-03-20 12:03 | カテゴリ:文芸パンク

「灯台守のガール・サーファー」


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灯台守のガール・サーファー、
今日も南を眺めてる、
海鳥白く風に巻かれて舞っていた、
褪せた赤茶のレンガの壁に、
ボード預けて明けたばかりの空の下、

雲のかたちは見るたび変わる、
何にでも見え、何にも見えない
そんな雲の流れをつくる潮風、
澄ます耳に届くメロディ、好きな歌に似てる

やりたいこととやれることは似ているようで全然違う、
もがくように波にもまれる波乗りたちを欠伸まじりに笑ってる、

置き去られた航海記、古びて埃かぶったタイプライター、
ガール・サーファー、記録をつけるつもりはなくて、
夜の海に光を8の字、放つだけ、
あたりの海を走る船、そんなの見たことないけれど、
彼女は光を放つだけ、

灯台守のガール・サーファー、
今日も南を眺めてる、海鳥白く風に巻かれて舞っていた、
褪せた赤茶のレンガの壁に、ボード預けて明けたばかりの空の下、

変わらないを愛してる、
変わらないから愛してられる、

灯台守のガール・サーファー、
今日も海を見つめてる、海鳥近く彼女に寄って、
食べかけクッキーさらってた、
褪せた赤茶のレンガの壁に、
体預けて更けてく赤い空の下、彼女は波を待ち続けてる、



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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



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2013-03-18 19:26 | カテゴリ:文芸パンク

「ラスト・フライト」


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夜は静か雨に泣き、陽は昇らずに朝が来て、
世界は霧に包まれていた、
伸ばした手の先さえ見えない、
うすら暗く重なる霧の、裸になれない街のすみから、
二人は旅立つ日を決めた、

ありったけをトランク積めて、
蔦の下がるトンネルくぐる、
潰れた色がおおう世界、錆びたコンテナ、
殴り書かれた
〝NEED MORE COLOR!!〟、
好きな色で塗り潰せ、

さあ、もうここからずっと遠くへ、
未来が呼んでるみたい、
さあ、もう今日からずっと未来へ、
明日が呼んでるって言え、

解き放たれて自由な軌道で、
スクリューしながら滑空しつく、
抱きしめ揉み合い、じゃれあいながら滑空してく、

大気圏を突破する、弾けて発光、
凍りついた鉄の弾丸そのもので、
視界に入るを気にもせず、
無邪気に速度をあげてゆく、

解き放たれて自由な軌道で、
スクリューしながら滑空してく、
この世のすべてを奪ったような、そんな気分だ、
あの娘と夜に響き合う、歯をぶつけて噛みつき合う、
焼け焦げそうな鉄の弾丸そのもので、
目の前すべてを撃ち抜いて、
好きなように飛んでゆく、

あの娘とふたり、それだけで、
あの娘とふたり、それだけで、



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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



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2013-03-16 11:30 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?

「それゆけジョニー!(第一話へ)」


THE CIGARETTES are......
ジョニー (guitar/vocal)
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平澤喜左エ門 (bass)
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天野ジャック (drums)

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 男たちはまだ蕾のままの桜の樹の下にいた。
 一年前のいまごろ、彼らはそのバンドをスタートさせたばかりだった、あてもなくひたすら練習に明け暮れるだけの日々だった。
 そう、ジョニーはバンドの経験がないだけではなく、パンクロックそのものを知らない素人でしかなかった。
 だが、尋常ではない身体能力と集中力が彼をバンドのフロントマンとして成長させてきた。
 経験豊富なベーシストであるヒラサワくん、ジョニーをバンドに引き入れた天野くん。彼らにしてもやはり一瞬にも思えるほど濃密な一年であり、また、先の見えないトンネルをがむしゃらに突き進んできた長い一年でもある。

「まだサクラは咲いてないね……」
 やがて咲き誇るだろうサクラの樹に手のひらをあててみる。
「あと少しだよ。またサクラの季節がやってくる」
「あれから一年、かぁ……」
 タバコをくわえたままヒラサワくんが感傷的になる。辞めるはずだったバンドだ、しかし、いまは全てを投げ打っても音を鳴らしていたい。
「ここまで来た、と、まだまだこれからの両方だね」
 天野くんもどこか懐かしげに応えた。
「ジョニー。覚えてるか? たった一年だ、でも、『たった』じゃ言い表せないくらい……」
 くらい……のあとは続かなかった。言葉がなかった、言葉を飲み込んだ。両方だった。

 男たちもときに振り返ることがある。心優しきパンク・ロッカーたちはときにセンチメンタリストにもなる。振り返りもせず生きてゆくほどに強くはない。だからこそ強力な音塊を鳴らす必要がある。
 
「一年前……一年前ってバンドやってたんだっけ? あんまし覚えてないんだよね……」
 ジョニーは変わらない。破壊的なサウンドを鳴らすギタリストとして、圧倒的な存在感を持つヴォーカリストとして、バンドの顔として……「ロックンロール・スター」を体現するまでに成長した彼だが、それでもジョニーは変わらない。
 ジョニーは楽器を持つ前からパンク・ロッカーだったのだ。
その日暮らし、後先など考えもせず。むしろ考えるアタマもなく。本能で生きる動物は、生き方に悩むことも考えることも、ましてや変化しようとも思わない。
 そうゆうことだ。

「これからまた一年先……俺ら、デッカくなってるかな……」
「いまのままじゃどうしようもないだろう……」
「今のままでいいよ」
 珍しくジョニーが意見した。
「大きくなると食べなきゃならない量が増えるもん。これ以上、お腹減ると動けなくなる」
「……まぁ。ハングリーだとしておこう」

 成長期のパンク・ロッカーらしく、ジョニーは今日もハングリーだった。




<たまにはこんな回を挟みつつ、ロックンロールは続いてゆく……>


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前回までのおバカさんたちの軌跡


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2013-03-15 07:24 | カテゴリ:文芸パンク

「ジジといたころ」


モデル 桐谷美玲 アメブロ 画像



砕氷船が海をゆく、季節外れに降り注ぐ、
その大粒は追想か、

血は固まらずに重ね合わさる、
痛みに反ってジジは眠るふりをした、
彼が想うは連れ戻された愛する少女、
赤いドレスが似合わない、

着せられたまま肩書きまでを、
その華奢な両肩、生まれが彼女を決めたから、

どうにかなるんだ、何もかもがさ、
要らない言葉に慌てることはひとつもない、
刻みつけるは愛するひとの唯ひとつ、
夢見心地で何が悪い、欲しいものは多くはないや、
睨みつける海の向こう、微かに淡くにじんだ光、
きっとそこに彼女が待ってる、

希望を乗せた船がゆく、無情に誰彼なく置いてゆく、
新たな世界を生き地に決めた、
選ばれしは手も振らず、ジジは瞼に恋人描く、

きっとあの娘は船にいて、
お仕着せがましい赤を着て、
いまはそう、それでもいい、
いつかジジは自分の船で、
彼女を迎えにゆくって決めた、

どうにかなるんだ、何もかもがさ、
要らない言葉に慌てることはひとつもない、
刻みつけるは愛するひとの唯ひとつ、
夢見心地で何が悪い、欲しいものは多くはないや、
睨みつける海の向こう、微かに淡くにじんだ光、
きっとそこに彼女が待ってる、



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2013-03-14 00:56 | カテゴリ:文芸パンク

「子供たちは夜明けを走る」


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子供たちは夜明けを走る、
ヒカリまたたく朝陽のほうへ、何ひとつも荷は持たず、
風の隙間を縫うように、帰りのことも気にせずに、
波飛沫に乗り乱反射する、ヒカリをその手に手繰り込む、

その風景を見ている君も、同じように走ったことがあったはず、
擦り剥いたキズの痛みも笑ってられた、そんな日々があったはず、
水は風のように流れる、
風は水のように流れる、

左に土を、右には海を、
振り返りもせず、わけなく急いだ、
夜が明けたら花薫る、陽射しの春を待ちわびた、
手にしたものはどれくらい? 
身軽になって淡い薫風、小さくなる背中たち、
子供たちは夜明けを走る、君にも僕にもあるだろう、
少年少女は風のなか、

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2013-03-12 19:38 | カテゴリ:文芸パンク

「月の砂漠のコルディゾンネ」


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マイナス500、風すら凍る、
夜の月の砂漠の匂い、飲み込まれる星々と、
最果てのバス停は、時刻表さえ氷の向こう、
子供のころの落書きだらけ、変色した古い地図、

タバコの煙、焦げる紙の熱の花々、
誰かのくれた優しい声も消えてゆきそう、
ガラス細工の街で生まれた、
彼の名前はコルディゾンネ、花の色は見えない眼、
青と白とその間、太陽のオレンジさえも白になる、

氷の味の果実さえ、ならなくなった終わり待つ街、
地平の先のモノクローム、海から空へ移り変わる無色透明、
仰ぎ見るコルディゾンネ、
星々は濁ったガラスの夜の白点、
吸い込まれゆく煙はさざなみ、
コルディゾンネは月の砂漠で立ち尽くす、

終わり待つ街、コルディゾンネの頬に一滴、
ガラスに凍る、足下には粒々が、
無人の月の砂漠のような、白いガス燈、
旅立つ用意はできていた、



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2013-03-12 08:41 | カテゴリ:
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「花束を」



 いつまでも眠っていたい、朝がくるまでそう思う。それがときに永遠の眠りを意味することだとしても、僕はそう思うときがある。
 あの日、なにかが変わった。その巨大な暴力とも言える変化がもたらしたのは喪失だった。

 突然に失われたもの。不幸にも奪いとられた何か。
 
 生き残った、生き残された。幸運でもあり不幸でもある、そんなふうにも思う。
 なぜ。なぜ、僕は呼吸を続けているのか。答えのない問いを幾度となく延々と繰り返す。
 突然に命を奪われてしまうということ。喪失した場所にて生きてゆくということ。

 喪失を続けるために生きている、そんなふうにさえ思う。
 せめては日々に枯れない花を。誰に届かなくてもいい、届いてくれたらとても嬉しい。
 この花束をすべての命に。
 
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2013-03-10 11:44 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?

「それゆけジョニー!」


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「これで最後だ、踊れ暴れろ!!」
 くわえタバコのジョニーが叫ぶ、そして時速を遥かに超えた音速の機関銃が鳴らされる、超高速のカッティングがコードを刻む、ジョニーのギタースタイルは「マシンガン・ギター」と評されるほどの速度が特徴として知られつつあった。
 手首がスクリューのように高速運動し、肉眼では捕捉できない。もはやそのプレイは人間のリミットを越えている。

 そして今夜も狂熱のパンク・ライヴが終わる。ステージ外での彼ら……文無しの旅一座……としての日常になる。
 太陽と月のように交互に繰り返される日常。

「疲れたな……」
「癒されたいなぁ……」
 寝食にさえ不自由する過酷な旅の生活は男たち(三人中二人、43歳のベーシストと25歳のドラマー)を疲弊させる。

「今日はフロとメシ、どっちを取る……?」

 次回の給料が支払われるまで彼らは極限の選択にて生きる。……支払われたその日にドンチャン騒ぎしてほとんどを使い果たしてしまうのだが、そのあたりは学習されていない。

「ううむ……俺はフロかな……」
 苦渋の表情にてヒラサワくんが選択する。
「……だね。明日、差し入れがあればメシは食べられるしね……」
 同意する天野くん。
「ええー……フロは……公園で水浴びにしてゴハン食べようよー」
 特に疲れた様子のないジョニーは食事を要求する。
「多数決だ、民主主義の原理だよジョニー」
「かけっこで決めよう」
「ただでさえ疲れてるのに、なんでかけっこなんだよ……」
 じゃあ、あみだくじか何かで……。
「せーの!」、天野くんが声をあげる。
「ジーンケーン……」
 呂律が回らなかった、ジャンケンの「ャ」を飛ばして発音してしまったのはヒラサワくんだった。
「ちょ、ちょっと、ヒラサワくん? ジャンケンにしようよ、ジャンケンに? 人権ポイは駄目絶対!!」
 ジョニーは慌てて制止した。
「人権ポイ……破壊者だよね、ヒラサワくんて……」
 天野くんもジョニーに賛同する。
 言い間違えただけじゃんか……ヒラサワくんは無言で首を振る。
「人権って大事だよ」

 パンク・バンドも人権はポイできなかった。



<ロックンロールはでれでれ続く……>


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前回までのゆるーいパンク・バンドの軌跡


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あの人への想いに綴るうた

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2013-03-09 11:24 | カテゴリ:小説 「流星ツアー」
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……60年ぶりに飛来する流星群、ナイトライン。
……ダムに沈むと決まった村に暮らす少年と少女。
 再起を目指す元エースピッチャーと彼の妻。
 60年前の流星群の写真と、それを撮ったカメラマンを看取った老婦人……。
 あの夏、そこに生きる人々は本州最南端の岬へと願いととも旅に出た……。
「流星ツアー」⇒こちらから

……って、単なる宣伝ですけども。あとでまた何か書きます(笑)。
 あ、土曜なので今週のまとめ記事を書きましょうかね。
 ではまた後ほど。



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2013-03-07 22:57 | カテゴリ:3minute rockin novel
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「トムとジェリー」



「おー、すごいね、金持ちのリゾートみたい……貴族が夏にくるみたいな……」
「ここは常夏の島なんだ。そして今日からここが俺たちのウチだ……悪くないだろ?」
「うん、悪くない……いや、どうやって手に入れたのよ、こんなの……」
「ちょいとカネを借りたんだよ、銀行から」

……返せはしないが。寄越せとは言わなかった、こいつの命が惜しいならあるだけ貸せ、そう告げた。

「あんたにそんな大金貸してくれるわけないじゃん……まさか……銀行強盗……?」
「や、命と引き換えなら貸してくれることもあるんだよ……」

……俺の命じゃムリだけどな……。

「え? 後半聞こえなかった?」
「新しい名前を考えないとなって言ったんだ。逃亡者だとバレたら面倒だ」
「名前……かぁ……」
「呼び合う名前がないと不便だ」
「んー……。そうなんだけどね。私、以前はなんて名前だったんだろう……?」

……思い出さなくていい。思い出したところでロクなことはない。

「じゃあ、あんたトム」
「トム?」
「そう、トム。私はジェリー。子供のころ見なかった? 賢いネズミを追い回すドジなネコのアニメ」
「懐かしいな……トムとジェリーか」

……追い回しゃしないし、ドジ踏んだらアウトだ、ここでじっとしていてくれ、ジェリー……。

「それでいい?」
「ああ。じゃあ、そろそろ休んだほうがいい。長旅だった、まだ頭痛は治ってないんだろう?」
「うん……でも、ここにいたら何もかも忘れてしまいそう……」
「それがいい」

 自分が人質だなんて知らないほうがいい、忘れているほうがいい。
 思い出してしまったそのとき、楽園を天国にしなくてはならなくなる。

……ハロー。聞こえる? コードネーム・ジェリー。経度と緯度は分かるわね? 24時間後に突入して。それまでに犯行グループのアジトを探っておくから。

 ジェリーは歯に埋め込んでいたメモリーを抜き出し、男のパソコンの電源を入れた。

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2013-03-07 12:03 | カテゴリ:文芸パンク
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「罪と罰」



季節外れの雪が振る、溶けずに粉に散る雪が、
濃い灰色の一輪は、肩から落ちた、
敷き詰めた石、赤土色の、
道の端に揺れて崩れた、森が燃えているのだと、
聞いていたのに灰が風に流されてきた、
そんなふうには思わなかった、

西の水平、その向こう、
鉛を溶かした夜に似た、煙が雲に混ざってく、
金の毛を持つ鹿の悲鳴、花の首飾りをしたウサギ、
樹々の精霊たちの声、恋人もそこにいる、

諦めて、仕方がないと俯く者と、
罪と罰を説いている、自称の聖者を蹴り上げた、
対岸の争いと、謝肉祭のあとの騒乱、
変色して落ちる森、皆殺しの日々がくる、

鳥の羽根を耳に飾った、そして果てる命を想う、
森が焼かれて国を追われる、
小さな意思が在り続けたこと、
まばたきさえなく見続ける、
それから強者のふりをする、同罪たちに火を点ける、
瞬間だけを描いてた、
その瞬間を描いてた、



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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



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あの人への想いに綴るうた

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2013-03-05 21:14 | カテゴリ:文芸パンク
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「凪海のベルシリア」



静まり返る凪ぎ海眺めるベルシリア、
鳴らない口笛、アタマのなかに鳴る歌声は、
遊牧民の祖父の物まね、

真鍮連ねたブレスレットをいくつかと、
空と海に染まったまんまのブルーの瞳、
見開くけれど、何が見えるわけでなく、

包帯巻いた縫いぐるみを帽子のなかに隠してた、
美しげに囁く言葉はいらない、
欲しいものは何もないから彼女はいつも首を振る、

海が再び荒れ狂う、海賊たちが雄叫びあげる、
その時だけを待っている、
掟に刃向かう強さくらい、
ほんとは誰も胸に持つと知ってる、

笑い合えたあの日々は、いくつか季節を重ねたけれど、
もう帰りはしないとベルシリア、
鼻唄まじり、沈んだ故郷を笑って消した、

鳴り止まないのはさざめく波と風の声、
包帯人形、遠くへ投げた、もうそんなものはいらないと、
ベルシリアは口笛吹かす、
吹鳴混じる海風に、彼女の鳴らない口笛混じってた、

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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
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2013-03-05 20:19 | カテゴリ:文芸パンク
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「砂の果実」



砂の果実、手の隙からこぼれ落つ、
乾きに耐えることはなく、
熟す間もなく崩れてく、

生きとし生きる、
すべての人は、やがて来るその日を憂い、
備えてまでも怯え生く、

意味を探して、
その行為の無意味に気づく、
私たちは意味を持って生まれたわけでもあるまいに、
事実を知る臆病に、曖昧なる理由を寄せる、

例えば自由があるとする、
それは儚く揺れる落ち葉に似てる、
下を見よ、ほら、炎が空を舞い踊る、

例えば永久があるとする、
それは書かれた紙や歌声や、遺されたもの以外にはなく、
やがては朽ちる、やがては朽ちる、

ほら、手にしたのは砂の果実だ、
君が探した、そして見つけた、
ほら、手にしたのは砂の果実だ、
試しに握りしめてみる、
瞬き乾いて指の隙からこぼれゆくんだ、

世界にあるは砂の果実で、
僕らはその果実よりも虚いやすく脆弱なる心をもって、

磨き込もうと今日を飲み込む、
光のありかに手を伸ばす、
砂の果実に過ぎぬとしても、
砂の果実に過ぎぬとしても、


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流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



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2013-03-04 22:17 | カテゴリ:3minute rockin novel
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「風の追憶」



 風が吹く、それが流れてゆくのを見てる、遥か古代からやって来て、遠く見果てぬ未来へと続く。
 風は途切れることがない、高みから地を撫でて、曲線を描いて中空へ、歩む人の頬を撫で、そしてまた空高く舞い上がる。
 万物の声を聞き、この世界のすべてを記憶しながら未来へと運んでゆく。

 吹きはじめた瞬間からそんなふうに走り続けてきた、これからもずっとそう。
 私は目を閉じ耳を済ませて、風たちが通った軌跡を感じる、繊細に編み上げられた繊維のように、人類の誕生以前から大地に根をしがみ、太陽の近くまで葉という手を伸ばす大樹のような、その経路。迷路のような、経路。

 やがて風は訪れてさえいない未来を見せてくれる。
 どのような光景が広がるのか、人々は私にそれを訊ねる。

「聞かないほうがいい。それを知りたければ生きて未来へと自分を導いてゆくのがいいと思う」
 私はそう答える。

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2013-03-03 22:14 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?
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それゆけジョニー!

「うーむ……完全に寝ているな……」
 ヒラサワくんと天野くんの前には美女が眠っていた、目覚めているときの凶暴性は微塵も感じさせない、華奢なラインは小動物さえも思わせる。
「起きたら来いって言っておいて……自分は寝ているんだ……」
 前夜、彼らはライヴ後の打ち上げにて派手に暴飲暴食を果たしたばかりだ、貧困の旅生活による慢性の空腹を満たすがため、肉体の限界に挑むがごとく、安さが魅力の居酒屋メニューを食べ尽くし、飲み尽くしたのである。
 そして久しぶりにベッドで眠った、ビジネスホテルの一室である。
「しかし……しばらく見ててもいいな……」
「うん……起きたら……起きたらアレだし……」
「ああ……眺めているぶんには……まるで天使のようだね、天野くん……」
「ねぇ……なんだかドキドキするよね、ヒラサワくん……」
「寝てるときは暴れないし……」
 珍しい生き物を発見したかのようにふたりは眠るまどかさんを見ていた。布団のなかはどんな格好なんだろう、まさか下着なんじゃ……まさかまさかの裸なのでは……。
 中学生のような妄想にアタマをふくらませて顔を赤らめさえしている25歳と43歳のパンクス。
……しかし、オトコとはいくつになってもこんなものなのである。

「……あ、いた。おはよう、ヒラサワくん! おはよう天野くん!」
 寝癖でくしゃくしゃ、パジャマはボタンを掛け違え、左右それぞれ違う色のスリッパを履いたジョニーがまどかさん部屋にあらわれた。
「ジョニー、静かに! まどかさんが起きちゃう!」
 そう言う天野くんのほうがうるさい。
「まどかさん、まだ寝てるんだ……いまのうちに逃げたほうが……」
……でしょうね。ヒラサワくんと天野くんは顔を見合わせる、さきほどまでのトキメキは一転、狂気に走り暴徒と化すまどかさんの姿がよぎり、脳内で激しくサイレンを鳴らす。
「……出ようか」
「……うん」
 空き巣のように音を立てず、男たちは眠る天使に背を向けた。
 そのときだった。
 背中から心臓へ、凍りついた鋭利な刃物が突き抜けてゆくような、そんなヴィジョンが彼らに見えた、気のせいではない、痛みこそないがそれは幻ではなく現実のようであった。

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「……おい」
「は、はい……」
「おまえらがじっと見てるからベッドから出られなかったんだよ」
 怒気は熱を持たず、むしろ瞬間で氷点下にまで届くほどの冷気を含んでいた。
「外で正座して待ってろ」
「はぃ……」
 男たちは弱々しい声……まるで虎に追いつめられた小鹿のように怯えている。
「さっさと外へ出ろ……」
 自称、美貌の辣腕マネージャーの加虐に特化された辣腕が制裁を告げていた。



<これってバンド小説だったはず……なんで、次回からもう少しロックンロール的に続く……>

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弱々しくも儚く、どうにか生き延びるおバカさんたちの前回まで。



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2013-03-03 18:36 | カテゴリ:文芸パンク
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暴君クラウス

そのとき彼は、眼下に広がる景色を見てた、
刑台上に俯くクラウス、その顔に色らしきは浮かんでいない、
諦めも奇跡も待たない、受容しているわけもない、
運命なんぞに抗い続けた、
さだめなどには唾吐き続けてここまできたんだ、

最期の舞台が刑台だろうと、
見下ろす世界は変わりもなく滑稽で、
無駄吠えだけの飼い犬ばかり、
僕の首を捻り斬ろうも、
やはり群れなす者には幻にしか映らない、

アジテートは快楽だった、天に中指さえ立てた、
拳ひとつを突き上げた、いまこの場にして思う、
怒号と歓声、そのふたつに大差はないと、
暴君から英雄へ、そしてまた暴君へ、
加虐と刺激の言動だけで、
踊らせてきたのは僕で、踊らされたのは群衆、
栄華の先には破滅が待って、その仕組みは神なるものか、

まるで反吐が出そうで込み上げる笑み、
幸福という幻想を、束の間、等しく与えたろう?
眼下に広がる景色は飽きた、何ひとつも変わらない、
享受がすべてなのだとしたら、一体、何が欲しかったんだ、

クラウス、欠伸を咬み殺す、
シュプレヒコールはうるさいだけだ、
ずっと遠く空を見る、口をつくのは生まれ育った小さな農村、
水辺で歌った四季の歌、もう忘れたはずなのに、

いまになって胸に鳴る、
今頃きっと雨季を迎えたころだろう、
一瞬であれ、この世のすべてを手にしたはずなのに、
愛した人はいなかった、

いまさら遅いや、だけど後悔するほど愚かしくない、
暴君クラウス、四肢を貫く鉄線に、
しかめることもくだらない、左右から向くピストルが、
鳴らされるのを待っている、いまこの瞬間見た光、
そいつだけは持ってゆこうと目を閉じる、
加虐と被虐の果てに見る、この高みだけは僕の世界だろうと、

僕はいま、誰より天に近い場所、そこにいる、
僕はいま、昇る意思のない者にはたどり着けぬ高みにて、
さらなる高みを眺めてる、


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2013-03-01 22:28 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?
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それゆけジョニーと侍JAPAN!



「ぎゃーはっはっは!」
「どう? イケてる? まどかさんの言った通りでしょ?」
「バカだバカ! チャンバラトリオだ!! 『三匹が斬る!』だ! バカ丸出しよ、あんたたち!!」
 サムライに扮装したバンドの写真を見ながら、まどかさんは爆笑している、デスクを平手で打ち、足下のあらゆるものを蹴り飛ばす、しまいにはサムライ化した男たちを拳で突いてゆく。
……自分でやらせたくせに……なんでこんなにウケてるんだ……?
 天野くんは思う。
ウケてるんだから文句もなかろう……いったい何をやらされてるんだろう、俺たちは……。
 笑い続けるまどかさんを見ながら、男たちはそれぞれに思いをめぐらせる。
「これで侍ジャパンのメンバーかぁ……いよいよだね、ワールド・ベースボール・クラシック!」
「ジョニー、サムライの扮装をしたと言っても、俺たちが日本代表チームになるわけじゃないから……」
「そうそう、三人じゃ野球できないし……侍ジャパンだって着流し姿で野球やるわけじゃないから」
 部外者が聞けばすでに会話にもなっていないだろう、ちぐはぐなやり取りだった。

「あんたたち、そのまんまライヴやりなよ今夜」
……はぁ?
「いやいやいやいや。まどかさん、それはヘンなんじゃ……コントじゃないんだから……なあ?」
 冷静な意見を述べるヒラサワくんである、うんうんと天野くんも同意する。
「分かってないわね、あんたたちは。バンドもキャラクター・ビジネスよ? キャラが確立してナンボよ、いいじゃん、サムライ・パンクなんて……ゆるキャラブームにも乗っかれるかもしれないし」

 サムライは「ゆるキャラ」の枠ではないと思うんだけど……。

 ゆるキャラ路線、押すなぁ……。ゆるいパンク……モテるかな……。

 着替えが増えて嬉しいなぁ……。模造刀を振りながら歌ったら……あ、ギターはどうしよう……?

 三者三様、思いは交差しない。思いつきはいつも迷走を呼ぶ。
「や、やるだけやってみなよ。衣装代かけちゃったんだし……」
……食費もろくに出ないのにこんなことにお金を……どんなマネージャーなんだ……ヒラサワくんは思ったが口にはしない。
「よーし!」
 勢い良くジョニーが決意を述べた。
「サムライになったTHE CIGARETTESで三連覇しよう!!」
 連覇もなにも、彼らは野球をやるわけではない。またワケの分からないキャラクター設定にされただけだ。
 ゆるキャラでサムライ。このバカたちは目に入れないほうがいい。
 がんばれ、侍ジャパン。


<次回以降はロック小説として続けたいと思います……>

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前々回まではお侍さんではなかったパンクスたちの足跡

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2013-03-01 08:50 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?
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それゆけジョニー!



「はーい、もっと視線鋭くー? サムライになりきっちゃってー?」
 発光するストロボに思わず目をしかめる男たち、三人の前をカメラマンとレフ板を持つ助手が寄っては離れ、離れては近づき、何度も何度もシャッターをきる。
「いいねー、いいねー……おっ、いいですよぉー!」

……な、なにがどう良いのか分からない……されるがままの男たちは例によっておバカなパンクロック・バンド、『THE CIGARETTES』である。
 今日の彼らはどうゆうわけか、サムライのような着流し姿である。
「なんでこのカッコ……?」
「俺に聞くなよ……まどかさんの指令なんだから……」
「お腹すいたなぁ……」
 身動きできないバンドを気遣うわけでもなく、カメラマンはひたすら「サムライ」にされてしまった男たちを撮り続けていた。
「なにがどういいんだ……おかしいだろ、これ。コントみたいだ……」
「金髪にモヒカン……あ、でも名前が喜左エ門なんだからヒラサワくんはピッタリかもしれないね」
「……名前だけな」
 ヒラサワくんと天野くんはブツブツと言い合いながら、しかし、生真面目にポーズを取っていた。
「はいはいはい、金髪の彼っ! せっかくなんだから、もっと……仕事人みたいにセクシーにっ!」
「……し、しごとにん……?」
「そうよぅ! ヒガシみたいに凛々しくキメて~」
「ひ、ひがし……。東に凛々しい人が……」
 ジョニーは東の方角を確認しようと見上げる、しかし、太陽は視界にない。ここは撮影スタジオなのである。

 前日のことだった。
「たたみかける時期なのよ、あんたたちは?」
 まどかさん、突然の発案であった、盛り上がりつつあるツアー、彼らを取り巻く状況をさらに加速させるべく、彼女にはアイディアがあるらしい。
「パンクだからって、革ジャンにタイトなパンツじゃなくていいの。時代はゆるキャラよ、それからWBCもある、サムライなのよ! 日本男児たるものサムライであれ!」
 ゆるキャラのサムライ……とんちんかんなようで、まどかさんにはまどかさんなりの勝算があるようだった。

「……パンクロックに全然カンケーないような……」
「なくないわよ。全国のゆるキャラがなぜ人気なのか分かる? 可愛くても中身はおっさんなのよ? つまりね、あの脱力感なのよ脱力感。癒しよ癒し。癒しはカネになるのよ!!」
 ミもフタもない持論だったが、無名同然のバンドは従う以外にない。逆らうと体罰が待っている。

「あんたたち、ゆるキャラのお侍さんになりなさい!!」
 パンクバンドなのに「ゆるキャラのサムライ」にされ、そのビジュアルの変化のため男たちは新たな宣材写真の撮影をしているところだった。

 バカって大変。



<目指せ三連覇!! ジョニーたちは侍JAPANを応援します……的に続く……>

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前回までの侍JAPAN……ではなく、ジョニーさんたち


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