-------- --:-- | カテゴリ:スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2013-02-28 20:21 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?
〝JACKPOT DAYS〟-image


〝JACKPOT DAYS〟-image


それゆけジョニー!



「はーい、もっと視線鋭くー? サムライになりきっちゃってー?」
 発光するストロボに思わず目をしかめる男たち、三人の前をカメラマンとレフ板を持つ助手が寄っては離れ、離れては近づき、何度も何度もシャッターをきる。
「いいねー、いいねー……おっ、いいですよぉー!」

……な、なにがどう良いのか分からない……されるがままの男たちは例によっておバカなパンクロック・バンド、『THE CIGARETTES』である。
 今日の彼らはどうゆうわけか、サムライのような着流し姿である。
「なんでこのカッコ……?」
「俺に聞くなよ……まどかさんの指令なんだから……」
「お腹すいたなぁ……」
 身動きできないバンドを気遣うわけでもなく、カメラマンはひたすら「サムライ」にされてしまった男たちを撮り続けていた。
「なにがどういいんだ……おかしいだろ、これ。コントみたいだ……」
「金髪にモヒカン……あ、でも名前が喜左エ門なんだからヒラサワくんはピッタリかもしれないね」
「……名前だけな」
 ヒラサワくんと天野くんはブツブツと言い合いながら、しかし、生真面目にポーズを取っていた。
「はいはいはい、金髪の彼っ! せっかくなんだから、もっと……仕事人みたいにセクシーにっ!」
「……し、しごとにん……?」
「そうよぅ! ヒガシみたいに凛々しくキメて~」
「ひ、ひがし……。東に凛々しい人が……」
 ジョニーは東の方角を確認しようと見上げる、しかし、太陽は視界にない。ここは撮影スタジオなのである。

 前日のことだった。
「たたみかける時期なのよ、あんたたちは?」
 まどかさん、突然の発案であった、盛り上がりつつあるツアー、彼らを取り巻く状況をさらに加速させるべく、彼女にはアイディアがあるらしい。
「パンクだからって、革ジャンにタイトなパンツじゃなくていいの。時代はゆるキャラよ、それからWBCもある、サムライなのよ! 日本男児たるものサムライであれ!」
 ゆるキャラのサムライ……とんちんかんなようで、まどかさんにはまどかさんなりの勝算があるようだった。

「……パンクロックに全然カンケーないような……」
「なくないわよ。全国のゆるキャラがなぜ人気なのか分かる? 可愛くても中身はおっさんなのよ? つまりね、あの脱力感なのよ脱力感。癒しよ癒し。癒しはカネになるのよ!!」
 ミもフタもない持論だったが、無名同然のバンドは従う以外にない。逆らうと体罰が待っている。

「あんたたち、ゆるキャラのお侍さんになりなさい!!」
 パンクバンドなのに「ゆるキャラのサムライ」にされ、そのビジュアルの変化のため男たちは新たな宣材写真の撮影をしているところだった。

 バカって大変。



<目指せ三連覇!! ジョニーたちは侍JAPANを応援します……的に続く……>

━━━━━━━━━━━━━━━
〝JACKPOT DAYS〟-image


前回までの侍JAPAN……ではなく、ジョニーさんたち


━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image



〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……。
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた

〝JACKPOT DAYS〟-image




関連記事
スポンサーサイト
2013-02-28 17:29 | カテゴリ:文芸パンク
LINE BRUSH アプリ イラスト画像


航路はまだ果てもなく


指先描いた虚空の迷路、まぶたに映る架空の旅路、
一糸まとわず受けた傷、剥き出す肌に剥き出す痛み、
それは誰もが知る痛みと孤独、

無邪気な季節を越えたはず、
それでも未だ残る焦熱、
変わらなさを嘆くようでどこか安堵も共存してる、

“旅に出るんだ”
レミーはそれだけ残して何処かに行った、
新たな地におき、やはり呼吸をしてると思う、

“何処に行くんだ?”
本当は行き先なんて興味なかった、
置き去られる気持ちを知るだけで、
去来するは旅出つ者の自由と孤独、

指先描いた虚空の迷路、まぶたに映る架空の旅路、
一糸まとわず受けた傷、剥き出す肌に剥き出す痛み、
それは誰もが知る痛みと孤独、

岬で待つもその姿は遠くなりゆく、
いまはもう閉じた目にある残像だけで、
それはすでに記憶のなかの誰かに過ぎず、

もうここには居続けられない、
それを思うと疲弊に満ちた日々を並べた、
もうここにはいる理由もない、
それを刻む手首の内に、トランクには思いつきだけ、

今夜、僕もまた行こう、
足跡なんて追うはずもない、
このたかがしれた小さな足で、
地に傷をつけてゆく、


━━━━━━━━━━━━━━━

パンク 必殺仕事人 アメブロ 画像



ロックンロール・スター
duine
静寂の調光師



━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image



流星 ツアー 表紙 画像 アメブロ

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた

〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-26 22:50 | カテゴリ:3minute rockin novel
〝ジェニファー・ローレンス 画像 アメブロ

宝石泥棒の朝

 月と陽が入れ替わる真新しい時間帯に彼女は湖のそばにある、誰の気配もないモーテルで目を覚ます。白鳥たちが水に跳ねてはしゃぐ姿を、割れた窓から眺めてる。
 凍りついてた銀色も目覚めるように水になりゆく。グラスのなかのそれを一口だけ飲み、昨晩運び入れたキャリーバッグに目をやった。
 無造作に倒されたそれは角が綻び、革もキズにまみれている。

 着替えた彼女はダイヤモンドのように白い息を吐きながら、キャリーバッグを引きずって湖のほとりまで歩いていった、氷柱を下げた樹々と爪先が割る薄氷、世界中が銀色に染まって見える。
 トランクは彼女が盗んで手に入れた宝石で埋め尽くされている、彼女はこの世のすべての宝石を手に入れるつもりでいる。
 ありとあらゆる色が輝く、はしゃいでいる子供みたいだ、彼女は思う。

 一粒ずつをつまんで手のひらに乗せ、そして湖に差し入れる。
 赤も青も黄色も、どの色も水に溶けてゆくように、湖底へと沈んでゆく。

 貧富や肩書きの問題じゃないの、誰にも似合ってなんてない。ましてや集めて見せびらかすためにあるわけでもない。
 水へと還る2秒の短い間だけ、石はほんとに輝くことができるって、知っているのは私だけ。
 湖近くの採掘場で捨てられていたのが彼女だった。
 二十数年ほど前のことだ。
 
〝JACKPOT DAYS〟-image



━━━━━━━━━━━━━━━

サブリナ・ムーン
stars
地平をめぐる冒険

━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image

流星 ツアー 表紙 画像

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた


〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-26 21:42 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-image

deep rooted

雪に溶けてた、まだ汚れのない水がつたって落ちる、いびつな屋根の下で目覚めた、

流れ転げてささくれ立った、渇きに届く水がなかった、
パンとミルクを欲しがった、子供のころと何ひとつも変わらない、

罪を沈めたかつての流刑地、
島に育った少年は、港の近く小さな丘の、
風が抜ける墓碑の近くで水平眺めた、

旅路の果てにたどり着く、
生かされ続けた、
どこにゆこうが見慣れた景色ばかりを探してた、
遠回りをしたぶんくらいは擦り減り、
引きずる鉛も削れて軽い、

生まれた街を忘れてしまったふりをする、
憧れた猥雑さやら喧騒やらが耳に鳴る、

旅路の果てにたどり着く、生かされ続けた、
どこにゆこうが見慣れた景色ばかりを探してた、
遠回りをしたぶんくらいは擦り減り、
引きずる鉛も削れて軽い、

まだ少しは歩けるだろう、
まだ少しは歩けるだろう、

━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image



〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた

〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-25 22:58 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-image


美しき世界

純粋さを追い求め、世界を廻り続けてた、
新聞だとかニュースだか、あらゆる情報、遮断した、
感覚だけを頼る旅を続けた、

“そんなものはありはしない”
訳知り顔にそう言われ、幼稚さを呆れられたり、
それでなおも探し求めた、

生涯を旅に捧げた、
太陽を左目に 右の目には月明かり、
賑わいを横に見て、
屈折した影を背中に、

握りしめた記録帳、
雨水と泥を吸い、書き連ねた文字は汗に滲んだ、

純粋が支配する、夢にまで見た国は、
どこか気づいていたはずの、楽園には程遠い、凄惨なる土地だった、

穢れなく、罪もない、
欲求だけに忠実な、汚れるなんてさえもない、

純粋だから、残酷なゲームで傷つけ合う、
それでなお絶えない笑顔、
純粋だから、理性すらなく奪い合う、

野生に生きる獣のような、欲望だけがルールの世界、
希望と絶望、入り乱れて混ざる、純粋に生きている世界、

それはかくも美しく、自由に満ちた悪魔の姿、
それはかくも美しく、自由に満ちた美しい世界、



━━━━━━━━━━━━━━━


〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた



〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-25 22:48 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?
“Go,Johnny Go!!”
〝JACKPOT DAYS〟-ジョニー スーパースター.jpg

 無軌道なのか本能か、天才なのかバカなのか?!
 ひたすら我が道を生きる男、ジョニー(本名・助 新)のおマヌケ青春ストーリー!!

 彼はどこへ向かうのか。
そしてその果てに何をつかむのか。

※とりあえず、ここまでのおまとめです。


∞イケメン・ジョニーはスーパースター。
∞イケメン・ジョニーは働かない。
∞ジョニーもようやく何かに気づく。
∞イケメン・ジョニーはやっぱり、頑張るあなたを応援しない。
∞ジョニーは今日も相変わらずで。
∞イケメン・ジョニーは食べることに精一杯で。
∞イケメン・ジョニーに相談事は向いてない。
∞イケメン・ジョニーは秋晴れの天気が良い昼下がりに昼寝くらいしかすることがない。
∞イケメン・ジョニーも働かざるを得ないらしくて。
∞お久しぶりのイケメン・ジョニー。
∞イケメン・ジョニーはパンクロッカー?
∞イケメン・ジョニーがパンクに挑む。
∞イケメン・ジョニーがパンクに吠える!!
∞イケメン・ジョニーよ、どこにいる?!
∞イケメン・ジョニーも変化の季節?
∞イケメン・ジョニーがライヴに挑む?!
∞イケメン・ジョニーがパンクに吠える!!
∞イケメン・ジョニーがギターを鳴らす!!
∞ジョニーと春とイェー・イェー。
∞イケメン・ジョニーのバンドの名前は……THE CIGARETTES!!
∞イケメン・ジョニーも黄金週間むかえるようで。
∞イケメン・ジョニーのライヴが決まる!!
∞ジョニー・バンドは余計なことに全力疾走。
∞ジョニー・バンドがステージへ!!
∞イケメン・ジョニーがロックンロールで世界を変える!!
∞イケメン・ジョニーが攻撃される?!
∞ジョニー・バンドに新風が吹く!!
∞ジョニーと七夕、願い事は何にする?
∞ジョニー・バンドが契約へゆく!!
∞ジョニー・バンドが途方に暮れる。
∞ジョニー・バンドは旅の途中。
ジョニー一座は流星岬で。
∞ジョニーの夏は旅に迷って。
∞ジョニーと晩夏のブギーとウギー。
∞ジョニーは思い出なんていらないらしい。
∞ジョニーは何かを待っている。
∞ジョニーを目覚めさせる方法。
∞ジョニーのジャケ写は証明写真?
∞あしたのジョニー
∞ジョニー・バンドの販促会議。
∞ジョニー・バンド、秋の攻防。
∞ジョニーはMr.ロックンロール?
∞ジョニーが天を衝く
∞ジョニーがあらわる黄金曜日。
∞ジョニーたちは再び旅へ。
∞ジョニーと極めて不審なものたち。
∞ジョニーバンドは珍名だらけ。
∞ジョニーと世界の終わりの朝と。
∞正月ジョニー。
∞ジョニーと美貌の破壊者と。
∞ジョニーと地球に優しいパンク・ロッカー。
∞ジョニーとシンプル幸福論
∞金曜ジョニー・スター
∞ジョニーたちは飢えている。
∞ジョニー・バンドが女帝を覚醒(おこ)す。
∞ジョニーのいきなり生放送。

次回は……未定。
そのうちやります♪



[番外編]
∞イケメン・ジョニー [番外編] 子供のころのジョニーくん。




〝JACKPOT DAYS〟-海賊ビリー ロゴマーク.png


関連記事
2013-02-25 18:51 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-image


雪の日ピアノ

ガソリンは琥珀色、枯れた花に火を点けたら、
狂って咲いてるみたいに鮮やかだった、

奏でる雪はアルペジオ、
拙いピアノを鳴らす雨に変わった、
白いカラスの群れが星のない夜、
泣く声、それはホームシックの孤独、
いつもみたいに舌を出して笑いなよ、
唇歪めて笑いなよ、

君が待つ星に帰りたい、擦れ違いずいぶん時間が経って、
例えあの歌声が聞けなくたって、
古びも消えもしないからって、
分かるんだ、君は今もその瞳を閉じて、
欠けた鍵盤、歌ってるって、

光に包まれてたい、限りのあるを生きてても、
分かるんだ、僕はずっと君の名前ばかりを呼んでるよ、
体の奥から言葉のつかない力が宿る、
僕も同じ歌を口ずさむ日々、

空は暗く宇宙になって、
咲いた花は目を閉じる、明日またねって小さな子は呟いた、
ドレミファからソラシドへって、

雪はちらつくアルペジオ、
さらさらと降るピアノみたいな雨に変わった、
白いカラスの群れが星のない夜、
泣く声、それはホームシックの孤独、
いつもみたいに飛び立ちなよ、羽根で鍵盤鳴らしなよ、
僕もゆくから次の海を渡りなよ、
ドレミファからソラシドへ、

━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image


ピアノ・ガールフレンド
ピアノと森の空
100年ピアノ
恋人ピアノ

━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた



〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-25 18:30 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?
〝JACKPOT DAYS〟-image


〝JACKPOT DAYS〟-image


それゆけジョニー!

「うーむ……完全に寝ているな……」
 ヒラサワくんと天野くんの前には美女が眠っていた、目覚めているときの凶暴性は微塵も感じさせない、華奢なラインは小動物さえも思わせる。
「起きたら来いって言っておいて……自分は寝ているんだ……」
 前夜、彼らはライヴ後の打ち上げにて派手に暴飲暴食を果たしたばかりだ、貧困の旅生活による慢性の空腹を満たすがため、肉体の限界に挑むがごとく、安さが魅力の居酒屋メニューを食べ尽くし、飲み尽くしたのである。
 そして久しぶりにベッドで眠った、ビジネスホテルの一室である。
「しかし……しばらく見ててもいいな……」
「うん……起きたら……起きたらアレだし……」
「ああ……眺めているぶんには……まるで天使のようだね、天野くん……」
「ねぇ……なんだかドキドキするよね、ヒラサワくん……」
「寝てるときは暴れないし……」
 珍しい生き物を発見したかのようにふたりは眠るまどかさんを見ていた。布団のなかはどんな格好なんだろう、まさか下着なんじゃ……まさかまさかの裸なのでは……。
 中学生のような妄想にアタマをふくらませて顔を赤らめさえしている25歳と43歳のパンクス。
……しかし、オトコとはいくつになってもこんなものなのである。

「……あ、いた。おはよう、ヒラサワくん! おはよう天野くん!」
 寝癖でくしゃくしゃ、パジャマはボタンを掛け違え、左右それぞれ違う色のスリッパを履いたジョニーがまどかさん部屋にあらわれた。
「ジョニー、静かに! まどかさんが起きちゃう!」
 そう言う天野くんのほうがうるさい。
「まどかさん、まだ寝てるんだ……いまのうちに逃げたほうが……」
……でしょうね。ヒラサワくんと天野くんは顔を見合わせる、さきほどまでのトキメキは一転、狂気に走り暴徒と化すまどかさんの姿がよぎり、脳内で激しくサイレンを鳴らす。
「……出ようか」
「……うん」
 空き巣のように音を立てず、男たちは眠る天使に背を向けた。
 そのときだった。
 背中から心臓へ、凍りついた鋭利な刃物が突き抜けてゆくような、そんなヴィジョンが彼らに見えた、気のせいではない、痛みこそないがそれは幻ではなく現実のようであった。

〝JACKPOT DAYS〟-image



「……おい」
「は、はい……」
「おまえらがじっと見てるからベッドから出られなかったんだよ」
 怒気は熱を持たず、むしろ瞬間で氷点下にまで届くほどの冷気を含んでいた。
「外で正座して待ってろ」
「はぃ……」
 男たちは弱々しい声……まるで虎に追いつめられた小鹿のように怯えている。
「さっさと外へ出ろ……」
 自称、美貌の辣腕マネージャーの加虐に特化された辣腕が制裁を告げていた。



<これってバンド小説だったはず……なんで、次回からもう少しロックンロール的に続く……>

━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image



弱々しくも儚く、どうにか生き延びるおバカさんたちの前回まで。



━━━━━━━━━━━━━━━


〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた



〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-22 23:00 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-image


新星ハサウェイ


村とその国、焼き払う声で荒れ地にしたら、
ハサウェイ、天に向けて翼を広げ、
受難の生、それを与えた神の元、
鋭く回転しながら舞って行く、

このとき、彼は神を信じていたが、
その姿は知るはずもなく、
我が存在、その真意だけを知るために、
神の在り処を探って飛んだ、

いくつもの暗がりを、飛び交う星屑蹴り散らし、
彼は無限の宇宙を彷徨った、
翼はすでに折れ曲がり、カラスもハトも赤く染まった、
光を浴びすぎ、その眼に濁って見えるは微かに灯るホワイトライト、

神の居場所を感じるハサウェイ、
余力と翼の余熱を使い、惰性に任せて落ちてゆく、
吸い込む光と吐き出す光の中間地点、
その舞台に落下した、

どこかで聴いた歌が流れる、神を慈しむ歌だった、
ハサウェイ、血の混じった唾を吐く、

悪魔か天使か、体を突き抜く声に撃たれて、
彼は膝から落ちて這いずりまわる、
呻きながらも意識だけは鋭利な刃物、
“どちらでもいい”、
“どちらでもない”、
泡立つ血飛沫、ひしゃげて曲がる翼はちぎれ、
目を開けることもない、

白い光だけを浴び、
その後ろに伸びる影は暗がってゆく、
憐れみながら嘲笑い、神は彼の形を変えた、
ハサウェイ、その姿は砂塵になって、
散らばりながら宇宙になって、そのカケラは光を帯びた、
彼は流れる星に群れて、
夜の地球に黄金の、アーチ描いて彼方に消えた、

人々は神の思し召しだと十字を握り、
想い想いに願いを託した、
ハサウェイ、それを聞くつもりもなく地球を離れて弾けて消えた、

〝JACKPOT DAYS〟-image



━━━━━━━━━━━━━━━


〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた



〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-22 07:47 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-image

惑星ハサウェイ


受難のために彼は生まれた、
異端と見なされ、少年ハサウェイ、
彼は13歳で断頭台にかけられた、

罪名などない、彼を産み落とした日、
父と母は悪魔を生みし呪われし者として、
錆びたギロチン、血を吸われてる、

鷲の眼をぎらつかせ、
薄い背中を破って伸びた細い骨、
やがて一対、翼になって、それぞれ異種の羽根に育った、

右にカラスを、左にハトを、
ハサウェイ、その青い髪、
夕の闇に溶ける前のグラデーション、
空の色は星がまたたく前の色、

呪われしとヒトになれずに、
羽根があるとも空には行けず、彼は死を待つ寸前に、

神に祈った、神は笑った、
差し延べる手などあるはずもなく、
ハサウェイ、突き動かす衝動のまま、
飛べないはずの翼を広げ、

宙に浮かび上がる、
感嘆、悲鳴が響きわたって、
血を吸うはずの断頭台、
彼はその咆哮にて村と村人たちを焼き尽くし、
受難を浴びせた天に向かって飛び立った、



〝JACKPOT DAYS〟-image




━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた



〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-21 20:13 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-image


大嘘つきのロイ

ペテン師の家系に生まれた、祖父は国をまるごと売り飛ばし、
父の代では不毛の辺境、一家は終わり近づく孤島に逃げた、

貧民たちが息を潜めて暮らす地は、正しいことに価値はなかった、
神を語れば小銭が散った、
甘いだけの愛を歌えば、それがパンとミルクの糧に、
街には自称の詩人があふれ、その場限りを繕って、
一瞬だけの癒しを金に、

嘘つきロイは青年期を迎えると、二度と戻らないと誓った、
誰に誓うわけでもない、言い聞かせたのは自分自身、
信じる者などこの世にいない、島を離れて遥々と、
過密の都市にゆく、あらゆる嘘が息づく場所で、

嘘つきロイは干からびオレンジ吸いつく子供、
西の森ならいくらだって実がなってると、
救い求めてひざまずく者、彼女らには見下ろす下に神がいる、
頭垂れることはない、頭上にあるは虚空に過ぎぬと、

嘘つきロイは街灯下、群集たちを集めては、
この世界の美しさと生きることの素晴らしさ、
溢れんばかりに満たされる愛、そのありかを欠伸殺して語り続けた、

世界に加虐も被虐もありはしない、
老いも若きも無関係、美醜も人を隔てない、
すべての命にありとあらゆる救済が、
同等たる魂が、ただそれが真理だとさえ言い放つ、
誰を傷つけるわけもなく、ただ小さな光を燈す嘘、

やがてロイは扇動者の札さえ貼られ、逆賊だとされ手配書が、
真偽のどちらも吸い殻程度さ、
そう嘘ぶきながら、赤い舌出し、
タバコをくわえ、今日もまた陽に背を向ける、

〝JACKPOT DAYS〟-image





━━━━━━━━━━━━━━━


〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた



〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-19 21:06 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-image

旅路の果てのラスネイル

夜を飛び交うハチは群れ、
明滅する黄色い街灯下に集う人々、
毒針刺しては墜ちてった、
夜ごと繰り広げる風景で、
痛みにさえ慣れ、誰も彼もが夜を明かした 、

ピザ乗るトマトやハムやアンチョビ、
生地からさらってそれだけ食べるラスネール、
焼けるほどのチリソース、
口のまわりの鮮やかな赤、生き血を舐めた跡みたい、

数える数百ガールフレンド、名前なんて覚えていない、
覚える気もないラスネール、だからハニーとしか呼ばない、
名前はハニーでいいって思う、

覚えているのは肌触りだけ、
覚えているのは温度だけ、
それ以外はいらないらしい、
それ以外は忘れてしまいたいらしい、

一人になりたい夜は一日おきに訪れて、
ラスネールは家を持たない、
荷を降ろしたコンテナに忍び込み、
ランプに燈す輪郭のない光、
照らされたピリ・レイスの世界地図、生きたい場所が見つからない、

どうやら終わりが来たみたいだって彼は思う、
別にいいって淋しげさえなく、
けれど最期に触れた温もりだけを思い出す、

薄暗い鉄のコンテナ、冷たい檻みたいに見えた、
それから温もり抱いた手の平見つめたラスネール、
目を閉じ扉を引き開ける、

群れたハチのその塊が、彼の体を覆い隠して、
ラスネールは悲鳴さえなく眠りについた、
もう孤独じゃなくなるってラスネール、
愛した名前をひとつひとつ思い出す、
ひとつひとつ思い出す、



━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた



〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-18 18:40 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-image

黒鳥

星ひとつぶんのありとあらゆる色を混ぜ込んだ、
スープのなかは極彩色のグラデーション、
赤みが浮いた黒になってる、
乾きはじめた血に似てた、

白く群れた羽根たちは、
血に似た黒の泉に浸かって、
その一枚ずつを染め上げる、
飛び立つ飛沫、垂れたオイルみたいに波打ち落ちた、
やがて空さえ染めるだろう

平らな地球、滑り落ちる直前の、
最期の島は半分くらいをブラックホールに持って行かれた、
住む生き物たち、鳥をのぞいて飲み込まれてる、
宇宙船を建造してた人々たちも穴に飲まれた、

白い花咲くライラック、黒い鳥の群れがさらった、
くちばし先にくわえて自ら作った夜の空、
ブラックホールの反対側の宇宙へ旅立つ、

黒く群れた羽根たちは、
乾いた血に似た翼広げて、
ヒトの行けなかった神の視座にて、
よだれを垂らす、太陽を退けて、
やがて空さえ染めるだろう、



━━━━━━━━━━━━━━━
〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた


〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-18 12:24 | カテゴリ:おまとめビリー
〝JACKPOT DAYS〟-image


 はてさて。
 後述のリンクでぜひチェックしてみてください、オラの短編集「流星ツアー」が発売になり一週間。
 昨日、ロシアで隕石が落下したそうな……。オラ、この数日……ツングースの爆発を調べていたところでした。

この記事でもちょこっと。
「隕石ツアーでなくて良かった……」と、よく分からない感想を持つ私。
たくさん怪我なさった方がいらっしゃるようですしね……。

 そんなオラが今週投稿した才能溢れかえる記事を読んできてください。

空の色が風になる
スカーレット
深海の人魚
∞ジョニーたちは飢えている。

 また、今回、出版にあたりまして、皆さんにTwitter、facebook、そしてブログで紹介していただいて、心から感謝いたします。
☆出版お祝いにブラを送ってくれたアメブロ最強のエロブロガー、いれいれたん
☆わざわざメッセージまでいただいた高橋靖子さん
☆今回の出版におきまして、いちばんお世話になったゆり呼りん
☆いつも博識でオラのことを「おバカさん」と笑うmebuさん。
☆早くも印税を狙うゆずおやじ
☆いつもとんちんかんな明日香ちゃん

いちばん付き合いが長い猫自慢女子
やっと本になったぜ。人間性にまで言及してくれて……そこは放っておいてくれ(笑)。

 皆さん、ほんとにありがとうです。もし私がベストセラー作家になったら……これまでの数々のセクハラ発言は、なかったことにしてください m(_ _)m


━━━━━━━━━━━━━━━
〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)


〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた



〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-17 20:16 | カテゴリ:3minute rockin novel
〝JACKPOT DAYS〟-image

深海の人魚

 ずいぶん変わってしまったのね……彼女は海面から地上を見ていた、かつては彼女もそこに生きたことがある。深海には何年くらいいたのだろう……考えても分からなかった。
 そしてそれを理解したところで、いまになれば何の意味もなさないような、そんな気がした。
 遠ざかり過ぎた記憶は、彼女から地上の景色を奪い去っている。

 地上にはヒトの姿が見当たらない、どうにか枯れずに生きていたはずの小さな白い花びらが蒼に溶けずに漂っている。
「星……?」
 彼女は空を見上げる。星はあれほど輝くのだろうか。それぞれがそれぞれに意思を持ち、発熱さえもしているようだ。
 星たちは一定間隔で移動さえもしているように見えた、白く黄色く、ときに真っ赤な光も放つ。
 耳を澄ませば、星々が周期的に啼いていた。

 彼女が地上に生きたのは400年も前になる。
 ヒトは夜の空に船を浮かべた、そしてそこを新たに生きる場所とした。世代を超えれば星が再生すると考えたのだ。治癒に賭けて空に旅立ったまま帰れなくなったヒトビト。
 もうひとつの手段として、原初の海に生命を還元するという方法も考えられた。

 彼女はヒトとは違う進化を遂げた、宇宙ではなく深海に生きる種として人工的に産み出された生命。
 尾びれには<2015.04.08>の識別コードが記されていた。
「還ろう」
 彼女は再び深海へと溶けてゆく。

━━━━━━━━━━━━━━━

オペラの犬の朝
砂時計の街のデューイ
境界線上の蟻

━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)


〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた



〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-17 19:51 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?
〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

それゆけジョニー!

 旅芸人である男たちはその日も見知らぬ土地にいた、彼らは二度目のツアーの最中である。
 ジョニー、ヒラサワくん(平澤喜左エ門)、天野くんの三名からなるインディー・パンクロック・バンド『THE CIGARETTES』は借金完済に向けて奮闘を続けていた。少しずつではあるが動員も増え、CDの売り上げも伸びつつある。とくにライヴ終了後の物販ではそのデザインもあってか、Tシャツがよく売れた。
 しかし、である。

「お腹すいたー……あー、もう叩けない……」 
 リハーサルの途中、空腹を嘆く天野くんがいた。ドラムに突っ伏してリズムが途切れる。
「昨日の朝から何も食べてないからなぁ……」
 額の汗を拭う、ヒラサワくんはリーゼントが崩れていた。ウッドベースを壁にもたれかけさせ、本人も小さく座り込む。

 彼らの旅は仕事ではある、だが、時給に換算できないほどの薄給なのだ、チケット代、会場でのCDやグッズの売り上げはほとんどが事務所に吸い上げられ、気まぐれに手渡される「ギャラ」だけが収入のすべてなのだ。

「さすがに草ばかりじゃ体力が続かないよね……」
 無限かとも思われるエネルギーを持つジョニーも音を上げる。
「……草?」
「なんか食べるものあるのか……?」
「良かったら食べる?」
 楽屋で待っててよ。ジョニーはギターを置き、ステージを降りフラフラとどこかへ去った。
「どこ行くんだろ、ジョニー……?」
「さぁ……」
 数分後。
 スーパーのナイロンを抱いた彼が戻ってきた、何が入っているのか、サッカーボールほどにふくらんでいる。
「ジョニー、おまえ……これ……」
「近くに公園があったから。新鮮だよ」
「雑草じゃねーか!」
「こんなもの食べてたのかよ、ジョニー?」
 ジョニーは適当につかんだ緑色をそのまま頬張った、もそもそと咀嚼する。
「食べないより……マシかなって……野菜に見えるし……」
「いやいや……いやいやいや……美味しいのかよ、それ……」
「不味いけど、お腹いっぱいになる」
「……公園の雑草って……なんかいよいよ……いよいよ……」
 人として最底辺あたりだな……ヒラサワくんはそう言おうとしてやめた。

〝JACKPOT DAYS〟-image


「なにやってんのよ、あんたたち……」
 声に振り返るとマネージャーであるまどかさんが立っていた、眉根を寄せ、不審そうにオトコたちを睨んでいた。腕組みをしたまま、ヒールを鳴らして踏み込んでくる。
「なに……楽屋で雑草食べてるってあんたたち……人としての尊厳はないの……」
 自らがマネージメントしているバンドでありながら、あからさまな軽蔑が声色にこめられていた。
「尊厳の前に命だからね。まどかさんも食べる?」
 はぁ、と溜息をついて彼女は言った。
「そろそろ開演時間よ。ばっちりカッコいいステージやってきなさい。終わってから御馳走してあげるから……」
 男たちは色めきだつ、その眼に光が宿る。
「マジっすか! よーし!」
「行くぞジョニー!」
「行こう!」
 三人は駆け出した、狭く薄暗い通路の向こうには飢えた狼の叫びを待つ人々が待っている。
「行ってこいっ、THE CIGARETTES?」
 まったく放っておいたらバカなことばかり……。そう思いながらまどかさんは笑顔だった。聴こえてくるロックンロールがトップギアでスタートしていたからだった。
 カッコいいよ、あんたら……。

 でも、ジョニーが集めてきた雑草はゴミ箱行きになっていた。


<ロックンロールは鳴り続ける……>


━━━━━━━━━━━━━━━
〝JACKPOT DAYS〟-image



おバカさんたちの軌跡と奇跡。


━━━━━━━━━━━━━━━
〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)


〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた


〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-17 19:38 | カテゴリ:billy gallery
〝JACKPOT DAYS〟-image


「星を探す男」
一攫千金だけを狙って、アパートメントの屋上階で、
高く売れる昼間の星を、酔狂モノに売り払う、
手筈だけを調整してる、



〝JACKPOT DAYS〟-image

「蛇使いの朝」
男には目の前の、毒をもつ爬虫類、
そいつだけが友達だった、だけど男はその友達に、
噛みつかれて死ぬ夢を、死ぬ夢ばかり見てたんだ、
それでいいって目覚めた彼は、ぬるい水を一口飲んで、
「俺もお前もろくでもない生涯だった」、
笑ってやれば愉快じゃないか、



〝JACKPOT DAYS〟-image

「恋人」
大好きな、彼女と手を繋いでる、
どこまでだって行けるような、
だけど生きたい場所はないような、
いつも僕らは途方に暮れる、



〝JACKPOT DAYS〟-image

「カウボーイ」
黄金の髪を持つ、神に近い馬に乗る、
カウボーイが憧れだった、
テキサス荒野を無尽に翔ける、
カウボーイが憧れだった、



〝JACKPOT DAYS〟-image

「果実」
「知恵の実なんて口にしたから、
そこからヒトは狂い始めたの」
辛いのが当たり前、そんなふうにおもってる、
ほんとは悲しみだとか苦しみなんて、
要らなかったはずなんだ、ヒトはあまりに変わり果て、
挙げ句は命の苦しみまでも感じずにいられない、
動物に、原始に還れば僕たちは、
きっとずっと楽になれるよ、人なんてやめちまいな、
下らないって分かってんだろ、



━━━━━━━━━━━━━━━
〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)


〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた


〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-13 23:52 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-110429_183834.jpg


朝に目覚めて夜を待つ、
昨日はそんな日に過ぎた、
今日がそうなら待つ明日だってそうだろう、

不謹慎だと咎められよう、だけどいつもヒトはどこかで、
その死に場所を探してる、
他愛のない夢物語、抜け殻みたいな日々だ、
どこで何を書き残したろう、そんなのもう憶えてないや、
いまは海の近くの街の、
紫を吐く灰色近くを歩いてるって、

いつもどこか寂しそうな、満たされない横顔だって、
そんなことを言われたってさ、自分の顔は見えないし、
そう見たいものでもない、

ヤニに汚れた左の指や、鎖骨の下まで届く髪、
願い託して巻いたミサンガ、ただのひとつも千切れない、
星の刺青さえも隠せず、荒れた肌に打つ海風、

さあもう離れよう、ひとつの地に留まるなんて、
それをするには命はあまりに限られている、

境界線の灯台の、そのあたりの蟻の住処は、
向こう側とこちら側の両方を、
自由に行き来出来るんだってカナリヤが、
教えてくれたよ、いつか読んだ童話のなかの話だけれど、

オレンジ太陽、ホオジロザメの奥歯の化石、
手配書を見りゃ分かるだろう、僕らの命は等価じゃない、
道標なんていらない、用途のない愛はいらない、
正義と制度をせせら笑う場所、
口笛、ビールで目指そうか、


〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-13 23:48 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-110517_194133.jpg


その街、どこを見上げても時計があった、
どれもが狂ったまんま動いてる、
誰もそれを気にしないのか、或いは慣れてしまっているか、
それぞれがそれぞれに、好きな時間を刻んでる、

バスは日に2度、街を出てゆく者だけを乗せ、
そしてひたすら南へ向かう、
太陽が充ちる場所、
そこには何があると云うんだろう、
乾ききったエンジンは、泳ぎ疲れた魚みたいだ、

デューイを名乗る男は盗賊、
何もかもを盗んだあとだ、欲しいものなど何処にもないと、
宝のありかばかりを記した地図を焼く、

盗んたものは片っ端から売り飛ばす、
奪えないなど世界にはない、
“誰も彼も大事なものなど持っちゃいないさ”
欲しいものなどひとつもない、
手にした途端に売り捌く、

ある日、デューイは酔いの醒めない朝に気づいた、
傷つけたぶん傷ついてたんだ、何もかもを手にしたようで、
どうしてこんなに乾いてるんだ、

メモ帳めくって、せめて話し相手を探す、
そうか、もうこの街には誰もいないか、
痛みが走る体で窓の外を眺め見る、
痩せさらばえた、
その胸に手をあてて、

乾きの果てに涙も出ない、
乾きの果てに涙も出ない、


〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-13 22:53 | カテゴリ:おまとめビリー
photo:01



 ちゅうことで。
 かつて、このブログでご好評いただいた小説「流星ツアー」を表題作にした短編集がAmazonペーパーバックとして出版されました。
 今回の出版にあたり、表題作と同時に収録されることになった「スタンド・バイ・ミー」、「戦時のポストマン」、「楽園はイレギュラー」はすでに下書きに戻してあるので、ブログ記事としては読めないのでリンクはしていません。

 どうぞ、よろしくお願いします。
 こちらから

http://amazon.co.jp/dp/4903974766


photo:02



 また、今回の出版にあたり、お話をくださり、仲介までしていただき、さらにはファイル作成まで引き受けてくださったゆり呼りんの詩画集、
「あの人への想いに綴るうた 」も出版されました。

 「あの人への想いに綴るうた」


http://amazon.co.jp/dp/4903974758

どちらも書店流通ではなく、Amazonのみの受注販売になるそうです。

どうぞよろしくお願いします。


2013.02.11
田中ビリー

〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-13 18:50 | カテゴリ:3minute rockin novel
〝JACKPOT DAYS〟-image


スカーレット

 視線の先にはピンク色のフラミンゴ、片足立ちかと思ったら、右か左かどちらかちぎれてしまって、しかたなく片足立ちしてるだけだった。
 湖はダークブルーだ、彼女はフラミンゴを助けようとしたけれど、ピンクの羽根を散らかして、フラミンゴは飛んでった。
 残した片足、湖に突き立てたまま太陽に飛んでった。

「霧にむせるシケた街に帰りたくなんかない」
 彼女は泣いてカギのチャームのピンを外した、なくさないようポーチにしまって、裸足になって湖を歩いてみせた。

「ここはきれいでサカナが泳いでる」
 生まれて初めて生きたサカナを見たらしくって、バッグのクッキーばらまいて いた、そのうち笑顔に戻ってた。

 雲が途切れて、太陽は欠伸する、弱々しい光が水色の湖の、華奢な波に跳ね返る、千切れた光がバラバラに乱反射して、その一瞬はまぶたに焼きついている。

「ログハウスがあったから 勝手にそこに住んじゃおうか」
 キラキラ笑ってる、
僕は彼女に名前をたずねて 彼女はもうすぐ分かるからって悪戯そうに片目を閉じた、薬指のダイヤモンドを湖に投げこんだ。

 少しずつ夜になって、空と湖、同じインディゴ、褪せないブルーと底で輝くダイヤモンド、落ちてきた星みたいだ、灰色の山小屋にはベルが風に揺れていた、ざわめく木々と湖、波音。

 暖炉に燈る赤、空のボトルに湖を入れ、濃い味のレモンティ、それから僕らけらけら笑った。
 明日が来るまでここにいようって言い続けた。
 僕は彼女を新しい名で呼び、彼女は僕を日替わりの名で呼んだ。
 灰と吸い殻とダイヤモンド、髪の長い恋人と。
 それだけがすべてなんだって、あの日の僕らは思っていたはずなんだ。



━━━━━━━━━━━━━━━
好評発売中です。

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)


〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた

 どちらもAmazonさんにて発売中でございます。
 ご贔屓にしてくださいませ。


━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-13 00:03 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-image

空の色は風になる
ピックアップ、荷台に揺られ、
どこにゆくのかなんて聞き忘れてる、
巡る季節を感じる今朝は、

聞き慣れない街、雪が舞う最初の日、
手をかざしては瞬く間に水になる、
空の色が風に乗る、空は今日も水を迎える、

羽根をつけた三角帽子、原色だらけのサーカステント、
白に埋もれて、僕の荷台はまるで羽毛が、
シグナルカラーのパラシュート、銃を手にした兵たちは、
風に飲まれて海へと落ちる、

遠くに来たね、誰ともなく呟いた、
サボテンにまで手を振って、そしてまた風を待つ、

どこまでも連れてって、道は知らないままでもいい、
悪路を走り続けるワゴンに揺られ、
酩酊ながらの振動が、なぜだか妙に気分がいい、
どこまでも連れてって、
未知はそこかしこで舌を出しては僕を誘う、

見慣れないまま風は過去を連れ去って、
明日は明日で考えないふり決め込んで、
キズにはとうに慣れたふり、赤い痛みを伴って、
めぐりめぐる季節はいつも、どうにもやりきれない気分にさせる、


━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image

Amazonへはこちらから。
流星ツアー


〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた

 どちらもAmazonさんにて発売中でございます。
 ご贔屓にしてくださいませ。



〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-12 17:13 | カテゴリ:日々のこと
〝JACKPOT DAYS〟-image



……って、真冬ですけどね。昨日はお祝いコメント、「注文したずら?」のメールや電話など、たくさんいただき感謝感激です。
 皆さん、どーもありがとうございます。心から感謝しております。

 で、本日ですが。とくに何が変わるわけでもなく。当たり前ですが。ボケっとCS放送のタイガース・キャンプを見ております。そればっかりですね。

〝JACKPOT DAYS〟-image


 こっちを表紙にすれば良かったのかなぁ、なんて、今更思ったり。
……でもこの絵はごく最近描いたので間に合わなかったんですけども。
……どないやねん。グダグダか。

〝JACKPOT DAYS〟-image


「流星ツアー」

〝JACKPOT DAYS〟-image


あの人への想いに綴るうた

 どちらもAmazonさんにて発売中でございます。
 ご贔屓にしてくださいませ。

……と書いたのが昼前。
photo:06


 AmazonのPOD部門にてワンツーフィニッシュ‼
 一等前後賞‼
 ドラフト一位と二位‼
……ちょ、ドラフト一位と二位はいいけど、一等前後賞なら……前後やん。
 それは……分かりにくい。



〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-12 12:16 | カテゴリ:3minute rockin novel
〝JACKPOT DAYS〟-image


永遠

「……ねむい?」
「うん……たぶん」
「そう……でも、抗うことはないの。人はすべて眠りにつく運命のもとに生きているから……」
「運命……」
「生まれた瞬間から決まっていたこと。それに逆らうように歩いてきたけれど……」
「ここが……終わりの地点……僕の……」
 握りしめた磁石は南を差していた、太陽はふたりの真上を赤く冷たく灯っている。瞼に熱を感じる、開けようとしても自然にそれは閉じてゆく。
 直線と曲線を繋ぎ合わせて、あるいはそのもつれた糸を手繰ってはほどいてゆくように、導く何かがあるように、一歩ずつを重ねてきた。風に吹かれて足跡は消えて見えない、それでも痺れのある脚は確かに僕をここまで運んだ。

「長かった……だけどそれもここで終わる……」
「永遠が……そう、永遠の光が君を包みこむ……これからずっと……」
「人が……探り当てた最も儚い言葉かもしれない……」
「永遠、ね」
「そう、永遠。果てがないと思いたかったの、この世界にも生まれたことにも。だからこそ眠りが目覚めた」
 私たちは終わりに向かってしか生きられない。何かを始めたとして、それは必ず最期のときを待つ。
「眠いな……」
「目を閉じる?」
「もう少ししたら……手を握ってもいい?」
 ぽとりと砂のうえに磁石が落ちる。針は揺れて定まらないまま、その上を砂が包みこむ。
「時間がきたみたいだ……」
「何が見える?」
「見たこともない景色……金色の空……流れ星と……ここに生まれて……かたちを成して、散ってしまったもの、朽ちてしまったすべて……」
「同じ……私にも同じ景色が見える……」
 おやすみ。

 波が砂を削り、水は蒼く透き通る。それが僕と彼女をさらってゆく。僕と彼女が透き通ってゆく。
 永遠が、はじまる。


〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-10 11:24 | カテゴリ:billy gallery
〝JACKPOT DAYS〟-image



 こんにちは。どアップによる私こと田中ビリー、その左眼です。視力は0.03ほどしかありませぬ。
 測定では同じなのですが、右眼は「瞳孔の収縮速度がやや遅い(医師談)」らしく、光にとても弱いのです。んなわけかどーか分かりませんが、利き目は左です。運転中はサングラスがかかせません。
 利き目の左は「この世ならざる存在」を頻繁に捕捉してしまう特殊能力があるのですが、ごく率直に怖いので「そんなもんはいねぇ」と思うことにしています。

〝JACKPOT DAYS〟-image


ヘビ使いはその日も変わらず、

〝JACKPOT DAYS〟-image


神を恐れぬふりをして、

〝JACKPOT DAYS〟-image


夕刻まで神を飼う、そのつもりでいた、

〝JACKPOT DAYS〟-image


遠くシベリア、ツングースカでは衝撃が、

〝JACKPOT DAYS〟-image


やがて地球は氷河を迎え、月の裏側にも似た廃景、

誰もが分かっているはずだった、
なのに止めようとはしなかったんだ、
あまりに「いま」に手一杯で、未来に馳せる余裕がなかった、
だけどそれはヒトが選んだ、僕らも加担者かもしれない、
それでもきっと残る誰かもいるんだろう、
岬にて待つ、最期に泣くのは誰なんだろう、
絶望の、なかにも光、
手にするはずのささやかな、それを見るのは最期まで、
走り続けた者だけだろう、せめては笑顔で見送るよ、
置いてゆかれる、それはヒトだけ、
聖人さえも極悪も、所詮は同じ種族でしかない、
そんなもんだろう、誰が異を唱えるだろう、



〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-09 23:14 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-image

星の手配師

利き手の逆に星の形のタトゥーを刻んでる、
星の手配師、ジョーはいつも空を睨んで、

昼間に光るは高く売れると知っているから、
まばたき忘れてビルの屋上、空を睨んでいるだけの、
彼は星を売る男

ドライフラワー、赤いバラ、
手を触れたら落ちて砕けた、
テーブル上のくるくる廻るガラスの地球儀、
紛いの水晶、占い師の店寄って、
流れる星の行方を探す、

ヒトにはまだまだ見つけられない、
望遠鏡では捉えられない、
光る惑星、合図を待って、ジョーは屋上、大の字寝そべる、

タバコくわえて星を数える、売れない星に煙を吐いた、
今日はツイてないってこぼす、

冷たいピザをアスファルトに箱を広げて、
空腹ごまかし啜る瓶、
物欲しげに覗くカラスに半分あげて、
恋人みたいに語りかけてた、

星の形のタトゥーさすって、汚れたジャケット脱ぎ捨てて、
吸い殻だらけの屋上、口笛、

昼間に光るは高く売れると知っているから、
まばたき忘れてビルの8階、空を見つめた、
彼は星を探してる、


〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-09 23:11 | カテゴリ:文芸パンク
〝JACKPOT DAYS〟-image

黄金の夜明け

また生き返る、似た続きに思えても、
運ばれてんだ、導かれてる、
未来が何を用意していても、
世界は廻り僕らは生き返り続けてる、

漕ぐに疲れて、流れに身を委ねても、
運ばれてんだ、連れてかれるよ、
果てしない続きがあるし、答のない旅、
それを日々に繰り返す、

鳴るサイレンに耳を塞がず、鳩時計が再生の午前を鳴らす、
夜明け頃は金の火花が散る閃光、
ピアノの鍵盤平手にたたく、数百にもなる黄金が、
まぼろし、うたかた、ガス灯の下、
ランプを置いて手を取り合って、

また生き返る、似た続きに思えても、
運ばれてんだ、導かれてる、
未来が何を用意していても、
世界は廻り僕らは生き返り続けてる、

帆を張って風に体を預けよう、
行く雲や流れる水と僕らは同じ、
新しい世界を見つけに、
新しい世界を探しに、
今日のリズムを踏み鳴らせ、目を閉じ描く虹の国はすぐそこだ、

夜明け頃は金の火花が散る閃光、
ピアノの鍵盤平手にたたく、数百にもなる黄金が、
まぼろし、うたかた、ガス灯の下、
ランプを置いて手を取り合って、
広がる景色は誰のものでも、
そう、誰のものでもない、
この先には地図がない、黄金を見つけたら、
それが合図だ、背中からも風が鳴る、


━━━━━━━━━━━━━━━
〝JACKPOT DAYS〟-image

★★★★☆
★★★☆☆
★★★★★

━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-09 18:17 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?
〝JACKPOT DAYS〟-image

それゆけジョニー!

…………(please enjoy,this program on......〝PEOPLE LOVES MUSIC〟 on FM888)…………

「……さて二月九日、金曜日、週末は寒波による積雪が予報されていますが、スタジオはホットで~す、今週も生放送でお届けしていま~す『ピープル・ラヴズ・ミュージック』、ステキなゲストをお迎えしています……」
 DJの軽快なトークから番組がはじまる、よどみなく、しかしアクセントが不自然な日本語だった、そして無駄にハイテンションである。
「ではお迎えしましょう、今週のスペシャルゲストは、ニューシングルを発表したばかりのジョニーズから助新(タスケ・アラタ)さんでぇ~す!」

……ジョニーの助新? 同じことを二度……? 変わった紹介だな……。

「……え、あ、もう喋っていいの……? はじめまして、ジョニーです! ロックンロール・スターです!」
 当然のように不慣れなわけだが、ジョニーは臆することもない、力強く自らをロックンロール・スターと言い切ってしまう。
「はじめましてぇ~、生放送は初めてとのことですが、リラックスして楽しんでってくださいね~」
「あ、どーも……キンチョウしてません、大丈夫デース」
 ジョニーの口調も微妙に変化してしまっていた。
「初めての生放送なのに緊張なさってないとは、さすがジョニーズのスーパーアイドルですねぇ」
……スーパーアイドル……? いつの間にアイドルになったんだろ……。
 ま、いいか……。いくつかのクエスチョン・マークが浮かんでは消える。

「新曲ではずいぶん激しいダンスが話題になってますが……」
 ダンス……ダンスしてたっけ……? あれ、俺、ダンスしてたのかな……。
「空を飛んでるみたいだってお聞きしましたよぉ」
「……空は飛べないけど、運動神経は良いんです。走攻守が三拍子揃ったトップバッターを目指してます」
 質問の趣旨が理解できていない彼は思いつきを話していた、『沈黙するな、とにかく質問に応えろ』とマネージャーに言われていたからでもある。

「お休みのときはなにされてるんですかぁ?」
「休み……休みってあんまりないんですけど……。寝たり起きたり……ゴハン食べたり寝たり……」
「……まあ、休みはゆっくり過ごすのがお好きなアラタさんですが、ご趣味などは?」
「無趣味です」
「……。あくまでもクールなアラタさんと言うわけで……では、気を取り直して曲を聴いていただきましょう、『ジョニーズ』の皆さんで…………」


〝JACKPOT DAYS〟-image

「なんかヘンだよねぇ?」
 事務所ではヒラサワくん、天野くん、そしてまどかさんが生放送を聞いていた。
「あのバカ……」
 スケジュール表と番組表を交互に確認していたまどかさんは手にしていた缶を握り潰す。
「なんで番組サイドも気づかないの……ブースが違うのよ? あのバカ、隣のアイドル番組に出てやがる……」
 まどかさんの手は他に握り潰すべきものを探していた。

〝JACKPOT DAYS〟-image

 聞き慣れない歌が流れている、いったいどうなっているんだろう……ジョニーはきょとんとしたままである。
 よく分からない。分からないが無事に出番は終わったらしい。
「なんで俺たちのバンドの演奏が流れないのかな……リクエストのメールをしなかったからかな……」

 お疲れさまっしたー、次々に労いの言葉を浴びながら、ジョニーはひとりずつに丁寧なお辞儀で返す。
「なんだかよく分かんないけど……まあ、無事に終わったしオッケーだね」
 勘違いのまま、足取りも軽くジョニーは初のFM放送出演を終えた。

 誰も彼もバカだった。



<おマヌケながらロックンロールが続いてゆく……>

━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image


脳内パンクの前回まで




〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-09 15:16 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?
photo:03


それいけジョニー!

 俺だけだよなぁ、キャラがイマイチ立ってないのは……おかしいなぁ……モヒカンのパンクスなんて、それだけでキャラ強いはずなんだけどな……。
 天野くんはぶつくさと物思いにふけりながらハンドルを握っている。

 男たちを乗せた『のんびり羊号』はよたよたとハイウェイを進んでいた、渋滞なんて何処吹く風、なぜなら後方からクラクションを鳴らされ、渋滞の原因になっているのが彼らの乗るバンだからである。

 おかしい。やはり天野くんは思う。助手席には起きているのかいないのか、ジョニーが窓の外を眺めているようだ、助手席にてナビを頼んだのだが、地図を開く気配もない。
……助手席なんて……名前だけだな、まったく役に立たないもんなぁ、ジョニーは……。
 そして後部席には平澤喜左エ門、43歳。インディ・デビューを果たしたばかりの彼だが、すでに妻子さえいるリーゼントの中年……しかも彼は名前が『喜左エ門』なのだ、その上、バンドのリーダーでもある。

 キャラって大切だな……なんとかしないと……ドラマーのウデも発展途上なだけに天野くんの心配は尽きない。ジョニーのようになれるはずもない、かと言えヒラサワくんのポジションはバンドの方向性に関わる……それはまどかさんも許してくれないだろう……俺は……僕は……もはやボクチンはどうすれば……。
「キモイ」
 後方から一言が突き刺さる、その主はヒラサワくんだった。
「なんなんだよ、さっきからブツブツブツブツ……」
「や、別になんでもないよ……寝てなよ、ヒラサワくん……」
「天野くんの独り言が気味悪くて寝られないんだよ……」
 独り言でさえ気味悪いと言われてしまう……キャラが弱いとこんなことになってしまうのか……もはやどうすればいいのかさえ分からない……ジョニーなら……笑ってすむところなのに……。
 どうすれば……どうすればキャラが立つのか。ジョニーのようなカリスマでなくていい、喜左エ門のように「ナイスなおじさん」はムリだろう。
 ふたりに負けないキャラでありたい……。
 それは天野くんの切なる願いであり、魂の叫びであった。

「うるさいなぁもぅ……」
「……うわっ、起きてたのかよジョニー⁉」
「ブツブツブツブツ……起きちゃうよ、そりゃあ。どーしたって言うんだい、天野くん……」

 このバンド……元は前バンドを引き継いだとは言え、自分こそがこの『ザ・シガレッツ』のオリジナル・メンバーでありながら、一番、存在感がないという現実。
 ジョニーはともかく、ヒラサワくんやマネージャーのまどかさんよりもキャラが薄いという事実。
……そして。その埋めなくてはならないはずの差をどうすれば良いのか、天野くんは切々とジョニーに説いた。
「……んー。じゃあ……どーだか分からないけど……地球に優しいとかいいんじゃない? なんか、そーゆーの流行ってるんでしょ? じゃ、着いたら起こしてね」
「地球に優しくな。運転には気をつけるんだぞ」
 ジョニーに続き、ヒラサワくんも思いつきでしかない意見だった。
……地球に優しい、か。地球に優しいロックンローラーはあまりいない気がする。むしろ地球に優しいとロックンロールでない気もする。
 でも、と天野くんは思った。
 よし。それだ。それは女子ウケもいい気がする。
「大好きだ‼ 優しくするぞ地球‼」
 天野くんは地球に優しいパンク・ロッカーになった。



<あれこれ優しくロックンロールが続いてゆく……>


━━━━━━━━━━━━━━━
photo:02



地球にも優しい(?)ロックンロールの前回まで


〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
2013-02-09 15:10 | カテゴリ:イケメン・ジョニーはスーパースター?
〝JACKPOT DAYS〟-image


go johnny,go!

「みんな、おにぎり食べてるか?」
 おおよそパンク・ロックとは無関係な叫び声から今夜もライヴが始まる、ジョニー率いるバンド、『THE CIGARETTES』は音楽的な方向性を速度に特化した方向で成長を続けつつあった。

 リーダーであり、すでにキャリアを重ねたヒラサワくんはロカビリーのスウィング感、レゲエやスカのリズムを巧みに織り交ぜたベースラインでバンドが体得した速度に深みを加える。
 天野くんのドラムは直線的な音塊を大地に撃ち込むようなスタイルだ、ボクシングに例えるならプルファイター、人間性とは真逆の攻撃な叩き方である。
 バンドの顔でありギター/ボーカルのジョニーはBPMには換算不可能な文字数でメロディに収まりきらない歌詞を叫ぶ。シンプルな3コードを刻むギターワークはまるで機関銃のように鳴る。
 なにより、そのパフォーマンスが圧巻だ、ジョニーはカールコードのプラグを針金を巻きつけて固定し、狭いステージを縦横無尽に駆けて跳ぶ。
 人間の限界を超えた身体能力だ、虚空を蹴ってさらに高く飛躍する、見る者にはまるで二段階、三段階に宙を駆け上るようにさえ見えるだろう。

 先日のライブではアンコールの終了後、客席にダイヴしたつもりのジョニーは勢いあまって客席の最後部、その壁にアタマを突き刺してしまった。まるで人工翼のない、ひとり鳥人間コンテストのようだった。

……とんでもないバンドがいる。ウワサを聞きつけた関係者……大手レコード会社や他レーベル、各メディアがバンドと「ジョニー」というオトコを知り始めたのはこの頃だった。

「あんたらさ、ラジオとか雑誌とか……そーゆーの出られる?」
 腕を組み、座らせた男たちの周囲をかつかつと歩きながら怪訝そうに眉をしかめる。なぜそこまでに態度が大きいのか分からないが、まどかさんは相変わらずだ。
「ラジオ……サッカー経験はないけど……」
「ジョニー、それはラツィオだよ。ボケが分かりにくいよ……」
「まどかさん……雑誌って……俺たちが……」
 ヒラサワくんは感慨に浸る、メディアに登場するまでになったのか俺たちは……音楽を始めて20年を越えて……ようやく陽のあたる場所に……良かった、続けていて良かった……ほんとうにこいつらと……「うるさいキザエモン」
「……あっ?」
「ひとりでブツブツ気持ち悪い」
 ヒラサワくんはまたも思ったことをそのまま口にしていた。
「メディア展開も視野に入れておくべき時期なのよ」
「メシ屋開店……いっぱいゴハン食べられるなぁ……」
「オーガニックの野菜とか……割り箸はやめて……地球に優しく……」
 相変わらず会話になっていなかった。だが、彼らを取り巻く状況は大きく変化してゆく。
 伝説はすでに火蓋を切っているのだった。


<ロックンロールは続いてゆく……>

━━━━━━━━━━━━━━━
〝JACKPOT DAYS〟-image


〝JACKPOT DAYS〟-image


前人未到のロックンロールの前回までの軌跡と珍プレイ



〝JACKPOT DAYS〟-image
関連記事
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。