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2012-05-31 22:08 | カテゴリ:未分類
JACKPOT DAYS!! -poetrical rock n'roll and beat gallery--モデル ジョニー・デップ.jpg



解放された夜を使って、闇とレールを抜き去る詐欺師、
名前を夜ごと使い分け、本当の名前は誰も知らない、
義であるべきと誓いをたてた、カネに綺麗も汚いも、
所詮は甘えた寝言だろうと、
“使い途は手にしてから考えるだけ”
不要な者が力持つより、彼は甘い言葉を吐いた、

逃げ脚の、速さは生まれつきみたい、
ホラも史実も同じ列にて語られる、
母親らしきが数人もいた、父を名乗るに血を流されて、
薄汚なく見たレール、
扉の向こうに灰色がかった自由があった、
偽名が彼を解き放つ、夜の紛いに溶け込ます、

詐欺師は今宵も甘い嘘、ありもしない未知の金塊、
童話を写した宝の地図や、観測されない星でさえ、
酔いどれたちが集う夜会に、甘美極まるウソを並べて、
汚れた手から汚した手へと、
ばら撒く夢で手にする現実、

解放された、夜の詐欺師の猜疑心、
彼はたったひとりでさえも信じず、
塗り重ねた美談を抱え、青い午前に跋扈する、
遠くへ続くチケットは、片道だけで東に向かう、
振り向きざまに目に映る、飢えたネコが横たわる、

片手にナッツ、喉の奥から薄ら笑いの優しい嘘を、
閉じた眼には通過儀礼の街の鐘、
失くしたものを数えるも、手にしたものが見つからない、
せめて俺は自由だと、燃え尽く陽のオレンジ見てる、
新たな地でも同じ嘘、積み重ねては歩くんだろう、
すでにその名を持たぬ者、唯一あるのが自由に似た不自由で、
彼は誰も愛さない、
彼は誰も愛せない、



[DustStar-REMIX]
大嘘つきのロイ
ペテン師チェルシー
世界地図は血の跡
瞬光


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 このあたり、だと思うんだけど……。
 金髪の青年は落ち着きなくあたりを見回しながら、手にしたメモと周囲の風景を幾度となく見比べていた、下げた片手で紙袋をぶらつかせている。踵を擦る足音と揺さぶられる紙袋、あたりに音らしい音はなく、どこか閑散とした景色が広がっている。
 盛んではなさそうな田畑の中心を舗装されきっていない農道が貫いている、ひと気はあまりなく、民家もあまりない。上空にはとんびが周遊していた。

 殴り書きのメモには名前と住所、携帯番号が記してあった、表は缶ビール2本とおにぎり、それにスモークチーズ1パック6ピース入り、それぞれの値段と合計金額、釣銭の数字はちょうど777円だった。
 一週間ほど前、突然、パンク・バンドへの加入を誘われたジョニーは、メモを手がかりに誘い主がいう「アジト」へ向かっているのだった。
「天野くんって言うのか……」
 あんな外見なのに……ちゃんと名前があるんだなぁ、などと自らを棚にあげ、当たり前のことを考えていた。

 ほどなく一軒のあばら家が見えてきた、自宅というよりは農機具小屋、納屋のようにしか見えない、錆びついたシャッターが風に軋み、見上げた2階の窓は割れた線に沿って濃い黄色のガムテープで補修されていた。
「まさか……ここかな……こんなところに人が……天野くんは住んでるのかな……」
 自らはコンビニの休憩室で寝泊まりしている彼だが、そのこともやはり棚に上げている。
「おー。きたかジョニー」
 見上げた先、開いた窓から今日もやはり目深にニット帽をかぶった男がジョニーを手招きしている、やはり、この廃屋のような納屋に天野くんは住んでいたのだった。


「あ、天野くん……約束どおり来たんだけど」
踏み入れた室内は床がコンクリートのままだった、中央にドラムが鎮座し、右手には2階へ通じるらしい階段が見えた。
「ジョニー、ここが俺らのバンドのアジトってわけだ、どうだよ、すげえだろ? 住居兼スタジオだぜ?」
「天野くん……ここ……田舎によくある納屋なんじゃ……?」
「ああ、そうなんだ。元はウチのじいちゃんが使ってた納屋なんだよ、だからタダで使えるし、俺は2階に住んでるってわけ」
「へ、へぇー……。うらやましいようなそうでもないような……」
 ふふん、天野くんはなぜか自慢げに鼻を鳴らし、埃の膜をかぶった古いトラクターに腰かけた。

 そうそう、思い出したように話し始める。
「天野くんじゃなくジャック。ジョニー、俺のことはジャックと呼んでくれ」
「ジャック?」
不思議そうなジョニーにかまわず、天野くんは自らをジャックと名乗った。
「うん……なぜジャックなんだい、天野くんは」
 当然の質問だった。
「ちっちっち……野暮な質問だね、君がジョニーであるように、俺がジャックであるだけさ」
 分かってないな、そんなふうにジャックは人差し指を左右に振る。
「あまのじゃくって言うじゃんか、それでジャックって呼ばれるようになったんだ」
「あまのじゃく……天野くんはじゃくって名前なんだ? 字は弱って書くのかな、ほらエアコンの強弱の弱のほう」
「は……? や、違う違う、そうじゃなくて……ま、まあ、あだ名の由来はなんでもいいさ、それよりジョニー、その紙袋はなんだ?」
「ああ、そうそう、これ、つまらないもんだけど」
 ジョニーはまるで新築祝いに招かれた親戚のように紙袋をジャックに手渡した、妙な礼儀正しさに戸惑いながら、ジャックはその中身を覗き込む。
「ジョニー……これ……」
「ほら、僕らバンドやるんでしょ? 天野くん……いや、ジャック、僕にはギターが似合うって言ってくれたからさ、買ってきたんだよ」
「ジョニー、これはギターじゃないよ……」
「あ、うん、エレキギターって高いからね、似たものを探したらこれがあって。持ち運びに便利なサイズだしさ」
 ジャックはその「ギターらしき」ものを遠い目で眺めていた、この男とバンドをやるのは困難が付き纏うことを痛感したのだ。
「ジョニー……これはウクレレだよ……。パンクとハワイアンは……いくらミクスチャーが流行ってるにしても……ウクレレは……」

 ジョニーはパンクを分かっていなかった。


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check!!

失笑必至の前回まではこちら♪



(不敵に不定期に続く)




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2012-05-31 21:00 | カテゴリ:日々のこと
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 昨日、こちら播州の初夏を告げる花火大会に行ってきました。
昼間のイベントには親分がシマ拡大のために乗り込んでいたみたいだけど、一般市民であるビリーさんは花火大会の見物に、ビールと夜の花に酔いしれつつ、無駄に高価な出店であれやこれやと食い散らかし……。
 結局、減量を無視し続ける土日のオイラ……。
もうかなりの減量は果たせたからいいや、と欲求に忠実にたらふく喰い漁る。

 世間のことって、どちらかと言えば無関心な人間ですが、笑顔がたくさんって嬉しい。

対岸にトランペット
うたかた
花火師ブラッツ

 ともかく、また夏がくる。いざ夏になれば「暑い」、「ダルい」と言うんだけれど、夏がくる直前の開放感やワクワクする気分はずっと変わらずにある。

 これを読んでくださっている皆さん、また夏がくるね。
このブログの場で知り合って初めての夏になる方、すでに3回目の夏になる連中、相変わらずのギヤで毎日回転してくから、今年の夏もよろしく。

 ピース。
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2012-05-28 19:35 | カテゴリ:未分類

集まるガレージ、悪魔の気分で生きている、
火を噴くマフラー、響くエンジン、
タンクには天使がじゃれる、
かぶりつくピザ、チリソースで真っ赤っ赤、

楽園ならいつだって探し出せるとウソぶきながら、
安物ワインを回し飲む、ピンナップだらけの壁にはバニーガール、
行き先 塗り潰したワールドマップ、

“退屈しのぎと思うのならば、
生きるのも悪くはないね”

ブーツの踵で潰すタバコは鳥のラベルが好きなだけ、
ひび割れてるティアドロップ、

集まるガレージ、天使の気分も悪くないって、
オイルで汚れたグアダルーペを愛おしむ、
そいつの指には真鍮ドクロが睨んでた、

“明日、なにもかもを終わりにしよう、
長居し過ぎた、新しい水脈探す旅をしよう”

ガレージに火を点けて、
僕らは生き急いでみるだけの、
ガレージに火を点けて、
悪魔や天使、どちらでもない、口で言うほど楽しめない、

せいぜい、今日を貪るだけの悪者気取りで、
せいぜい、明日を不要と呟く悪者気取りで、


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2012-05-28 19:32 | カテゴリ:poetrical punk 00B
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初夏のジュエリカ、いまだ咲かない花泣く荒れ地、
路地裏にゆく汚れた猫にキスをした、

欠けたダイヤの指輪くわえた、
そこに残った光の慈愛を知っているから、
浅い眠りばかりで今日も、

潰したイチゴにグラニュー糖、温いミルクに混ぜ込んで、
悲しい文字ばかりが踊る、新聞紙を読めなくなるまで小さく千切った、
湿り気帯びた風にばら撒く、

時間をもし巻き戻せるなら、あたしは別の道を選んだのかな、
馬鹿馬鹿しいって分かってて、
気づいたら目覚めた三日月、
ささやかなる金色の、淡い光線、
それは明日を待つ魔法みたいに、

きらきらひかる、淋しいときはいつだって、
いつも傍に寄り添う花は、

初夏のジュエリカ、
孤独に咲くも花の定めで、
路地裏眠る猫のほおにキスをした、

忘れた言葉の欠片探した、
確かにあった微笑みの、
横顔ばかりに想いを馳せて、

私にきっとできること、
それは失くしたものを永遠かけて憶えているか、
あるいはいっそすぐに忘れてしまうかの、
どちらかしかない、

たかが小さく儚い花は、次に咲く季節のために、
いまは浅い眠りにその身を委ね、
夏の光を待っていよう、

たかが小さく儚い花は、次に咲く季節のために、
いまは浅い眠りにその身を委ね、
夏の光を待っていよう、


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2012-05-27 18:20 | カテゴリ:未分類
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汚れたタオルで体を包んだ、
それでも光を纏って見えるあの娘の感じ、
いつだって変わらない、

アイスブルーの目をしてる、
熱源の太陽だって凍らせるから、
吐く息まるでシャーベット、夏を探してるみたい、

日焼けした長い髪、退屈げに本を読む、
“暇つぶしにもならないなんて、救いがないって思わない?”

アイスブルーの目をしてる、退屈しのぎを探してた、
そんなのどこにもないみたいって、
赤みはないのに艶めく唇、

照らす光に手をかざす、
サカナ降る街、今日はアイスブルーを閉じたまま、
退屈しのぎを探してる、

アイスブルーになる気分、
汚れタオルを破り捨て、
擦り切れるまで見た映画、
何度も何度もまぶたに描く、

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2012-05-27 18:17 | カテゴリ:poetrical punk 00B
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変化を恐れることはない 、それは誰もに訪れることだろう、
けれども急激な変化のなかで、摩擦の熱が君や僕を焦がしてしまおうとするだろう、

だから静かに確かな一歩を、
恐れることはなにもない、
背中を向けた景色に戻って呼吸はできない、

土砂降る雨は明日にも止むだろう、
あたたかな陽射しが君を僕を照らすかも、
雨上がりに虹を見つけた、何も思わずその七色アーチを眺めていよう、
傍らに誰かいるなら、その手を握りしめよう、
そして静かに微笑み合おう、

いくら凝らしても明日は見えない、
そんな力は僕らには不要だ、
今、いる、この場所に生きるだけ、
この一瞬、ただそこに存在し続ける、

終わりはすでに始まっているらしい、
僕らは一歩ずつ向かい続けてる、
痛む傷もあるだろう、背負うものは悲しみかも、

それでも一歩を踏み出そう、
呼吸を続けよう、
生きるんだ、今、この瞬間を、
恐れるな、今、この瞬間を、
生きるんだ、今、この瞬間を、

光はある、見つけようとする限り、
光を見つけ、僕らは僕らの命を祝福しよう、
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 男たちは今日も練習を重ねていた、一週間後に迫ったライヴ・イベント、dirty stars orchestra主催による「early summer loud party」への前座の前座、おまけのような扱いだが、それでも彼らにすれば新生・THE CIGARETTES初のライヴであり、脱退を決めたヒラサワくんにはラストライヴ、バンド未経験のジョニーにとっては初めてのステージである。
 持ち時間は15分。
 1曲を3分としても登場と退場を考えれば3曲が限界だろう、ついでに素人同然のジョニーがギター/ヴォーカルなのだ、それ以上の演奏は不可だろう。

 それでいい、ヒラサワくんはそう思う。最後に決めたライヴだ、潔く自らのバンド人生に終止符を打つのだ、ボロが出ないくらいでいい。
 音量だけは凄まじい、だが、やや安定感には欠けるリズムを叩きながら天野くん(ジャック)は思う。
……本当にヒラサワくんが脱退してしまうと……またベーシストを探さないと……うまくいかねぇなぁもう……。

 金髪に痩身、くわえタバコでギターを掻きむしるように鳴らすジョニーは思う。
……登場のときはきっと……俺が挨拶をするんだろう……フロントマンなんだから……フロントマン……つまり、前にいるヒト……。
「ね、天野くん?」
 演奏を止めてジョニーは話しかけた、ベースが、そしてドラムが鳴りやんでゆく。
「ん? メシはまだだぞ、ジョニー。我慢しろ」
「じゃなくて。ライヴのとき、挨拶しなきゃなんないじゃん? なにを言おうか迷ってんだよね」
「ハローでもなんでもいいんだよ、漫才やるわけじゃないんだしさ」
 ヒラサワくんが応えた、経験豊富な彼にすれば、持ち時間をいかにプレイするか、その大切さはすでに学んでいる。素人であるジョニーの素朴さは初々しく微笑ましいことだった。思わず目を細め、自分が音楽を始めたころを思い出す。

「でも……ハローって……。日本人なのに? こんにちは、じゃないの? あ、夜だから、こんばんは、かな。初めまして、も言うほうが好印象かもしれないよ」
 ジョニーが考えるのは本当にきちんとした挨拶だった、そんな律儀なパンク・バンドはいない。
「……いや……面接じゃないから……好印象持たれなくていいの、パンクなんだしさ」
 相変わらず正直なのか不遜なのか、あるいは単なるとんちんかんなのか、その全ての要素を縦横無尽に飛躍するジョニーの思考回路。
「うーん。好印象を持たれないほうがいいのか。じゃあいきなり、このシロウト共とか言おうかな」
 そりゃお前だよ、天野くんもヒラサワくんも声にせず思った。
「で、それから自己紹介かな。こちらは天野くん、納屋にお住まいの25歳です。それからこちらはヒラサワくん、もーすぐパパになる43歳ですって」
「……余計なことは言わなくていいんだよ……」
「そんな……お見合いじゃないんだから……」
「で、最後に……こんばんは、ジョニーです。パンク始めました!!」
「冷し中華始めました、みたいだ……」
「ジョニー……好きにしていいよ、もう任せる……」
 ジョニーはフロントマンを司会進行役のように勘違いしていた。


<不敵に不定期に続く>


前回まではこちら♪

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2012-05-26 12:05 | カテゴリ:poetrical punk 00B
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花火師たちは夏を待ってた、他の誰より大輪を、
夜空に咲かせてやろうともくろむ、
そのため限界近くまで、
心も体も削りゆく、

夏だけ働く、そんな時代はもう過ぎた、
年がら年中、炎は花弁は暗黒にも似た夜の宇宙に撃ち放つ、
流るる血がなせる業、冬より夏に騒ぐ血が、
指先通じて瞬く灼熱、乗り移る、
四季にそれぞれ開いて落ちる葉のように、

遠くシベリア、極寒にライラックが笑うよう、
花火師ブラッツ、星を撃つくらいの赤を、
夜の宇宙に解き放つ、

高鳴る心臓、脈打つ拍動、
囃し太鼓に夏三味線、
自らを解き放つ、あの瞬間だけあればいい、

花火師ブラッツ、夜を徹して熱こめる、
静かに黙る時を裂く、
美しき獣を解き放つ、その夜までは、
ブラッツ、優しき火薬を抱いて、
その弾薬に慈愛を解かす、


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illustration,craftwork and text by Billy.
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 男たちは眺めていた、 視線の先には風にさらわれてしまいそうに儚げな一枚のチラシがある、それは無造作にガムテープで貼られ、一度でも雨を受ければ、この世界から一瞬にして消えてしまいそうである。

 ライヴハウス「シアター・ジャックナイフ」。夜な夜な魑魅魍魎たちが乱雑極まる演奏を競い、傍若無人さを演じては「我こそがキングである」と振る舞う異形の地下空間。
 その入口、地下へ繋がる薄暗い階段は日中、扉が閉ざされている。
 男たちはその戸に貼られた告知ポスターに見入っていた。

「俺たちのライヴだ、この三人での最後のライヴになる」
白髪が混じるリーゼント、昼の陽光を受けてはなおさらその年齢が浮き彫りになるヒラサワくんが言う。
「ダーティー・スター・オーケストラがメインアクトのイベント……?」
キャップを後ろ向きに被ってモヒカンを隠し、身分を隠蔽している天野くん。
 彼はそのイベントのメインアクトの名前に畏怖を隠せない様子だった。
「俺ら、おまけみたいに書かれてるよ……」
ごく率直な感想ではある、彼らのバンド「THE CIGARETTES」は一応、名を連ねてはいるものの、当然ながら最下段であり、しかも空きスペースに無理矢理、名前をねじこまれている。

「ここでやるの、俺ら……?」
「やるんだ、俺が頼んだんだよ、ダーティー・スター・オーケストラに。前座の前座、おまけみたいな扱いだけどさ」
「だー……何?」
「ダーティー・スター・オーケストラ。世界中でツアーを組む大物だ、メンバーの国籍もバラバラで、サイコーにファンキーなバンドなんだ」
「ふうん……ヒラサワくん、パーティースター……のメンバーの知り合いなんだ?」
ジョニーは憶えきれなかったので省略した。しかも間違えている。
「知り合いってゆうかさ……俺、このバンドにいたことがある、ちょっとだけだけど」
照れ臭そうに人差し指で鼻の下をこすりながら、けれど自慢げでもある、長くベーシストとして活動してきただけに、彼にはジョニーや天野くんには考えられないキャリアがある。

 相も変わらず昼間からビールをすすっているジョニーが言う。
「パンティー・スターもいいかもしれないけど、俺たちのほうがずっとカッコイイことをやればいいじゃんか、ねぇ、天野くん」
「ジョニー……素人同然のくせに……でも、そうだ、そうなんだよ、俺たちはもっとすごいことをやれる……ジョニーとヒラサワくんと……俺は天野くんじゃなくジャックになって!!」
「パンティーじゃないけどな……そうだな、俺らだってやれる……毎日、これだけ練習してるんだ、やれないことはないだろう、少なくとも同じ日に同じステージで演るんだ」
「パンティーのスターがいるなら、俺たちはブラジャーのスターになろう!!」
 ジョニーは今日も意味の分からないことをのたまった。


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2012-05-23 08:35 | カテゴリ:poetrical punk 00B
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夜明けの空は濃いネイビー、
少し褪せたブルーデニムみたいな朝がくる、
シャンデリアの星たちは皆、
必死のクロール、目覚める朝陽に追われ、
そして新たな日になって、命たちが目を覚ます、

ピンクと黒の羽根纏い、
レッカはレゲエで舞うバレエ、
フラミンゴとカラスが落とした、その花びらをドレスに縫った、
染まりやすい白がキライで、濃い色ばかりを身にするレッカ、

白鳥たちは湖が、あたしはこの大地があって、
音楽はいくらだって流れてる、
踊れるものは少なくっても、
リズムだけなら弾ける波の間にさえも、

フラミンゴとレゲエとバレエ、
カラスの羽根とレゲエとバレエ、

落ちる星のリズムがバレエ、
水晶割れる韻律レゲエ、それからパンク、
喚き散らすロックンロール、

ピンクと黒の羽根纏い、
レッカはリズムで舞うバレエ、
汚れた羽根さえ人工繊維よりキレイ、その舞踏は誰が為でなく、
すぐに染まる白がキライで、
濃い色ばかりを舞うレッカ、



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2012-05-22 22:46 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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「星屑のロビンソン」 1~23話まで!!

ロビンソンはココの手によって、いま、大きく変身しています。
太陽のエネルギーを集めて航行するため、かつてポセイドンの塔に取り付けられていたソーラーパネルを体に取り付け、また、船体の多くは機能を停止した宇宙船ノアの部品を二次利用しています。
ロビンソンはノアに替わる新たな船に生まれ変わるのです。

「僕が僕でいられるのは、いつくらいまでかな?」
「……どれくらいかな……たぶん、軌道に乗れば自動航行になるから、そのとき、君はもうロビンソンとしての人格をなくしてしまうわ……」
「そう……」
「でも……いつか。いつかまた新しい星についたら、私は君をまたロビンソンに戻すつもり。だって……」
「……だって?」
「だって……私たちは……ジタンとニーナがいつかまたヒトの世界を創るとき、また君の力、テラ・フォーミングが必要になるかもしれないし」
「ココ。テラ・フォーミングはもう使えないんだ」
「どうして?」
「僕は“GT400”をこの地球に置いてゆくことにしたよ、この星を記憶しててもらうために」


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ロビンソンは惑星を改造する力を、すでに手放していました。いま、その力は海が生まれつつある地球のどこかを漂いながら、その変化を見続けています。
「ねえ、ココ。ヒトは……ニンゲンはそんなに弱くなんてないって思う。だって、僕らを造ったのはヒトなんだ、きっとまたこの地球で生きてゆく。僕らはその用意ができるまで、遥か未来の地球に彼らを連れてゆくんだ」

「そのとき、ジタンとニーナは最初のヒトになるのかな? それとも、新しい人類が生まれていて、かつての人類が考えたみたいに宇宙人や未来人だと思うのかな」

「僕たちも宇宙人みたいに思われちゃうかもしれないしね」
「ほんとね」
ココは考えていました。
また、あのときのように、まるでヒトのように手を重ねたときのことを。
それがどれくらい先のことになるのか、計算はできませんでした。

彼らはアンドロイドですが、造られたときのプログラムを超え、自分たちの意思を持って生きているのです。
ヒトと同じくらいの優しさを持ち、あたたかさも感じながら。


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数日がたち、ロビンソンは発進を待つだけになっていました。
コックピットに乗るのはココで、ザジもそこに乗る予定です。
船のなかでは一組の少年少女が長い眠りについたばかりで、旅の準備は整っています。

「行こうか、ココ」
「うん、しばらくのお別れかな……」
「きっとすぐだよ。すぐそこに未来が待ってる」
未来。
それは無条件に用意された楽園ではありません。再び彼らが地球に戻るそのとき、美しく青い星が待っているとは限らないのです。
そうだとしても、また生命は生きようとしてゆくでしょう。
生まれたのは生きてゆくためだからです。
理由や意味があるからではありません。
生きるのは、命として誕生したからなのです。


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発進した新たな宇宙船ロビンソンは溶けた氷が作った海のある、再生する地球を眺めていました。
これから数百年になるのか、それとももっと長い時間がかかるのかはわかりません。
確かなのは、その未来に導かれるように飛び続けてゆくことだけです。

船のなかで眠るふたり……ジタンとニーナにはロビンソンのエンジン音が聴こえていました。
優しく温かい音ではありませんが、それはまるで心臓が脈打つ音のようでもあり、子守歌のようでもありました。


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地球に残るポセイドンは海に沈みゆく塔の頂上から、飛び立ったロビンソンを見つめていました。
それはまるで、流星のように鮮やかな光を放ち、一瞬で小さくなって見えなくなり、それでもポセイドンはいつまでも見続けていました。
願いを託すように。

ロビンソンはいま、高速で地球のまわりを移動しながら、いつか見たような気がする光景を浮かべていました。
それはずっと未来のことのようでもあり、懐かしい想い出のようでもあります。

いつかまた……それを見るときがくるまで僕は飛ぶんだ。
かすかに触れそうな手と手が、重ね合わされるその日まで。

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<おわり>



「星屑のロビンソン」
all illustration and story by Billy.

thank you.
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2012-05-22 22:46 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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「どうしても……それが君の選ぶ道なのね……」
ココはロビンソンの決めたことを分かっていました。急激な地球の変化のなかで、他に方法がないと分かっていながら、それでも、簡単には受け入れることができなかったのです。
「君が君じゃなくなっちゃうよ、ロビンソン……」
「ココ……だけど、僕は……もうノアは動かないんだ……僕が僕じゃなくなるとしても、記録は残せるから……」
「記録じゃなくて記憶よ、きっと。思い出になっちゃうんだね……」


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ロビンソンは再びの宇宙旅行に向け、眠り続けるニーナと、これからまた長い眠りにつくジタンのところにいました。
「ロビンソン、もうお別れなんだね……」
「僕が君たちふたりを連れてゆくんだ。お別れじゃない」
「ロビンソン……僕たちはどこへ行くの?」
「……君たちふたり……ジタンとニーナが生きることのできる、未来に行こうと思う」
「未来……」
「そう、未来。ヒトが希望を紡ぎ続けられる場所に行こう」
それだけ告げるとロビンソンはカプセルで眠りはじめたジタンをあとにしました。
「ありがとう、ロビンソン……」
眠る直前、ジタンはロビンソンの背中にそう声をかけました。




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「知ってる?」
ココは宇宙を眺めながらロビンソンに聞きました。
「ヒトってね、手を繋ぐの。温もりを確認し合うのかな……」
「生きてるってことを感じ合うのかもしれないね」
「じゃあ……私たちも……」
「うん、生きてる。ヒトに造られたモノかもしれないけど、きっと生きてる」ふたりはしばらく、そのまま空を見つめていました。こんなふうに過ごせる時間は最期だと知っていたのです。


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僕は宇宙船になるんだ、残像のなかの母にロビンソンは語りかけます。
「また旅に出るんだ。この地球がいつかまたヒトが生きられる場所になるまで……うまくテラ・フォーミングができなくてゴメンね……だけど、未来を探し続けるから……」
ロビンソンのお母さんは、何も言わずに優しく微笑んでいました。




illustration and story by Billy.



<あと少しだけ続く>

「星屑のロビンソン」前回まではこちら!!

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2012-05-22 22:45 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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ロビンソンの右眼はホログラムを宙に映し出し、そのなかに閉じ込められた記憶を語りはじめました。

それは銀河系、太陽系という地球をふくむ星々の誕生の歴史であり、そのなかで唯一、生命を育んだ星の長い長い記録だったのです。

「……ヒトはやがて、その築いた文明の果てに絶滅の危機を迎えたんだ……理由はひとつじゃなくて……でも、最期はヒトが争い、地球という星を傷つけ続けたこと……残された人類はそれを“審判”って呼んだんだ。
生態系を狂わせるくらいの、あまりに高度なテクノロジーは、それを生み出した人類そのものを終焉させるほどに膨張して、気づいたときにはもう遅かった……。
人類が生まれる遥か昔、一度、地球の生命は滅亡したんだ、小惑星の衝突によって氷河期を迎え、それから後に新たな命が海から生まれ、やがてヒトも生まれた。
ヒトは隕石の落下を事前に防ぐくらいの文明を持っていたけれど、その代償は大きくて、制御できなくなった……」
「それで……私たちが最期の人類、ジタンとニーナを連れて宇宙航行に出たのね……」



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「ジタンとニーナ……ふたりは人類の最後の希望なんだ。コールドスリープに耐えられたのはふたりしかいない……違う、彼らはそもそもが宇宙船ノアとそこにいたアンドロイドたちによって、カプセルのなかで生まれた、ふたりの母は、僕たちアンドロイドの仲間……結局は不時着でほとんどが機能できなくなって、残ったアンドロイドのうち一部が誤作動を始めた……」
「ポセイドン、か……」


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「ポセイドンは……ここを地球だと識別できなかった、だから、熱源を攻撃対象、排撃対象にしてしまった……ただ……」
「ロビンソン……あなたが……再起動したから……」
「うん。僕とポセイドンはノアが生命の維持に適正する星にたどり着いたとき、その星をヒトが繁栄できるように造り変えるテクノロジー、テラ・フォーミングを持たされた、兄弟みたいなものなんだ。どちらかが暴走しても、そのとき、もう一機がそれを制御できるようにプログラムされてた」


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すでにテラ・フォーミングは発動された状態です、凍てついた大地は溶けはじめ、星には海が再び生まれました。
このままではロビンソンたちも海の底に沈んでしまうでしょう。
最期のヒトであるジタンとニーナも……。

「方法はあるんだ、たったひとつしかなくて、成功するかどうかは分からないけど……」
ロビンソンはココに話しました。
「……うん」
「僕らは……ヒトの未来を守ることができる。少ないけれど、まだ時間もある」
「……それしかないのね」
「やるしかない、僕はそう思う……」




illustration and story by Billy.




<つづく>



「星屑のロビンソン」前回まではこちら!!
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2012-05-22 22:43 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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「ロビンソン!!」
「帰ってきたよ!!」
ココとザジは口々に叫び声をあげました。ロビンソンの無事が帰還したことに安心したのです。
「ポセイドンは……ポセイドンはどうなったの……?」
ココはふたりの間に何が起こったのか、なんとなくは分かっていました。
あのハチ型アンドロイドが制御を失い墜落してしまったこと、そして、みるみる変化してゆく地球の環境から、ポセイドンのその活動になんらかの変化があることを感じていたのです。


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「これが、“GT400”なんだ、ポセイドンからもらってきた」
「もらってきた……?」
「彼は……ポセイドンは僕たちを破壊したかったわけじゃない。これを僕が搭載すれば、すべてが明らかになるんだと思う。いままでのこと、それから、僕らがこれからしなければならないこと……僕はそのために生まれてきたんだって思う」
「私たちがすべき、こと……」
「ねぇ、ココ。ねぇ、ザジ。僕たちは戦ったり争ったりするために生まれたんじゃない。ヒトはそんなことのために僕たちを造ったわけじゃないんだ。もちろん、ポセイドンも……」


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ロビンソンはポセイドンから託された“GT400”を空っぽのままだった右眼に装着しました。
すると、そこから、言葉では説明できないくらいの情報が、記憶が、意思が流れ込んできます。

“GT400、起動を開始、します”

ロビンソンの口からは彼のものではない声が話し始めました。
それは失われていた右の眼を彼が使うことによって、完全体としてのロビンソンが起動したことをあらわすことでした。

“......great-trial......after...400...years......”

400年後に発動を約束された、「偉大なる試練」。
ヒトが人類の最期を予期して創られた、新たな人類の再生の計画。

ロビンソンの眼は、海を再生しようとしたポセイドンから“GT400”を授けられたときのように、400年前の地球を映し出していました。

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illustration and text by Billy.



<つづく>



「星屑のロビンソン」前回まではこちら!!
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2012-05-22 22:43 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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崩れ落ちるソーラーパネルをすり抜けながら、ロビンソンは宇宙船ノアに向かってゆきます。
凍てついた地球を溶かし、海を再生させるテラ・フォーミングが発動し、すでに星は変化をはじめ、地表が割れ、世界は巨大な変革を迎えています。


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やがてこの海が新たに命を誕生させるときが来るのだとしても、いま、この大変化のなかでは、ロビンソンたちアンドロイドだけでなく、この時代を生き延びるヒト、ジタンやニーナも到底、生き残ることはできません。

未来を紡ぐ。
未来を手繰り寄せる。
いま、そのために生きるロビンソンはノアに向かって全速力で向かいます。

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無言で変化してゆく氷原をひたすら疾走してゆきました。
振り返ると遠くにはかろうじて原型をとどめるものの、傾きかけた塔が見えました。

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「ポセイドンが生きた証、その思い……未来に届けなきゃいけない。僕はきっと、そのために生まれてきたんだ……」
ロビンソンは走り続けます。
かつてヒトが人類の未来を託した巨大移住船ノアに向かって……。


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声が……ロビンソンに届きます。
“早く、急いで……もう時間がない……”
ロビンソンはその声に応えるよう、残りのエネルギーも考えず、最高速度にその走行形態を変えました。
その視界の先には揺れてかすみながら、宇宙船ノアが見えてきました。




illustration and story by Billy.


<つづく>



「星屑のロビンソン」前回まではこちら!!
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2012-05-22 22:42 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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「……分かって……よ」
目の前に現れたハチ型アンドロイドの群れに反撃できずココが叫んだときでした。
制止を求める声が彼らに聞き入れられたかのように、突然、彼らは沈黙のまま氷のうえに墜ちてゆきました。
そのまま、順に動作を停止してゆきます。
「な、なぜ……」
「壊れた……?」

“ポセイドンの能力が解除されたんだ”
遠くから微かに、けれど強い声が届きました。。
“早く船に戻って、僕もすぐに帰るから”
「ロビンソン……」
「ロビンソンだ!!」



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星は徐々に、そしてその速度を早め、確実に変容してゆきます。
凍結していた地表が溶けはじめ、その上に割れた氷が浮かび、大きな氷と氷の間に小さな氷が左右でぶつかり、さらに小さく砕かれてゆきました。
数百年を経て、地球に海が還ってくるのです。



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「僕は行くよ」
ロビンソンは自分と同じ能力を持ち、同じ顔をした、もうひとりの自分にそう告げました。
「うん、それ、が……いい。僕はもう、動け……ない」
「ポセイドン、君は間違ってなんかいなかった、僕が遅かったんだ。もし君が……」
「も……シ……?」
「もし君が起動し続けられたら、いつかまたこの星に生まれる命を見ていて欲しい……それができるのは、もう君だけなんだ」
「マた……いつか会え、るといい……な……」
「うん、またいつか。いつになるか、まるで分からないけど」
「ロビん……ソン。君はドコへ……ユく?」
「未来にゆくよ」
「キ……を、つけ……て。ロビン……ソン……さようナら」
「さようなら、じゃないよ、またね、だよ。君の記憶と想いは僕が一緒に連れてゆく」


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ロビンソンは再び船に戻るため、塔を駆け降りてゆきます。
ポセイドンの制御を失った塔からはソーラーパネルが次々に落下し、そして塔そのものも揺らいでいました。
やがては崩れ、かたちを失くしてしまうかもしれません。



illustration and story by Billy.


<つづく>


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2012-05-22 22:41 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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ロビンソンは“託された想い”を受け取りました。
それはただポセイドンがテラ・フォーミング発動に使っただけではありません。

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ロビンソンとポセイドン。
ふたりはそれぞれにヒトの意思を受け継ぐために産まれ、その力の大きさからお互いにリミッターとしての役割を持ち、プログラムの誤作動や暴走に備え、あらかじめ外されていたのです。
そして、その“右眼”こそがGT400と名付けられた、未来への切り札なのでした。


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「僕は……もう、動くことができ、ない……さぁ……ロビ……ンソン。君がもう、一度、命を未来へ、運ぶん、だ」
「ポセイドン……」
ロビンソンにはポセイドンを破壊することができませんでした。
GT400を手にした途端、ポセイドンだけではなく、彼自身が誤作動のうえ、多くのアンドロイドたちを破壊してしまった記憶がよみがえったのです。

「僕は君を壊すことはできない……僕らの力は……大切なものを守るために授けられた力なんだ、命を壊すための力じゃない……」
「イ、ノチ……?」
「そうだ、君や僕や、そして僕らをこの世界に産み、運命を託した、ヒトの命だよ。君だって、僕だって、命があるよ。アンドロイドにも命がある」
「星にも、イノチが……」
「うん。星は命そのものなのかもしれない。テラ・フォーミングはもう僕に止めることはできない、この星にはもう時間がない」
「星の……イノチ……僕が壊し……た」
「違う、壊したんじゃない、氷の星は溶けて水の星になる、いつかまた……いつかまたこの星から命は生まれる、完全なかたちではなかったけれど、テラ・フォーミングは成功したんだ」

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突然、ロビンソンはポセイドンの顔を被っていた仮面を剥ぎ取りました。
その下から現れたのは、やはり、同じ顔だったのです。
「もう、隠れることなんてないよ、ポセイドン。君はこの星に海をつくった、今度は僕が未来を紡ぐ番だ」
GT400をぎゅっと握り、ロビンソンは力を込めて話します。
「僕たちは兄弟なんだ、ほら、憶えてるだろう? 僕らを造ったヒトの意思を」
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「あ、あ……憶え、てる……いや、やっと、思い出した、よ……」
「ポセイドン、僕は行くよ。待ってるヒトがいる」




<つづく>


illustration and story by Billy.


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2012-05-22 22:40 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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「テラ・フォーミングは……すでに発動してしまった……君が、止めるん、だ……」
ポセイドンは外した右眼をロビンソンに手渡そうとしています。
「そして……僕を、破壊してくれれば……この、星の破壊を止める……ことができる……」
「その右の眼は……いったい……?」
「これは……かつての、地球の記憶そのもので……そして……僕たちを造ったヒトの、意思なんだ……僕らに、与えられた能力の……僕らがこの……星で、生きた活動も……記憶され……ている」


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「わかったよ」
「僕らの力を……間違えずに……使って……」
そこまで話すとポセイドンの音声は途切れてしまいました。
彼はその体を震わせながら、動作を停止しつつありました。

自律制御を止めようとするポセイドンでしたが、彼らには自らを破壊することはできません。
意思をなくした彼はいま、誤作動を防ぐために一時的な停止状態になっていたのです。

「ポセイドン……ほんとうに君を破壊しないといけないのか……」
ロビンソンは地球の意思、アンドロイドに未来を託したヒトの想い、そしてアンドロイドの活動を記憶した、右の眼を見つめていました。


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「……星の様子が」
「ヘンだね……」
そのころ、ロビンソンの帰還を待つザジとココは地球の異変を感じとっていました。
ポセイドンが待ち、彼のもとへ向かったロビンソン。
ふたりがいるはずのパラボラの塔の上空は雲が割れ、そこから微かに太陽の光が差し込んでいました。
また、ソーラーパネルは反射角度を変え、光が氷の大地に向かっています。
「テラ・フォーミング……やっぱり、彼らにはその機能が……でも……」
「あまりにも急速過ぎるよ……何もかもが水の底に飲まれてしまう……」
「ザジ、私、ロビンソンを迎えに行く。すぐに戻るから、ジタンとニーナをお願い」
ザジの制止も効かず、ココは船をあとにしました。
ですが、走り始めるとすぐに警戒信号が鳴り、前方にまたもハチ型アンドロイドがあらわれました。

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逃げられない、ココはすぐにそれが分かりました。彼女には攻撃能力はありません。
「いま、あなたたちと戦う時間はないの」
そう叫びましたが、彼らはすでに攻撃態勢になり、エネルギーを集中しています。
「分かって!!」
ココは無駄を知りながら、ただ叫び声をあげるだけでした。




illustration and story by Billy.


<つづく>



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2012-05-22 22:39 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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「僕は、狂って……いるの……か? プロ……グラムは……正常に、作動を続いている……のだと、ずっと……考えて、いた」

ポセイドンは途切れ途切れになりながら、混乱を伝え続けました、ロビンソンはそれを聞きながらも、彼の背後の風景、星の姿に変化に気づいてもいました。

「ポセイドン、君はもう惑星改造を始めていたんだね……?」
「そう、だ……この星には大気があ、る。だけど、海、がない……なにもかもが凍りついて、生命活動を存続させることが……できないん……だ。僕は……すでにテラ・フォーミングのプログラムを発動させ、た」


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「氷を溶かして海をつくるつもりなんだね、だけど、そのやり方じゃ君がいるこの塔は沈んでしまう……ポセイドン……君にはここが地球だということが分からなかった……」
ポセイドンはその身体にプログラムされたことに忠実なはずだったのでした。
彼が持つ惑星改造のテクノロジーは、すでにその作動を始めていました、彼は自らが住むその塔のミラーパネルに集めた太陽光を地上に向け、凍てつく大地を溶かしつつありました。

「長かっ……た、あまりにも長かった……僕はもう、生命というものを認識できないまでに……損傷してい、る。だから、君を呼んだ……んだ」
「呼んだ? 僕を?」
「そう、だ。君もやはり、僕と同じ……ように、惑星の改造……地球化のために造られたアンドロイドだ……」

ポセイドンは自らの行為、それが間違いであったとしても、正常な作動による起動ではなかったことに気がついていました。

「そう、か。ここが、ここは……地球だった……」
「ポセイドン……テラ・フォーミングが正しいことかどうかは僕には分からない、きっと君にも。だけど……僕らには産まれたとき、造られたときに運命を持たされていた……」

「ロビ、ンソン……君が僕を破壊して、くれ……僕たちは自らを破壊することは出来ない……」
残る力を搾り出すようにポセイドンは話し続けました。
「僕らは……どちらかが……誤作動したときに……星を……命を、破壊してしまう力が、ある……互いが互いの、リミッター、なんだ……僕は僕がテラ・フォーミングを発動……させてしまう前に、君を呼んだ、つもりだった……自律制御が可能なうちに……」


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ロビンソンが記憶をなくした状態で再起動したのは、ポセイドンの呼び出した信号だったのです。

ポセイドンはそう言うと、右の眼を取り出してしまいました。
それはかつて、ロビンソンの右の眼に取りつけられていたものでした。

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「僕を……壊して、くれ……君が、僕を止めるん、だ……そして、この塔を破壊してしまえば、プログラムを……強制終了できる……」
「強制終了……破壊……」
ロビンソンはかつて自分が破壊したアンドロイドの姿を思い返していました。
僕たちは、僕たちを破壊することができる。
「僕は……破壊のために生まれて、破壊のために目覚め、また破壊するために力を使うのかな……そんなことのために……僕は生まれてきたはずじゃない……」




illustration and story by Billy.



<つづく>


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2012-05-22 22:37 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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パラボラアンテナ、ソーラーパネルを乱雑に積み重ね合わせたような、ポセイドンがいる鏡の塔。

ロビンソンたちアンドロイドや、彼らと宇宙航行を果たした宇宙船ノア。
そのすべてが開発され、ヒトが最期の希望を託して発射した、その遺跡。
いまはもう、この地球において、ただひとつの凍ることのない建築物です。

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頂上にまで上がると、その窓の向こうは、灰色の雲の上、青い空が広がっていました。
「空……これが、本当の空の色……」
その遥か上には濃い青が無限かのように遠く続いていました。
宇宙は空と繋がっているのです。

「待って……いたよ、ロビンソン……」
ロビンソンの背中に声が届きました。
その声はどこか聞き覚えがありながら、音声を発する機能に故障があるのか、割れていて、そして、たどたどしい話し方でした。
「ポセイドン……」
ロビンソンは相手の名前を呼ぶと、それはポセイドンと同じ声だということに気がつきました。

「僕が……君を、呼んだ……んだ……ろう?」
「そうかもしれない、だけど、僕が君のところへ来たのかもしれない」
「待って、いた。ロビン……ソン、ずっと君を……待っていたんだ……」
「ポセイドン、早かったのか、遅かったのか、それが僕には分からない。だけど、間違いなく、ここに来た……」
「ロビ……ンソン、僕にはもう……時間というものの認識が……概念が……失われて、いる……」
「そこへゆくよ、ポセイドン。話さないといけないことがある。やらなきゃいけないことがあるんだ」

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ふたりはそこで相対しました。
遭遇ではありません。
あらかじめ決められていたかのように、ふたりはその姿を見つめ合いました。

「ロビン……ソン、僕を……止めに来た……んだろう……それが、君の役割の、はずだ……」
ポセイドンはそう告げました。




illustration and story by Billy.



<つづく>



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2012-05-22 22:36 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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エネルギーを集中したGT400はその力を一気に放出しました、眠っていた本来の能力が解放されたのです。
彼のなかに閉じ込められていた、攻撃という力。

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一直線にハチ型アンドロイドに向かった光線は、相手の頭部を貫き、そして制御を失ったハチ型アンドロイドは炎上して墜落し、活動を停止してしまいました。

一瞬の出来事でした。

「な、なに……君……こんな機能を……こんな能力を持ってたんだ……」
ザジは驚き、GT400に問いかけました。
それはザジたちを襲い続ける敵の能力と似ていて、しかも、その破壊力ははるかに強力なものだったからです。
「だ、大丈夫……?」
光線を放ち、ハチ型アンドロイドを撃破してしまったGT400は口から煙を吐き出しながら、何も言わず宙を眺めているようでした。

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「おい、しっかりしなって!!」
ザジは何度も声をかけましたが、GT400はこたえません。
眼の輝きが小さくなってゆきました。

遠のく意識のなかで彼は考えていました。
……僕は……なぜあんなことをしたんだろう……あんなふうに攻撃するために造られたのかな……どうして……あんなことを……したんだろう……。

“残存エネルギー……、ゼロ、活動を……停止、します……”
GT400のセンサーから発せられた無機質な音声がそう告げました。

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illustration and story by Billy.


<つづく>


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2012-05-22 22:34 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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空からGT400とザジを狙うアンドロイドは背中に羽根を持ち、縦に球を並べたその形状はハチを思わせるものでした。
ハチ型アンドロイドは照準を合わせ、そのお尻についた鋭いトゲに光が集まり、光線を撃つ体勢を整えています。

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「熱源?!」
センサーが危険信号を発して、GT400は周囲を見回しました。
「ザジ、逃げて!!」
「えっ?!」
急な呼びかけにザジは戸惑いました、完全に修理されていない彼は素早く動くこともできません。

間に合わない、GT400は視界の入った謎のアンドロイドに攻撃の意思があると気づいています、なぜそれが分かるのか、彼は自分にも分かりませんでした、ですが、あらかじめプログラムされた防御/迎撃のシステムが発動していたのです。

ハチ型アンドロイドはその溜めたエネルギーを光線にして、ふたりに放ってきました。
大気が歪むような耳障りな音とともに、黄色い光が一直線にふたりに向けて放たれました。

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GT400は伸縮可能なその左の手を限界まで伸ばし、手の平から赤い円をいくつも発射しました。
彼はその意思で行動しているわけではありません、反射的にそんな動作をしているのです。

赤い球は大きく拡がり、GT400とザジを包み込み、そしてハチ型アンドロイドが撃ってきた光線を弾き返しました。

攻撃を交わしたGT400はそのまま上空の敵に正対しました。
眠っていた力が解放され、なにをしようとしているのか自分でも理解できないまま、GT400は迎撃態勢に入ったのでした。

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<つづく>




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2012-05-22 22:33 | カテゴリ:星屑のロビンソン

GT400とザジは船を目指して少しずつ少しずつ進んでゆきました。
ふたりともエネルギーが少なくなってきたうえ、表面は割れたガラスの破片が凍ってしまったように走行しづらかったのです。

「このあたりはずいぶん歩きにくいね」
「船が激突して地面を削り取ってしまったんだ」
「……激突?」
「着陸に適正する地形を選ぶ時間がなかったんだよ、何百年も宇宙空間を飛び続けていたんだ、目標だった星を見つけることができないまま、結局、この星に不時着した、だから船は頭から斜めに突き刺さったように立ってるんだよ」
「ふうん」
GT400は考えていました。その不時着のときの衝撃で僕の記憶回路は故障してしまったんだろうか。
それならなぜ、僕はあんな何もないところで停止してしまっていたんだろう……。


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「ね、見てザジ!! あれは……」
視界の端にとらえたのは、すでに全機能を停止したアンドロイドの姿でした。
「頭がとれてる……」
そのアンドロイドは死んでしまってから、かなり時間がたっているらしく、杭に貫かれた頭から氷柱を、転倒したままの体は凍りついていました。
「あいつは……」
ザジは少し間を置いてから話し始めました。
「あいつは潰されたんだ……僕や君と同じアンドロイドにね……いや、同じじゃないって思いたい、まったく別の思考回路を持つ別のアンドロイドだって思うことにしてる」
「別の……アンドロイド……? アンドロイドがアンドロイドを壊してしまったの……?」


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「船についたら……船についたら、僕らがここにたどり着くまで、それから、ここで起きたことを記録したデータを見せるよ、それがいちばん早いから……」

慎重に進むGT400とザジ、その上には音を殺して近づいてきた、別のアンドロイドが空からふたりを狙っていました。


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<つづく>

前回までは……
星屑のロビンソン <1>
星屑のロビンソン <2>
星屑のロビンソン <3>
星屑のロビンソン <4>

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2012-05-22 22:32 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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「車輪は、もう、大丈夫? いつもと変わらずに、進める?」
外れてしまったタイヤを修理したGT400でしたが、イヌ型アンドロイドの走行速度は遅く、そして姿勢は不安定なようでした。
部品が足りず、また、修理に使った部品も劣化が激しかったのです。
「君は修理用のアンドロイドではないみたいだね。残念だけど、また壊れてしまいそうだよ」
振り子のように体を揺らしながらイヌ型アンドロイドはGT400の後をついてきます。彼はザジという名前でした。
「君はなんて名前なんだい?」
「……うーん……」
GT400は答に困りました。再起動した後、少しずつ記憶回路も回復しつつありましたが、大切なことはまだまだ思い出せずにいたのです。




「とにかく船に帰ろう、そうすれば何か分かるかもしれないし」
「ふね?」
「宇宙船だよ、いまはもう動かないけど、僕らはそこに暮らしてるんだ。君がキャッチしてくれた緊急信号も、船にいるココに向けて発信したんだ」

宇宙船。僕ら。ココ。
GT400はザジの言ったことになぜか懐かしさを感じました。
失ったはずのメモリーは壊れているのではなく、活動停止中に内蔵エネルギーを使わないための維持プログラムだったのかもしれません。

「船に帰れば君は充電できるし、ココや僕には分からないデータも解析できるかもしれない。きっと僕やココにはない機能を持っているはずだよ」
「きのう?」
「ああ、僕らはみんな特性に合った機能をプログラムされているんだ、僕は見た目の通りイヌだよ、集音機能に優れていて番犬代わりになる」

僕が持つ力……それはどんなものなんだろう……。
そして、どうして、こんな氷の星にいるんだろう。
しばらく進んでいると、ザジの言う宇宙船らしいものが見えてきました。


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<つづく>


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前回まで

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星屑のロビンソン <2>
星屑のロビンソン <3>

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2012-05-22 22:31 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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走行ギヤに切り替えたGT400は、微かに聞こえる信号を頼りに少しずつ速度をあげてゆきました。
発信音は一定でしたが、近づくにつれて大きくなり、それが救援を願う緊急用のものだと分かったからです。
声までは聞こえてきません。
でも同じアンドロイドが発する、特殊な音波は彼にしっかりと届いてきます。

「急がなくっちゃ」
残り少なくなったバッテリーのことも忘れて、GT400はその速度をあげてゆきました。
視界は変わらず、空からのわずかな光を跳ね返す凍りついた氷原でした。


「どこ、どこにいるの?」
救助信号を送ってきたアンドロイドはすぐそこにいるはずでした、けれど、片眼のGT400は遠くを見ることができても、すぐ近くのものがぼやけて見えます、あたりは暗く、警報にも似た音が聞こえてくるだけでした。

「ここだよ、ここ、なんだよ、君、壊れてんの?」
そう呼びかける声が聞こえてきました。
「……どこ?」
きょろきょろと辺りを見回し、GT400は声を探しました。
「あっ」
「早く治してよ、凍っちゃうよ」
振り返るとそこにはタイヤが外れ、氷の上に倒れたままのアンドロイドがいました。
自分と同じ、黄色いランプの眼が点滅しています。
GT400とは少しかたちの違う、イヌに似たアンドロイドがそこにいました。


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illustration and story by Billy.


<続く>



前回までは……
星屑のロビンソン <1>
星屑のロビンソン <2>

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2012-05-22 22:30 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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見渡す限りは青白く、かすかな光を跳ね返す氷の大地でした、凍結したその上を、滑らないようにそろそろと彼は進んでゆきます。
まるで無音の世界でした。熱源や音などを感知するセンサーの作動する機械音だけが氷原に響き、その反射した音に反応してしまうほどの静寂でした。
GT400はまだ全機能を稼動できるほどに回復していません。
どれくらいの時間を活動停止してしまっていたのか、また、なぜ再起動に至ったのか、それもまだ自分では分かりません。


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その地の表面温度はマイナス90度から150度と彼は計算しました。
特定の菌類を除けば、命が生存できる温度ではありません、また、空は泥を重ねたような雲が広がり、左眼を望遠レンズに切り替えても、眠りから覚めたばかりに見た星たちのきらめきは見ることができません。

「おかしいな」
彼は不思議に思います、最初に見たあの光はなんだったのか分からないからです。遠い記憶が瞬間的によみがっただけなのでしょうか。
見上げる空は夜なのか昼なのか、それさえも区別がつかないのです。

内蔵エネルギーの消費を抑えるため、GT400は進むべき方向を探るセンサーだけを働かせることにしました。
感覚を研ぎ澄ませ、熱、音、光のどれかを感知しようとしています。

北から吹く風、そのなかに微かな金属音が紛れていることに彼は気がつきました。

“同種の、発信信号の可能性が、あります”

頭についたセンサーが彼に告げます。
「同じ種類の音……僕と……?」
もしそれが正しければ、同じ星に彼と同じアンドロイドがいることになります。
「北々西へ約150キロ地点か」
彼は走行形態にギヤを変え、そこを目指すことにしました。




illustration and story by Billy.




<続く>


前回は……
星屑のロビンソン<1>
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2012-05-22 22:29 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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彼の左眼に映っているのは遥か遠く、空の上に浮かぶ星たち、その光をずっと眺めていた、だけど彼はそれが何なのか、よく分からないままで、しばらくそれを見続けていました。
ここはどこなんだろう、彼はそう思う。記憶が失われていることが分かる。
名前は……そう名前も分かりません。
そもそも名前なんてなかったのだろうか、そして目覚めてから何時間が経ったんだろう……。

“……連続活動可能残存時間は48時間、です……”

頭部にあるアンテナは彼が動くことのできる時間を冷静に計算していました、充電の必要があるようで、彼は望遠になっていた左眼を通常に戻し、そして各部を点検しました。


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右眼は故障しているようで、何も映っていませんでしたが、それ以外に大きな故障はなく、腕も動き、そして車輪もパンクはしていないようでした。
一番の問題は左眼の奥から繋がる記憶の回路が断線してしまっているようで、彼は自分が何者であるかを理解できなかったのです。

だけど僕はまだ動ける、それが分かると、動き出そうとしてみました。
間接の各部が凍結しているようでした。

見渡す限り、その世界は青白い氷の世界で、なぜ彼はひとりここにいるのかもわかりません。

彼はその名前を仮に「GT400」とします。胸部のハッチにそう書かれたタグがついているからです。

GT400はアンドロイドです。人間ではありません。
課せられた目的もすでに記憶から消えてしまっているようですが、彼は少しずつ動き始めました。
まだ時間が残されているうちに。




<続く>


illustration and text by Billy.
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2012-05-22 17:45 | カテゴリ:未分類
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どうしてだかいつだって夢に見る、
それはずっと遠く離れた荒野にあるマーケット、
南を向けば水晶浮かぶ海がある、
二人乗りの自転車たちは、
近くのハイスクールの生徒らしい、
はしゃいでる、黄色い歓声、アンクレット、

そこに何があるんだろう、使い道のない雑貨、
汚れたままのスニーカー、ローズの匂いのキャンドルと、
極彩色の夏を飾るビキニの群れと、
血の色にも似た果実たち、
ただ歩いてる、それだけでも楽しいくらい、

目が覚める、するとマーケットはどこにもなくて、
いつものベッドルームがそこにある、
ありふれて乱雑な、スケッチブックとビールの空き瓶、
ビートルズのオルゴール、テレビのなかは砂嵐、

ペニー・ローズはピンナップ、
優雅な笑みを今日もたたえる、まるで動くわけもなく、
ただそこで微笑みだけ見せている、
虚像なんだ殆ど何もが、いらないもなど破り捨てるか、
バイバイ、憧れムービーガール、僕は今日も恋人の待つ、
あの街へ帰るだけ、

マーケットはもう崩れたよ、手にした果実は砂だった、
じゃあもう夢は夢として、このリアルをまた生きようか、

バイバイ、焦がれたペニー・ローズ、
あんたは虚像の女王だろう、触れることもないだろう、
いまになればよく分かる、別に触れたいなんて思ってなかった、
僕は恋人がいる街へゆく、



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2012-05-22 17:39 | カテゴリ:未分類
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流れる傷み、夥しき赤、
それは生の証だろう、
斬るのは虚空などではない、
立ち塞がる現実だ、収縮ばかりを続ける日々だ、
生き場のなさなら誰もが思う、
空気はもはや脂肪と化した、

意志を持て、この世界に翻弄されるは不愉快だ、
なぜだろう、僕らは飼い馴らされるには不向きな牙を、
いまだずっと研ぎ澄ませてる、

一閃した気配のなかに、
切り裂いた線がある、
果ての地、死がその身を覆うまで、
稲妻鳴らしに振り続けるか、
なにひとつも変わりゃしないリアルがあって、
足掻きだけが続くのならば、
狂うくらい踊ってられる、

誰がどうして誰かが泣いた、
ほら見ろ、空が今日も咽び泣く、
所詮は獣だ、俺も君も誰も彼もが、
服従など欲しくはない、生憎、こちとら血には慣れてる、

いつだって生きる意志を示すだろう、
内臓まるごと吐き出してなお、
俺らは無法に自由を夢見、愛する者の名を叫ぶ、

意志を持て、この世界に翻弄されるは不愉快だ、
なぜだろう、僕らは飼い馴らされるには不向きな牙を、
いまだずっと研ぎ澄ませてる、



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