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2012-11-13 16:43 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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「テラ・フォーミングは……すでに発動してしまった……君が、止めるん、だ……」
ポセイドンは外した右眼をロビンソンに手渡そうとしています。
「そして……僕を、破壊してくれれば……この、星の破壊を止める……ことができる……」
「その右の眼は……いったい……?」
「これは……かつての、地球の記憶そのもので……そして……僕たちを造ったヒトの、意思なんだ……僕らに、与えられた能力の……僕らがこの……星で、生きた活動も……記憶され……ている」


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「わかったよ」
「僕らの力を……間違えずに……使って……」
そこまで話すとポセイドンの音声は途切れてしまいました。
彼はその体を震わせながら、動作を停止しつつありました。

自律制御を止めようとするポセイドンでしたが、彼らには自らを破壊することはできません。
意思をなくした彼はいま、誤作動を防ぐために一時的な停止状態になっていたのです。

「ポセイドン……ほんとうに君を破壊しないといけないのか……」
ロビンソンは地球の意思、アンドロイドに未来を託したヒトの想い、そしてアンドロイドの活動を記憶した、右の眼を見つめていました。


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「……星の様子が」
「ヘンだね……」
そのころ、ロビンソンの帰還を待つザジとココは地球の異変を感じとっていました。
ポセイドンが待ち、彼のもとへ向かったロビンソン。
ふたりがいるはずのパラボラの塔の上空は雲が割れ、そこから微かに太陽の光が差し込んでいました。
また、ソーラーパネルは反射角度を変え、光が氷の大地に向かっています。
「テラ・フォーミング……やっぱり、彼らにはその機能が……でも……」
「あまりにも急速過ぎるよ……何もかもが水の底に飲まれてしまう……」
「ザジ、私、ロビンソンを迎えに行く。すぐに戻るから、ジタンとニーナをお願い」
ザジの制止も効かず、ココは船をあとにしました。
ですが、走り始めるとすぐに警戒信号が鳴り、前方にまたもハチ型アンドロイドがあらわれました。

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逃げられない、ココはすぐにそれが分かりました。彼女には攻撃能力はありません。
「いま、あなたたちと戦う時間はないの」
そう叫びましたが、彼らはすでに攻撃態勢になり、エネルギーを集中しています。
「分かって!!」
ココは無駄を知りながら、ただ叫び声をあげるだけでした。




illustration and story by Billy.


<つづく>



前回まではこちら♪
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2012-11-13 16:41 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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「僕は、狂って……いるの……か? プロ……グラムは……正常に、作動を続いている……のだと、ずっと……考えて、いた」

ポセイドンは途切れ途切れになりながら、混乱を伝え続けました、ロビンソンはそれを聞きながらも、彼の背後の風景、星の姿に変化に気づいてもいました。

「ポセイドン、君はもう惑星改造を始めていたんだね……?」
「そう、だ……この星には大気があ、る。だけど、海、がない……なにもかもが凍りついて、生命活動を存続させることが……できないん……だ。僕は……すでにテラ・フォーミングのプログラムを発動させ、た」


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「氷を溶かして海をつくるつもりなんだね、だけど、そのやり方じゃ君がいるこの塔は沈んでしまう……ポセイドン……君にはここが地球だということが分からなかった……」
ポセイドンはその身体にプログラムされたことに忠実なはずだったのでした。
彼が持つ惑星改造のテクノロジーは、すでにその作動を始めていました、彼は自らが住むその塔のミラーパネルに集めた太陽光を地上に向け、凍てつく大地を溶かしつつありました。

「長かっ……た、あまりにも長かった……僕はもう、生命というものを認識できないまでに……損傷してい、る。だから、君を呼んだ……んだ」
「呼んだ? 僕を?」
「そう、だ。君もやはり、僕と同じ……ように、惑星の改造……地球化のために造られたアンドロイドだ……」

ポセイドンは自らの行為、それが間違いであったとしても、正常な作動による起動ではなかったことに気がついていました。

「そう、か。ここが、ここは……地球だった……」
「ポセイドン……テラ・フォーミングが正しいことかどうかは僕には分からない、きっと君にも。だけど……僕らには産まれたとき、造られたときに運命を持たされていた……」

「ロビ、ンソン……君が僕を破壊して、くれ……僕たちは自らを破壊することは出来ない……」
残る力を搾り出すようにポセイドンは話し続けました。
「僕らは……どちらかが……誤作動したときに……星を……命を、破壊してしまう力が、ある……互いが互いの、リミッター、なんだ……僕は僕がテラ・フォーミングを発動……させてしまう前に、君を呼んだ、つもりだった……自律制御が可能なうちに……」


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ロビンソンが記憶をなくした状態で再起動したのは、ポセイドンの呼び出した信号だったのです。

ポセイドンはそう言うと、右の眼を取り出してしまいました。
それはかつて、ロビンソンの右の眼に取りつけられていたものでした。

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「僕を……壊して、くれ……君が、僕を止めるん、だ……そして、この塔を破壊してしまえば、プログラムを……強制終了できる……」
「強制終了……破壊……」
ロビンソンはかつて自分が破壊したアンドロイドの姿を思い返していました。
僕たちは、僕たちを破壊することができる。
「僕は……破壊のために生まれて、破壊のために目覚め、また破壊するために力を使うのかな……そんなことのために……僕は生まれてきたはずじゃない……」




illustration and story by Billy.



<つづく>


前回まではこちら♪
2012-11-12 16:40 | カテゴリ:星屑のロビンソン
〝JACKPOT DAYS〟-111031_115829.jpg

パラボラアンテナ、ソーラーパネルを乱雑に積み重ね合わせたような、ポセイドンがいる鏡の塔。

ロビンソンたちアンドロイドや、彼らと宇宙航行を果たした宇宙船ノア。
そのすべてが開発され、ヒトが最期の希望を託して発射した、その遺跡。
いまはもう、この地球において、ただひとつの凍ることのない建築物です。

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頂上にまで上がると、その窓の向こうは、灰色の雲の上、青い空が広がっていました。
「空……これが、本当の空の色……」
その遥か上には濃い青が無限かのように遠く続いていました。
宇宙は空と繋がっているのです。

「待って……いたよ、ロビンソン……」
ロビンソンの背中に声が届きました。
その声はどこか聞き覚えがありながら、音声を発する機能に故障があるのか、割れていて、そして、たどたどしい話し方でした。
「ポセイドン……」
ロビンソンは相手の名前を呼ぶと、それはポセイドンと同じ声だということに気がつきました。

「僕が……君を、呼んだ……んだ……ろう?」
「そうかもしれない、だけど、僕が君のところへ来たのかもしれない」
「待って、いた。ロビン……ソン、ずっと君を……待っていたんだ……」
「ポセイドン、早かったのか、遅かったのか、それが僕には分からない。だけど、間違いなく、ここに来た……」
「ロビ……ンソン、僕にはもう……時間というものの認識が……概念が……失われて、いる……」
「そこへゆくよ、ポセイドン。話さないといけないことがある。やらなきゃいけないことがあるんだ」

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ふたりはそこで相対しました。
遭遇ではありません。
あらかじめ決められていたかのように、ふたりはその姿を見つめ合いました。

「ロビン……ソン、僕を……止めに来た……んだろう……それが、君の役割の、はずだ……」
ポセイドンはそう告げました。




illustration and story by Billy.



<つづく>



前回まではこちら♪
2012-11-12 16:38 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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少年はじっと見つめていました、大きな水槽のなかで眠り続ける少女の姿を。
彼女と話したことがあるのかないのか、それももう記憶にはありません。
少女は柔らかく微笑むようにその水のなかで眠ったままです。

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「コールドスリープ……僕もそうだったんだ……」
ジタンは自分が眠っていたときの記憶がありません。
カプセルのなかは羊水と同じ成分の液体で満たされ、彼女は年齢を重ねることもなく、生きたまま冷凍保存されているのです。

この世界でたったふたりだけのヒト。
僕と、このニーナという女の子と。
ノアにはもっとたくさんのヒトが乗っていたはずだった、搭乗者名簿には僕と彼女以外にもたくさんの名前が載っていた、だけど、もういない。
きっと……宇宙船が不時着したときに失われてしまったんだろう……。

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あのロビンソンってアンドロイド……初めて見たときは“あいつ”にしか見えなかった。
だけど、彼が映し出したホログラムに映る“あいつ”はまったく違う顔になってた、ヒトでない彼らが成長なんてするんだろうか……。

テラ・フォーミング……その言葉の意味は分かりませんでしたが、ジタンはロビンソンやポセイドンが、ザジやココとは違う能力を持って産まれたものだということは分かりました。

海……?
いつか聞いたことがある。すべての生命は海から産まれたきたのだと。
この星は僕やニーナが生まれた地球という星。
それなら、海があったはず……。


そこまで考えて、それ以上考えるのはやめようと思いました。
考えても考えても、いつもどこかでその答を探していても、見つかったことはないのです。

「ねえ、ニーナ……」
ジタンはカプセルのなかの少女に尋ねました。
「僕らはなぜ生まれてきたんだろうね……僕はいま、とても淋しいんだ……」


illustration and story by Billy.



<つづく>



前回まではこちら♪
2012-11-11 17:57 | カテゴリ:星屑のロビンソン
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「僕はあの塔に行かなければならないんだ」
ロビンソンは自分が生まれた理由をようやく知るような気がしました。
未知の星でヒトが危険に遭遇したとき、その危険を排除するために持つ攻撃の力。
だけど、ぼくらは生まれた星に帰ってきた。
そこにいたのは、ぼくらを敵と誤認する、同じアンドロイド。

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「……ひとりで行くの?」
ココは心配そうにロビンソンに言います、ですが、ロビンソンはココとザジから離れてゆきました。
「大丈夫、彼らはぼくに攻撃できない。ぼくの力が欲しいんだ……それに……彼はぼくを待ってる」


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“高速走行モードに移行”
そう指令を出すとロビンソンは形態を変え、一気に加速してゆきました。瞬く間にその後姿はココたちから見えなくなり、ロビンソンは凍りついた地を溶かすくらいの熱源になって、ポセイドンが待つ塔に向かってゆきました。

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かつて海だった場所。
いまは氷の荒れ地に見えますが、ロビンソンにはその厚い氷の下に生命が生まれてくる母なる海があることが分かりました。
「いつかまた……ここから命が生まれてくるんだ……ポセイドンを止めないと……」


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意識を集中すると塔の最上階に待つ、ポセイドンの姿が左眼に浮かび上がります。
ずいぶんと変容した彼の姿は、無人の星に君臨する王のようでもあります。
テラ・フォーミング(惑星改造)の間違った発動。
そのリミッターであったはずのロビンソン。
ポセイドンはロビンソンと分け合った能力の半分を使い、すでに大気があり、生命の絶滅を経て数百年後の地球を自ら生み出したアンドロイドによって、星の創造主になろうとしているのでした。

「すぐそこだ」
視界にはポセイドンの塔が映り、巨大なミラーの群れが空に向かっています。長い宇宙旅行を経ても変わらない姿。
ロビンソンは速度をゆるめず、飛んでゆくように塔を駆け登ってゆきました。

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illustration and text by Billy.


<つづく>


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